いえ、一つにまとめようかとも思ったのですが、思ったよりも長くなっちゃって
というわけで二部構成前編
オリジナルバトルシーン満載!
カロスリーグ準々決勝第2試合、スタート
しばしの休憩を挟んだサトシたち。その間にメガ進化についてもサトシとセレナの知ってる範囲で説明するトレーナーとポケモンの絆の力、メガストーンとキーストーンという二つの石、バトル中のみに変化し元に戻る特徴。今まで見たことのないその力に、カキはもちろん、他のみんなも興味津々のようだ。
話もひと段落したところで、カロスリーグの続きを見ることにする。いよいよ後半戦、準々決勝からのスタートだ。残った選手は総勢8人、この中から準決勝に進めるトレーナーが決まる。
最初に進出決定したのは、やはりアランだった。勝利の声をあげるリザードンの正面には、カイリューが目を回し倒れている。相手の三体目だったカイリューに手も足も出させず、完封してしまったのだ。驚くことにアラン、この大会ではまだリザードン一体しか出していないのだ。残りの手持ちは全くの不明。故に、彼と相対するトレーナーたちは、既にプレッシャーに呑まれているようにも見える。
「自分の他の手持ちを一切明かすことなくここまできたか……どんなポケモンが控えているのかわからないから、厄介だな」
「リザードン、本当に強いよね。タイプ相性悪い相手でも関係なく倒しちゃうんだもん」
「アランは、リザードンと一緒に最強のメガ進化使いを目指してたからな。あの二人は、強いよ」
画面の中では、リザードンに労いの言葉をかけるアランが映る。ふとその視線が会場のとある一点を見ていることにマーマネが気づく。
「ねぇ、この時のアラン、どこ見てるんだろう?なんだか誰かを見上げてるみたいだけど」
「あぁ、それは多分マノンだよ。アランと一緒に旅をしてた女の子で、今回応援に来てたんだ」
「へ〜」
次の戦いに登場したのは、サトシだった。対する相手は、メガアブソル使いのアヤカ。
「出た、メガアブソルのトレーナー!」
「この人も、すごく強い」
「実はね、サトシは前にアヤカさんとバトルしたことがあるの」
「そうだったのですか?」
「あぁ。その時も三体ずつのバトルだったんだけど、負けちゃったんだ。だからこの時はリベンジできるって燃えてたな」
街中のフィールドが現れ、両者最初のポケモンを出すように指示される。
『行きなさい、カエンジシ!』
『ピカチュウ、君に決めた!』
サトシの肩から飛び上がり、フィールドに着地するピカチュウ。その小さな体は可愛らしいものの、まとう雰囲気は歴戦の猛者のそれだ。ピカチュウと相対するのは立派な鬣を持つポケモン、カエンジシ(♂)。フィールドに出た瞬間に、咆哮が会場に届く。
「かっこいい、ポケモンだね。カエンジシっていうのかぁ」
「ピカチュウ、ファイトー!」
審判による開戦の合図が入り、準々決勝二回戦が始まった。
『カエンジシ、かえんほうしゃ!』
『ピカチュウ、でんこうせっか!』
カエンジシのかえんほうしゃをそのスピードでかわし、すぐさま接近するピカチュウ。先手必勝とばかりに、カエンジシの胴体に攻撃が決まる。
『アイアンテール!』
『ほのおのきばで掴むのよ!』
続け様に放たれる尾による一撃を、噛みつくことによって防ぐカエンジシ。そのままピカチュウを振り回し始める。体格差には逆らえず、されるがままになるピカチュウ。
『叩きつけなさい!』
『ピカチュウ、そのままエレキボール!』
カエンジシが地面に叩きつけるより速く、ピカチュウは尾の先に電気を集約する。口内から直接電撃を浴びせられるカエンジシ。思わず尻尾から口を離してしまう。
バトルとはいえ、なかなかエグいことを……なんて自分でも思ってしまうサトシ。その時は考えている余裕はなかったが、カエンジシには悪いことをしてしまった。隣でピカチュウも罪悪感を感じているのか、若干バツが悪そうだ。
『ピカチュウ、10まんボルト!』
『ピィーカ、チュ〜!』
そうしている間にも画面の中では、拘束から逃れたピカチュウが、渾身の電撃をカエンジシにお見舞いしていた。爆発が起こり、煙が晴れると、そこにはカエンジシが目を回して倒れていた。
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「流石ピカチュウ。すごい連続攻撃だね」
「体格差、全然関係なさそう」
「あっ、二体目来たよ」
アヤカの繰り出した二体目はニャオニクス(♀)。これもまた、以前サトシが戦った相手だ。その時のケロマツを倒した実力を持つ相手の登場に、ピカチュウは頬袋から電気を出し、気合を見せる。
『ニャオニクス、ひっかく!』
『アイアンテールで迎え撃て!』
飛び上がる両ポケモン。空中で鋭い爪による攻撃と、尾による攻撃が激突し、互いに弾かれる。ニャオニクスは地面に、ピカチュウは空中へと距離が開く。
『シャドーボール!』
『エレキボール!』
下から空中で身動きが取れそうにないピカチュウ目掛けて放たれるシャドーボール。それに対しピカチュウは体を捻り、回転することでエレキボールを撃ち出す。今まで何度も見て来たことだが、サトシのピカチュウの身体能力には、アローラ組も、セレナも改めて驚かされる。
二つの技はぶつかり合い、弾けた。その間にピカチュウも地面に着き、改めてニャオニクスを見据える。
『ニャオニクス、みらいよち!』
『ニャアーオ』
突如空間に空いた穴に、複数のエネルギーの球体が吸い込まれていく。攻撃が届くのは先のこと。いつ来るかもわからない攻撃に備えることが必要になる。相手を心理的に揺さぶることもできる、強力な技だ。
しかしサトシは動じている様子がまるでない。よく見ると、ピカチュウの尻尾が振り子のように揺れている。規則的に、時を刻む時計のように。
「ピカチュウ、何してるんだろ?」
「何か数えてる?」
『ニャオニクス、サイケこうせん!』
『かわせ!』
ジャンプして後退するピカチュウ。依然として尻尾は振られたままである。着地したその時、ピカチュウがサトシに声を上げる。
『今だ、でんこうせっか!』
走り出すピカチュウ。丁度その時、上空から降って来る複数の球体。それは先ほど放たれた、ニャオニクスのみらいよち。しかし高速で駆け出したピカチュウを追尾することまではできず、その後ろで地面にぶつかり、爆発を起こした。
『そんなっ!?』
『ニャ!?』
驚き動きが止まるアヤカとニャオニクス。そこへピカチュウのでんこうせっかが炸裂する。ダメ押しとばかりに放たれたエレキボールがニャオニクスを捉えた。倒れ込んだニャオニクスは戦闘続行不可能だった。
「ピカチュウ、すっごい!どうして技が来るタイミングがわかったの?」
「あれは、前にカロス地方のジムで、みらいよちを使うニャオニクスと戦ったことがあったんだ。その時にみらいよちを攻略するための対策を考えてたからできたんだ」
「みらいよちのデータを持ってたんだね〜」
「あの時は、逆にニャオニクスにみらいよちをぶつけることもしてたわね」
「相手の技を利用したのか……やるな」
「へへっ」
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後が無くなったアヤカ。となれば、彼女が出して来るのは当然、一番信頼できるパートナー。
『頼んだわよ、アブソル!』
『ソォル!』
ボールから現れたのは白い体毛が美しいポケモン。立派な角と、凛々しい顔立ち、そして胸元にはメガストーンが埋め込まれたペンダント。あやかが右耳のイヤリングについている石に触れる。二つの石が眩しく輝き、アブソルの身が光に包まれる。
美しい毛並みが変化し、さらに神々しくなる。背中には羽が現れた、顔の半分が体毛で覆われ神秘性が増して見える。そして長く力強い角が、更に大きくなり、アブソルのたくましさを見せつける。
「来た、メガアブソルだ!」
「ほんっと綺麗。かっこいいなぁ」
「はい。とても神々しいです」
『アブソル、メガホーン!』
『ピカチュウ、アイアンテール!』
素早く跳躍し、力を集約した角を振り上げるアブソル。ピカチュウはアイアンテールで迎え撃つが、パワー勝負では勝ち目がなく、攻撃を受けてしまう。再び宙に上がったピカチュウに、アブソルが接近し、シャドークローによって地面に叩きつけた。目を回してしまっているピカチュウ。二体連続で倒し、実力を見せるものの、ここで敗れてしまった。
『よくやったな、ピカチュウ。ゆっくり休んでてくれ』
「ピカチュウも負けちゃったかぁ。でもでも、まだ後二体出せるし」
「それに、ゲッコウガもいるしな。あいつなら、メガ進化に対抗するのも訳ないだろ」
またまたゲッコウガの活躍が見られるのか、そんな期待をしているアローラ組の様子を見て、サトシは苦笑してしまう。何故なら、この時サトシが選んだのは、
『ルチャブル、君に決めた!』
『チャブ!』
「えっ、ゲッコウガじゃないの?」
「ちょっとビックリ」
「前にアヤカさんに負けたことがあるって話したろ?その時、メガアブソルと戦ったのが、ルチャブルだったんだ。あの時は負けちゃったけど、あいつもリベンジしたがってたしな」
「サトシって時々そういうことするのよ。相性とか、進化してるしてないとか、そういうの全部無視してポケモンを選んでる。でも、何の考えもなくしてる訳じゃないもの。そのポケモンのやる気をかう時とか、そのポケモンだからこその戦法を考えている時とかね」
「信頼してるのですね、ポケモンたちを」
画面の中では、ルチャブルとメガアブソルがお互いをじっと観察している。先に動いたのはアヤカ、
『アブソル、あくのはどう!』
『ルッ、ソォル!』
『かわしてからてチョップ!』
『チャブ、ルッチャ!』
飛び上がり、上から放たれるあくのはどう。ルチャブルは壁を蹴り、三角飛びの要領でそれをかわしアブソルの元へ飛ぶ。両腕で連続して打ち込まれるからてチョップ。効果抜群の技を受け、アブソルは後ろ向きに弾かれる。
しかし地面に着く直前に回転し、着地するアブソル。伊達にこのリーグ内でも猛威を振るっているわけではないのだ。
『シャドークロー!』
『とびひざげりだ!』
着地する前の無防備なところを狙おうと攻撃してくるメガアブソル。すかさず反撃に出るルチャブル。かたやかくとうタイプの技、かたやゴーストタイプの技。二つの技が正面衝突するかと思いきや、ルチャブルの足は空を切り、リーチの長いメガアブソルの爪だけが命中する。
『ルチャブル、大丈夫か?』
『チャブチャブ!』
『よぉし、いいぞ。お前のバトルで、リベンジしてやろうぜ!』
『チャブ!』
「ねぇ、ルチャブルのバトルって?」
「ルチャブルはね、相手の攻撃を受けることで、自分を高めるのよ」
「攻撃を受けて高める?」
「それがあいつなりの、バトルの流儀なんだ」
「流儀……ですか」
「ポケモンにもいろんなバトルスタイルを持っている奴がいるんだ。同じポケモンでも得意な戦法、不得意な戦法が違うこともあるし」
「へぇ〜」
『畳み掛けて、サイコカッター!』
街中フィールドの通路とほとんど同じ幅のサイコカッターが、ルチャブル目掛けて放たれる。上に逃げたら、先ほどのように次の攻撃が襲ってくる。かといって目の前の技を受けるのはあまりにもリスキーだ。効果は抜群で、しかもメガ進化したアブソルの技だ。一撃で沈められてしまうかもしれない。みんなが画面を食い入るように見つめる中、サトシが指示を出した。
『突っ込め、ルチャブル!』
『チャブ!』
「「「「えぇぇぇぇっ!?」」」」
サトシの指示も、ルチャブルの行動も、もはや意味不明である。いくら攻撃を受けて自分を高めるのがスタイルといっても、これはさすがに無謀ではないだろうか。しかしその考えは即座に覆される。
『シザークロス!』
両腕を交差させるように振り下ろすルチャブル。繰り出したのはむしタイプの技、シザークロス。エスパータイプには効果抜群のその技の威力は高く、容易くサイコカッターを両断し、そのまま接近した。
『っ!もう一度、サイコカッター!』
接近するルチャブルに驚いてしまったのか、後ろに飛びながら再びのサイコカッターを放つメガアブソル。その攻撃を読んでいたルチャブルは、アブソルの上に飛び上がった。
『フライングプレス!』
空中で両腕を広げてから回転するルチャブル。彼の代名詞とも言える決め技が、アブソルの腹部に決まり、一緒に地面に向かって落ちていく。地面にぶつかると煙が上がり、両ポケモンが見えなくなる。
煙が晴れ、二体の姿が現れた丁度その時、メガアブソルが崩れ落ち、元の姿に戻った。
『アブソル、戦闘不能。ルチャブルの勝ち!よって勝者、マサラタウンのサトシ選手!』
審判からのコールが入り、会場のスクリーンにサトシの顔が大きく写る。アランに続いてサトシが準決勝進出を決めた瞬間だった。
「ほんとに勝っちゃった……メガアブソルに」
「ルチャブル、すごい」
「タイプ相性は確かに良い相手でした。ですが、まさか通常のポケモンで、あれだけ強かったメガ進化ポケモンを倒すなんて」
モクローやニャビーもサトシの側で画面を凝視している。これが自分たちより前にサトシと旅をして来たポケモンたち。その強さを見せられ、どうやら闘志に火がついているようだ。
「次はショータとティエルノのバトルだな」
「二人ともすっごく強いトレーナーだったよね」
「あのティエルノってトレーナー、なんだかマーマネに雰囲気似てない?」
「えー、そうかなぁ?」
準決勝進出をかけた最後の試合。共にサトシたちの知り合い同士のバトルに、マオたちは興味津々のようだ。立場的に自分たちにも近いところがあるからだろうか。
そんなみんなの様子を見ながら、サトシはプレーヤーを操作し、ショータとティエルノのバトルを見るための準備をし始めた。
ポケモンクイズ!
次回、繰り出されるショータの相棒兼エースのジュカイン
そのジュカインがopの「XY&Z」で使っているのに、リーグでは忘れてしまった技は、なんでしょう?
答えは次回!
でも、答えは胸の内に秘めておくだけで
アンケートじゃないよ〜
追記
アニメの影響で微妙な変更を加えました