我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

7 / 13
FGOでイシュタルが当たりました。
寝起きの作者も思わずガッツポーズ。

さて、何人もの視聴者様が楽しみにしていたであろうこの回。
今回はついに緑の男の正体が明らかに!

まあ、だいたいの人が予想してましたね。

さて、それでは本編をどうぞ!


第6話 魔神降臨 無垢なる絶望

「取り敢えず、死んでくださいな」

 

そうして男は手にもった槍でアルテラを突き刺した。

 

「嫌だ」

 

バリィッン!

 

「何!」

 

しかし槍は刺さることなくアルテラの肌に触れた瞬間、砕け散った。

 

「くっ!」

 

槍が砕けたのを確認した男は後ろに跳びのきアルテラから距離を取った。

そして砕けた槍を見てやれやれといった表情で砕けた槍を捨てた。

 

「はは、まさか不滅属性を持つ槍が砕かれるとは、少々驚きましたよ」

 

「……お前は誰だ?」

 

アルテラは男に問いかける。

そしてこちらを遠目で見ていたサーゼクスたちがこちらに歩いてきた。

そしてアルテラの目の前の男を見てサーゼクスとセラフォルーは顔を驚愕で染めた。

 

「嘘!……どうして」

 

「……なんで君が」

 

「ん? おやおや、誰かと思えばサーゼクスにセラフォルーじゃないか、お久しぶりだな。どうしたんだ、そんな顔をして?」

 

二人の顔を見て男は笑顔で挨拶をする。

 

「さて、自己紹介がまだでしたね。私の名前は、レフ・ライノール・フラウロス。フラウロス家の当主です。ま、既になくなった家系ですけどね」

 

男の、レフの言葉に周りの者たちは驚きの顔を浮かべた。

 

「フラウロス……まさか、滅んだはずの悪魔の家系の者もいるとは。しかしサーゼクス、なぜそんなに驚いているんですか?」

 

サーゼクスとセラフォルーのあまりの驚愕具合にミカエルは疑問を浮かべた。

そんな彼の言葉にレフが笑顔で答えた。

 

「何、簡単ですよ。だって私は死んだはずの悪魔なんですから」

 

「ッ!!……やはり、そうなのか、レフ?」

 

二人の会話に理解が追いついていない一同。

 

「……どういうことだサーゼクス」

 

アザゼルの声にサーゼクスは弱々しく喋りはじめた。

 

「私とセラフォルーはレフと親友だった。しかし彼は古の大戦で二天龍から私たちを守るために身代わりとなって……死んだ」

 

「ええ、私は二天龍の攻撃により命を落としました」

 

サーゼクスの言葉に補足をしたレフ、話を理解したアザゼルは喋る。

 

「つまりは何か、死んだはずの奴が生きていたため驚いてるってことか?」

 

「ええそうです。しかしレフ……まさか貴方もそちら側なのですか?」

 

サーゼクスの問いにレフは笑顔を浮かべて答える。

 

「ええ、勿論ですとも」

 

「そんな……どうして! 私たちは親友だったじゃない」

 

「どうして? 親友だった? はは、簡単ですよ。サーゼクス、セラフォルー、今だから言っておきますけどね、私は貴方達のことが……」

 

レフは言葉を止めると、顔に三日月の笑みを浮かべながらこう言った。

 

「大嫌いだったんだよ!」

 

「「ッ!!」」

 

レフのいきなりの豹変に驚く一同、しかしレフはそんなのお構いなく叫ぶ。

 

「ああ、嫌いだとも、なんせ貴方は全てを持っていた、力も、名誉も、生まれながらにしてなんの力を持たない私なんかとは比べ物にならないほどに。いつも思っていたよ、どうやってお前を蹴落そうかと、どうやって殺してやろうかと。なのに友達? 親友? はは、笑わせる、そんなの一度だって思ったことなんてないわ!」

 

「……そんな、レフ……」

 

「そんな私が、お前達のいいように話が進むのを見ていると思ったのか? ましてや家族を堕天使に殺された私が和平を許すと思ったのか? もしそうならサーゼクス、お前はとんだ馬鹿野郎だよ!」

 

レフの家族は大戦中に当主のレフがいない時を見計らって攻め込んだ堕天使達によって殺されたのだ。

 

ひとしきり喋ったレフは立ったまま固まっているカテレアに近づく。

そんな中でアザゼルがレフに疑問を投げかけた。

 

「ちょっと待てよ、なんで死んだはずのお前が生きているのか答えてないぜ?」

 

アザゼルの言葉にハッとなる一同。

そんな彼の言葉にレフはなんとなしに答えた。

 

「なに、我が主に蘇らせてもらったのさ」

 

「主だと……オーフィスのことか? しかしあいつに悪魔を蘇生させる力なんて」

 

「オーフィス? はは、そうか! お前達は知らないのか。いや、一部の禍の団の者達も知らなかったな。ひとつ言っておこうアザゼル。禍の団は既に解散している」

 

「何だと!」

 

レフの喋った事実に驚く一同。

いつの間にか、時間停止が止まっているが、それすら気づかないほど驚いている。

いつの間にか戻ってきていた赤龍帝らもレフの話を聞いていたのかその顔を驚愕で染めている。

その事を知っている私は何となしにその話を聞いていた。

 

「じゃあ、お前の言う主とはいったい」

 

「……いいだろう、冥土の土産に教えてあげよう」

 

レフはそういうとカテレアに近づき一枚の紙を取り出し、彼女に貼り付けた。

するとさっきまで固まっていたカテレアが急に倒れ痙攣し始めた。

いきなりのことに驚く一同。

 

「何をしたんだ、レフ!」

 

「なに、少し細工をしただけさ。私一人では真の姿になるのに魔力が足りないのでね」

 

「真の姿……だと? それはいったい……」

 

サーゼクスがその言葉を言い切ることはなかった。

地面から黒い泥が吹き出す。

そしてカテレアとレフを黒い泥が包み込んでいく。

そして泥はどんどん盛り上がっていき、そして一つの柱を形作った。

 

「何だ、あれは……」

 

植物の大樹の様に見える柱、しかしその肌は肉塊のようにブヨブヨで生き物の瞳が何個も付いている。

その余りの異形さに、醜さに、奇怪さに、アザゼルたちも後ずさる。

 

「……何ですか。この禍々しい魔力は」

 

ミカエルは異形の柱から溢れ出る黒い魔力を見てその禍々しさに警戒する。

皆が異形の柱を見つめる中、アルテラは呟いた。

 

「………チッ、魔神になったか、面倒だな」

 

「なに? おいアルテラ、お前なんか知ってるのか?」

 

アルテラの呟きに反応したアザゼルが問うた。

その問いに首を縦に振ることで肯定するアルテラ、そして皆に聞こえる様に語り出した。

 

「あれは魔神。昔一人の人間が召喚した悪魔の内の一柱、それがあの異形の柱の正体。どうやらあの悪魔の体を依り代に顕現したらしい」

 

アルテラの説明した事実に驚くものたち、特に悪魔たちの驚き様は異常だった。

 

「おいおいマジかよ、あれが魔神だと? バカ言ってんじゃねえよアルテラ。もしそうだとしたら……」

 

「如何だろうな、しかしアレが本物であれ偽物であれ、今この場では脅威であることには変わりない」

 

『その通りだ!』

 

私たちの言葉に目の前の柱が声をあげた。

それは先程までレフであったものだった。

 

『死んだ私はかの王に蘇らせてもらった。そして新たに力を得た私の力は旧魔王たちよりも上だ!』

 

そう高々と喋るレフは柱についた瞳を全開にする。

 

「かの王……やっぱりお前達の主ってのは……だがありえない。もしそうだとしても死んだはずの奴を蘇らせるなんて……」

 

理解した事実にアザゼルが否定の声を上げる。

しかしそれをあざ笑うかの様にフラウロスは断言する。

 

『バカめ、我らが王がそう簡単に滅びるものか……ぐ、グガガガガガガ!!』

 

「な、何だよ、あいつ急に苦しみ出して……」

 

レフの急変に赤龍帝が気味悪そうに見つめる。

 

「まあ当然だろう、いくら同じ悪魔とはいえ、アレは次元が違う。アレを体に宿して元あった魂が無事でいられるわけはない。恐らくアレ本体に意識が侵食されているのだろう、あれはもう手遅れだ。あれはレフではなく、魔神そのものだ」

 

『その通りだ、人間』

 

レフとカテレアだったものが声を上げる。

 

『我が名は魔神フラウロス。七十二柱の魔神の一人。過去、現在、未来、全てに汝らの存在する意味はない。故に汝らを焼却する』

 

フラウロスの宣言と同時に植物の根のようなものが大地から盛り上がりる。

そして次々とその根で周りの魔導師達を捕まえる。

 

「あいつ、仲間を!」

 

根に捕まった魔導師達は何かを吸われたように干からびる。

そしてまた次の標的を探すために根が広がる。

 

「ひ、酷い……」

 

「見た所魂を喰らっているみたいだな。例えるなら植物が栄養を得るために根を伸ばすように。おいお前ら、あの根に捕まるなよ!」

 

「「見れば分かる!」」

 

アザゼルの分析に周りも同感のようで声を上げた。

 

「くらっちゃえ!」

 

セラフォルーが氷の魔術で根を凍らす。

しかし直ぐに氷を砕きその根を伸ばしていく。

そして魔王達の結界に到達するとその大きな根で結界を殴りつける。

 

「くっ、なんて威力だ、このままでは……」

 

一段と結界に魔力を注ぐトップ達、さらに他のもの達も魔力を注ぐ。

 

「このままじゃジリ貧だぞ、どうするアルテラ!」

 

なぜ私に聞く、しかしアザゼルの言うことも最もだ、いくらトップ達でも魔力には限界がある。

トップ達なら根を避けることも可能だろうが、この場にいる若手悪魔達の何人かは死ぬな。

白龍皇も迫る根を迎撃するので精一杯。

うん、本格的にピンチではないか?

本当どうするか……別に、勝てないことはないが、封印を一つ解く必要があるな、しかしそうすると気配遮断が無意味になるから周りの被害が……はあ、仕方がない。魔神が現れたのは予想外、少し早いがここで犠牲を出すぐらいならやる方がマシか。

 

「はあ、仕方がない……おい、白龍皇、いや、ヴァーリ・ルシファー!」

 

「……何だ、アルテラ」

 

アルテラのいきなりの言葉に周りの誰もが驚きの顔をした、しかしそんな事を気にしないアルテラはそのまま話を続ける。

 

「面倒だがアレを使う。数分魔神を惹きつけろ」

 

「ふむ、それで俺に何か得があるのか?」

 

「お前は馬鹿か? ここでトップ達が消えれば闘争どころではないぞ?……それにお前とは約束したと思うが?」

 

ヴァーリはおどける様な仕草をすると翼を大きく広げ魔神に魔力の塊を発射する。

その一撃に抉れた魔神は再生したものの次々と飛んでくるヴァーリの攻撃に伸ばす根を止めヴァーリを標的にした。

そのお陰で攻撃の手が緩まった。

 

「おいアルテラ、どう言う事だ?……ヴァーリと一体何を約束した、それになぜヴァーリの本名を……」

 

「その話は後だ、今は目の前の状況を何とかしないとな」

 

「……チッ、それもそうか。おいサーゼクス、俺が出る」

 

「良いのか?」

 

「ああ、丁度試したい物もあったしな」

 

そう言うとアザゼルは懐から金色の小さな槍を取り出す。

 

「それじゃあ、俺は行くぜ」

 

そう言うとアザゼルは空を飛び上がる。

一体どうするつもりだ?

 

「さて、俺も少しは働くとするか……禁手化!」

 

「「えっ?」」

 

アザゼルの言葉に驚く一同。

アザゼルを黄金の全身鎧が包み込む。

背中から十二枚もの漆黒の翼を出しながら天に座すアザゼル。

ほう、神器を解析するだけでなくこれほどの物を作り出すとは、中々やるなアザゼル。

 

「『白い龍』と他のドラゴン系神器を研究して作り出した、俺の傑作人工神器だ。こいつの名は【堕天龍の閃光槍】(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)それの擬似的な禁手化状態【堕天龍の鎧】だ。もっと華々しい登場をさせてやりたかったが、まあこの状況じゃ、しょうがねえか」

 

「ハハハ、まさかそんな物を隠しているとは、やはり凄いなアザゼル。出来れば今すぐ戦いたいところだが……」

 

「ゲッ! 面倒くさいな、嫌なんだが」

 

そう言うアザゼルは光の槍を背後に展開する。

しかしその数が異常だった、数千にも及ぶ光の槍がアザゼルの背後に現れる。

 

「禁手化によって底上げされた俺の魔力。いくら魔神とはいえ悪魔であるお前にはキツイか? まあ良いか、さあ、喰らえ!」

 

アザゼルの号令とともに何千もの光の槍が降り注ぐ、その光景はまるで天から星が落ちるが如く、堕天使の裁きが魔神を蹂躙する。

 

「うわぁ……ヤバいなあれ」

 

「一つ一つが上級悪魔を滅ぼす威力だ、全く、物騒なものを作ったものだ」

 

「同感です」

 

アザゼルの無双ぶりに呆れるサーゼクスとミカエル。

周りの面々も苦笑気味だ。

 

「人が頑張ってるのにひでえ奴らだな……しかし凄い再生力だな、効いてるのか、これ?」

 

アザゼルは目の前でどんどん削れて行く魔神を見つめる。

しかし削れたところからすぐに再生しているためキリがない。

同じく魔弾を飛ばしているヴァーリも魔力の消費具合に冷や汗を流している。

地上のもの達も再び迫ってくる魔神の根を攻撃しているが次々と回復する魔神相手に押され気味だ。

 

「くっ、状況は変わらず劣勢ね……けど、あの再生力は一体……」

 

「簡単だ、あの根が地脈から魔力を吸い上げているんだ、あの根を大地から離さない限り再生は止まらないだろう」

 

「じゃあ、一体どうするんだよ!」

 

アルテラの説明した事実に禁手化して攻撃をしている赤龍帝が声をあげる。

確かに、あの根をどうにかしない限りこちらに勝ち目はない。

しかしな赤龍帝、なぜ私が時間を稼がせていると思う?

 

「…………ふ、頃合だ、ヴァーリ!」

 

「ふん、やっとか、アザゼル下がるぞ!」

 

「あん? 何でだ、オゥ!」

 

アザゼルの言葉を聞く前にアザゼルの首根っこを引っ張り交代させるヴァーリ。

それを見たアルテラはサーゼクス達の結界から出て魔神に歩いて行く。

 

「ちょっ! アルテラさん!」

 

「何をやっているの!」

 

アルテラの行動に驚く一同。

しかしアルテラはそんな事を気にせず魔神に歩いて行く。

勿論そんな無防備なものを魔神が見逃すはずもなく、標的を失った根はアルテラに殺到する。

 

「危ない!」

 

アーシアが叫ぶが、すでに根はアルテラの目の前だ、根がアルテラを飲み込む……しかしその瞬間。

 

「……顕現せよ、軍神の剣よ」

 

その声が響くと光とともにアルテラに殺到した根が破壊される。

黒焦げに焼けた根が灰となり黒い粉が舞う。

そこにいるアルテラの手には三色の光の線が刀身となっている機械的な剣を持っていた。

 

『おおおぉぉぉぉぉ……』

 

魔神が声にならない悲鳴を上げる。

アルテラの攻撃には破壊の属性が付与される。

アルテラの破壊が一時的に魔神の再生を上回り、一瞬再生が止まる。

ほんの刹那の時間、しかしアルテラが近づくには十分な時間である。

アルテラが大地を踏みしめドンッ!と蹴る。

そして一瞬にして魔神の本体の柱に到達した。

そしてアルテラは地面に剣を刺す。

すると巨大な魔法陣が展開される。

その魔法陣は魔神の柱が入るほど大きい。

 

「これは……転移陣?」

 

この魔法陣の効果に気づいたサーゼクスが、そうあたりをつける。

 

「……空間指定、座標固定……転移、開始!」

 

アルテラの声とともに光が魔神とアルテラを包み込む。

そして次の瞬間、光と共に魔神とアルテラが消え去った。

 

彼女達が消え去った後には、魔神の燃えかすと、無残に抉れた大地が残るだけであった。

 

「おいおい、これで終わりなのか?」

 

「ああ、これで成功だ」

 

あまりの呆気なさにアザゼルが言葉を溢す。

その言葉に禁手化を解いたヴァーリが肯定する。

 

あまりの呆気なさに、惚ける一同。

 

「…………はあ、どうする、この状況」

 

サーゼクスは壊れた校舎と、混沌とした皆を見てこの後にある話し合いを思い浮かべ、ため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、魔神と転移したアルテラは一体どうしたのか?

 

「さて、やっと二人になれたな魔神よ」

 

魔神との転移を成功させたアルテラは目の前の魔神を見据える。

ここはアルテラが作り出した別世界、アルテラが魔神を連れて来るために作った擬似的な固有結界。

先ほどの時間で結界空間を作るのと転移陣の場所指定から発動までをやっていたのだ。

この空間には地上のような大地があるものの、しかし周りには木一本すら生えない荒野が広がっている。

その場で作った固有結界故見た目は味気ない。

 

『がぁぁ! やってくれたな、人間! 殺してやる!』

 

アルテラから受けた傷が再生した魔神は傷を与えたアルテラに怒りを向ける。

そして大地から魔力を吸い上げ根を伸ばす。

 

『ハハハ! 魔力がある限り私は不滅だ! お前がどんな力を持っていようと不死身の私には勝てない!』

 

そう高らかに宣言する魔神を見つめるアルテラは、魔神のその言葉を聞くと同時にとてもいい笑顔になってこう言った。

 

「そうかそうか、お前は不死身なのか、なら私がどれだけ攻撃しても死なないんだな。いやぁ、嬉しいな、最近まともな闘いをしていなかったからいい運動になりそうだ」

 

『…………何? どう言う事だ?』

 

「おや? 聞こえなかったのか? 私はお前をサンドバッグにすると言ったんだ……だから、な?」

 

アルテラは今日一番の笑顔で魔神に話しかける。

笑顔なのに何故か無言の威圧がある。

アルテラは手に握る軍神の剣を振り上げる。

 

「さあ、魔神よ、魔力の貯蔵は十分か? 私は……十分だ!」

 

アルテラはそう言うと自分に施した封印を一つ解いた。

 

それと同時に周りを災害的な業風が吹き荒れる。

ただそれだけで大地が砕け、魔神の根が蹂躙される。

余りに暴虐、余りに理不尽、この世の絶望を体現したアルテラは魔神にその歩みを進める。

 

『何だ、この魔力は……何だ、この震えは……何だ、この感情は! 不死身である私が目の前の下等な人間如きに恐怖しているだと? 否、断じて否! 我は魔神なのだ! 我らが王に仕える絶対なる魔神なのだ! 』

 

アルテラから溢れる魔力と、その気配に魔神は抵抗を始める。

根から吹き出した暴虐の霧がアルテラに迫る。

しかし無意味。

 

「私は……破壊である」

 

アルテラが軽く軍神の剣を振るだけで業風が起き暴虐の霧を粉砕する。

霧は質量を持っているかのように砕ける様に消失した。

 

『まだだ! 汝の過去、現在、未来に意味はない! 殲滅する! 情報室、フラウロス! 』

 

魔神の詠唱とともに柱の隙間から何個もの瞳が現れる。

現れた瞳はアルテラを見つめ、キラリと光った。

不可避の攻撃がアルテラを襲う。

しかし……無意味。

 

「私は……理不尽である」

 

アルテラが剣を振れば音を立てて不可視の攻撃が破壊される。

 

『馬鹿な! 我の不可避の邪眼を無効、いや、破壊するだと! そんなこと、あってたまるか!』

 

自分の攻撃のことごとくを破壊するアルテラに魔神は叫び声の様な怒号をあげる。

 

ヤケクソ気味に無茶苦茶な攻撃を放つ魔神。

根で叩きつける……腕を凪いだだけでチリと化す。

暴虐の霧で飲み込む……剣を振るうだけで業風が起こり崩れ去る。

不可避の邪眼で見る……今度は邪眼ごと破壊された。

 

そしてついにアルテラは魔神柱の根元に到達した。

魔神フラウロスは、余りの理不尽に現実逃避気味になっている。

 

「……ふむ、ただ蹂躙するのも面白みがないから歩いてきたが、思いの外つまらんな。魔神と言われるくらいだから昔戦った軍神と同じぐらい楽しめると思ったが……興ざめもいいところだ」

 

アルテラは心底残念そうに魔神を見据える。

 

「まあしかし、その再生力だけは賞賛に値する。だから、サンドバッグとしては楽しませてくれよ?」

 

アルテラは笑顔でそう言うと軍神の剣を天に掲げる。

 

『ま、待て! 辞めろ!私は……私は!』

 

「ずっと気になっていたんだ、お前を真ん中で真っ二つに斬れば一体どうなるのかと……切れた所がくっ付いて再生するのか? もしくは半分が崩れ去りもう半分から生える様に再生するのか? はたまたプラナリアの様に分裂して二柱になって再生するのか? ああ、とても気になる。同じ不死身である不死鳥は無から再生したが……お前は一体どうなるんだ?」

 

残酷なまでにピュアな瞳で魔神を見つめるアルテラ。

その表情にとてつもない悪寒を覚える魔神。

アルテラからしたらとても興味深い事であるがやられる相手からすればたまったものではないだろう。

ゆっくりと魔力を充填していくアルテラ。

 

『まて、止めろ…私は情報…室、フラウロス…だぞ、汝の過去、現在、未来に意味は…意味は…何故だ、汝の過去がわからない、汝の未来がわからない、汝の現在がわからない…こんな事…は…初めてだ、目の前にいるのに…汝の存在をどこにも感じない…理解できない、こんな事はあり得ないあり得ないありありありありあり……』

 

壊れた機械の様になってしまっている魔神。

そんな魔神にアルテラはさらに残酷な事を告げる。

 

「止めろ? それはフリか? ふむ、成る程、なら遠慮せずにやっていいのかな♪ 」

 

とても楽しそうにしてらっしゃる、そしてやっと魔力の充填が完了した。

 

「さて、では始めよう。意識を保てよ? まあ、気絶しても再生するならやり続けるつもりだがな」

 

まさに悪魔の一言、いや絶望の一言。

 

「まず手始めに……命は壊さない、その文明を粉砕する……」

 

アルテラの詠唱とともに軍神の剣が回転を始める、小さき剣に収束された魔力が脈動する。

そして、アルテラの蹂躙の一手が……

 

【軍神の剣】(フォトン・レイ)!!」

 

圧倒的な魔力の閃光により切って落とされたのだった。




さて、緑の男の正体はFateからレフ・ライノールさんでした。
まあ、ほとんどの人が予想してましたけどね。
さて、やっと書きたかった話をかけました。

レフの設定ですけど、レフ・ライノール・フラウロスと魔神フラウロスは別々の人と考えてくれればいいと思います。

次回の投稿は如何なるかわかりません。
作者に話のストックというものは存在しません。
書いたら即投稿がもっとうです。まあそのせいで誤字が多いんですけどね。

なので当分はネタをあっためるのとハイスクールの原作を読みたいと思います。
まあでも、次回話はもうできているのでもしかしたら気分で投稿するかも。

まあとりあえず次回もよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。