ブラックワンサマー   作:のんびり日和

17 / 40
今回は結構長くなりました。つまり文章がおかしいところなども出てくるかもしれません。
もし有った場合は報告をお願いします。


11話

一夏達2組が乗るバスが学園を出発して数時間後、バスは目的の旅館に着く。着いたバスからぞろぞろと生徒たちが降り旅館前に集合していると旅館の女将らしき人物が出てきて挨拶を始める。

 

「初めまして、当旅館の女将をしています、前川と言います。どうぞ皆さんゆっくりとお寛ぎ下さい。」

 

「女将もこう仰っているがあまり邪魔にならないようにすること。」

 

千冬がそう言い、各部屋の注意事項の説明後それぞれの部屋に行こうとしたとき一夏はふと気が付く。

 

「シルヴィア先生、俺の部屋ってどこになるんですか?」

 

そう聞かれたシルヴィアは

 

「あ、説明してなかったわね。天ノ川君の部屋は私と同室よ。」

 

そう言われ一夏はなぜ?と言った顔になると、シルヴィアは苦笑いでその理由を答えた。

 

「もし女子生徒たちと同じ部屋にすると夜更かししたり、他の部屋の生徒たちが押し掛けたりしてくる可能性があるのよ。だから防止のため担任である私と同室にしたわけ。」

 

「なるほど。けどそれだと2組の生徒たちは先生の部屋に来るんじゃ?」

 

「なぜ?」

 

「だって先生、2組のみんなに甘いから部屋に来ても招き入れて消灯時間ギリギリまでトランプとかで遊びそうですもん。」

 

「あらそれが何か問題?」

 

「え?それでいいんですか?」

 

「別にいいじゃない。臨海学校って言うけど中身の半分は他のクラスとの親睦会みたいなものだし。つまり遊んで今まで親睦が無い人と親睦を深めましょうって言う事よ。」

 

「残りの半分は?」

 

「学園内だとできないISの訓練とかよ。」

 

「な、なるほど。」

 

「さ、天ノ川君も早く部屋に行って着替えて遊びに行ってらっしゃい。彼女さんが首を長くして待ってるかもしれないわよ。」

 

「っ!はぁ~、了解です。」

 

そう言って一夏は部屋へと向かう。その背中を微笑みながら送っているシルヴィアに声を掛けてくる人物がいた。

 

「シルヴィア先生。」

 

「うん?あぁ織斑先生、何か?」

 

「やはり天ノ川は私と同じh「学園長が決めたことですよ?勝手なことはしないようにと言われているはずです。」しかしシルヴィア先生、貴女に任せておいて万が一のことがあれば「私はこれでもロシアの元アルファ部隊に所属していました。ですのでご安心を。」・・・・。」

 

シルヴィアにことごとく言い返され何も言えなくなった千冬。

 

「では私はこれで。」

 

そう言ってシルヴィアは去って行く。そして残された千冬は拳を握りしめながらいずれは私のところに帰ってくると自分に言い聞かせながら旅館へと入って行く。

 

~海岸~

一夏は部屋で着替えた後海岸まで来るとすでに遊んでいる人たちがおり一夏は目的の人物を探していると

 

「い~ち~か~!」

 

と呼ばれ後ろを振り返ると目の前に鈴の顔が迫っておりそのまま抱きしめられ一夏も抱きしめ返しながらその場で勢いを殺すように回して鈴を着地させた。

 

「おいおい、鈴危なかったぞ。」

 

「けど嬉しかったでしょ?」

 

「ま、まぁそうだが。」

 

「でしょ。それよりさ一夏、どう?」

 

そう言って鈴はその場で一回転する。鈴の水着はオレンジ色で胸の部分に大きなリボンがついているものだった。

 

「あぁ似合ってる。可愛いぞ。」

 

「そ、そう?あ、ありがとうね////」

 

鈴が照れていると他のクラスメイト達が来る。

 

「あ、天ノ川君達もビーチバレーやらない?」

 

「人数足りなくて困ってるんだ~。」

 

「おういいぞ。鈴も行こうぜ。」

 

「うん!」

 

そう言って鈴と一夏はクラスメイト達とビーチバレーをやり始める。チームは鈴と一夏は敵同士となった。数分後試合が終盤に差し掛かった時、鈴は味方が上げたパスにスマッシュをかける。

 

「さぁ一夏、私の愛受け止めて!」

 

そう言って鈴がスマッシュしたボールは物凄い豪速球で迫り、一夏は身の危険を感じその場から避けるとボールは地面を大きくえぐってから跳ねた。

 

一夏達の味方は

 

(((アレはやばい)))

 

と全員思ったそうだ。

 

「おい鈴!あれは受け止めた瞬間俺の身が消し飛ぶわ!」

 

「えぇ~、まぁいいわ。それより私たちのチームの勝ちでいいわよね?」

 

「あんなスマッシュ受け止められても後半で負けるっつうの。」

 

そう言いながら一夏達はチームメンバーを入れ替えながらバレーを楽しみ、その後泳いだり浜辺で一夏を埋めたりしながら遊んだそうだ。

 

~夜~

夕食後、一夏とシルヴィアの部屋には2組のティナ、鈴、一夏の他に3人のクラスメイトと担任のシルヴィアがトランプでババ抜きをしていた。

 

「う~ん、これ!」

 

そう言ってティナは一夏からトランプをとるがまさかのババ。

 

「うげ!」

 

「ちょっとティナ。その顔をしたらあんたがババを持っているってわかるわよ。」

 

「うぅ~、分かってるけどどうしてもなっちゃうんだもん。」

 

そしてその後一人、また一人と抜けていき、残りはシルヴィアとティナの一騎打ちとなった。

 

「さぁ~先生、どれを取りますか?」

 

そう言われシルヴィアは2枚あるうちどちらをとるか悩んで、数秒後意を決したように左のカードをとる。

 

「やったー!私のあがり~!」

 

そう言ってシルヴィアが捨てたカードにはハートとスペードのQueenが二枚揃っていた。

 

「負けた~!」

 

そう言ってティナは後ろに倒れる。

 

「またあんたの負け?これで何回目だっけ?」

 

そう鈴が聞くとティナは

 

「うぅ~、10戦中8回負けた。」

 

「意外と勝負運ないよねティナって。」

 

そうクラスメイトの友人に言われティナは

 

「くぅ~、次こそは勝つ!」

 

そう言ってカードをシャッフルして配ろうとしたが

 

「はぁ~い、残念ながら消灯時間10分前だからここで終了~。」

 

シルヴィアにそう言われて全員「は~い。」と返事をして部屋から出て行き一夏とシルヴィアも布団を敷いて寝始めた。

 

 

~次の日~

 

一夏達専用機持ちと一般生徒たちは海岸でISの訓練をしようと集まっていた。

 

「ではこれよりISの訓練を「いっくぅ~~~~~~ん!!!」?!」

 

そう叫び声が聞こえその場にいた全員が辺りを見回したが誰もいなかった。だが一人の生徒が上を向くと何かが近づいてくることに気が付く。

 

「あれ何?」

 

そう言われ全員上を見上げると何かが真っ直ぐ自分たちのところに落ちてきている事に気づき、急いで退避を始めた。

 

「何だあれ?」

 

[アレは博士が乗っている人参型ロケットよ。来た理由は分からないけど。]

 

「え?あれに束さんいるのか?」

 

一夏は思わずそう聞き返すとロケットはそのまま落ちてきて地面に突き刺さった。そして中から降りてきたのは

 

「やっほ~、愛しのいっくん!&鈴ちゃ~ん!」

 

一夏の恋人の束だった。

 

「束さん今日はどうしたんですか?」

 

一夏は平然に対応しているが周りは騒然としていた。

 

「あ、天ノ川君。篠ノ之博士と知り合いなの?」

 

一人の生徒にそう聞かれた一夏は

 

「知り合いと言うより恋人だな。しかも結婚前提の。」

 

そう言われた瞬間

 

「「「えぇぇぇ~~~~!!」」」

 

海岸に絶叫が響き渡る。

 

「まさかの彼女持ち!しかもあのISの生みの親が彼女!」

 

「こんなの勝てるわけない!」

 

「もはや無理ゲーじゃない!」

 

そう悲観していると一人の生徒が

 

「あれ?けど天ノ川君って鳳さんと付き合ってるんじゃ?」

 

そう言うと全員鈴の方に顔を向けると

 

「あ、私も一夏の恋人よ。束お姉ちゃん公認だし。」

 

「「「な、なんだと・・・・!」」」

 

全員開いた口がふさがらずにいるなか、束はと言うと

 

「ねぇねぇいっくん、今度さどっかの温泉旅館に泊まって4人で寛がない?ネットでいい穴場を見つけたんだ~。」

 

「へぇ~いいですね。それじゃあ夏休みにでも行きます?」

 

「賛成~!」

 

と、夏休みの予定を決めていた。それを見ていた千冬は

 

「束何の用だ?」

 

とイライラした表情で聞いてくる。そんな千冬に束は

 

「あ?今いっくんとイチャイチャしてんだよ。邪魔すんな。」

 

そう言って殺気を混ぜながら睨んで、すぐに一夏の方を向くといつもの笑顔に戻る。

 

「あいつうるさいからさっさと用事済ませて夏休みの予定決めようね?」

 

「えぇいいですよ。鈴もそれでいいよな?」

 

一夏は隣にいる鈴にそう聞くと

 

「えぇいいわよ。その前に」

 

「分かってる。師匠に会いに行きたいんだろ?」

 

一夏がそう聞くと鈴は首を縦に振る。

 

「さて私がここに来た理由をさっさと済ませますか。それではいっくんの()()()()()を紹介します!」

 

そう言うと周りが騒めく。

 

「た、束さん?もう俺にはISがあるんだけど?」

 

一夏が困惑気味でそう言うと束は笑顔で

 

「うん、確かにいっくんは持ってる。けど彼女も()()()()()()()()()()()()()()()()()だから渡しておかないと。」

 

そう言われた瞬間先ほどよりもさらに大きく騒然となった。

 

「あ、天ノ川君との共同開発?!」

 

「ということは天ノ川君もコアを作れるって言う事?」

 

そう疑問に思い始めた生徒たちに束は

 

「いや、いっくんは一からは作れないよ。私が半分作ったのをいっくんが残りの半分を作っただけ。」

 

そう言うと周りは「な、なるほど。」と言い出した。一夏はただ困惑している。

 

「た、束さん、俺こいつ以外にコアを作った記憶が無いんだけど?」

 

一夏にそう聞かれると束は笑顔でその理由を答える。

 

「だってそりゃ知らないもん。あの時いっくんに伝えたのは偽物って言ってあるからね。」

 

そう束が言うと一夏は偽物?と頭を?にしながら思い出そうとすると鈴が何かに気が付く。

 

「あ!そう言えばあんた、小4の時の夏休みの宿題の工作で原寸大のISを廃材で作ったって写真を撮って学校に持ってきてたじゃない。」

 

そう言われ一夏は思い出したように話す。

 

「そう言えば夏休みの工作が決まらずにいた時に束さんが手伝ってくれたんだっけ。その時廃材で原寸大のISを作って。あ、そう言えばコアも載せたんだっけ。・・・・・まさか。」

 

一夏は何かに気が付くとそれを察した束がすかさず答える。

 

「ピンポンピンポン!だいせ~か~い!あの時いっくんに廃材でコアの偽物を半分作ったからもう半分は頼んだよって頼んだあれは本物のコアでした~!」

 

束がそう言うと一夏は驚いた表情で束を見る。

 

「な、なんでまたそんなことを?」

 

一夏がそう聞くと束は

 

「いや~、実は本当にいっくんが作るコアは意思を表すのか?っていう疑問が残ってね。それでいっくんにもう一度作ってもらおうと思ってあぁしたんだ。もちろん夏休みの工作に作ったISには廃材で作ったコアを載せてるけど。」

 

そう言われ一夏はポカーンとしているが、束はそのまま一夏の新しい機体の紹介を続ける。

 

「さていっくんの新しい機体を紹介するからね。そろそろ来るはず。あ、来た来た。」

 

束がそう言うと束の目線の先に一夏達が目を向けるとISらしき機影が迫っていることに気づく。

 

「あれが一夏の新しい機体?」

 

「そうみたいだな。」

 

一夏と鈴がそう喋っていると一夏達に向かってきていた機体は一夏達の前に降り立つ。そして中から降りてきたのは

 

「アイリス様送ってくださりありがとうございます。」

 

一夏の義娘のクロエだった。降りてきたクロエはそのまま一夏の前まで小走りでやってきて一夏に抱き着く。

 

「お久しぶりです、お父様!鈴お母様!」

 

一夏は久しぶりに会った娘に優しく頭を撫でる。

 

「久しぶりだなクロエ。元気にしてたか?」

 

「はい、元気にしておりました!」

 

一夏とクロエが仲睦まじそうにしているのを見た生徒たちはありゃ勝てないと諦め始めた(1人は除いて)

 

「それじゃあいっくんの機体が来たから説明するね。これがいっくんの新しい機体、F-22Raptor。もちろん戦闘機と同じステルス戦闘を得意とした機体で機動性と隠密性はお墨付きだよ!武装は近接用ナイフとグレネードランチャー付きアサルトマシンガンが4丁載せてあるよ。」

 

束にそう説明され一夏は内心驚きながら機体に近付く。

 

「これが俺のもう一つの機体。」

 

一夏がそう言うと

 

[ようやく会えたなマスター。]

 

「「「え?」」」

 

いきなり声が聞こえてきて全員驚いていると、一夏の新しい機体が急に光を発し、しばらくすると治まり始めそこに目を向けるとそこにいたのは、ロングの金髪で前髪に黒色のヘアバンドをしている蒼い目をした軍服女性が立っていた。

 

[うむ、博士ありがとう。私の要望通りだ。]

 

「ふふ~ん、この私にできないことはあまりないのだよ。」

 

全員口を開けてポカーンとしていると一夏の胸のあたりにあるドッグタグ(ISの待機形態)が光り出し、その光は一夏の隣に行き徐々に光が治まるとそこにはロングの黑髪で切れ目で紅い目をした軍服女性がおり、金髪の女性に近付く。

 

[久しぶりだなベアトリクス。]

 

[えぇ久しぶりね、博士からはアイリスディーナと言う名前を貰ったらしいじゃない。]

 

[あぁ。これからは私もマスターと共にいるからそのつもりで。]

 

そう言うと二人の目から火花が散っているように見える。一夏はすかさず束に訳を聞く。

 

「束さん、あれはどういう事なんですか?」

 

「うん?ベアちゃんから何も聞いてないの?」

 

「何もって、・・・まさか例の拡張機能って。」

 

「うん、ベアちゃんに頼まれて自分を人の形態にすることはできないかって相談されて試しに色々計算したらあの二人だと人の形態に必要な条件とかがそろっていたみたいだから機能を付けちゃった。テヘ」

 

そう可愛く言われ一夏は何とも言えずにいると後ろから声を掛けられる。

 

[改めて自己紹介をさせていただく。F-22に搭載されているコアのアイリスディーナと言う。気軽にアイリスと呼んでくれマスター。]

 

「お、おう、よろしくな。」

 

そう返事をすると横から

 

「天ノ川、そいつをこちらに引き渡せ。」

 

そう言ってきたのは千冬だった。一夏は睨みながら

 

「それは無理だ。後日スペック等をそちら送るんで。」

 

そう言って一夏はアイリスのフィッティングを行おうとISの状態に戻ってもらおうとすると、千冬は無理矢理取り上げようと腕を伸ばすがその腕を掴まれる。

 

「離せ!ISの癖に!」

 

[離すわけないじゃない。マスターに危害を加えようとするやつは何人たりとも許すつもりもないんだから。]

 

そう言いながらベアトリクスは腕に力を籠める。

 

「ぐぅ?!」

 

腕に激痛が走り始め千冬は顔を歪め始める。

 

[たかがISだからって舐めないでくれるかしら?]

 

ベアトリクスはこのまま腕をへし折ってやろうかしらと思い力を加えようとするが

 

「ベアトリクスそこまでだ。」

 

フィッティングを終えた一夏にそう言われベアトリクスは

 

[命拾いしたわね。]

 

そう言って腕を離す。そして一夏のところに向かおうと歩き出そうとした瞬間何かを思い出したかのような顔をする。

 

[そう言えば忘れてたわ。マスターに報告しておかないといけないことがあったんだったわ。]

 

「報告?」

 

一夏はそう聞き返す。ベアトリクスは笑みを浮かべながら答える。

 

[えぇ報告よ。2度とあの女(織斑千冬)に付きまとわれなくなる報告よ。]

 

「?どういうことだ。」

 

一夏がそう疑問を持つと人間形態になったアイリスが入ってくる。

 

[ベアトリクス、まさかアレをマスターに言うのか?]

 

[それだけのことをあの女はしたのよ?それに()()()()()()()よりを戻そうなんて図々しいにも程があるわ。]

 

「嘘だと?」

 

一夏はこの二人は何かを知っていると考えていると束も入ってくる。

 

「ねぇねぇアイリちゃんもベアちゃんも二人だけで話さず私たちにも話してよ。あの女がどんな嘘をついたのか。」

 

いつもと変わらない笑顔で聞いているが目は笑っていなかった。

 

[それじゃあ話そうかしら。マスター、そこの眼帯との2回目の喧嘩をした後、あの女が言ったこと覚えてる?]

 

「あぁ、確か優勝した後に俺が誘拐されたことを知ったって言ってたな。」

 

そう一夏が言うとアイリスは千冬を睨む。何故アイリスは千冬を睨んでいるのか鈴達はその行動が分からなかった。

 

[実はそこなのよ。彼女が嘘をついたのは。]

 

「なに?つまりあいつは。」

 

そう一夏は言うと同時に千冬を睨むとベアトリクスは黒い笑みを浮かべながらそれに答える。

 

[えぇ、彼女は

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。]

 

ベアトリクスがそう言うと束と鈴は千冬を殺気のこもった目で睨む。

 

「そ、そんなもの出鱈目だ!」

 

[出鱈目かどうかこれを聞けばハッキリするだろう。]

 

そうアイリスが言うと手にはボイスレコーダーが握られていた。束はそれが何なのか聞く。

 

「それは?」

 

[この中には彼女が言い逃れができない証拠が入っている。]

 

アイリスがそう言って再生ボタンを押すとレコーダーからは歓声などの声が聞こえてきた。

 

「これってもしかして。」

 

鈴が何かを察したかのように聞くとベアトリクスが首を縦に振る。

 

「えぇ、モンドグロッソの時の音声よ。」

 

そう言われ全員聞き耳を立てている中千冬は一人だけ汗が止まらずにいた。するとレコーダーから声が聞こえてきた。

 

『お、織斑選手!』

 

『うん?なにか用ですか?』

 

『さ、先ほど貴女の弟を誘拐したと連絡があって。』

 

明らかに女性は慌てていることが分かる。

 

「この女性は?」

 

一夏がそう聞くと

 

[彼女は当時の日本政府の役員の一人に仕えていた秘書よ。]

 

そうベアトリクスが話す中、話は続いていた。

 

『何を言っているんですか?』

 

『え?』

 

『弟が誘拐されたとか冗談はよしてください。まさか他の国に頼まれて私を負けさせようと?』

 

『そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!』

 

『一夏だったらおおかたトイレにでも行ってるんでしょ。とにかく邪魔です。誰か、彼女をここから連れ出してください!』

 

『お、織斑選手!本当なんです!信じてください!織斑選手!!』

 

女性の声は聞こえなくなりレコーダーもそこで終わる。

 

「アイリス、その後彼女はどうなったんだ?」

 

一夏は目元が見えない程度で俯いている。

 

[彼女はその後日本で売国者の汚名を着せられ、後日日本の自宅で自殺した状態で発見されたわ。]

 

アイリスがそう言うと周りの生徒たちは驚いた表情をする。

 

「う、嘘だ!」

 

千冬がそう叫ぶ。

 

「そ、そんなものいくらでもでっち上げられる!」

 

[因みに言うけどこれがどこから送られてきたか知ってる?]

 

ベアトリクスがそう言うと千冬は

 

「そんなもの知るか!お前らがでっち上げたに[これ貴女が乗っていた暮桜から送られてきたのよ。]な、なんだと?!」

 

千冬は驚愕の顔を浮かべる。

 

[そりゃあ驚くわよね。貴女が乗っていたISが送ってきたって。けど真実よ。彼女、泣きながら言ってきたわよ。『私のマスターは人じゃない。血も涙もない化け物だ』って。]

 

ベアトリクスが笑みを浮かべながらそう言っていると

 

「ベアトリクス。」

 

一夏が呼ぶとベアトリクスが振り向く。一夏は俯いたままだがしばらくして顔を上げると笑顔になる。

 

「お前のおかげで決心がついたわ。」

 

一夏がそう言うとベアトリクスは最初は驚くが直ぐに笑みを浮かべる。

 

[それは良かったわ。私はあなたの剣であり楯でもある。]

 

[私も同じだマスター。あなたの前に立ちはだかる障害は全力で排除する。]

 

ベアトリクスとアイリスがそう言うと一夏はありがとう。と言い千冬に顔を向ける。

 

「本当にお前は最低な奴だったんだな。」

 

「い、一夏。お、お前はそいつらのことを信じるのか?たかが機械なんだぞ?」

 

震えるようにそう訊いてくる千冬の問いに一夏は

 

「機械?こいつらは俺のことをずっと心配してくれていた。そして真実を教えてくれた。たとえ機械でもこいつらは自分たちの意思を伝えられる。心を持っている。だからお前より信頼できるんだよ。」

 

そう言って一夏は笑顔で

 

「あの時見捨ててくれたおかげで俺は、姉や兄の様な人たちと会えた。だから

 

 

 

 

 

あの時助けに来てくれなくてありがとうな、世界一最低な世界最強(ブリュンヒルデ)。」

 

そう一夏が言うと、千冬は目の前が真っ暗になり膝から崩れ落ちる。その目には光が無くなっており虚空を見ているようだった。

 

「ありゃりゃ、精神崩壊寸前まで行くとはよっぽどショックだったんだ。プププ。」

 

束は千冬の姿を見て笑いを零す。その笑みは黒く生徒たちはその顔を見て恐怖する。

 

 

「いい加減にしろ一夏!」

 

そう怒鳴ってきたのは箒だった。




次回予告
いきなり怒鳴ってくる箒に一夏はめんどくさそうにあしらっていると真耶が大慌てでやってくる。慌てていた理由がアメリカとイスラエルの極秘開発したISが暴走したとのこと。専用機持ち達はこれの迎撃すべく出撃する。そして一夏の手伝いをしようと勝手に動こうとした箒をクロエが妨害する。

次回激突銀の福音~お父様の邪魔はさせません~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。