何故か東京で生活することになった~駆逐艦時雨の都会生活~ 作:Firefly1122
朝起きて、朝ごはんを準備する。今日の朝ごはんはごはん、目玉焼き、ウィンナー、味噌汁、トマト、レタスだ。今日は何をしようかと考えながら食事を済ませる。
1人暮らしをして1週間がたった。昼間は細川さんの手伝いをしたり、学校に向けて必要そうなものを準備したりして生活していた。
細川さんと話していていろんなことが分かった。
細川さんは旦那さんが亡くなってこのアパートを守ってきたそうだ。息子さんは東京のどこかでサラリーマンという仕事をしているらしい。たまにお孫さんを連れて様子を見に来てくれるから、一人でも寂しくないと語ってくれた。でも、ぼくは一人だと寂しいんじゃないかと思う。だから積極的に細川さんに会いに行っていた。
「今日から学校か……」
1週間がたって今日は滝川さんが学校に行けと言ってた日だ。ぼくはスマホとリュック、筆箱(筆箱の中にはシャープペンシル、消しゴム、シャープペンシルの芯の替えが入ってる)、細川さんからお駄賃としてもらった小銭と、同じくもらった小銭入れ、それから家のカギを持って外に出た。
「おばあちゃん、行ってくるね」
「はいよ、いってらっしゃい」
ぼくは細川さんに挨拶をする。ニコニコと微笑みながら手を振って見送ってくれた。
片手にスマホを持ち、場所を確認しながら学校へ向かう。確か滝川さんからの連絡では9時までに行けばいいと言っていた。今の時刻は7時。十分間に合うだろう。
スマホを見ていると、目の前に影が落ちる。ドンとぶつかり尻もちをつく。
「お前、大丈夫か?」
「あ、はい……って、あ!那智君」
ぶつかった相手は那智君だった。
「今日から学校にくるのか?」
「うん。学校ってどんなところかワクワクしてるんだ」
「はぁ?昔から学校通ってただろ?」
那智君は怪訝な顔をしてこちらを見る。
「え?一度も行ったことないけど……」
那智君ははぁ……とため息をつく。
「お前中学どこだ?」
「中学?」
キョトンとして那智君を見る。
「中学校だよ!中学校!」
なんだかイライラした様子で中学の意味を教えてくれた。でも、
「へぇ、学校って高校だけじゃないんだー」
学校って言葉だけしか知らないぼくには中学校って言われても別の種類の学校としかわからない。そういえば滝川さんはぼくの身長を見て高校だって言ってた。つまり、
「中学校ってぼくより背が低い人たちが入ったりするところかな?」
「まぁ……中学だしな。お前より背が低いガキがたくさんいてもおかしくないだろ」
「へぇ~」
ぼくは小さい子たちが学校でわいわい楽しんでる様子を思い浮かべる。すると、目の前にぼくの肩の位置に頭のてっぺんが来るくらいの小さい女の子が制服を来て歩いていた。
「じゃああの子は中学校ってところに行ってるの?」
その女の子を指さしながら那智君に聞く。
「はぁ?どう見ても高校生じゃねぇか」
ぼくはわからなくなった。
「どう見てもぼくより背が低いよね?」
「制服見たらわかるだろ。それにあいつ俺たちと同じクラスだぞ」
「クラス?」
クラスと聞いて駆逐艦、軽巡洋艦と区分けされていたのを思い出す。
「じゃあぼくたちってどの艦種?」
「艦種?何言ってんだ。2-3だろ」
「へぇ2-3かー」
「お前、バカだろ」
那智君はあきれたようにそう言う。
そうこうしているうちに学校に着いた。ぼくは校門で待っていた女の先生に連れられて、校長室に来た。
(校長……きっと偉い人だね。提督みたいな感じかな?)
「じゃあここで校章とかいろいろ渡すから、入ってね」
「はい……」
恐る恐る校長室に入る。そこには50代くらいのところどころ白髪が目立つ優しそうな男性の姿があった。ネクタイは上まで絞め、服はしっかりと着こなしていた。
「君が転校してきた時雨君だね。わたしは獅倉って言うんだ。よろしく」
「は、はい!よろしく……お願いします!獅倉提督!」
女の先生と獅倉提督はキョトンとしていた。
「提督?わたしは校長だよ。しっかりしたまえ」
笑顔でそう注意する。ぼくは自分が失敗したことに気付き顔まで真っ赤になる。
書類とか校章とか手帳とかいろいろもらって校長室を出る。
「失礼……しました」
完全に意気消沈していた。
「緊張してたんだよね。ほら、元気出して、次はクラスのみんなに挨拶よ」
先生はそうぼくを励ましてくれた。
クラスに着くと、先生は「時雨ちゃんは廊下で待っててね。呼んだら入ってきて」と言って教室に入って行った。
先生はガヤガヤと騒いでいた生徒たちを教室に入るだけでおとなしくさせた。先生ってすごいなぁと思った。
「今日はこのクラスに新しい仲間が入りました。時雨ちゃんです。みんな拍手」
パチパチという音に誘われるように教室に入る。
「はい、自己紹介」
「えっと……しらつ……じゃなかった。時雨です。今日からよろしくね」
先生はぼくの自己紹介に合わせて黒板に時雨と大きく書く。
「時雨ちゃんは事故か何かにあって記憶が一部ないそうです。最近退院して動けるようになったから、記憶が戻るまでこの学校で一緒に過ごすことになりました。仲良くしてあげてくださいね」
クラスの人たちは全員こちらを見てくる。
「じゃあ時雨ちゃんは窓側の一番後ろね」
「はい」
教室の窓側の一番奥にポツンと空いた机があった。ぼくの席はそこらしい。
そのまま朝のしょーとほーむるーむというものに入っていった。今日の行事予定と時間割を説明して終了。起立、気を付け、礼という号令とともにみんなが起立して姿勢を正し、頭を下げ、「ありがとうございました」とお礼を言う。ぼくは見様見真似でそれに続く。
朝のしょーとほーむるーむが終わると主に女の生徒がぼくに集まる。
「その制服どこの?かわいい!」やら「記憶がないんだよね?わたしたちがいろいろ教えてあげる!」やら「好きな食べ物は?好きな歌手は?好きな人とかいる?」などいろんな質問を一気にしてきた。ぼくは苦笑いしながらあははと声にならない笑いをするしかなかった。すると、そんな女の生徒をかき分け、まっすぐ伸びた金髪の髪をした。女の生徒が目の前にやってくる。
「ねぇ転校生?退院直後だからってみんなにやさしくしてもらえると思ったら大間違いよ?わかった?」
「え?あ、うん」
ぼくはそう返事をする。するとイラついたように机をバンと叩き、
「はいでしょ?敬語も使えないわけ?」
と言ってきた。
「え?でも同じ仲間だし……」
「この学校ではあなたより居る期間長いの。わかる?だからわたしはあなたの先輩なの」
「そうなんだ。わかったよ」
「わかりのいい子ね。じゃあ先輩の命令。購買でジュース買ってきて」
「でも……もう時間ないよ」
「命令なの。何も言わずに買ってきたらいいのよ」
ぼくは戸惑いながら周りを見る。遠目からこちらを気にしてる他の生徒はいたけど、誰も助けようとはしない。
「そのへんでやめておけよ」
そう静止を促す声が聞こえた。その声の方をぼくとぼくに命令してきた女の生徒、その取り巻きと思われる女子生徒が見る。声の主は私の隣の席で、顔を隠してうつむいていた。声からして那智君だろう。
「あんまりいろいろ突っかかってると、常識のないガキと思われるぞ」
「うっさいわね……わかったわよ」
ちょっと怖がった声でそういうとそそくさとその場から離れて行った。
「ありがとう。那智君」
先ほどは緊張とかいろいろしてたから気づかなかったけど、今さっき声を聞いて気づいた。
「災難だな。この学校には悪いやつらばかりだと思うなよ」
「うん。大丈夫」
そう言ってる間にキーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
君の名は。映画を見た後、小説買ってきました。面白かったです。Firefly1122です。
学校生活あと2ヶ月になった今、学校生活を書くってなんか変な気分ですね。時雨ちゃんが学校で楽しんでるのを見ながら、学校生活を思い返したいと思います。
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。