XYサトシinアローラ物語   作:トマト嫌い8マン

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とりあえず、それぞれに何かしら特徴が現れるように頑張ったやつですね

上手く表現できたかは知りませんけど


空の大勝負

時間となり、みんなレースの会場となる広場に集合した。どのペアもやる気十分、気合いっぱいだった。しかしサトシだけまだ現れていなかった。

 

「サトシ、どうしたのかな?」

「さぁな。すぐに来るだろ」

「トイレとかじゃないの?」

 

会話をしていたところへ、サトシが森の方から走って来た。

 

「ごめんごめん。お待たせ」

「何かあったのですか?」

「いやぁちょっと時間を忘れちゃってて。博士、お願いがあります」

「ん?何かね?」

 

サトシは1つのボールを取り出した。

 

「こいつと一緒に参加させてください!」

「こいつ?はて、他に鳥ポケモンを持っておったかの?」

 

上空に投げられるモンスターボール。その中から一羽のポケモンが飛び出した。大きな体と翼、鋭い目つきに、長くたなびく金色のトサカ。サトシたちの周りを一周した後、そのポケモンはサトシの隣に降り立ち、一声鳴いた。

 

「ピジョーッ」

「帰って来た、こいつと!」

 

カキたちは現れたそのポケモンに見惚れた。力強さと優雅さを併せ持つそのポケモンは、一目で只者ではないことがわかる。唯一リーリエだけは、見覚えがあった。

 

「サトシ、このポケモンはもしかしてあの群れの?」

「あぁ。紹介するよ。こいつはピジョット、俺が初めてバトルしてゲットしたポケモンでもあるんだ。群れのリーダーとして今まで手持ちから離れてたけど、今日帰って来たんだ」

「やっぱりあの時、先頭を飛んでいたポケモンなのですね」

「えっ、なになに?リーリエはこのポケモンを知ってるの?」

「いえ、今朝見かけたというだけのことです」

 

サトシたちがピジョットの話題で盛り上がる一方、他の鳥ポケモンたちと挨拶をするピジョット。自分たちの先輩の登場に、彼らはまた気合いを入れ直した。

 

「まさかピジョットが帰って来ておったとは。じゃがこれで全員がペアを組むことができたし、カントー代表も参戦できる」

「この勝負、断然面白くなって来ましたね、博士。でも、もう群れの方は良かったのかな?」

「あぁ、新しくピジョットに進化したやつがいてさ、そいつが新しいリーダーになるみたいだ」

「もしかして、会って来たのかい?」

「というよりも、会いに来たって感じだな。ピジョットを見送りに来てくれた。オニドリルと一緒に」

「そっか。ってオニドリルも!?」

「今は仲良くやってるみたいだぜ。いいライバルって感じだった」

「そうなんだ、でも、これでサトシの鳥ポケモン大集合だね!」

「これは、だいばくはつ級に激しいレースになりそうだな」

 

改めて整列するサトシの鳥ポケモンたち。空を飛ぶこと、その点において誰にも負けたくはない。レースもそうだがバトルでも。自分のトレーナーに勝利をもたらすためにも。自分たちの意地にかけても、負けられない。

 

「それでは皆用意はいいな?フシギダネ、頼んだぞ」

「ダネ!ダネダネ〜ダー!」

 

打ち上げられたソーラービームがしばらくしてから空で弾けた。それを合図に、ポケモンたちは一斉に飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最初に先頭に飛び出したのはオオスバメだった。空気の抵抗を受けにくい身体を持っていたがためか、加速が早かった。そのすぐ後ろにケンホロウが並ぶ。飛ぶことに特化していることもあり、オオスバメから大きく離されることはなかった。

 

「いいよ、オオスバメ。その調子!」

「頑張って、ケンホロウ」

 

接戦を繰り広げる両者を1つの影が抜かす。でんこうせっかを発動し、その大きな翼で力強く羽ばたいたムクホークが先頭に躍り出た。その首にはマーマネの発明品が取り付けられている。まるで風の流れを予測しているかのように、ムクホークは流れを自分のものにしていた。

 

「ふふん。僕がここで風の流れを分析し、この通信機でムクホークに伝える。これによって風を僕たちに有利なように使えるんだ。負けるわけないね」

 

負けるまいとオオスバメとケンホロウもでんこうせっかで追いつく。三羽が先頭でコースの森へ入った。

 

 

余談だが、サトシたちにはレースの状況がしっかりと伝わっている。新リーダーに就任したピジョットの協力で、ロトムがカメラマンとして映像を送ってくれているのだ。

 

「あれ?変だな?僕の声がうまく届いてないみたい」

 

ここで電波状態の異常か範囲外に抜けてしまったのか、マーマネからの通信が途絶え、風の有利をキープできなくなってしまうムクホーク。

 

森の中はやや暗く、ぶつからないようにするのも一苦労だった。スピードが落ちるムクホークたち。そんな中、難なく障害物を躱しながら彼らを抜かしたのはヨルノズクだった。視界の悪い中でもヨルノズクのスピードは落ちず、まるでどこに何があるのかをあらかじめ理解しているようだった。

 

「ヨルノズクはみやぶるであらかじめ先を見ることができます。これならスピードを落とすこともなく、障害物を躱すことも簡単です」

 

森を抜けるヨルノズク。その後からケンホロウ、オオスバメ、ムクホークと続く。折り返しの木の周りを回るとあとは直線のみ。みなラストスパートをかける。

 

「ファロー!」

 

と、その後ろから炎をまといながら凄まじいスピードで迫るファイアロー。ここに来てニトロチャージを連続で発動し、ますます加速する。

 

「森だとスピードを上げ過ぎると危ないからな。だが直線ならなんの心配もない。ここで連続で加速し、最高速度を上げ続ける。元々のこいつのスピードを考えれば追いつけないはずがない!」

 

ファイアローはここまでニトロチャージを温存し、直線勝負に全てをかけることにしていたのだ。でんこうせっかが使えなくとも、自慢のスピードはどこまでも上がる。それを利用した作戦だった。追いついてくるファイアローに負けまいと、他のポケモンも全力で飛ぶ。

 

ほぼ横並びで飛ぶ彼ら。その上を大きな影が通った。激しく羽ばたくこともせず、技を使うこともせずに、そのポケモンは優雅に飛んでいた。大きな身体からは力強さや威厳が溢れ、長く伸びる金色のトサカは美しさを醸し出し、余裕のある雰囲気はそのたくましさを際立たせる。

 

他の彼らは追いつけずにいた。最高速度が上がり続けているはずのファイアローでさえ寧ろ引き離されてきた。その姿に、カキたちは見とれた。

 

「かっこいいなぁ」

「すっごく綺麗」

「まさしくゴッドバードという言葉が似合いそうだな」

 

そのまま圧倒的な力を見せ、ピジョットが一位でゴールインした。地面に着地するその動作までもが美しく、言葉を奪われるかのようだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「優勝はサトシ、ピジョットのペアじゃな。おめでとう」

「ありがとうございます。ピジョット、ありがとな」

「ピジョー」

「二人にはこれをやろう。オーキド研究所の記念リボンじゃ」

「記念リボン?」

「うむ。最近新しい取り組みでの、研究家が優秀と認めたトレーナー、あるいはポケモンにその研究所公認のリボンを渡すようになったのじゃよ。ポケモンたちが別の地方に行った際でも、研究所間での情報交換が楽になるしのぉ」

「へぇ。ピジョット、つけてやるよ」

 

そっと首にリボンを結ぶサトシ。白と赤のそのリボンはピジョットの首元でも映えた。自分のカバンにもリボンを結ぶサトシ。青いリュックのため、そのリボンはひときわ目を惹く。

 

「お揃いだな」

「ピジョー」

「改めて、おかえり。ピジョット」

「ピジョート!」

 

強い絆で結ばれているのがよく分かるこのやり取り、カキたちは改めて思う。強いからサトシが仲間にしたんじゃない。サトシの仲間だからこそ、彼らは強いのだと。サトシだからこそ、ここまで強くなれたのだと。

 

「サトシってやっぱりすごいね」

「うん、なんか」

「僕たちとは全然違う感じするなぁ」

「あいつ、本当に難なく島巡りも終えそうだな」

「でも、困っていたら力になりましょう。わたくしたちは、サトシの仲間なのですから」

「そうだね」

「うん」

「まぁね」

「あぁ」

 

彼らの絆が、また一つ深まったのだった。




やっぱりピジョットはかっこいいですからね〜

サトシが初めてバトルしてゲットしたポケモンですし
本当に、手持ちに戻ってきませんかね〜

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