束side
いっくんからTV電話を貰い内心いつもの楽しいお話かなと思っていたら例の金髪オスカルがハニトラを仕掛けてきたと聞いた瞬間私の中の何かが切れた。そしていっくんからある先生のところに密告メールが送られてきたらしいためそれを送った人物を調べてほしいと言われた。最初は嫌だったがいっくんが呼び捨てで私のことを呼んでくれたから心をキュンキュンさせながら調べ始めた。(因みにお腹から下もキュンキュンしていたとか)
そして調べた結果デュノア社社長が密告メールを送ったことが分かり恐らく金髪オスカルがハニトラを仕掛けると報告した時にすぐに密告のメールを作成して送ったんだろう。それだったら許してやるか。だが
「あんたの
そう言って私はあるところに電話した。
『もしもし、Dr.篠ノ之何か御用?』
「もしもしバラライカさん、少しお願いがあるんですがいいですか?」
そう私が掛けた先は元ソ連軍所属、第3次世界大戦も戦えるほどの武力を有するアフガン帰還兵であるバラライカさんだ。
『お願い?叶えられる範囲だったら別にいいわよ。』
「ありがとうございます。実はさっきいっくんから連絡がありまして、――――」
そして私はさっき貰ったいっくんの報告と私が調べたデュノア社社長の行為を伝えた。いっくんにハニトラを仕掛けてきたと聞いたバラライカさんから殺気が出ているのか電話越しでも分かりすごく怖かったよ~(泣)
『分かったわ。フランスにいる幹部に連絡してそいつらの処理をお願いしておくわ。彼だったら喜んでやってくれるはずだし。』
「彼?」
『フランス支部の頭でね、彼一夏のこと本当の孫みたいに可愛がってるのよ。だから今回の件を聞けば喜んで引き受けてくれるのよ。』
「な、なるほど。いっくんはいろんなところの重役と知り合いなんですね。」
『知り合いと言うより皆まるで孫や息子、弟みたいに思えてくるのよ。かくいう私もだがな。それじゃあ私は彼に電話をしないといけないから切るわね。それじゃあ。』
「はい、夜分遅く失礼いたしました。」
そう言って私は電話を切り、目の前にあるISの開発を続けた。
束side end
連絡を貰ったバラライカは早速フランスにいる幹部に連絡を取った。呼び出し音が鳴り数回後電話に男の声が聞こえる。
『もしもしバラライカか?お前から電話なんて久しぶりだな。』
「久しぶりねジョヴァンニ。今回あなたにお願いがあって電話したのよ。」
『お願い?』
ジョヴァンニはそう聞き返すとバラライカは束と話したことをジョヴァンニにも話すと電話越しでも分かるくらいの殺気が出ていた。
『ほぉ~う、つまりそのデュノア社の婦人とそれに賛同した社員、そしてこの件に関わっているフランス政府の役人を始末すればいいのか?』
「えぇ、一夏にハニトラを仕掛けて情報を引き出そうとしてきたらしいからな。だが社長の方はこの件に反対的で自分の娘を守ろうと学園に密告のメールを送っているらしいから社長の方は見逃して構わない。」
『分かった。我が孫に手を出したんだ、五体満足で済ませんぞデュノア社め。』
そう言いながらジョヴァンニは電話を切られ受話器を戻すと部屋に一緒にいたボリスが話しかけてきた。
「しかしまさかフランスの幹部が一個人のことで動くとは思いませんでした。」
「まぁ彼も一夏のことを実の孫みたいに可愛がっているからな。その孫にハニトラを仕掛けてきたとあれば黙っていられないだろ。」
そう言ってバラライカは椅子に深く座る。
「あとはあいつに任せておけばいいだろ。仕事はきちんとこなす奴だからな。」
その頃フランス支部のジョヴァンニは部下たちに命令を下して今回の件のデュノア社社長夫人と社員とフランス政府の役人の居所などを調べ上げていた。そして調べていく際デュノア社の夫人と社員が横領などをしてフランス政府の役人と結託していたことが分かったためそのことをマスコミにリークしてその混乱に乗じて処理することになった。ジョヴァンニはリークする前に変声機を使ってデュノア社社長に電話した。
『誰だ?』
「デュノア社社長ノアンソニー・デュノアダナ?」
『そうだが、貴様は誰だ?どうやってこの番号を?』
「時間ガ無イカラ手短ニハナス。IS学園ニカヨッテイル男子生徒ニハニトラヲスルヨウニ指示シタヤツラヲ排除スル。コチラノシジニシタガエバオマエハ見逃ガシテヤル。」
『な、なに?・・・・・・分かった。どうすればいい?』
「2日後オ前ノ会社ハ大騒ギガ起キル。ソノ日ハ1歩モ外ニ出ズニ家ニイロ。」
『わ、分かった。さ、騒ぎとは一体何なんだ?』
「ソレハ追々ワカル。デハナ。」
そう言ってジョヴァンニは電話を切り決行日を待つ。そして決行日当日マスコミ各所にデュノア社の横領の証拠が送られ一斉にデュノア社の前ではマスコミや報道陣が多く押し寄せた。そして裏口から逃げるようにデュノア社の社長夫人とそのとりまき達が車に乗り込んだ。
「なんで横領のことがばれたのよ!」
「わ、分かりません。厳重に管理していたのですが何処からか漏れていたのかもしれません。」
「この役立たずの屑どもが!兎に角山の上にある別荘に行って身を隠すわよ。暫くしたらほとぼりも冷めるはずだから。」
そしてデュノア社社長夫人ととりまき達が乗った車は山道を駆け上がって行き別荘に行く途中にある広い広場に出たところで急に車が止まりリムジンの後部座席の鍵がすべて掛けられた。
「ちょ、ちょっとなにをしているの!さっさと行きなさい!」
そう怒鳴るがスモークガラスのため運転席の様子が分からなかった。するとリムジンに備えられている電話が鳴る。夫人はそれをとり電話に出る。
『デュノア社社長夫人のメリル・デュノアだな?』
「だ、誰よあなた!」
『ボスからの伝言だ。孫に手を出したこと、地獄に行って詫びろ。だそうだ。じゃあな。』
そう言って電話が切れ車が動き出した。
「な、なによ今の電話。」
「ふ、夫人!この車崖に向かって走り始めてます!」
「な、なんですって!ちょっとどこに向かて走ってるのよ!」
夫人はそう叫びながらスモークガラスを叩くがまったく反応が無く、扉を開けて脱出しようとしたが鍵が掛けられていて開かなかった。
「な、なんで鍵が掛かってるのよ!あ、開きなさいよ!」
だがいくらドアノブを引っ張っても開くことなく車の前輪が崖に差し掛かる。
「い、いやーーー?!死にたくない!ここからだしてぇー!」
「お願い開けて?!」
「あぁぁ神様、どうかお許しを!」
だがそんな願いもかなうことなく車は崖から落ち、地面に激突した瞬間車から炎が立ち上り始めた。
その現場を近くで見ていた男は携帯を取り出し何処かに電話をしながら歩きだした。
「ボス、処理の方完了しました。」
『ご苦労。すぐに戻ってこい。』
「了解です。」
そう言って男は現場を後にした。
人物紹介
ジョヴァンニ
フランス支部を任されているホテルモスクワの幹部の一人。ある時旧知のバラライカに会いにロアナプラに訪れた際に一夏に会い、いつの間にか孫のように可愛がるようになった。(因み一夏がジョヴァンニのことをおじいちゃんと呼んだ瞬間にジョヴァンニの体に稲妻が走り、それ以降おじいちゃんと呼んでいいぞと許可したらしい。)
昔はソ連軍の情報将官だったという噂がある。
次回予告
朝のTVにデュノア社倒産と夫人とフランス政府の役人が事故死したニュースを見ながら朝食をとった一夏と鈴はいつも通り学業に励んだ。そして放課後鈴と共にアリーナに行くとまたしてもラウラがケンカを吹っ掛けてきた。
次回喧嘩再発~自分の飼い犬ならちゃんと首輪しておけよな~