何故か東京で生活することになった~駆逐艦時雨の都会生活~ 作:Firefly1122
那智に話しかけるもひたすらさけられる時雨。那智に問いかけるも那智が隠す心の奥が見えてしまい、彼に避けられた、嫌われたことを知り、泣いてしまう。果たして、時雨は那智と仲を取り戻すことができるのか!
朝、ぼくはゆっくりと体を起こす。あの後どうやって帰ったのかよく覚えてない。夢も最悪だった。
『どうかしたのか?』
すでに起きていたほっぽちゃんに心配された。
「ううん。何でもないよ」
『昨日から変だぞ?夜もおばあちゃんに心配されたじゃないか』
そういえばそうだった。昨日の夜ほっぽちゃんを迎えにおばあちゃんの家に行って、おばあちゃんにどうかしたのかと聞かれた。何でもないと答えてほっぽちゃんを連れて部屋に帰ったんだ。ふと我に返り、時計を見る。時刻はいつもより遅い時間だ。
「もうこんな時間か……支度しないと」
『ご飯食べるのだ!』
「うん……」
ぼくはほっぽちゃんの分のご飯を作り、ほっぽちゃんが食べている間に学校の支度をする。
『時雨も食べるのだ!』
「ぼくは……いいよ」
と笑いかける。するとほっぽちゃんが朝ごはんの白米を口に突っ込んできた。
『おいしいだろ?』
「……うん。ありがとう。すこし分けてもらえるかな」
ほっぽちゃんのおかげで少し元気がでた。朝ごはんを少し分けてもらい、食欲を満たす。その後、ぼくは食器の片づけをして、ほっぽちゃんをおばあちゃんに預ける。
「昨日はどうしたの?元気なかったみたいだけど」
「うん。いろいろあってね。しっかり寝たからもう大丈夫」
「そうかい。無理はしないでね」
ぼくはおばあちゃんにありがとうとお礼を言い、学校に向かう。途中、那智君と会う。昨日のこともあり、話しかけるのが少し躊躇われた。ぼくは意を決して那智君に話しかける。
「おはよう」
「……ああ、おはよう」
それだけで少し気まずい気持ちになった。
「き、昨日は……ごめんな」
「う、うん」
共に顔を背け、歩く。と、突然那智君が前に吹き飛ぶ。後ろから彩人君が突き飛ばしたのだ。
「おい!何よそよそしくしてるんだよ!昨日身を引くから付き合えって言ったろ?」
「なんだよ。俺たちそんな関係じゃないって言っただろ!」
「時雨ちゃんはお前のことが好きなんだぞ?この鈍感!」
僕はとてつもなく恥ずかしくなった。自分の心の内側を見破られるってとても恥ずかしいんだ。
「時雨が?俺のことを?昨日時雨を泣かせちまったからな。嫌いになっただろ」
「時雨ちゃん、どうなんだ?那智のこと好きか?嫌いか?」
「え、えっと……」
僕が戸惑っていると、今度は彩人君が吹っ飛ぶ。
「ちょっと!時雨ちゃんを困らせないでよ!」
美也だった。その後ろから夏海と亜紀が来ていた。
「なんだよ美也!那智がそんな関係じゃないって言い張るから!」
「事実を言ってるだけだぞ」
「あはっ、あはは……」
その光景がにぎやかで、可笑しくて、ついつい笑ってしまった。一瞬みんなあっけにとられたように顔を見合わせていたけど、みんなつられて笑い始めた。その後、にぎやかに学校に向かった。
放課後、ぼくのスマホに着信が入った。誰だろうと思いスマホを見ると、長門さんだった。あの時にライン連絡先を教えていた。
『ちょっと話をしたい。ほっぽちゃんも連れてカフェに来れないか?』
僕はすぐさま返信する。
『今日放課後行きます』
すぐに返信が来た。
『わかった。待ってる』
僕は既読を付けて、スマホをポケットにしまう。
「ねえねえ、誰からメール?彼氏?」
「ううん。カフェのマスターだよ」
「へえ……え?カフェのマスターが時雨ちゃんの彼氏!?」
机に身を乗り出して聞いてくる美也。その美也の頭を軽くはたく夏海。
「そんなわけないでしょ!話をしてるうちに仲良くなったの?」
「うん。いろいろあって仲良くなった」
「そうなんだ。わたしたちも行っていい?」
「うんいいよ」
「じゃあ私も行く~」
亜紀もその話に食いついてくる。
「でも亜紀、部活は?」
「今日は休み~テスト期間に入るからね~」
「そっか。じゃあ行こうか」
ぼくたちは教室を出て、待ち合わせ場所を決めながら帰路につく。待ち合わせ場所は駅だ。それぞれ着替え等を済ませた後来るとのこと。ぼくはほっぽちゃんを迎えに行き、家で支度を済ませた。ほっぽちゃんも支度をする。おばあちゃんにはあらかじめ街に行くと言っておいた。
資源が心もとなさ過ぎて丙作戦クリアを覚悟しているFirefly1122です。
仲直りって素直に正面から行っても割と仲直りできないものですよね……というか正面から言うというのがちょっと勇気いりますよね。なので自然な流れで仲直りするという方向で書きました。
次回はいろいろと発覚する話ですね。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
最後に閲覧ありがとうございました。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。