【完結】東方袖引記 目指せコミュ障脱却!   作:月見肉団子

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お待たせ致しました。


お散歩だよ、袖引ちゃん

 さて、今回は小休止。日常的な事を一つ二つ。

 

 季節的には秋の空。寒風がやってきて冬の気配を感じるころでございます。この頃になりますと、秋の神様達がやれ塗り残しだ、やれ急ぎ過ぎただと騒がしくなってくる頃でございます。

 そんな中、私は我が家でゴロゴロしたり、お芋やら栗やらを探しにいったりと色々と忙しい。え? お店、も、もちろんやっておりますよ? 忙しかったり忙しくなかったり致しますが、何ぶん衣替えの季節。ここでかき入れねば、袖を濡らす事になるのは必定の定め。色々と頑張っております。

 

 

 私、韮塚 袖引 色々とやっております。

 

 

 ・壱 ごろごろ

 

 

 さて、秋と言えば読書の秋、食べ物の秋等々色んなものがございますが、私的には寒さの秋なのですよね。旧暦、現代風にいいますと、太陰太陽暦でしたっけ? 

 そんな小難しい言い回しをどなたかがしておられました。小難しい部分はともかく、秋は急激に気温が下がり、変化を肌に感じさせる季節でございます。

 ですので、そんな変化を誰よりも感じる私は、早め早めにと綿の買い付けに走ります。

 

 綿を買い付け、半纏を押入れから取り出し、もそもそと綿を詰めていきます。これはこれでなかなか乙なもの。ちょっと楽しくなり始めた辺りで作業は終わります。

 身辺を冬向けた仕様に変更するや否や、するりと袖通し、もぞもぞ布団へと戻っていきます。万年床にするつもりは一切ございませんが冬の間は見逃して頂きたいものです。

 私とて人型の妖怪。寒さは並みに感じ、寒すぎると風邪等々いろんなものに掛かってしまいます。そうすると医者にかからねばならなくなり、費用もかかります。そんな色んなものがぶら下がってししまうのであれば、初めから掛け布団を掛けて対策してしまった方が賢いはずです。

 

 最近これといった反省もなく、普通に寝具として使っておりますが、こんな布団もいつしか付喪神になるのでしょうか? そうしたら更にぬくぬく出来たり……いえ、流石にないですね。

 

 火鉢とかもそろそろ準備する頃。炭を妹紅さんのところに買い付けにいかねばとは思いますが、生憎、とろんと瞼が下りてきて眠気がむくむくと。疲れているのかな? と思いつつ眠気のしてやるがままに。

 結局奮起するものは誰もいない。そんな状況。ゆらゆらと揺れている様な感覚が続き、気がつけば夢の中。ぐっすりと寝ておりました。

 

 はっと、二度寝から覚醒致しますと、既に太陽がてっぺんに登り始める所。くぁ、とあくびをしつつ手足を伸ばす。

 さて、洗濯でも致しましょうか。

 

 

 ・弐 お掃除

 

 

「ふぅ……」

 

 すっ、と立ち上がりぱんぱんと、裾を払います。

 

「終わった?」

 

 そう声を掛けるのは博麗神社の巫女さん。今いるのは、博麗神社の裏手側。池があったり、合祀されている神様たちが列挙するその間。そこには小さな石碑がございます。

 その石碑には歴代の巫女が祀られておりました。忘れ去られた者たちが集う幻想郷において、名も無き彼女達の記憶を留める場所。そこの掃除をしつつ手を合わせていたのでした。

 

「物好きよね、あんた」

「……あの」

「何?」

「これは霊夢さんが掃除しろと……」

「そうね」

 

 まったく悪びれない霊夢さん。たまたま博麗神社に用があり、そこに向かったが運の尽き。宴会で多少騒いだことを引き合いに出され、嫌とも言えずに境内の掃除をする羽目に。霊夢さん曰く、立っている者は妖怪でも使え。とのことで、人使いの荒さがにじみ出ております。

 そんなこんなで、せっかくだからと手を合わせていたのでした。

 

「ね、袖引」

「はい?」

「……どこまで覚えてるの?」

「ちょっとだけですよ」

「あっそ」

 

 興味なさそうに、いつもの様子に戻る霊夢さん。そんな巫女さんにちょっと苦笑しつつ、掃除用具を片付けました。

 

「はい、おしまいです」

「はいはい、お疲れお疲れ」

「では、私はこれで」

「んー、ちょっとゆっくりしていきなさいな」

 

 そんな穏やかな口調とは裏腹に、襟首を掴まれてずるずると引きづられて行く私。どうやら拒否権とかないようで、なんだか笑ってしまいます。

 異変の時とかは比喩表現も無しに鬼のように怖い霊夢さんですが、普段ですとなんかこう、親しみやすいといいますか、何となく付いていってしまうんですよね。

 

 さて、引っ張られて社務所に到着。霊夢さんにお茶出して、と言われ、お湯を沸かしております。

 ……何かおかしい気がしますが、霊夢さんですし仕方ありません。

 

「はい、お待たせいたしました」

「遅いわねぇ」

「さんざんな言われようですねぇ」

 

 ことんことんとちゃぶ台に湯飲みを置いて、対面に座ります。緩慢な動作で湯飲みを取る霊夢さん。

 

「ちょっと。このお茶渋くない?」

「えぇ? 私、これ位が普通なのですが」

「見かけによらず、おばあちゃん味覚よね」

「まぁ、それなりに生きてますから」

「それなり、ね」

 

 すっと目を細めたり、こっちをちょっと観察してたりする幻想郷の守人。私の企みがバレてしまっているのかと動悸が早くなりますが、どうやらそういう様子でもない印象。噂の勘でしょうか? だとすれば凄まじい勘だと思ってしまいます。

 裁判の沙汰を待つ罪人の心持ちでございましたが、どうやら今回は見逃されたようで、いつものだらんとした霊夢さんに戻ります。

 

「まぁ、いいわ」

 

 ほっ、と息をつく私。そんな私に被せるように、霊夢さんは言葉を続けました。

 

「ただ、私が動いたら()()として倒すからね」

 

 ドキッとして振り向くと、そこには、一瞬だけ見せた幻想郷の守人の顔。たいして私は何も言えずにじっと霊夢さんの顔を見つめるばかり。

 返すように押し黙る私を見る霊夢さん。結局、彼女は真剣な顔つきなんて一瞬だけしか浮かべず、いつもの顔に戻り、言いました。

 

「袖引、そこの棚のおせんべい」

 

 そんな早変わりにまたもや苦笑してしまい、素直に従いつつもお昼が過ぎ去ろうとしておりました。

 

 

 

 ・参 きゃっちぼーる

 

 

 さて、博麗神社での一時も終わり、お外を歩いております。お昼はどこにしようかと考えていると、田んぼの端で子供たちが何かを投げ合って遊んでおりました。

 

 

「何をやっているのですか?」

「知らないの? 野ボールだよ、野ボール」

「そりゃっ」

「わっ!?」

 

 いきなり飛んで来る手のひらくらいの球。それを驚きつつも捕えます。普段から弾幕ごっこに興じているので余裕といえば余裕なのですが、いきなりはなかなか危ないもの。抗議の視線を送ろうと目を向けると、知った男の子がこちらを向いて笑っておりました。

 

「袖ちゃんもやるだろ? 野ボール」

 

 笑っていたのは、いつぞやの大市で櫛を下さった子。いたずらっぽそうな表情と、泥がちょっと跳ねた相貌が実に似合っています。楽しそうな表情を浮かべ誘ってくださったのに断るのも悪いなと思い、参加を決める私。

 

 やる事は非常に単純。ただボールと呼ばれている球を投げて、受け取るだけ。やり始める前は何が楽しいのかと少しばかり思いましたが、いざやってみるとこれが意外に面白いものでついつい耽ってしまいます。身体を動かすのはやっぱり心地よくて、子供たちと遊ぶのもまた楽しいものでございます。誰が言ったか運動の秋。寒くなり始めの季節には、とても良く似合う楽しい運動でございました。

 

 ちなみに、時折投げて来る意地悪な球を全て取っていると、だんだんと白熱し始め、あの子とほぼ一対一の投げ合いになったのは秘密でございます……

 

 さて、程よく身体を動かし、子供たちに別れを告げます。また来てねの言葉を受け取りつつもお昼ごはんを探しましょう。

 

 

 

 ・肆 お昼ごはん

 

 

 さて、お昼ごはんです。どういたしましょうか。……といった所で、自分の身なりに気づきます。先程、野ぼーるとやらをしたせいか、足袋は泥だらけ、裾も一部汚れております。

 そんな状態で、店内に入るのも心苦しいといったところ。さて、そんな状態で何を食べますかといいますと、立ち食い系を狙うのが世の理。

 

 さてさて、立ち食いといえば色々ございますが、印象的なのはやはりお寿司でしょうか? 隅田川のほとりに出店していらしたりとなかなか生活に根付いていたようなそうでないような。

 赤酢につけ込んだお米と、新鮮な貝やらお魚。ちょっと食べたい……ような。

 

 なんて、考えていたところに見かけるのは立ち食い蕎麦屋。ちょっと一瞬がっかりしましたが、だんだんと鰹の効いたつゆの匂いを嗅いでいる内にお蕎麦の気分に。ただお腹が減っていただけなのかもしれませんね。

 さてさて、思いついたら吉日。お蕎麦屋の暖簾をくぐります。匂いに誘われ、腹の虫を鳴らし、いざ注文。掛け蕎麦ではなんだか味気ないような気もするので、きつねも注文。……えへへ、今日は特別ですね。

 無愛想な店主さんから差し出される器を受け取り、蕎麦をたぐる。やっぱりお蕎麦、美味しいですね。

 

 さて、あらかた満足。店主さんに一言ごちそうさまでしたと告げますと、店主さんがこう返しました。

 

「お嬢ちゃん、親はどうしたよ?」

 

 そのおじさんにとっては何ともないような、そんな心配を孕んだ一言だったのでしょう。けど、私はびっくりしてしまって数秒返しが遅れます。

 それを無視ととったのか、また店主さんは振り返ってしまいました。

 

「まぁ、いいんだけどよ」

「……です」

「ん?」

 

 私の呟いた言葉に店主さんはこちらに顔を向ける。そんな店主さんに笑みを浮かべこう答えました。

 

「大丈夫です。私、大人ですから」

「あぁ、そうかい」

 

 にやりとする店主さん。それから、しっしと追い払うような仕草をしました。

 

「ほら、じゃあ行った行った。まいどありだ」

「えぇ、ごちそうさまでした」

 

 と、暖簾を再び潜ると、広がるのは秋の空。ちょっとだけ眩しいような気もして手をかざしてしまいます。さて、行きましょうか。

 

 と、てくてくと歩き出す私。

 

 ……後々、お会計を忘れた事に気づき、慌てて戻ったのは別のお話でございます。ちなみに、頑としてお代は受け取ってくれませんでした。

 

 

 ・伍 食べ歩き

 

 

 さて、秋と言えば食欲の秋。一旦着替えて、色々な店がひしめき合う通りに出てみれば、大判焼きにたい焼き、お茶所と色んな立ち寄りところが見えております。

 ちら、と街角を見遣ると、山の神社からいらした緑の巫女様が元気に演説もとい信者募集中。また連れ去られ、もとい邪魔しては悪いのでそそくさとその場所から遠ざかります。えぇ、彼女が嫌いということではありませんが、本日は人里を廻りたいんです。

 

 心のなかでごめんなさい、なんて声を掛けた後に向かうのはお団子屋さん。のぼりが立つその店の外見。それに一目惚れした私はのれんを潜る。しかし、生憎の満席。店員さんに相席でもいいでしょうか? と聞かれ、もちろんと答えると通されたのは、何やら桃色の髪のお客様の席。

 後ろ姿しか見ずに、相席すいません。と断ると、良いわよーともぐもぐしながらの答え。よいしょと座れば目の前に座るのは……頭にもお団子をくっつけた美人さん。

 どこかで見たことが……と思っていると、向こう様もこちらを見遣ります。すると、あら。と声を上げました。

 

「貴方、もしかして韮塚袖引?」

「はい?」

 

 いきなりの名指しに驚く私。何事かと顔を上げると、やっぱり知らないお顔。首を捻っていると向こう様が笑い掛ける。

 

「あぁ、ごめんなさい。知らないわよね。私は、茨木華扇。見ての通り仙人をやっているわ」

「仙人……見ての通り」

 

 確かに服装は中華風といいますか、仙人と言えば仙人なのですが、もっと違う気配というか似たような感じを想像していて違和感を感じてしまいます。

 というかよく見るとこの方、腕に包帯を巻いてますね。怪我でしょうか?

 

「あなたの名前は知人から聞いてるわ。なにしろ鬼に勝ったそうじゃない」

「はい?……あ、あれは違います! あれはまぐれといいますか、まさしく横やりが入ったといいますか……」

 

 まさかのあの弾幕ごっこの結果を真に受けているお方がいるとは思わず、一瞬固まり必死の弁明。あまりの慌てっぷりに向こうも笑っておられます。

 大声を上げてしまったこともあり注目を受ける私達。その恥ずかしさやら気恥ずかしさやらで、顔はもう茹でられたが如しでございます。お団子を食べるどころではなく縮こまっておりますと、違和感も何処かへと消えてしまいました。

 くすくすと笑っている仙人様に、顔を赤くしたまま話す私という変な構図が出来上がってしまいます。

 

 そんな始まりからお話を聞くと、霊夢さんやらの知り合いだそうで、魔理沙さんともたまに話すそう。思わぬ出会いと思わぬ話題に盛り上がってしまいます。害はないですし本当に話しやすい仙人様。強大な妖怪さん達とは大違いでございます。

 話弾み、食も進み気がつけばお茶に手が伸びる頃。互いに話は一段落。そろそろお互いがお暇を告げましょうといったところで、華扇さんが切り出します。

 

「美味しかったし、楽しかったわ。確か袖引は呉服屋をやってるんだっけ?」

「はい、今まさに書き入れ時でなかなか大変なのですよ」

「そう、じゃあ今度お邪魔させてもらうわ」

「えぇ、喜んでお待ちしてますね」

「私も妖怪の山が根城だからあそこで何かあったら呼んで頂戴。聞こえたら手助けくらいはしてあげる」

「妖怪の山……」

 

 その言葉で思い出す様々な出来事。誘拐、暴行……といい思い出がない所に咲いた一輪の癒しといった感じでしょうか。とにかく嬉しいお言葉。

 そんな感じで、二つ三つと言葉を交わし互いに店を出ました。いやはや、人里には色んな出会いがあるものですね。

 

 ……しかし、聞きそびれてしまいましたが、知人とはどなたなんでしょうね。華扇さんのことですし変な知り合いでは無いとは思いますが。

 振り向いても華扇さんの姿はもう消えていて、聞くに聞けぬ終わり方。まぁ、また今度機会があれば聞いてみましょうと心に決め、私も雑踏に紛れていきました。

 

 

 ・陸 夕暮れ空

 

 

 さて、人里を一周していたら、あっという間に時は夕暮れ。お空も暗くなっております。

 いやはや、一日はあっという間ですね。時間は待ってはくれないどころか、私を置き去りにしていくかの様。そろそろ行きましょうかと考えていると、見えてきたのは見慣れた赤髪さん。思わず口がにやりと吊り上がってしまいます。

 赤い髪こと蛮奇さんを見つけた私は、距離を詰めていきます。もちろん、気配は消して。

 

 そろりそろりと、近づいてぴったりと後ろに……

 

「バレてるわよ、袖引」

「わっ!?」

 

 振り向く蛮奇さん。赤髪が夕焼けに映えてとても綺麗です。バツが悪く、苦笑いをしつつご挨拶。

 

「バレちゃいました?」

「……そうね、結構前から」

「気配を隠すの自信があったんですが」

「私は鋭いのよ」

「むぅ、流石ですね……」

 

 ちょっとだけ蛮奇さんは私をじっと見て、そしてため息を吐く。

 

「飲みにでも行く?」

「行きます!」

「食いつきっぷり凄いわね……」

「他の方も誘います?」

「んー、そうね」

 

 首を傾ける蛮奇さん。あ、首は無いんでしたっけ。

 

「二人で飲みましょ。今日はそんな気分」

「分かりました、ではでは何処にいきましょうか」

「私行きつけの場所があるの。袖ちゃんも入れるような場所だからおいで」

「はいっ!」

 

 もはや慣れた関係。特に言葉を交わす必要もなく蛮奇さんの後をついていきます。

 

 ちらりと後ろを振り向くと、自身と蛮奇さんの長い影と、夕焼けに染まる街。人間も妖怪も、そして神すらもここに集まってきてしまう。そんな人が寄り添う所。

 

「──待ってよぉ、おかあさん!」

 

 不意にそんな声が聞こえ、声のした方にばっ、と目をやる。そこには早く歩き過ぎたのか、立ち止まる母親と笑いながら駆け寄る子供。どちらも笑っておられました。

 

 そんな姿に私は……どんな表情をしていたのでしょうね。おそらく笑っていたんだと思います。気がつけば立ち止まる時間も長引いて蛮奇さんに声を掛けられる始末。

 慌てて蛮奇さんの元へと走り寄りました。その親子へと二度目の視線を向けることはなく、少し足早に歩き出します。

 そんな私を気遣うことなく、のんびり歩く蛮奇さん。こっちだよと指示だけ下さいます。蛮奇さんも私も結局はひとり者同士の考え方をしており、蛮奇さんの対応が今は心地がいい。

 

 辿り着くころにはすっかり日も暮れて、私の気も落ち着きました。そんな様子を蛮奇さんが見て一言。

 

「じゃあ、飲もっか」

「はい」

 

 そんな感じで夜を明かしたのでした。

 

 結局、その日は深酒しすぎて蛮奇さんの家に泊まる事に。これがお持ち帰りというやつでしょうか? まぁ、なにもされてないと思いますが。そんな私を持ち帰った妖怪さん。寝て起きて覚めた朝の表情は、凄い面倒臭かったという顔と、一言。

 

「やっぱり二人で飲むのはやめとけば良かったわ」

 

 ずっぱり切られてしまったのは残念でしたが、そんな一日でございました。酔い過ぎて多少粗相をした覚えもございますが、気にしない。だってしばらくは我儘をすると決めましたから。

 

 

 さて、そんなこんなで本日といいますか、一日開けたお話はお仕舞いでございます。

 人も妖怪も、神すらも似たり寄ったりなお話でございました。

 

 さてさて、そろそろお開きの時間でございます。朝日が目に沁みますが、蛮奇さんの厄介になるばかりにも参りません。そろそろ家へと戻りましょう。

 

 そんなこんなで今回もお開き。

 

 ではでは、次回も()()続きお楽しみ下さる事を、願っております。

 

 

 

 

 

 

 ──もし……もしあの時、もしあの夕暮れの時間が少しでも長かったのなら、私は母親を探せたのでしょうか。

 

 もし、あの場所の時間が少しでも長かったのなら……私は。

 

 

 それは意味のないことで、けれど私には……




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