ラウラのVTシステムによってタッグマッチトーナメント戦は中止となり、一夏と鈴は学園長室に呼ばれ今回の件を口外しないようにと誓約書を書かされその後部屋へと戻った。
一方ラウラは保健室に備えられているベッドから窓から見える夜空を見ていた。一夏達と戦っていた途中で意識がなくなり気づけばベッドで寝ていた。そして隣には山田先生がいて自分のISに違法システムが搭載されていたことを知らされ暫く休養しておくようにと言われたため大人しく寝ていたのだ。
(あの時何故助けてくれたんだ?あいつらにとって私は赤の他人なのに。)
ラウラは何度考えても分からず上半身を起こしてテーブルに置かれている携帯をとり自分が最も信頼している部下に電話をし始める。
そして次の日の朝6時半頃、この時間はまだ寮は静まり返っており、いるとしたら朝練をする運動部のみだ。そんな静まり返った寮の廊下をコソコソしている生徒がいた。その生徒はある部屋の前まで来るとピッキングツールを取り出し部屋の鍵を開けようとすると
「な、なにをしているんですかボーデヴィッヒさん?!」
コソコソしていた生徒こそラウラだった。そしてラウラは後ろを振り向くと真耶が立っていた。
「何をって嫁を起こしに・・・。」
「よ、嫁って何を言っているんですか!と言うかなんで裸なんですか!」
そうラウラは現在裸だったのだ。
「いや、私は寝るときは裸じゃないと眠れなくて。」
「だ、だからって裸で廊下を歩くなんて何を考えているんですか?!」
「?」
「そこで首を傾げないでください!」
ギャーギャーと扉の前で怒鳴っていればもちろん部屋の中まで響くため部屋の住人はうるさい。そしてラウラが開けようとした扉がいきなり開かれた
「うぎゃ?!」
そう言ってラウラは屈んで扉を背にしていたため急に開いた扉にいきなり押されそのまま地面にぶつかった。
「あ、天ノ川君。お、おはようございます。」
そうラウラが開けようとした部屋の住人は一夏と鈴なのだ。
「あの、今6時半ですよね?」
「は、はい。」
一夏は明らかに不機嫌です。と言うような顔で真耶に聞く。
「だったらほとんどの生徒はまだ寝てたりしてますよね?」
「そ、そうですね。」
「それじゃあ、部屋の前で大声を上げないでください!うるさいんで!」
「ご、ごごごごめんなさぃぃぃぃ~~~~!」
そう言いながら真耶はラウラを掴んでその場から逃げた。逃げていく真耶の背を見て一夏は部屋に戻りもう一度寝ようとしたが目が覚めてしまったためシャワーでも浴びるかと浴槽へと向かおうとすると
「ねぇ~いちか~、いったい何だったの?」
そう聞いてきたのはタオルケットを体に巻きながら歩いてきた鈴である。
「いや、部屋の前でなんか山田先生が何かに怒鳴っていたんだ。とりあえずうるさいですって抗議入れたら謝罪しながら帰っていった。」
一夏がそう言うと鈴はふぅ~ん。と言う。そして一夏が朝シャンをしに浴槽に入って行き暫くすると鈴が突入して来て仕方なく一緒に朝シャンしたのは言うまでもない。
因みにラウラはと言うと生徒指導室に連れていかれお説教を受けたとか。ついでに間違った日本語を正しく学ぶように丸1日語学勉強をさせられたとのこと。
~1年2組の教室~
「はぁ?あのボッチが露出癖だと?」
「うん、そうみたいなの。」
一夏が教室で談笑しているとクラスの一人の吉原愛唯がそう言うと一夏は思わず聞き返してしまう。
「それ本当?」
鈴がそう聞くと吉原は困った顔で答える。
「同じクラスの榊原さんって武術部所属でいつも朝6時から1時間ほど朝練をしてから部屋に戻っているらしいんだけど、偶々その日は途中でけが人が出たらしくて途中で中断したらしいんだけどその帰り道にボーデヴィッヒさんが裸で廊下を歩いているところを見つけたんだって。」
「他人の空似じゃないの。」
「けどうちの学園で銀髪ってあまりいないわよ。」
「確かに。」
「しかしあいつ一応軍人らしいんだが良く気づかれなかったな。」
「榊原さんのお父さんは現役の軍人らしいわよ。だから小さい頃からそのお父さんから鍛えてもらってるから気づかれなかったんじゃない?」
「な、なるほど。」
「そう言えば1組に入ってきた男の人、あれ実際は女の人だったんだって。」
そう切り出したのはティナだった。
「へぇ~、そうだったのか。」(知ってるけど。)
「それで1組はすごく落胆してて廊下からでも分かるくらい暗いのよ。」
そう言われ一夏は試しに扉から顔を出し1組の方を見ると明らかに暗い雰囲気が出ていた。
「確かに暗いな。まるで瘴気が漏れているようだ。」
「確かにそうね。」
鈴も同じように顔だけ出して1組を見て一夏に同意する。
~放課後~
鈴と一夏は今大型ショッピングモールのレゾナンスに来ている。その訳がもうすぐ臨海学校があるため新しい水着などを買いに来たためである。そして目的の物を買って今はベンチに座って休憩していた。
「しかし相変わらずここは大きいな。」
「そうね。あ、いけない日焼け止めクリーム買うの忘れてた。」
「日焼け止めっているのか?」
「乙女の肌はデリケートなの。ちょっと買いに行ってくるから待ってて。」
そう言って鈴は日焼け止めを買いに行き、一夏はその背を見てベンチにもたれながら持っていたジュースを口にする。すると視界の端に黒髪で短髪の女性が映った。一夏はふと視線を向けると首元を隠すような服を着ていることに気づき雰囲気などからまさかと思いながら一夏はその女性に声を掛けた。
「すいません。」
「は、はい。どなた・・・・もしかして貴方は。」
「お久しぶりです、雪緒さん。」
「はい、お久しぶりですね一夏君。」
そう一夏が声を掛けたの女性は元鷲峰組の若すぎる組長、鷲峰雪緒である。声を掛けられた雪緒は最初こそ何だろうかと思っていたが声を掛けてきたのがあの抗争の時に手を組んでいた組織と一緒にいた少年だった為驚いていた。
「怪我はもう大丈夫なんですか?」
「えぇ、誰かが救急車を事前に呼んでいたため私は無事でした。ですがこの通り、」
そう言って雪緒は喉元を見せると痛々しい傷跡が残っていた。
「この傷跡は消えていませんけどね。」
「そう、ですか。やっぱり恨んでいますか?」
「はい?」
一夏にそう聞かれ雪緒は何が?と言った顔で聞いてきた。
「
「例え彼女に共同戦線を提案してなくても私は無事ではなかった。どちらにしろ私の運命は地獄しかなかった。」
そう雪緒が言うと最初は暗かったが明るくなる。
「病院で目を覚まして、最初は死んだ方が楽になるんじゃないかと思いました。けど私の後輩がお見舞いに来てくれて死なないでくださいって泣きながら説得されてヤクザの人間なのにいいの?って聞いたら、」
『先輩がヤクザだろうと何だろうと関係ありません!先輩は私にとって尊敬できる先輩なんです!』
「そう言われ私は涙が止まらなかったのです。だからあの地獄を体験して私にはまだ大切なものがあるんだと実感できたんです。」
「そうですか。」
すると遠くの方から女性の声が聞こえてきた。
「せんぱ~~い!」
「あ、真希ちゃんが呼んでる。では私はこれで。もし彼女に伝えるなら「伝えませんよ。」え?」
「貴女はあの時自殺してもうこの世にはいない。今俺の前にいるのは只の一般人の鷲峰雪緒さんです。だから伝える理由がありません。」
そう一夏が言うとでは自分はこれでと言い、その場から去って行く。雪緒はその後ろをただジッと見ていると後ろから声を掛けられる。
「先輩、勝手に行かないでくださいよ。あちこち探したんですから。」
「ごめんね真希ちゃん。さ、帰りましょうか。」
「はい!」
そう言って雪緒と真希は一夏とは反対の方向へと歩き出す。
(ありがとう一夏君、やっぱり君はやさしい少年だよ。)
雪緒と別れた一夏は鈴と合流してレゾナンスを後にした。
一方束はと言うと
「よ~し、これでOKだよ。」
[ありがとう博士、ようやくこれでマスターに会える。]
「そうだね。いっくんたちはもうすぐ臨海学校があるらしいからその時に会いに行こっか?」
[そうだな。待っていてくれマスター、今会いに行くからな。そして待っていろベアトリクス、もうお前だけいい思いはさせないからな!]
そう決意しているのは一機のISだった。
次回予告
臨海学校が始まり一夏と鈴はクラスメイト達と楽しく遊んだりした。そして夜は担任のシルヴィアと一夏の部屋に集まってトランプをしたりと楽しんだ。そして次の日、専用機持ちと一般生徒が集まっていると一機のニンジンが降ってきて中から降りてきたのは束だった。そして一夏に新しい機体を渡しに来たと伝え新しい機体を紹介した。そして驚きの事実を伝える。そしてベアトリクスも千冬にある真実を伝える。それは一夏と千冬の関係をもはや修復不可能になる真実を。
次回新たな機体、そして真実~やっぱり貴女は最低な女ね~
感想で雪緒さんか?書かれたときドキッとしました。