てか補充分無くなった。調子に乗って文字数増やしてたらプロローグの3倍なんだけど
「やっぱり
そう言ってエミヤは次々と剣を投影しては弓につがえ放つ。
(ヤー君のその手どーなってんの?なんか気持ち悪いことになってるよ?)
(ちょっと黙ってて)
エミヤは最初に放った剣よりランクを上げた宝具を放つ。
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「くそがぁぁぁぁ!!!」
夥しい量の剣が十六夜に迫る。十六夜は走って避けようとするも、まるで此方を追尾してくるかの如く十六夜の体に到達しては爆発する。
「お姫様やりすぎだろ!どんだけハッスルしてんだ!」
(しかもこれだけの量を射てんのに百発百中とか、少し頭おかしいだろ!)
十六夜は爆発に吹っ飛ばされないよう、踏ん張りながら黒ウサギを追う。が、迎撃しようとした瞬間に爆発されるので、腕が学ランの袖もろともボロボロ。ダメージの蓄積が十六夜の重石となる。
「おいコラ黒ウサギ!!これはズルくねーか!!?」
十六夜はたまらず声をあげ、なんとか黒ウサギについていく。
「く、黒ウサギも流石にこれは想定外なので御座いますよ!!忠告しようにも遠すぎてどうしようも…………この場合、事情の知らない第三者の介入は、この場の環境の問題となりますので問題ありません!!」
「くそっ!確かに環境云々に文句は言えんがこれはハンデありすぎだ!!」
黒ウサギと十六夜は爆発音に負けないよう声を張り上げる。
ドドドドドドドドッ!!!!!という音と共に爆発が十六夜の周りで起こり、ボロボロになっていく十六夜。それを見た黒ウサギは内心思う。
(エミヤ様…………いきなりのコミュニティ抜ける発言に相当キレてるのですか!?)
(どんどんやっちゃえヤー君!そこだー!!いけえー!!芸術は爆発だー!!)
(ええ!どんどんやっちゃうよ!!)
アルゴルに後押しされてハイになっているエミヤ。一応周りに被害が出ないよう宝具のランクを押さえているが、
バババババババッ!!!と音が付きそうな程、剣がどんどん発射されていた。
この光景を見ていた白夜叉と耀はと言うと。
「………いや、街に被害がなければ良いのだが……」
「あ、危なかった…………」
白夜叉は双眼鏡で、耀は鷹の目で十六夜の状況を確認して、その光景に圧倒されていた。
迎撃しようにも爆発し、避けようにも剣が予知したかのように十六夜を貫こうと翔んでくる。どうしようもなかった。
元凶は、今日中に捕まえなければ脱退する宣言した彼らだが、この光景は少し同情を誘う。
「中々持ちこたえるね十六夜。流石にこれ以上宝具のランクを上げるのは、周りに被害が出るからね………どうしたものか」
そう言ってエミヤは剣を投影するのを止めた。
(ええー?もう終わり?)
(いや、まだだよ?幻滅する前にコレを見てから言ってね。)
そうアルゴルと会話した彼女は、腕に魔力を溜める。
「I am the bone of my sword.」
(なかなかに辛いが、なんとか持ちこたえられる!あとはお姫様にひいて油断してる黒ウサギを取っ捕まえれば……!)
そう十六夜が考えていると、爆撃が止まった。
「………なんだ?」
十六夜が走りながら訝しんでいると、今までとは異なる程の速さで此方に飛来する黒く所々反しがついたような剣に、十六夜は迎撃の拳を放った。予想以上の衝撃に拳が弾かれるも、先に疑問がでる。
(爆発しない?)
そのまま剣は彼の後方に弾き飛ばされた。
「なんだお姫様、とうとう弾切れか?なら今の内に黒ウサギをッグぅぁ!」
突如、十六夜の背中に衝撃が襲う。
彼は屋根から地面に向かって吹き飛ばされ、路上に三メートル程のクレーターを作った。
「ゴハァッ!!」
剣は切っ先が丸くなっていたため、刺さってはいなかったものの、混乱している十六夜を少し留めておくには十分だった。
彼の背後から弾かれた剣が迫るのを見ていた黒ウサギは、先回りして地面に寝っ転がっている十六夜を捕まえた。
『『勝敗結果:黒ウサギ 勝利。〝契約書類〟は以降、命令権として使用可能です』』
「………………」
「………………」
後に残ったのは無言の二人と、十六夜が走る度に踏み抜いたボロボロの屋根、十六夜が作ったクレーターの被害であった。
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騒ぎを聞き付けた、この地を警備しているだろう集団ーーーーーーーー炎の龍紋を掲げ、蜥蜴の鱗を肌に持つ者達。北側の"階層支配者""サラマンドラ"のコミュニティーーーーーーーーがクレーターの周りを囲んだ。
黒ウサギが逃げていただけのため、十六夜のみ黒ウサギストーカーのレッテルを貼られて連行されていった。
「終わったかの?」
「ああ……白夜叉。さっきぶりだね。」
「もっと前からいたぞ…………全く、おんしはアレだな。敵に回したくない相手だ。小僧がかなり不憫だったぞ」
「………まあ、私も少しやり過ぎたと思う。後で謝っておくよ」
「そうしておけ。…………さて、さっき春日部耀の小娘にも言ったが、おんしも創作ギフト持ちだからの。この祭を盛り上げるために、このギフトに出て欲しいのだがどうだ?」
そう言って白夜叉はチラシを着物の袖から取り出してエミヤに見せた。
『ギフトゲーム名"造物主達の決闘"
・参加資格、及び概要
・参加者は創作系のギフトを所持。
・サポートとして、一名までの同伴を許可。
・決闘内容はその都度変化。
・ギフト保持者は創作系のギフト以外の使用を一部禁ず。
・授与される恩恵に関して
・"階層支配者"の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印
"サラマンドラ"印』
「ふーーん………………これに私か、耀がどちらかのサポートに回って出場して欲しいと言うことかな?」
「いや、小娘は1人で出ると言っててな。おんしは"サウザンドアイズ"の客分として出て欲しいのだ。」
「…………なんで?」
「おんしの剣が中々に評判でな。"サウザンドアイズ"贔屓の鍛治師として唾を付けておきたいのが一つ。それと、おんし作の剣に箔をつけるのが理由かの」
「…………私も君経由で"サウザンドアイズ"に高めの額で卸させて貰っているから文句は言えないけど、少し強引過ぎじゃないかな?」
「すまんの…………これはコミュニティの幹部総意によるものでな。神格付与の鍛治師は確保しておきたいんじゃよ。その代わりと言ってはなんだが、客人となれば"サウザンドアイズ"は"ノーネーム"にはある程度の贔屓と、おんしの要望を可能な限り受け付けていく方針だ」
「……………随分と此方に利がありすぎないかな?逆に怖いのだけど………」
「それ程おんしのギフトが異彩なのだろうよ。正直言うと、コミュニティに抱え込みたいぐらいだしの。まあそれは置いといてだな…………出るのか?」
「………そこまでお膳立てされてるなら出ないわけには行かないよね…………わかった、出るよ」
「おおそうか!では早速頼むぞ!」
「ん?」
「もうこの後すぐなのでな。私も主催者の1人として顔を出さないといけないから、すぐ行くぞ。」
そう言って白夜叉はエミヤの手を掴んで飛び出した。
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境界壁・舞台区間、"火龍誕生祭"運営本陣営。
事情聴取のため十六夜は縄で、黒ウサギは被害者として、"サラマンドラ"コミュニティに連れられて来ていた。
巨大で真っ赤な宮殿は本部として設けられ、ゲーム会場と直結している。会場は大きなコロシアムのように舞台が客席に囲まれていた。そこの舞台上では決勝枠の最後の席を賭けて争いが行われていた。
『お嬢おおおおお!!そこや!今や!回し蹴で飛ばしたれええええ!!』
レティシア達についてきた三毛猫がセコンドで叫ぶ。
現在、舞台で戦っているのは"ノーネーム"の春日部耀と、"ロックイーター"のコミュニティに属する自動人形オートマター、石垣の巨人。
「これで、終わり………!」
耀はグリフォンから貰ったギフトで旋風を操り、石垣の巨人の背後に飛翔。その後頭部を蹴り崩す。加えて耀は瞬時に自分の体重を"象"へと変幻させ、落下の力と共に巨人を押し倒す。石垣の巨人が倒れると同時に、割れるような観衆の声が起こった。
『お嬢おおおおおおお!よくやった!お嬢おおおおおおおお!』
三毛猫は耀の雄姿に雄叫びを上げる。他の人にはニャーニャー言ってるだけに聞こえるが、耀はその鳴き声にサムズアップと微笑みを向ける。
声が鳴り止まぬ中、宮殿の上・主催者席のバルコニーから見ていた白夜叉が柏手を打つと、観衆の声が止んだ。
白夜叉は朗らかに笑いかけ、耀と一般参加者に言った。
「勝者は"ノーネーム"出身の春日部耀に決定した。これにて最後の決勝枠が用意されたかの。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールは………ふむ。ルールはもう一人の"
白夜叉が振り返り、宮殿のバルコニーの中心を譲る。舞台会場が一望できるそのテラスに現れたのは、深紅の髪を頭上で結い、色彩鮮やかな衣装を幾重にも纏った幼い少女。
龍の純血種―――星海龍王の龍角を継承した、新たな"
炎の龍紋を掲げる"サラマンドラ"の幼き頭首・サンドラ=ドルトレイクが玉座から立ち上がる。
緊張した面持ちのサンドラに、白夜叉は促すように優しく笑いかける。
「ふふ。華の御披露目だからの。緊張するのは分かるが、皆の前では笑顔を見せねばならぬぞ。我々フロアマスターは下層のコミュニティの心の拠り所なのだからな。私の送った衣装も、その様な硬い表情では色褪せてしまうというもの。此処は凜然とした態度での」
「は、はい」
サンドラは大きく深呼吸。鈴の音の様な凜とした声音で挨拶した。
「ご紹介に与りました、北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎える事が出来ました。然したる事故もなく、進行に協力くださった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様には、この場を借りて御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましては御手持ちの招待状をご覧ください」
『ギフトゲーム名 "造物主達の決闘"
・決勝参加コミュニティ
・ゲームマスター・"サラマンドラ"
・プレイヤー・"サウザンドアイズ"《客分》
・プレイヤー・"ウィル・オ・ウィスプ"
・プレイヤー・"ラッテンフェンガー"
・プレイヤー・"ノーネーム"
・決勝ゲームルール
・互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う。
・ギフトを十全に扱うため、一人まで補佐が許される。
・ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う事。
・4つのコミュニティがゲームを行い、そのゲームの勝利者が優勝。
・優勝者はゲームマスターと対峙。
・授与される恩恵に関して
・"階層支配者"の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します。
"サウザンドアイズ"印
"サラマンドラ"印』
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十六夜と黒ウサギは長い長い事情聴取が終わり、運営本陣営の謁見の間に連れてこられていた。そこにはジンも"ノーネーム"のリーダーとして呼び出されていた。
「見てたぞ小僧。ストーカー容疑でお縄とは………クフッ」
「笑ってんじゃねーよ白夜叉。こちとら、このお祭りを盛り上げるために暴れようとしただけなのに……」
「ひ、1人で盛り上がるのはッ……ち、がうぞッ……ブハッ」
「そ、そう、ですよ十六夜さんッ……ククッ……人様に迷惑かけちゃ、だ、ダメです、よッ……」
「テメーらいい度胸だな。表に出やがれ………ってか黒ウサギは否定しろよ!」
哀れ十六夜。ストーカー容疑は晴れず未だに拘束されていた。普段問題を起こされる側の黒ウサギは、この状況に面白がり否定しないでいた。十六夜の普段の行いがここでツケを払う形になった。
白夜叉は必死に笑いを噛み殺しつつ、真面目な姿勢を見せる。今は誕生祭の主賓であるサンドラ嬢もいる。はしたない真似はできないのだろう。
白夜叉は、彼らとの会話が落ち着くとサンドラに目配せした。
サンドラは謁見の上座にある豪奢な玉座から立ち上がると、黒ウサギと十六夜に声をかけた。
「"箱庭の貴族"とその盟友の方。此度は"火龍誕生祭"に足を運んでいただきありがとうございます。盟友の方が傷つけた屋根と公道ですが、白夜叉様のご厚意で修繕してくださいました。また、"箱庭の貴族"にストーカー行為を働いた容疑も、本人から否定の言葉を頂きました。よって、この件に関しては私からは無罪及び不問とさせて頂きます。」
「…………ありがとよ」
「今回は私の知り合いが怪我人をつくること無く事を納めてくれたのでな。公共の道と屋根の修繕費はその者の働きのお陰と思ってくれれば良い。」
「…………納得いかねぇッッ」
十六夜は凄く不満顔で言い捨て、黒ウサギはあまり事が大きくならないでいてくれてホッとした。冷静に考えれば、頭に血が上っていた黒ウサギと問題児の十六夜がガチの追いかけっこをしたのだ。建物1つ分くらい折れてても不思議ではない。
「………ふむ。私が要請したコミュニティも集まったことだし、いい機会だ」
そう言って白夜叉は目配せし、"サラマンドラ"の面々を下がらせた。
この場に残ったのは"ノーネーム"の黒ウサギと十六夜、ジン。
"サラマンドラ"からは主催者のサンドラとその側近である軍服姿の男ーーーー十六夜を連行した時に集団を指揮していた者ーーーーサンドラの兄、マンドラ。
"サウザンドアイズ"からは白夜叉と、装飾の付いた黒の兜に黄金の甲冑に紅い腰マント、鎧の隙間から紅い服と黒いズボンが見える格好をした騎士が残った。
サンドラは人がいなくなると、固い表情と口調を崩し、玉座を飛び出してジンに駆け寄った。
「久しぶりジン!コミュニティが襲われたって聞いて凄く心配してたよ!」
「ありがとう。サンドラも元気そうで良かった」
サンドラはその愛らしい顔でジンに微笑み、ジンも同じく笑顔で返した。
「本当は魔王に襲われたって聞いた時にすぐ会いに行きたかったんだ。でも、お父様の急病や継承式で忙しくて………」
「それは仕方ないよ。だけどあのサンドラがフロアマスターになってるなんて-------」
「そのように気安く呼ぶな!名無しの小僧!!!」
二人が親しく話していると、マンドラが牙を剥き出しにして怒鳴り、帯刀していた剣をジンに向かって抜くが、ジンに辿り着くまえに黄金の騎士がその腕を掴んだ。
騎士はフルフルと横に首を振る。
「"サウザンドアイズ"の客人が我等の問題に横槍を入れるな!!"名無し"如きが北のマスターであるサンドラに馴れ馴れしく接しているのだぞ!これを放っておいては"サラマンドラ"の威厳に関わる!!部外者は引っ込んでおれ!」
そう騎士に睨みを利かせるマンドラ。
「大体、"名無し"のクズがこの場にいること自体気に食わん!」
そう発言したマンドラに、サンドラが慌てて止めに入る。
「マンドラ兄様!彼らはかつての"サラマンドラ"の盟友!此方から一方的に盟約を切った挙げ句その様な態度は我等の礼節に反します!」
「礼節より誇りだ!その様な軟弱な態度だから周囲から見下されると」
「これマンドラ。いい加減下がれ。」
白夜叉が仲裁に入ろうとするも、なお激情を露にするマンドラ。
「"サウザンドアイズ"も余計なことをしてくれた。同じフロアマスターとは言え、『南の幻獣・北の精霊・東の落ち目』とはよく言ったものだッ!しかも此度の噂の為に、こんな素性の知れない者を客人として招待するなど!」
そう言って先程、彼を止めた騎士を睨む。騎士は素知らぬ様子で肩を竦める。
マンドラはその態度に更に怒りが籠るが、サンドラが叫ぶように注意する。
「マンドラ兄様ッ!いい加減にしてください!!」
"サウザンドアイズ"客人相手にまで暴言を吐くのはいくらなんでもやり過ぎたと思ったようだ。
だが、事情を知らない"ノーネーム"一同は顔を見合わせて首を傾げる。
「おい、噂って何のことだ?俺達に協力を要請したことに関係あるのか?」
「………この封書に、おんしらを呼び寄せた原因が書いてある。見てみろ」
そう言って白夜叉は真剣な表情で、彼らに手紙を渡した。
『火龍誕生祭にて、"魔王襲来"の兆しあり』
そう書かれていた。
ここで新たなオリキャラか!?(棒読み)