問題児に紅茶、淹れてみました(休載)   作:ヘイ!タクシー!

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ペスト編終わるのハェェ


25話 ハーメルンの街での闘いらしいですよ?

 運営本陣営、大広間。

 宮殿内に集められた参加者達。負傷者が多数いる中、"ノーネーム"一同も合流していた。

 

「十六夜さん、大丈夫でしたか!?」

「ああ。他の連中は?」

「……あまり良い状況ではないです。耀さんは意識を失い、飛鳥さんは行方不明…………」

「私も周囲一帯を探してみたんだけど、やっぱり飛鳥の姿は確認できかったよ……」

「そうか。お姫様でも見つからないか…………」

 

 考えられるのは捕まったか、殺されたか。前者はまだ助ければ良いのだが、後者の場合は最悪だ。一同は可能性に賭ける期待も込めて思考を切り替えた。

 ちょうどその時大広間の扉が開いた。入ってきたのはサンドラとマンドラ、それと無銘であった。

 サンドラは緊張した面持ちで参加者に告げる。

 

「今から魔王との審議決議に向かいます。同行者は4名。"箱庭の貴族"黒ウサギと、"サラマンドラ"からはマンドラ。この二人以外に"ハーメルンの笛吹き"に詳しい者がいるなら参加してほしい。誰か立候補する者はいませんか?」

 

 参加者の中でどよめきが広がる。

 名乗り出るものがいない中、十六夜はジンの首根っこを捕まえ高らかに名乗りを上げた。

 周りの者からまたどよめきが起こるも、そのまま会話は進む。

 結果、ジンと十六夜が二人と一緒に出ることになった。

 

 四人が出ていった後の大広間。

 

「おいおい……ノーネームが行ってホントに大丈夫かよ……」

「そもそも何で"サウザントアイズ"の無銘は参加しないんだ?」

「くそっ。こんなところで死にたくねーぞっ」

 

 周りがサンドラと無銘を遠巻きに見ていると、レティシアとエミヤは二人の前に出てきた。

 

「やあサンドラ。さっきも見たが、昔に比べて成長したな」

「レティシア様!お久し振りです。今回、魔王討伐に参加していただきありがとうございます」

「そんな畏まらないでくれ。君は今、フロアマスターなんだ。そんな態度では下の者に示しがつかないだろう?それに無銘が援護してくれたからな」

 

 そう言ってレティシアは隣でコソコソ話している二人に目を向けた。つられてサンドラもそちらを見る。

 

「お二人は………どう言った関係なんですか?そちらの方は見たことないのですが。」

「ああ、すまないね。はじめまして。私は無銘の剣を造った鍛冶師のエミヤ・リン・トオサカ。前線には出れないけど、後方支援なら任せて欲しい。」

「貴女が白夜叉様の言っていたエミヤ様ですね!貴女の剣の噂は耳にしています。此度のゲームでも我らの為にその剣の力を発揮して下されば……」

「まあ、使うのは私ではなくこの騎士だけどね」

 

 そう言ってエミヤは無銘に眼を向ける。それを受け止めた無銘は、サムズアップをエミヤに向けた。

 その金の籠手はとても輝いていた。

 

 ____________________

 

 

『ギフトゲーム名〝The PIED PIPER of HAMELIN〟

 

 ・プレイヤー一覧

  ・現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ(〝箱庭の貴族〟を含む)。

 

 ・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

  ・太陽の運行者・星霊 白夜叉(現在非参戦の為、中断時の接触禁止)。

 

 ・プレイヤー側・禁止事項

  ・自決及び同士討ちによる討ち死に。

  ・休止期間中にゲームテリトリー(舞台区画)からの脱出を禁ず。

  ・休止期間の自由行動範囲は、大祭本陣営より500m四方に限る。

 ・ホストマスター側 勝利条件

  ・全プレイヤーの屈服・及び殺害。

  ・八日後の時間制限を迎えると無条件勝利。

 

 ・プレイヤー一覧 勝利条件

  一、ゲームマスターを打倒。

  二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

 ・休止期間

  ・一週間を、相互不可侵の時間として設ける。

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 〝グリムグリモワール・ハーメルン〟印』

 

 

 日が暮れて、エミヤが宛がわれた自室にいると、

 

(エミヤァァーーー…………凄く暇なのだが)

(…………これは接触の内に入らないよね?)

(入らんさ。これは心の繋がりを通しているだけだからな。そんなことより…………戦況はどうだ?)

 

 白夜叉がとっても暇そうな念話を送ってきた。

 白夜叉はどこか真面目な態度になり、エミヤに状況を聞く。

 

(………あまり良いとは言えないけど………最悪の一歩手前と、言ったところかな。まだわからないが黒死病のこともある。これでどれだけの主力が当日動けるか………)

(そうか…………………エミヤ。おんしのギフトは魔力を使うのだったよな)

(そうだよ。私のギフトの根底と言っても良い)

 

 エミヤが答えると白夜叉は覚悟を決めた雰囲気で彼女に告げた。

 

(今からおんしとの接続を強める。これで私の魔力は常におんしに行くことになる。それで今回の件を納めてくれんか?)

(それは………いいの?私は"サウザントアイズ"の客分になったとは言え、所詮、部外者だよ?)

(今回は私に責がある。相手を甘くみていた私への戒めだ。それに、階層支配者として魔王からなんとしても守らなければならないからの。一分でも為になってくれれば私はそれで良い)

(でも………)

(それに友であるおんしが、少しでも生存する可能性を私は選びたい。私はおんしに生きてほしい)

(…………そっか……フフっ。……そういうところが好きだよ白夜叉)

(むぅぅ……………おんしは私をからかいたいのか?)

(いやいや。正直な気持ちを言っただけだよ)

(……………拘束されたこの身が憎いっ!抱きつきたい!やはり嫁になれエミヤ!!)

(じゃあ切るね。魔力のことお願いね)

(え、ここで切るのかおんーーーーー)

 

 エミヤは会話を切った。

 

 ____________________

 

 交渉から四日。

 暁の麓。美術展、出展会場・大空洞。魔王本陣営。

 ペスト、ラッテン、ヴェーザーの三人は展覧会場に居座り、その展示物を鑑賞していた。

 

「ああ、いいわぁ。流石はフロアマスターの誕生祭だけあって、造り手の気合いが違うわねぇ。特にこの"ウィル・オ・ウィスプ"製作の燭台!悪魔の蒼炎をあえて銀の燭台に刻む挑戦的な姿勢!この職人に"クリムグリモワール・ハーメルン"の旗印を刻ませたい!」

「そりゃ無理だ。それを造ったのはジャック・オー・ランタンだろ?あいつは参加者じゃねーからな。………おいおい、これ見てみろよ!この剣!」

 

 ヴェーザーは素っ気ない声でラッテンを相手していたが、飾られた轟々と燃え盛る剣を見て声を上げた。

 

「どーしたのよヴェーザー?………わあ、この迫力はすごいわねぇ。なになに?銘は………レーヴァテイン!?な、なんでこんな下層にこんな神器が置いてあるのよ!?」

「いや、多分レプリカだとは思うが………わからねぇな。神格付きの剣ということはわかっているんだが」

 

 二人が話しているところを見ていたペストも、思い出したように呟いた。

 

「………そう言えば私が相手をした吸血鬼も、かなりの名剣で私のギフトを切り裂いたわ」

「製作者は『無銘』………あの騎士か……」

「へぇ………」

 

 ペストはあの時の光景を思い出したのだろう。恍惚な笑みで言った。

 

「フフフッ………楽しみだわ。この戦いで全てを手にいれたら、どんな気分なのかしらね」

 

 ペストは不気味に微笑んでいた。

 

 ____________________

 

 ゲーム当日

 

 大広間にて参加者が集まる中、サンドラは彼らの前に出てゲームの方針を宣言した。

 

「今回のゲームの行動方針が決まりました。動ける参加者にはそれぞれ重要な役割を果たしていただきます。ご静聴ください………マンドラ兄様。お願いします」

 

 サンドラが促すと、傍に控えていたマンドラは軍服を正し、読み上げた。

 

 

「其の一。三体の悪魔は〝サラマンドラ〟とジン=ラッセル率いる〝ノーネーム〟、それと"サウザントアイズ"の無銘が戦う。

 其の二。その他の者は、各所に配置された一三〇枚のステンドグラスの捜索。

 其の三。発見した者は指揮者に指示を仰ぎ、ルールに従って破壊、もしくは保護すること」

「ありがとうございます。―――以上が、参加者側の方針です。魔王とのラストゲーム、気を引き締めて戦いに臨んで下さい」

 

 おおと雄叫びが上がる。クリアに向けて明確な方針が出来た事で士気が上がったのだろう。

 魔王のゲームに勝つため、参加者は一斉に行動を開始する。

 

 __________

 

「マスターマスター。どうやら連中、私達の謎を解いちゃったそうですよー?」

「チッ。ギリギリまで最後の謎は解かれないだろうと踏んでいたんだがな」

 

 ラッテンは配下のネズミに情報収集させ、ヴェーザーは黒い短髪を掻き上げ愚痴る。

 ペストは立ち上がり、後ろで両手を組む。

 

「………構わないわ。最悪の場合は皆殺しにすればいいだけよ」

 

 悠々としたその姿勢のままヴェーザーとラッテンに振り返り、

 

「―――ハーメルンの魔書を起動するわ。謎を解かれた以上、温存する理由はないもの」

 

 ペストの言葉に、ラッテンとヴェーザーは凶悪な笑みを浮かべて立ち上がる。

 

「ふふ~ん。いよいよもって盛り上がってきましたねーマスター♪」

「おい、油断するなよラッテン。参加者側には〝箱庭の貴族〟もいる」

「………やっぱり凄いの?〝月の兎〟って」

「ああ。一度戦っているところを見たが、並みの神仏じゃ歯が立たん。アレは正真正銘、最強種の眷属だ。授けられているギフトの数が違う。俺やお前じゃ、とても抑えられんだろうな」

 

 苦い顔で呟くヴェーザーとラッテン。

 そんな二人に、ペストは微かに笑い掛けた。

 

「そっ。なら魔書の他に、もう一つ策を設けるわ」

「策?」

 

 ペストは悠然と歩み寄り、綺麗な指先を伸ばしてヴェーザーの額に押し付ける。

 

「ヴェーザー。貴方に神格を与えるわ。開幕と同時に、魔王の恐怖を教えてあげなさい」

 

 __________

 

「なっ………何処だ此処は!?」

 

 参加者の誰かが、驚愕の声を上げた。

 見渡せば数多の尖塔群のアーチは劇的に変化し、木造の街並みに姿を変えている。

 黄昏時を彷彿させるペンダントランプの煌めきは無くなり、パステルカラーの建築物が一帯を造り変えている。 

 境界壁の麓は全く別の街へと変貌していた。

 ステンドグラスの捜索側に回っていたジンは、蒼白になりながら叫ぶ。

 

「まさか、ハーメルンの魔道書の力…………ならこの舞台は、ハーメルンの街!?」

「何ッ!?」

 

 マンドラがその声に振り返る。その間も混乱は広がりをみせ、士気高く飛び出した参加者達は余りの劇的な変化に出鼻を挫かれたように足を止めた。

 

「こ、ここは一体!?」

「それに今の地鳴りは!?」

「まさか魔王の仕掛けた罠か!?」

 

 ザワザワと動揺が感染していく。マンドラはチッ、と舌打ちしながらも一喝する。

 

「うろたえるな!各人、振り分けられたステンドグラスの確保に急げ!」

「し、しかしマンドラ様!地の利も無く、ステンドグラスの配置もどうなっているか分からないままでは、」

「安心しろ!案内役ならば此処にいる!」

 

 ガシッ!とマンドラがジンの肩を持つ。

 

「え?」

「知りうる限りで構わん。参加者に状況を説明しろ」

「け、けど、僕も詳しいわけでは、」

「だから知りうる限りで構わんと言っているだろうがッ。貴様が多少なりとも情報を持っている事は既に知れ渡っている。お前の言葉ならば信用する者もいるだろう。とにかく動きださねば、二十四時間などすぐに過ぎ去るぞ!」

 

 ぐっとジンも反論を呑み込む。十六夜なら………と捜すが彼は此処にはいない。時間も決められているから悠長にしている暇はない。

 ジンは意を決したように捜索隊の前に立つ。

 

「ま、まずは………教会を捜して下さい!ハーメルンの街を舞台にしたゲーム盤なら、縁のある場所にステンドグラスが隠されているはず。〝偽りの伝承〟か〝真実の伝承〟かは、発見した後に指示を仰いでください!」

 

 ジンの一声で捜索隊が一斉に動き始めるのだった。

 

 

「へえ………?地精寄りの悪魔とは思っていたが、地殻変動そのものを引き起こすとは恐れ入った。そんな地力があったなんてな。それにこの街の建築様式………ハッ、なるほど。ゴシック調の街からルネサンス調に変われば、そりゃ仕込んだ種も割れるって話だ」

 

 街中で一番大きな建物に登り、一帯を見回す。

 ハーメルンの伝承に基づいた場所だけは精巧に造り出されていた。

 

「街道は結構滅茶苦茶だが………あそこにあるのがマルクト教会に、ブンゲローゼン通りかな。押さえるところは押さえているって訳か。さて、どっちから向かうべきか―――」

「―――その前に、決着と行こうぜ坊主ッ!!」

 

 一喝、十六夜の足場にしていた家が真下から吹き飛んだ。

 建築物の地盤ごと砕かれ、木造の建築は跡形も無く粉砕する。

 声に反応した十六夜は反射的に上空へ跳び退いたが、追い打ちをかける様に地面から飛び出したヴェーザーに顔を掴まれる。

 

「テメェ………!」

「前回のお返しだ!先手は譲ってもらうぞッ!!」

 

 棍に似た巨大な笛で、十六夜の腹部を強打する。

 先日とは比べ物にならない巨大な力が宿った一撃は、超振動のように十六夜の身体に浸透し、十六夜はハーメルンの街に流れるヴェーザー河の水面を何度も弾いて、対岸に叩き付けられる。

 ペッ、と血反吐を吐き捨てて十六夜は立ち上がり、口元を拭いながら睨んだ。

 

「………やるじゃねえか。今のは相当効いたぞ」

「当たり前だ。前回と同じと思って油断なんかすんじゃねえぞ坊主。こっちは召喚されて以来、初めての神格を得たんだ。簡単に終わったら興ざめするってもんだ」

「何?」

 

 十六夜が訝しげにヴェーザーを睨むと、ヴェーザーはクックッと牙を剥いて笑って棍を横一閃に薙ぐ。

 すると大地は地鳴りを始め、震動を起こし始めた。

 

「ああ、そうだ。これが〝神格〟を得た悪魔の力……!クク、とんでもねえぜ坊主!一三〇人ぽっちの死の功績なんざ比較にならねえ!今の俺は、星の地殻そのものに匹敵する!」

 

 更に横一閃。星の地殻変動に比するという衝撃は大気を伝達し、ヴェーザー河を叩き割って氾濫させ、河の流れさえも逆流し、隣接する建造物を軒並み粉々に打ち砕いた。

 目に見えて立ち昇るヴェーザーの力に、十六夜は不敵な笑みを零す。

 

「………ハッ、なんだよ。少し楽しめればそれでいいと思っていたのに、随分と俺好みなバージョンアップをしてきたじゃねえか。嬉しいぜ、本物の"ハーメルンの笛吹き"」

「謎を解いたのはやはりお前か、坊主」

「ああ。だけど土壇場まで騙されてた。お前以外のメンバー全員は偽物。十四世紀以後の黒死病の大流行と共に後付けされた、一五〇〇年代以降のハーメルンの笛吹きの伝承だったのさ」

 

 

 

(一二八四年 ヨハネとパウロの日 六月二六日

 あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三〇人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され、丘の近くの処刑場で姿を消した。それがハーメルンの伝承の真実と十六夜は言ってたの。)

(ふーーん)

 

(本来の伝承と碑文には、()()()()()()()()()()()()()()()()()らしいよ。そして、ハーメルンの笛吹きにネズミとネズミを操る道化師が現れるのは、黒死病の最盛期である一五〇〇年代からの事。

 本来の真実から離れた時代で起こったことらしいのさ。

 グリム童話の魔書に描かれてる、伝承とは異なる童話の悪魔。それが〝ネズミ捕りの道化〟と呼ばれる偽のハーメルンの笛吹きだね)

(つまりネズミ使いの人が偽物ってことが成立するんだね)

 

(そして、ハーメルンの笛吹きの考察に黒死病が現れたのは、斑模様であること以上に、()()()()()()()()()()だった。これを加味すればペストも真実から後に出てきた偽物ということだね)

(残り一つだね)

 

("シュトロム"。つまり嵐。これは本物かと見せかけてフェイク。何故かというと、碑文の"丘の近くで姿を消した"の一文の"丘"はヴェーザー河に繋がる丘を指すのだと十六夜が言っていた。

 "丘"は天災で子供達が亡くなった象徴とされる事で、シュトロムもまた、ヴェーザー河の存在を指す事になる)

 

(じゃあ意味が被ってる"シュトロム"なんてハーメルンにはいないってこと?)

(時と場合によるのだと思うよ。今回はヴェーザーがいる分、いない場合と言うことになるね)

 

 

『そして、君はハーメルンとは別の存在である黒死病の魔王、と言うのが私達の推論なんだけど………当たっているかな?』

「………もうそこまで気がついたのね。やはり貴女達は欲しい手駒だわ」

 

 場所は変わって対峙するペストと、無銘、黒ウサギ、サンドラはハーメルンの街の屋根上にて縦横無尽に飛び回っていた。

 轟く雷鳴を響かせた黒ウサギの"疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)"が放つ轟雷がペストを左から襲い、右からはサンドラの"龍角"が放つ紅蓮の炎が襲う。

 黒い風の球体を纏っているペストは、二つの奔流を余裕で遮断する。

 

「貴女達も飽きないわね。そこの騎士を見習えば?徒労なのに無駄なことを………」

 

 ペストは四本の黒い竜巻を起こしサンドラに飛ばす。無銘は彼女の前に出て、輝く剣で切り飛ばした。

 先程から何度も行われている光景が続いていた。

 

「ねえ、そこの騎士さん。もっとお喋りしましょうよ。私、退屈になってきたわ」

「このっ………ふざけた事を抜かすなっ!」

「神格級のギフトで二つ同時に攻撃してもびくともしないなんて………」

『それだけじゃないよ黒ウサギ君。私の剣で風ごと本体を切ってもすぐ回復していた………」

「………そうですね。やはり彼女は………」

 

 サンドラは変わらない状況に焦り始め、黒ウサギと無銘は戦況を冷静に観察していた。

 

「………"黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)"。貴女の正体は神霊の類いですね?」

「えっ?」

「そうよ」

『やっぱりね』

「えっ!?」

 

 三人のやり取りに付いていけないサンドラ。

 

『君は最初から神性を帯びていたからね。だからハーメルンとは別の黒死病であることも検討は付いていた』

「つまり貴女は14世紀から17世紀に吹き荒れた黒死病の死者ーーーーー8000万の死者の功績を持つ悪魔ですね」

 

 




間に合ったっすね。
これからは文字数減らしていくかも。といっても今回も7000文字だけどね!

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