問題児に紅茶、淹れてみました(休載)   作:ヘイ!タクシー!

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とりまがんばる

というか、話をする時いちいち地の文に名前ぶちこまないと駄目ですかね?

編集しました。
バニーガールって適当に書いてたけど全然バニーじゃねー


3話 自己紹介でした。

「貴女もそろそろ上がれば?」

 

 そう呼ばれ、彼女は顔を上げる。

 

(綺麗な銀髪ね。話に入ってこなかったぐらいだし外国人かしら?)

 

(大きい……)

 

(年は16.7ぐらいか?)

 

 上から、飛鳥、耀、十六夜の各々がエミヤを見て思考を巡らせた。

 そんな彼等を他所に、エミヤは飛鳥からの返事を返すために口を開いた。

 

「ふむ。そう…ですね?…だね?…かしら?」

 

「いや、私に語尾を聞かれても…ほらとりあえず手、貸すから上がっちゃいなさい」

 

 そう言うと飛鳥はエミヤに手を出す。エミヤはその手を取り湖から上がる。そんな彼女は陸に上がると、紅い外套と腰マントの水気を取るために布を絞る。

 

(やっぱり外国人?でも日本語は流暢だし…服装は見たことないのよねぇ。)

 

(……なんか変な服)

 

(コスプレか?いや、似合ってはいるとは思うけど)

 

 そんな服について失礼な感想を持たれていると。

 エミヤは水気を幾分か取り除けて満足したのか、絞る作業を止めた。そのまま目の前にいる飛鳥に視線を向ける。

 

「さっきはありがとう。そうだね……君たちは自己紹介をしていたのだろう?遅くなってしまったけれど私も混ぜてもらって構わないだろうか?」

 

「ええ、いいわよ。まず私の名前は久遠飛鳥よ。で、そこの猫を抱えてる人がーーーーー」

 

「……春日部耀。以下省略」

 

「次は俺だな。逆廻十六夜だ。よろしくだお姫様。」

 

「…………ん?お姫様?」

 

 エミヤがそれぞれの自己紹介を聞いていると、十六夜から無視できない呼び方を聞いて反応してしまった。

 

「ああ、なんか世間慣れしてなさそうな感じがそこのお嬢様と似てるからな。ただ、あんたはお嬢様ってより、ホンワカしてそうでお姫様ってのがしっくり来るからな。」

 

 ヤハハと、どこか軽薄そうに笑う十六夜。

 それを見た飛鳥は嫌そうに十六夜に目を向けた。

 

「あら、やっぱり野蛮人なのかしら?初対面でこうもズカズカ言うなんて、呼び方は別にしても決め方が最低ね。」

 

 フンと、高圧的な態度を崩さない飛鳥。

 

「(…なんか私だけ)……差別。」

 

 どこかズレた感じの声を呟く耀。

 そんな彼女たちを見張る者が、物影から彼女らを鋭く観察していた。

 

「(うわぁ……なんだか一癖も二癖もありそうな問題児ばかりみたいですねぇ……)」

 

 鋭く観察している。本人は鋭く観察してると思っている。

 

 ____________________

 

 会話に参加してからエミヤは重要なことに気づいていた。

 

(くっ、口調はどうすればいいんだッ。見た目が女性になったのだから、今までのようにはいかないだろうし………幸い、一人称は日頃から私だから問題ないにしても………と言うかホンワカしているとか…く、屈辱だ!)

 

 内心荒れるも、なんとか表情には出さない彼女。

 

「まあ、お姫様云々は置いておこう。私の名前はエミヤ・リン・トオサカ。気軽にエミヤとでも呼んで欲しい、かな?」

 

 あやふやだが、全力で妥協した女言葉を用いて、フレンドリーに接しようとするエミヤ。心なしか彼女の顔が引きつってるように見える。

 彼女が名乗ったのを聞いた十六夜がそれに反応する。

 

「ミドルネームって、お姫様はハーフなのか」

 

「………名前を教えたのだから、ちゃんと呼んでほしいのだけど……」

 

「ケチケチすんなよお姫様。まあ、そんな事は置いておいてだな。」

 

(置いておくのか………。こいつは飛鳥の言うとおり野蛮人というか、問題児と言うか………)

 

 エミヤが何となくだが早くも彼の特性を理解していると、十六夜はいい加減話を進めようと進言した。

 

「とりあえず、呼び出されたはいいけど何で誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「(全くです)」

 

 耀の言葉に便乗してこっそりツッコミを入れる青髪ウサ耳の少女。

 

「そんじゃ、そこでコソコソ隠れてるやつに聞こうぜ?」

 

「あら、貴方も気づいてたの?」

 

 ギクッ

 

「当然。かくれんぼは大の得意だぜ?」

 

「…風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「こう見えても、私は"眼が良い"のでね。あんなあから様に動かれたら、誰だってわかるさ。」

 

 ビクッビクッ!

 

 理不尽な招集(エミヤ:よくあることだ)を受けた十六夜・飛鳥・耀の三人は、殺気の籠った冷ややかな視線を隠れている青髪ウサ耳の少女に向ける。

 

 美しさと可愛さが合わさったような少女。赤いミニスカートと、黒いガーターソックスで美しい脚を扇情的に見せ、黒のベストのような服で、谷間を魅せるエロいボディ。

 そんなエロボデーを持つ少女は怯えながら、彼らの前に現れた。

 

「や、やだなあ御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んでしまいますよ?

 ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵で御座います。

 そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいで御座いますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「御断りします」

 

「君たちはもうちょっと穏便にできないのかい?ああ、私は怒ってないから安心して欲しい」

 

「あっは、取り付くシマもないですね、と思ったら優しい方がいた!」

 

 バンザーイ、と降参のポーズを取りながらも少し安堵する青髪ウサ耳の少女―――黒ウサギ。

 彼女は明るく接しながら、どこか冷たい眼で四人を値踏みする。

 

(あれは此方を見定めている目だな…。その奥に…不安が見えるのは何か事情でもあるのか?)

 

 その状況で、値踏みする視線に気付いたエミヤもまた、そんな彼女に対して考えを巡らせていた。

 

 

 


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