宮永咲が結婚したいと頑張るお話   作:通天閣スパイス

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京太郎視点の話。もうこの作品はこういう方向性でいこうと思う


二話

【来いよ】悩めるお前らの相談を解決するスレpart82【リア充】

 

 

 

 584 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 すいません、少し相談よろしいでしょうか

 

 

 585 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 うん?

 

 

 586 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 ふむ、どした

 

 

 587 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 >>584

 おう、乗ってやるから詳細はよ

 

 

 588 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 ありがとうございます。

 実はですね、仲の良い女友達が一人いまして。そいつは大人しくて気の弱い、カピパラみたいな小動物っぽい奴だったんです。

 中学からの同級生で、普通の友達以上には仲が良かったと自分では思ってます。一緒に登校したり、ご飯食べたり、学校帰りに遊びに行ってたりしてました。

 

 で、そんな奴が、数日前いきなり様子が変わったんですよ。

 なんか元気になったというか、前までの気弱な雰囲気じゃなくなって、色々と行動的になりました。

 きゃぴきゃぴしだした、というんでしょうか。話し方もハキハキしたものになりましたし、髪型を少し変えたり、前はしていなかった化粧を少しだけしたりとか、数日前の彼女では考え得られない違いです。

 とはいってもあまり派手な変化ではないんですが、些細でも俺には結構目についてしまいまして。

 これってつまり、どういうことなんでしょうか。悪い男に引っ掛かってるってことはないですよね?

 

 

 589 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 男ができたでFA

 

 

 590 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 男だな

 

 

 591 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 彼氏でもできたんじゃね?

 

 

 592 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 おい、お前ら相談乗ってやれよwwwwwww

 とりあえず質問なんだが、584とその女友達って学生?

 

 

 593 名前:584 投稿日:13/0X/XX

 

 >>592

 そうです。両方とも高校一年です

 

 

 594 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 仲が良いって言ってたけど、ぶっちゃけどのくらい? いつも一緒にいたりする?

 

 

 595 名前:584 投稿日:13/0X/XX

 

 >>594

 友達以上恋人未満の親友、といったところでしょうか。たまにお互いの家に遊びに行ったりするくらいには仲良しです

 

 別にいつも一緒にいるわけではないですかね。学校の行き帰りは大抵一緒ですが、休み時間や放課後は殆ど別々に過ごしてます

 

 

 596 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 なんか噂とかなかった?

 

 この前変な男に言い寄られてたとか、新しい友達ができたとか

 

 

 597 名前:584 投稿日:13/0X/XX

 

 >>596

 なかったですね。ほんとに急に、なんの予兆もなしに変わっちゃいました

 

 

 598 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 イス人と入れ替わったとかじゃね?

 

 

 599 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 神社の階段で誰かと転げあって入れ替わったとか?

 

 

 600 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 すこやんと麻雀を打って身体を乗っ取られたのに一票

 

 

 601 名前:Mr.名無しさん 投稿日:13/0X/XX

 

 おい、アドバイスしろよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――何やってるんですか、須賀くん」

 

 

 

 

 

「うわっちゃあああああああああああああーーーーーっ!?」

 

 

 

 ビクン、と。いきなり背中にかけられた声に、思わず変な驚き声をあげる。

 慌てて後ろを振り返ると、いつの間に来たのだろうか、和が可愛らしく首を傾げてこちらを見ていた。

 

 ここは麻雀部の部室であり、時間は学校の授業が終わったばかりの放課後である。

 部員の一人である俺は、授業が終わると同時に部室に直行。予め部長に借りておいた鍵で部室を開けて、早速部活の準備を――した後に。

 

 まだ誰も来ていないことをこれ幸いに、部室に設置してある一台のパソコンを起動。本来ならネット麻雀や牌譜の閲覧に用いるためのそれを使って、日本最大級の某掲示板へとアクセスした。

 言い訳させてもらえば、別に娯楽のために掲示板を開いたわけではない。

 ただ緊急の、個人的にはどうしても気になる疑問が最近出てきて、それを解決するためにネットの住民の力を借りようと思っただけなのだ。

 

 そのためにパソコンの画面に集中しすぎて、和が部室にやって来たことにも気づかず、つい驚いて先程の醜態を晒してしまったわけではあるが。

 とりあえず決して変なことはしていないのだと、愛らしい彼女に向けて必死の抗弁をした。

 

 

 

「だ、だからさ、ほら。俺は決して邪な気持ちでパソコンを使ってたわけじゃあ――――」

 

「……いえ、まあ、私は何も言いませんけどね。

 それで、須賀くんは何を相談していたんです?」

 

 

 

 半ばパニクりながら弁明している俺に、和は一つ溜め息を吐いて。気を取り直したように顔を上げると、パソコンデスク前のイスに座っている俺へと近づいてくる。

 慌てて画面に体を向け直した俺の背中から、こつ、こつという彼女の足音が妙にゆっくり聞こえてきて。数秒も数えないうちにそれが止まり、同時に彼女の存在感が俺のすぐ後ろに感じられるようになった。

 

 しかも、画面を覗き込むためだろう、彼女は立ち屈みになると同時に顔を画面に寄せ――それが俺の顔のすぐ近くに来たものだから、俺の胸は先とは別の意味で高鳴りだす。

 ふわり、と彼女の匂いが鼻腔の中を占める。頬と首筋に感じるくすぐったい感触は、彼女の髪の毛だろうか。

 無意識なのか、狙っているのか。彼女の真意は俺には分からないが、しかし、側で感じた和の感触はどうにも刺激の強いもので。

 

 

 

「……な、なあ、和。少し――」

 

「あ、これですね。えっと……この女友達が云々、ってやつですか?」

 

 

 

 頬を紅葉のように赤く染めながら、少し離れてくれと彼女に頼む前に。

 俺の方を越えるようにして手を伸ばし、マウスを弄って画面を操作していた彼女が、俺にそう尋ねてきた。

 

 

 

「え? あ、ああ、それそれ。中学からの同級生でさ、結構仲良いんだけど……知らない間になんかあったのか、様子がいきなり変わってさ。それを相談してるんだよ」

 

 

 

 俺の答えに、和は「ふうん」とだけ返して。身体を俺に近づけたまま、マウスをホイールしてスレッドを読み込んでいた。

 

 心なしか、さっきよりも距離が近づいている気がする。背中に少し重みを感じるようになって、柔らかい感触が背中の一部分で感じられた。

 この感触が何なのか、考えるだけでも恥ずかしい。胸の鼓動が早くなり、頬の熱が高くなってくるのが分かる。

 

 のどか。そう口にしようとしても、開いた唇から出てきたのは声にもならないただの掠れた音だった。

 胸が段々と焼けるように熱くなり、締め付けられるように苦しくなり。頭の中がグツグツと茹で上がり、思考が曖昧になりつつあった。

 

 ……ドキドキ、しているのだ。俺は。

 和に。

 

 

 

「…………女友達…………咲…………記憶…………」

 

 

 

 ぶつぶつと、和が何事かを呟いている。

 その内容は声が小さすぎて聞き取れやしないが、彼女が口を開く度に吐息が俺の右耳に当たって、どうにもこそばゆい気分になってきた。

 

 和は、可愛い。まごうことなき美少女であり、スタイルも性格も良い、まさに男の理想を体現したかのような女性である。

 クラスメイト達の話では男子にはかなりの人気があるようだが、誰かが彼女に告白したという噂はまだ聞かない。友人の言によると、なんでも高嶺の花のような、自分達とあまりにも違う雰囲気を持っているから近づきがたいそうだが……それは酷い誤解だ。

 

 和は普通の、ちょっと頭がよくて真面目なだけな、普通の女の子である。部活でいつも一緒で、よく麻雀を教えてもらっている俺には分かる。

 男を避けている節があるなんていう噂も、所詮は噂だ。こうして無防備に俺に身体を近づけている彼女の、どこが男嫌いだというのか。

 

 そう、可愛い。和は可愛い。

 ……可愛い、のである。本当に。

 

 

 

「――須賀くん」

 

 

 

 小さく、しかししっかりとした、鈴の鳴るような声。耳穴に染み込んでいくような彼女の声を聞いて、俺の胸の高鳴りが一段と強くなる。

 

 ……この状況を狙ってやっているとしたら、和は余程の策士だろう。

 身体を密着させて、自分の香りをこれでもかと味あわせて、思わず蕩けてしまいそうな声を耳元で囁く。最早これ以上ない、俺の好み一直線の熱烈アピールそのものだ。

 これを数ヵ月間毎日続けられれば、俺は簡単に骨抜きになってしまう自信がある。

 

 まあ、彼女が俺にそういう意味で接している等と考えるほど、俺も自惚れてはいない。

 俺が彼女に粉をかけたことはないし、ラブコメ的なハプニングが起きたことも、通りすがりにピンチを助けたこともなく。彼女が俺に惚れる要素なぞ、一つも心当たりがなかった。

 そもそも初対面での彼女の態度も“こう”であり、それからずっと変わらずこんな距離感で接してくることを考えれば、おそらくこれが彼女の普通の対応なのだろう。俺が特別だ、ということはあるまい。

 

 だから、俺がいくらドキドキしようが後で虚しくなるだけだ、と。

 そんな風に考えながら昂る気持ちを無理矢理抑え、振り返って視線を彼女の方へと向けた。

 

 

 

「……」

 

 

 

 ぷくり。そんな擬音が似合うくらいに、彼女は頬を膨らませていた。

 怒っているのだろうか、その眉は可愛らしさが感じられる範囲でひそめられている。むぅ、というこれまた可愛らしい声を口にして、彼女は俺にしっかりと視線を合わせながら言葉を続けた。

 

 

 

「須賀くん。……私は今、怒っています」

 

「……」

 

 

 

 それは、まあ。見たら分かる。

 

 

 

「貴方の友達が様子が変わったとか、そんなことを最初に相談する相手が違うと思います。こんなところじゃなく、もっと身近にいるでしょう。

 ダメです、ダメダメです。ダメダメ大魔王です」

 

「……へ?」

 

「……分かりませんか? まったく、もう――――」

 

 

 

 はぁ、と。彼女は一つ溜め息を吐いて、俺の手をとる。

 彼女の手の冷たい感触と、予想外でいきなりの直接的な接触に、俺の心臓の鼓動はさらにバクバクと動きを増して。え、と俺が驚きを口にする間もなく、両手で握った俺の右手を顎の高さまで持ってきた彼女は、上目遣いに俺を見つめた。

 

 

 

「――――――ッ!?」

 

 

 

 ドキン、と。さらに一回、大きな胸の高鳴りが――今度は襲ってきたと形容するのが正しいだろう、俺の胸を打った。

 

 和の髪は、絹のように綺麗だった。きちんと手入れされているのだろう、生糸のようにさらさらとしている。

 和の目は、宝石のように綺麗だった。青く透き通った目は綺羅星のような輝きを持っていて、ふとすると吸い込まれてしまいそうな引力がある。

 和の手は、西洋人形のように細やかだった。すらりとしていて、冷たくて、柔らかくて。あれで顔を触られれば、どんなに気持ち良いだろう。

 

 今まで深く気に留めなかった、留めないようにしていた、彼女の魅力のあちこちが暴力的に情報を送り込んでくる。

 やめろ、と理性が叫んでも、目の前の女に釘付けになっている本能は止まらない。彼女の魅力を、女性を、異性を少しでも味わおうと情報をかき集めていた。

 

 

 

「……須賀くん。私達、友達でしょう?

 何かあったなら、まず私に話してください。私じゃ頼りないかもしれませんけど、私なりに頑張って、須賀くんの役に立ちますから」

 

 

 

 彼女の言葉も、内容が頭に入ってこない。

 ただ綺麗な声だなぁとか、可愛いなぁとか、やっぱり胸が大きいなぁとか、そういうことばかりが脳内で渦巻いている。俺の今の頭は、彼女のことで一杯だった。

 

 

 

「――のど、か?」

 

 

 

 無意識に、彼女の名前を口にしていた。

 それを聞いた彼女は、こてん、とあどけない仕草で首を傾げて。その行為が堪らなく魅力的で、俺の喉が思わずごくりと音を上げる。

 

 目の前の、俺に無邪気に見つめている彼女の目から、視線を外せない。まるで見いられたように、彼女と見つめ合っている。

 彼女に、和に、触れてみたい――。俺はどうしても、そんな欲望を抑えきれず。

 半ば無意識に、ゆっくりと、俺は彼女の頬に向けて手を伸ばし――――

 

 

 

 

 

 

 

「おいーっす、優希ちゃんの登場だじぇーーーーーーーいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「うわっちゃあああああああああああああっ!?」

 

 

 

 突然の第三者の大声に、反射的に和から身体を離した。

 

 見ると、部室のドアを勢いよく開けた優希が、高いテンションで部屋の中へと入ってくるのが見える。

 俺と和のあれこれは見えていなかったのか、彼女は特に何の反応も示さずに、いつもと同じように雀卓の椅子へと腰掛けた。

 

 

 

「……い、いやぁ、遅かったじゃないかぁ優希! 今日は休むのかと思ったぞこのヤローっ!」

 

 

 

 俺はこれ幸いと優希に駆け寄り、先程までの空気を払拭しようと彼女に絡み始める。

 少しテンションがおかしくなったかと自分でも思ったが、彼女はそんな細かいところには気づかないのか、普段通りの反応を返してきて。

 

 

 

「ん? なんだ京太郎、優希ちゃんとちょっと離れただけでそんなに寂しかったのかー?

 よしよーし、まあ飼い主の務めだ。頭でも撫でてやるじぇ」

 

「誰が飼い主だよ、誰が。お前には逆に俺から頭を撫でてやろうー」

 

「え、わっ、うにゃっ!? やーめーろーよーっ!」

 

 

 

 いつも通りの馬鹿な掛け合いを、彼女と繰り広げ始めた。

 

 彼女の頭をわしわしと撫でながら、チラリと和の方を見る。

 彼女は少し呆然とした後、やがて我を取り戻し。溜め息を一つ吐いて、何事もなかったかのように自らの定位置であるベッドへと腰掛けた。

 

 

 

「……んー? 京太郎、のどちゃんがどうかしたか?」

 

「え? あ、いや……別に」

 

 

 

 まあ、彼女がそのように振る舞うなら、俺も先程をなかったことにしても大丈夫だろうか、と。

 俺はそんなことを考えながら、未だに残る頬の熱を何処かへ追いやるように、優希とのスキンシップをとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………チッ」

 

 

 

 さっき聞こえた舌打ちのような音は、俺の気のせいだろう。きっと。

 

 

 

 

 




やっぱ京和最高や!魔王なんていなかったんや!(テノヒラクルー

あ、この作品は京咲ですよ。念の為。
だが……思い出していただきたい………っ!我々は……カップリングの数を……明言していない、ということを……っ!


Q.おう、短編ってつけろよ

A.(更新して)すまんな

Q.続きは?

A.ベイスターズが優勝するまでにはなんとか

Q.で、京太郎の嫁って誰よ

A.戒能さん説を私は推したい

Q.和っちの先制攻撃だべ!

A.それに賛成だ!

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