ありがとうございます。
だいぶエミヤさん女言葉になれてます。
アヴァロンさんは箱庭の神秘在りまくり世界で勝手に能力上昇させました。
↑止めました。
("全て遠き理想郷"か。……大層な物を渡してくれたものだ。これからの事を考えれば、凛と、甚だ不本意だが未熟者には感謝しないとだがな。)
今回だけなんだからね!と、どこぞのツンデレを思い出させる様に考えるエミヤ。
カードを受け取った彼らは物珍しそうに観察する中、黒ウサギはそれらをを見て驚いた。
「ギフトカード!!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「違います!なんでそんなに息揃ってるんですか!?
まったく……これはギフトカードと言って、顕現しているギフトを収納出来る超高価なカードです!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現出来るのですよ!」
「つまり素敵アイテムって事か」
「……四次元ポケット?」
「だから何でそんな適当な反応なんですか!?あーもう、そうですよ!とても便利な超素敵アイテムですよ!」
(耀は上手いこと例えるな…つまり私の投影品もストックできて魔力を抑えられる上に、好きな時に取り出せると言うこと……超素敵アイテムじゃないか!)
エミヤもその機能を理解し内心興奮していた。
「我らの双女神の紋のように、本来ならコミュニティの名と旗も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気なくなってしまっておるが、文句は黒ウサギに言ってくれ。
そのカードの正式名称は"ラプラスの紙片"と言い、全知の一端だ。本人との魂と繋がれるため、ほとんどのギフトはその正体がわかるぞ。」
「へえ、じゃあ俺の場合はレアケースってわけだ。」
そう言って十六夜はカードに書かれた文字を見直す。
「?ちと貸してくれ……"正体不明"だと?どういうことだ………?」
(ギフトの無効?しかし、それだけではラプラスが何かしら答えを出すはず……)
白夜叉が十六夜のギフトに考えを巡らせていると。
「ま、良いじゃねーか。そんなことよりも俺は未だに謎のお姫様のギフトが知りてーしな。」
「……おお、そうじゃったな。娘はあの距離を目視していたのだろう?"サウザンドアイズ"のメンバーとして少し興味があるな。」
「ハイ!黒ウサギも興味があるのです。」
一度思考を止めた白夜叉と黒ウサギもエミヤに興味を向ける。
「私か?そうだな……色々あって、余り大っぴらに話したくないのだけど、まあ良いか。」
そう言って、彼女達に自分のカードを渡した。
「……"無限の剣製"に"抑止の契約"?なんだそりゃ。」
よくわかっていない十六夜だが、白夜叉と黒ウサギは神妙な顔でギフトカードを凝視する。
「エミヤさん……この"抑止の契約"とはどう言ったものか聞いてもよろしいですか?」
「……聞いても面白い話じゃないよ黒ウサギ。それにそう悪いものじゃない。デメリットは"全て遠き理想郷"で抑制されてるからね。」
そう言って安心させるように黒ウサギに微笑む。
「そ、そうですか……なら良かったです。」
そう言って安心する黒ウサギだが、白夜叉はどこか納得してない様にエミヤに顔を向けていた。それを見てエミヤは黒ウサギに急かすように話しかける。
「ほら、黒ウサギ。もうかなり遅くまでここに留まってしまったんだ。これ以上は店に悪いし、そろそろ店から出た方が良い。」
「あ、そうでしたね。白夜叉様、私達は帰りますので一度戻りませんか?」
「む。そうだな。」
白夜叉はパンッと手を叩いた後、彼らは白夜叉の私室に戻ってきた。
その後、店前に移動し、彼らは白夜叉に礼をした。
「今日は楽しかった。また遊んでくれると嬉しい。」
「あら、ダメよ春日部さん。次は私が挑戦するんだから。」
「そうだな。吐いた唾を飲み込むなんて格好つかないからな。次は渾身の大舞台を用意しといてくれ。」
「ああ、任せておけ。……ところで。」
そう言って白夜叉は彼らを真剣な顔で見回す。
「今更だが、聞かせておくれ。おんしらは黒ウサギ達のコミュニティの状態と方針がどうなってるか、理解して加入するのだな?」
「そうよ。だって、魔王討伐なんて格好いいじゃない。」
「……格好いいで済む問題じゃないのだがの。勇ましいと言えば良いのか、無謀と笑えば良いのか……
まあ別に止めはせんが、そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ。」
断言する白夜叉。その顔には反論は許さないと言うようないあつかんがあった。
「魔王に挑む前に様々なギフトゲームを挑んで力をつけろ。そこの小僧と…エミヤは別だが、おんしらはまだ弱い……。
嵐に巻き込まれた弱者が無様に弄ばれて死ぬのは、いつ見ても悲しいものだ。」
「…肝に銘じておくわ。次は私が貴方の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しなさい。」
「ふふっ、望むところよ。私は三三四五外面にて、おんしらを待っているぞ。……その時は黒ウサギとエミヤを賭けてもらうがな!!」
それを聞いていた黒ウサギとエミヤは反応する。
「嫌ですよ!!」
「全くだ。」
即答で返す二人。
「つれないこと言うなよぅ。私のコミュニティに入れば、私は二種類の胸を堪能できるし、おんしらは三食首輪付きの個室も用意されるんだぞ?」
「それもう白夜叉様の愛玩動物です!!」
「だから、なぜ私まで巻き込まれるの。」
「そこは私も否定してくださいエミヤさん!」
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その後、彼らは白夜叉と不機嫌そうな店員に見送られた。
黒ウサギ達のコミュニティに戻る道中、
「黒ウサギ。申し訳ないのだけれど、サウザンドアイズに私のペンダントを置き忘れちゃった。取りに戻って良いかな?」
「そうなのでございますか?なら待ってますよ?
「いや、いいよ。ついでに白夜叉に聞きたいこともあるし。……そうだね。コミュニティの前に、この剣を置いて貰えれば見印になる。」
そう言って、先ほど誰にも気づかれずに投影してギフトカードに入れていた剣。
巨大な岩から削られてできたような、三メートルはある斧剣を取り出し、十六夜に託す。
「うおぉぉ。いつこんなもん拾ったんだ?……ああ、コレが"無限の剣製"ってやつか。…剣ってより岩だな。」
「ええ……。本人と剣の外見が全く一致しないわね…」
『ひょぇぇ。なんやさっきのグリフォンの旦那も真っ二つにされそうな剣やなぁ』
二人と一匹が感想を漏らす。
黒ウサギはそれを了承し、
「わかりました。先に帰ってますので、エミヤさんもお気をつけください。」
「ああ、わかった。できるだけ早くもどるよ。」
そう言ってエミヤは来た道を戻った。
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"サウザンドアイズ"前にて、
「きたか」
「やあ白夜叉。御大層なメッセージカードを受け取ったのでね。行かなきゃ気が引けるさ。」
そう言ってエミヤは店に出る時にポケットに入れられた紙を見る。
「それで?用件は?」
「まずは私の部屋に戻ろう。丁度、心配性な者にも会わせたいのでな。」
そう言って、白夜叉達は店に入っていく。
襖を開けて部屋の中に入ると、金髪に赤い瞳をした幼女が座っていた。
綺麗な金の髪は黒い大きなリボンで結ばれ
「戻ったか白夜叉………なぜその娘も一緒にいる?」
「なに、心配性なお前さんに一つ負担を減らしてやろうと思ってな。
エミヤよ、この娘はレティシアと言ってな。"ノーネーム"の古参の1人で、おんしの先輩だ。」
そう言われたレティシアも立ち上がり、自己紹介をする。
「ご紹介に預かったレティシア・ドラクレアだ。先輩と言っても、今は他人に所有される身分なので君達の助けになれないがな。」
そう言って少し残念そうな顔をするレティシアは白夜叉に目を向けた。
「それで?なぜこの娘を私と会わせたのか聞いても良いか白夜叉?」
「ああそうだの。……エミヤよ、聞きたいことは"抑止の契約"についてだ。なに、こやつは"ノーネーム"の為なら自分を事など省みない馬鹿者だ。下手に情報は漏れないだろう。それに1人ぐらい、おんしらのコミュニティのメンバーが聞いておかないと、ちと安心できん内容だしな。」
そう言ってエミヤに話し始める。
「この箱庭にも"抑止"と呼ばれる存在はおる。"天軍"など、各神群によって構成された武神集団の連合コミュニティが有名だ。彼奴ら"階層支配者"ですら手に終えない魔王が現れた時に、"抑止力"としてここ下界に派遣される。
……"抑止"とはそういった神々の存在だ。箱庭では、大っぴらに特異な事が起こる分"抑止"は多くいるし、抑制するやり方は苛烈だが、中々に寛容な部分もある。
しかし、おんしの世界では知らないが。…いや……そういった存在が、箱庭より否定される世界だからこそ、苛烈で強引な行動を取るだろう。
エミヤよ……。おんしはその存在と何を契約した?
おんしは、場合よっては危険極まりない存在になる。」
嘘を吐くことは許さん、とばかりに白夜叉は神気を身体から外へ放出させる。
エミヤは白夜叉を落ち着かせるために真実を話し出す。
「……心配せずとも、君が警戒する事は何もないよ。私と契約したのは、霊長の世界の存続を願う願望。アラヤと呼ばれる人類の無意識の集合体だ。よって、世界の特異を修正する為に、『その者達を皆殺しにする。』等と言った考えは持っていないさ。」
それを聞いて少し安心する白夜叉。
「そうかの。……まあ、そこまで心配してはおらんかったがな。もしそんなことがあれば、最初から黒ウサギや十六夜達を殺していただろうからの。」
そう言って白夜叉は沸かしていたお湯でお茶を注ぎ、エミヤとレティシアに渡す。
「だ、そうだぞレティシアよ。おんしが心配せずとも、黒ウサギは"抑止"のお墨付きを貰う程の存在を呼んだのだ。早々簡単に潰れはせんだろ。」
レティシアに話し掛け、茶を啜る白夜叉。
レティシアとエミヤもそれを見て、貰った茶を飲み始める。
「そうだな。神々に実力を買われる程だ。少し安心したよ。」
レティシアは美味しそうに茶を啜った。