やっとですよええ。
前々から思ってたんですが"全て遠き理想郷"って、聖杯化進むの遅らしたりできる、とかあるけどどーなってんですか!持ってる時は外界からいっさいの傷を受け付けないだけの性能じゃなかったんですか!
剣特性なのに鞘持ってる士郎さん盾投影したりとか、なんか矛盾した設定多すぎでしょ!!作者、もうどこまでご都合主義させれば良いのかわかりません!
という訳で、私は抑止力デメリット無効についての盾性能云々の話をカットしようと思いますが良いですよね?いいんです。
ていうか、作者あんまりご都合主義派ではないので、極力減らしたい。速度とか被害範囲とか問題児に合わせるから仕方がなくやってるのです。
「……………確かにそいつは僕のメンバーだし、どういう訳か石化されなかった商品もいるようだ……。だがな」
そう言って一拍入れてからルイオスは勝ち誇ったように喋り出す。
「そんなに決闘がしたければ、その吸血鬼から話を聞くんじゃなくて"サウザンドアイズ"にちゃんと調査させればいいよ。………尤も、ちゃんと調査されて一番困るのは全く別の人だろうけど?」
「そ、それは………!」
黒ウサギは視線を白夜叉に移す。逃げてきたレティシアを匿っていた事実は、幹部である白夜叉にとってかなりの責任問題だった。
「さて、んじゃ僕は帰るよ。これでも僕はやることが一杯なんでね。さっさと商品を箱庭の外に送る準備もしないとだし。」
「貴方正気ですか!?"箱庭の騎士"は箱庭の外だと……」
「そうだね。でも仕方無いじゃん。取引相手は箱庭の外にいる奴だし?それに愛想無い女って嫌いなんだよね、僕。特にソイツは体も殆んどガキだしねえ―――だけどほら、それも見た目は可愛いから。その手の愛好家には堪らないだろ?気の強い女を裸体のまま鎖で繋いで組み伏せ啼かす、ってのが好きな奴も居るし?太陽の光っていう天然の牢獄の下、永遠に玩具にされる美女ってのもエロくない?」
ルイオスは全く悪びれた様子も無く、更に挑発半分で商談相手の人物像を口にする。
案の定、黒ウサギはウサ耳を逆立てて叫んだ。
「あ、貴方という人は………!」
「しっかし可哀想な奴だよねーソイツも。箱庭から売り払われるだけじゃなく、恥知らずな仲間の所為でギフトまでも魔王に譲り渡す事になっちゃったんだもの」
「え?それは………本当ですか、レティシア様?」
黒ウサギは恐る恐るレティシアに訊くと、彼女は無言で目を逸らした。それを黒ウサギは是と取り動揺した。
そしてルイオスは黒ウサギのその動揺を見逃さなかった。
「報われ無い奴だよ。〝恩恵ギフト〟はこの世界で生きて行くのに必要不可欠な生命線。魂の一部だ。それを馬鹿で無能な仲間の無茶を止める為に捨てて、漸く手に入れた自由も仮初めのもの。他人の所有物っていう極め付けの屈辱に堪えてまで駆け付けたってのに、その仲間はあっさり自分を見捨てやがる!その女は一体どんな気分になるだろうね?」
「………え、な」
黒ウサギは絶句しレティシアを見る。やはり彼女は目を逸らして悔しそうな表情のまま何も言わない。
蒼白になった黒ウサギにスッと右手を差し出し、ルイオスはにこやかに笑って、
「ねえ、黒ウサギさん。このまま其処の彼女を見捨てて帰ったら、コミュニティの同士として義が立たないんじゃないか?」
「………?どういうことです?」
「取引をしよう。その吸血鬼を〝ノーネーム〟に戻してやる。代わりに、僕は君が欲しい。君は生涯、僕に隷属するんだ」
「なっ、」
「一種の一目惚れって奴?それに〝箱庭の貴族〟という箔も惜しいし」
再度絶句する黒ウサギ。飛鳥とレティシアもこれには堪らず怒鳴り声を上げた。
「外道とは思っていたけど、此処までとは思わなかったわ!もう行きましょう黒ウサギ!こんな奴の話を聞く義理は無いわ!」
「ああ。黒ウサギが私なんかの為に犠牲になるのは間違っている!私のことはいいから早急に帰ってくれ!」
「ま、待って下さい飛鳥さん!レティシア様!」
黒ウサギの手を握って出ようとする飛鳥と、それを催促するように言うレティシア。だが黒ウサギは困惑していて動かない。
それに気付いたルイオスは厭らしい笑みで捲し立てた。
「ほらほら、君は〝月の兎〟だろ?仲間の為、煉獄の炎に焼かれるのが本望だろ?君達にとって自己犠牲って奴は本能だもんなあ?」
「………っ」
「ねえ、どうしたの?ウサギは義理とか人情とかそういうのが好きなんだろ?安っぽい命を安っぽい自己犠牲ヨロシクで帝釈天に売り込んだんだろ!?箱庭に招かれた理由が献身なら、種の本能に従って安い喧嘩を安く買っちまうのが筋だよな!?ホラどうなんだよ黒ウサギーーーー」
「"黙り「待って飛鳥。」」
飛鳥のギフト"威光"が発せられる前にエミヤが止めた。
そのまま黒ウサギを背に庇い告げる。
「一目惚れ云々は置いておいて。君達"ペルセウス"は、要は強大なギフト、もしくはそれに関する武具物品が欲しいのだろう?」
「あ?なに?もしかしておねーさんが変わりになるの?まあ、俺の好みではあるけどただ可愛いってだけじゃーーーー」
「その前にこれを見てから発言して欲しいな。」
そう言ってエミヤは投影した剣を彼の前に置いた。その剣はかつて英雄王から解析した無銘の剣。しかし彼の宝物庫に入ってあるだけに、英雄すらまともに斬られれば死ぬ程の内蔵された神秘と性能があった。
「……これは!?」
「君は"不可視の兜"や"飛翔する具足"をレプリカとは言え量産に成功したコミュニティの長だ。当然、この剣の価値もわかるだろう?」
ルイオスはその剣を手に取り、白夜叉も気になったのか横からそれを観察した。
「オイオイ……これは神格のギフトが付与されてるじゃないか……これをどこで……」
「それに剣自体もかなり優れておるな……」
「これは私が生涯かけて造った剣の一振りだ。気に入ってもらえたかな?」
「なんじゃと!?おんしが造ったのか!?神格を付与させる人間など聞いたこともないぞ!」
「……そうだ。それにこれだけじゃ黒ウサギと釣り合わないさ」
白夜叉が良い感じに持ち上げたのも良い誤算であると考えたエミヤは、ここで持ちかける。
「まあ、そうだろう。だからそこで交渉だ"ペルセウス"の当主ルイオス殿。私はこれと同等の、生涯かけて造った剣があと数点だが持っている。それとレティシアを交換してはくれないか?」
「まだあるのか!?」
ルイオスはエミヤの発言に、彼女の価値を見定めようと考えを巡らせた。
(オイオイ……ホントに何なんだこの女は。神格を付与させるギフトやこの剣を造る程の刀鍛冶能力を持ってるなんて……こんな下層にいて良い人材じゃないぞ!?上層、それも幹部候補のお誘いが来てもおかしくない才能だ!)
エミヤに誤算があるとしたら、この男のコミュニティが下層に落ちる危機を孕んでいたことと、自分を卑下するあまり、彼女自身が誘われる等、露とも考えていなかったことだ。
(欲しい……この女は是非とも欲しい!!それにノーネームと言う無名の状態なら他のコミュニティに邪魔されず獲れる!!)
「……確かにその交渉に乗っても良い。だけど、その武器じゃなくて、君そのものが欲しい。」
「なんですって!?」
「ルイオスよ。それはちと虫が良すぎじゃないかの?」
ルイオスの出した提案に堪らず声をあげる飛鳥と、見兼ねて敵意を持って睨む白夜叉。
「そんなことはないさ。君達はそのレティシアが箱庭外に売られるのが嫌で、更には戻ってきても欲しいんだろ?なら物々交換といこうじゃないか。
それに、君もこんな下層のコミュニティにいるより、もっと上の所で活躍した方が良いだろ?」
「……この品々では不服だと?」
「いや、そんなことはない!ただこれは提案だ。君をこんな下層なんかに燻らせておくのは勿体無いと思ったまでさ。」
「貴方達は……何処まで此方を見下せば気が済むのですか!!」
「待って黒ウサギ。………いいよ。その提案、此方の条件を飲むのなら考えてあげる。」
「ちょっ、貴女正気!?」
「そうです!エミヤさんが行ってしまうならいっそ私が!」
「それじゃあ早速……」
エミヤの発言に、事態が収集付かなくなりかけた瞬間、
「黙れ!!!」
白夜叉が一喝した。それに反応して、皆が一度黙った。
鎮まった部屋の中、白夜叉は冷静に発言の続きを促す。
「……して、エミヤよ。その条件とはなんだ?」
「……ルイオスくん。その条件をのむかわりに、私と対等な決闘を申し込みたい。私が賭ける物は私自身。君が賭けるのは……そうだね。君達コミュニティが持つ品を三点、私が選んでそれらを貰いたい」
「……三品だと?」
「そうだよ。そちらが勝てば私と漏れなく私が造った剣が貰えるんだ。そちらの方が遥かに利点が多い筈だよ?」
「……確かにな。良いだろう!その条件を飲んでやる!」
「待ってください!……エミヤさん、それは私やレティシア様のためですか?それなら私は認めません」
「そうよ!黒ウサギもエミヤさんもあっちに渡すなんてあり得ないわ!それに貴女が勝手に決めて良い問題でも無い。これはもうノーネーム全体の問題よ!」
そうエミヤに文句を告げる黒ウサギと飛鳥だが、
「君達は1つ勘違いをしてるよ。私は別に黒ウサギの為でもレティシアの為でもない。あくまで彼の持つ品に興味があるんだよ。それに飛鳥。これは私の個人的な交渉だ。君達が何か交渉に挟める品がない以上、黙っていてくれないかな」
それに、と付け加える。
「なぜ私が負ける前提なのか知らないけど、要は勝てば良い。それとも私が負けるとでも思っているのかな?」
そう言って自信満々な態度をとった。
「…………」
そう言われては押し黙るしかない二人。そこに十六夜が二人を説得させるために動いた。
「まあ、良いじゃねーか二人とも。さっきお姫様が言った様に勝てば良いんだ」
(……それにこんなところで消えるようじゃ、俺の目は節穴だったって事だしな。)
そう言って二人の肩を掴み後ろに下がる。
彼等の話が落ち着いたことで、ルイオスは決闘を催促した。
「じゃあ早速始めようか。白夜叉、何か舞台を整えてくれないか?」
「……別によいが。エミヤよ。ホントに良いのだな?」
「くどいよ白夜叉。私が出した提案だ」
そう言って、もう口を挟むなとばかりにルイオスを見ようとするが、クイッと袖を引かれた。見るとレティシアが不安そうにエミヤを見上げていた。
「エミヤ……。先程見た実力だから負けるとは思ってないが、万が一と言うこともあるんだぞ?」
それを聞いて、エミヤは彼女の頭に手を乗せて撫でる。
「安心して欲しいレティシア。……と言っても安心できないか。なら、ここで誓いを立てよう」
そう言って、エミヤはレティシアに跪き、口上を述べた。
「エミヤ・リン・トオサカの名を持ってここに誓おう。我が剣をもって敵を討ち果たし、我が友レティシア・ドラクレアにその武功を捧げよう」
その姿はまるで、姫を守る為に戦に赴く騎士のような姿だった。
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『ギフトゲーム名"英雄ペルセウスと守護者の決闘"
プレイヤー一覧
"ノーネーム" エミヤ・リン・トオサカ
"ペルセウス"ルイオス
ルール説明
両プレイヤーが決闘を行い、プレイヤーの一方が、降参または戦闘続行不能になった場合、もう一方のプレイヤーが勝利する。
"ノーネーム"側が勝った場合、"ペルセウス"コミュニティから物品を三品選んで、"ペルセウス"はその三品の所有権と物品を渡す。
"ペルセウス"側が勝った場合、"ノーネーム"側参加者は"ペルセウス"コミュニティのメンバーとなる。
宣誓 上記のルールに則り、〝ルイオス〟〝エミヤ・リン・トオサカ〟の両名はギフトゲームを行います。
"サウザンドアイズ "印 』
場所は白夜叉の手によって、巨大な闘技場のようなゲーム盤に移動した。
エミヤとルイオスは30メートルほど離れた間合いで相対していた。審判は黒ウサギが務めている。
闘技場の観客席では"ノーネーム"メンバーとレティシア、白夜叉が二人の準備が整うのを待っていた。
「エミヤさん。ああは言ってたけど大丈夫かしら?」
「まあ、あんなに自信あるみたいだし大丈夫だろ。それにあのルイオスって奴からは小者臭がするしな」
「確かにあやつは全く強くないが……問題は奴のギフトだな。あやつは魔王を一人隷属させている。」
「へぇ……ってことは相手はアルゴルの悪魔か。」
「おんし。気付いていたのか?」
「いや、白夜叉の話で確信が持てただけだ。流石に時間は足りなかったが、"ペルセウス"に"ゴーゴンの石化"のギフト。本来の神話なら、戦神に奉げられたゴーゴンの首はこの世界に存在しないはずだが、あのギフトを所持しているなら辻褄が合う。」
「おんしは博識だの。それでエミヤにはその事を教えたのか?」
「いや?今言ったろ。確信が漸く持てたってな。だからお姫様には報告はしてないぜ。」
「そうか……果たしてあの娘が霊格落ちしたとは言え星霊に勝てるかどうか…」
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変わって闘技場。黒ウサギは二人の準備が終わったのを確認してからお互いに問いをなげた。
「お二方、準備は宜しいですね?」
「ああ」
「OKだよ黒ウサギ。」
「では……決闘開始!」
なんかレティシアさんが一番一緒にいる分、ヒロインポジになってきた。
ちょっと今、予期せぬエミヤインフレ化の設定練り直します。次とその次は書ききってますがその後は更新遅れるかも。