何故か東京で生活することになった~駆逐艦時雨の都会生活~ 作:Firefly1122
土曜日で学校もなく、仲のいい大家さんも今日はいないということで暇をしていた時雨は、前日に行ったカフェにもう一度行くことにした。そこのマスターである長門と話をしているうちに、自分の話になる。果たして、時雨に似た人物とは一体誰なのか!
広くもなく、狭くもない安らげる空間にあるソファーに座った少女は、ぼくを見るといきなり、
「カエレ!」
と言った。
「おいおい棲姫ちゃん、いきなり何言ってるんだい。この子は君のことを知ってるかもしれないんだよ?」
真っ白な肌に真っ白な髪、赤く光るその目はぼくのことを敵視している。見た目はどこからどう見ても10代……いや、それ以下かもしれない。もちろんぼくも警戒し、その少女を凝視する。
「ワタシ、シンカイニカエル!」
「だから、深海には帰れないんだよ!危ないんだよ!」
「カエル!カエル!」
「はぁ、時雨ちゃん、この子のこと知ってるかい?」
無論、ぼくは頷く。その少女は北方棲姫。北の海のぼくたちの敵だ。見た目とは裏腹に、その力はぼくでは到底及ばない。まさか彼女がこの世界に来ているとは思わなかった。
「カエレ!カエレ!」
「ぼくだって帰りたいよ。ほっぽちゃん、君はどうやってここに来たんだい?」
ほっぽちゃんはカエレの連呼を止め、首を傾げる。どうやらわからないようだ。無理もない。ぼくだってわからない。
「棲姫ちゃんは公園に倒れていたんだ。怪我もないし、迷子になってるうちに寝ちゃったのだろうと思って預かってるんだが、何日経っても家族は愚か警察すら来やしない」
公園。ぼくが倒れていたのも公園。おそらく公園に何か秘密があるのかもしれない。
「長門さん。その公園に案内してもらっていいですか?」
突然何を言っているんだと言うような顔をして少し考える。
「わかった。店が閉まるのは21時だけどそれまで待てる?」
時計を見る。ヒトサンヨンロク。時間までまだまだある。
「それじゃあぼくはほっぽちゃんと話をしています」
「ああ、頼んだよ」
長門さんはこの部屋を後にした。
「ワタシハイマムボウビダ。ナニカスルンジャナイダロウナ!」
「何もしないよ。ぼくだって武装出せないし」
それだけで会話が終わる。静かな時間が一時訪れた。静かな時間を破戒したのはぼくだ。
「ここに来る前のこと何か覚えてないかな」
「フユウタチトアソンデタ。カクレンボデアソンデタ」
ぼくは一瞬考えた。フユウ、浮遊、浮遊要塞。ああ提督がたこ焼きと呼んでいる奴か。
「かくれんぼ?深海棲艦もかくれんぼするんだ」
「……ヤッパリカエレ」
「ああ、ごめん。深海棲艦のこと知らなくって」
「ワタシタチハシッテイルオマエタチカンムスノコト」
「例えば?」
「ワタシタチガアソンデイルトコロニノリコンデキテ、イッポウテキニナグッテカエッタトオモッタラマタクル。トクニナンセイノナカマガヨクヤラレル」
「あ、あはは……あれは提督の……」
提督という言葉を使うたびにかすめる提督の顔。真っ白な顔。思い出そうとしても思い出せない。それはきっとぼくたちは見たことがないからだ。でも会ったことはある。それはゲームシステムと言うものの影響だろう。
お仕事お仕事たのしいなぁ(白目)Firefly1122です。
はい、ということで現実の世界に来たという娘はみんな大好きほっぽちゃんでした。どうしてもほっぽちゃんは出したくてついw
これ書いてて思ったんですが、ほっぽちゃんの話し方たぶん見にくいと思うんです。それについてのコメントをしてくださると嬉しいです。次回どうするか考えますので。
最後に閲覧ありがとうございます。次回も見てくださる方は気長にお待ちください。