我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

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やっと戦闘回、まあ、戦闘と呼べるかいささか疑問ですけどね。

それでは、本編をどうぞ。

〜追加〜

ランク評価を変えました、てか自分で書いていて考えるのが面倒だったので辞めました。
分かりづらいこと書いてすいませんでした。


第5話 哀れな悪魔 カテレア・レヴィアタン

どうやら無事に転移したようだ。

 

さて、それじゃあ目の前の面倒ごとに向き合うか。

 

アルテラがそう思い前を向くと床に現れた魔法陣を見て、三大勢力のトップの面々は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「……レヴィアタンの魔法陣」

 

魔王の呟きにゼノヴィアが反応する。

 

「ヴァチカンの書物で見たことがある……アレは『旧魔王レヴィアタン』の魔法陣だ……」

 

魔法陣から現れたのは1人の女性。

胸元が大きく開き、深いスリットの入った何とも露出の多いドレスに身を包む、さながら痴女のようだ。

何だ、やっぱりお前か。

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿?」

 

不敵な物言いで、サーゼクスへの挨拶を口にする女性。

 

「先代レヴィアタンの血を引く者……カテレア・レヴィアタン。これは一体どういうことだ?」

 

サーゼクスに問われた女性、カテレアは挑戦的な笑みを浮かべて話す。

 

「旧魔王派の者達はほとんどが【禍の団】に協力する事に決めました」

 

「……新旧魔王サイドの確執が本格的になったわけか……。あらら……悪魔も大変なこった……」

 

アザゼルは他人事のように笑い頭を掻く。

 

「カテレア……それは……言葉通りと受け取っていいのだな……?」

 

悲しそうな表情を浮かべて言葉を吐き出すサーゼクス。

しかし、そんなサーゼクスをよそにカテレアは誇らしげに口を開く。

 

「サーゼクス、その通りです。

今回のこの攻撃も我々が受け持っております」

 

「……クーデターか」

 

『現魔王派』に対する『旧魔王派』の反乱。

それをこの和平を願う会談出するところを見ると余程『現魔王派』が気に入らないらしい。

まったく、悪魔は脳筋なのだろうか?

知的生命体の特権である話し合いはどこいった?

アッティラ時代の私ですら敵軍に攻め込む前は敵の将に和平を持ちかけたぞ。

 

「……カテレア、何故なんだ……?」

 

「サーゼクス、それは簡単なことです。

今日この会談のまさに逆の考えに至っただけなのですよ。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私たちはそう結論付けました」

 

至った思考は真逆の、戦乱を望むもの。サーゼクスの顔は更に曇る。

 

「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?……到底そうとは思えないんだがな……」

 

アザゼルの問いかけにカテレアは溜息を吐く。

 

「そんなはずがないでしょう?オーフィスには、力の象徴として力を集結する為の役を担って貰っているだけ。言わばお飾りのトップです。彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度構築します………新世界を私たちが取り仕切るのです!」

 

そう言って高笑いを始めるカテレア。

それはもう嬉しそうに。ああ、彼女は本当に………

 

「………哀れだな」

 

「……何ですって?」

 

私の呟きが広がった。

それを境にその場に静寂が訪れる。

そして自分の事を哀れと言われたためかカテレアは今まで気づかなかったアルテラに視線を向ける。

そして彼女を見るとまた調子を取り戻したように不敵に笑う。

何だ、私のことを知らないのか……まあそうか、私って殆ど外に出ないし、英雄派の奴らとしか会ったことないのか、それならこの反応も分かる。

 

「ふん、誰だと思えば人間ですか? しかもなんの力も感じない一般人……不敬です、死になさい!」

 

カテレアはそう言うとアルテラに向かって特大の魔弾を放った。

そしてその魔弾はそのままアルテラに着弾し爆発を起こした。

自分の魔弾が着弾したのを見たカテレアはサーゼクスに向き直る。

 

「人間風情が、やはりただのゴミでしたか。まあいい、さて、話を戻しましょう……か……」

 

しかし、その行動は最後まで続かなかった。

それは一体なぜ?

簡単だ、それは……

 

「……何かしたのか?」

 

魔弾が着弾した場所。

そこには傷一つ負っていない無傷のアルテラが以前変わらず椅子に座っていた。

その光景に驚愕するカテレア。

 

「くっ、ただの人間風情がなぜ私の魔弾で無傷で座っている!」

 

「さてな、自分で考えればどうだ?」

 

アルテラは不敵な笑みをカテレアに向ける。

別にこれといって特別な事はしていない、アルテラは文字道理、“ただ座っていた”だけだ。

アルテラの言葉にプライドが刺激されたのか怒り狂うカテレア。

 

「たかだか人間ごときが調子にのるな!!」

 

「沸点が低いな、まあいい。すまないが彼女の相手は私がしよう。構わないか?」

 

アルテラは念のためアザゼルたちに問うた。

私の問いにサーゼクスは苦渋の表情で考えている。

 

「いや、しかし……」

 

「構わねえぜ、お前がやらなきゃ俺がやっていただろうしな。それにどうせもう手遅れだぜサーゼクス。すでに彼奴は敵だ、魔王なら、それくらいの事は分かるだろう?」

 

「……そうだな、けど最後に……カテレア。降りるつもりはないんだな?」

 

「何を当然のことを。ここまでしておいて投降など……ありえません」

 

「……そうか。残念だ」

 

そういってサーゼクスは目を伏せた。

はあ、甘いなこの男は、本当に甘い。

悪魔らしくない悪魔だ、むしろ悪魔的に言えばカテレアの方が悪魔らしいだろう。

まあしかし、これが現代の悪魔の形なのかもしれないな。

私はそう思いながら、カテレアに視線を戻した。

 

「ここは狭すぎる。外に出ようか、哀れな悪魔よ」

 

「はっ、良いでしょう。格の違いを見せてあげましょう」

 

私とカテレアは外に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

カテレア・レヴィアタンは苛ついていた。

今回の作戦は協力者から送られた情報を元に練られ、ハーフヴァンパイアの神器を使って時間を止め、魔導師たちの物量で時間稼ぎをしているうちに動けない彼らを倒す算段だった。

オーフィスから蛇をもらった私なら各勢力のトップたちを殺すことができると思っていた。

しかし、そんな彼女の思想は一人の人間によって破綻した。

いや、破綻したといったが少し違う、どちらかと言えば修正可能で些事にもならないものだ。

本来ならそれぞれのトップの誰かと戦うつもりだった。

しかし何でかその場にいた人間と戦うことになった。

 

私は目の前の人間に視線を向ける。

やはり何も感じない、力がある者は何かしら気配を感じる、それは人間にも当てはまる。

禍の団には英雄派という神器を持った人間たちの集まりがある。

そんな奴らでも力や気配を感じるのに目の前の存在から何も感じない。

不自然なほど気配が薄い、注意して見ないと見失いそうなほど影が薄い。

 

「はん、空を飛べないとは、人間とはやはり劣等種ですね」

 

「ああそう、どうでも良い。さて……」

 

私の皮肉も何のそので無視してこちらに向かって手招きをしてこう言った。

 

「ハンデをやろう」

 

「……は?」

 

何をいっているんだこの人間は。

 

「これから五分間、私は防御もしなければ攻撃もしない。私を殺せればお前の勝ち……面白いだろ?」

 

「……本気で言っているのかしら?」

 

私は頬がひきつるのを感じた、何だこの人間は、理解できない。

そして私の中で一つの結論が出た。

相手が何者であろうともう関係ない、こいつは私が殺してやる!

 

「身の程をしレェ! 人間如きガァ!」

 

カテレアの周りに大量の魔法陣が浮かび上がる。

その大きさは半径10メートル、そしてその一つ一つから最上級悪魔クラスの魔力を感じる。

腐っても旧魔王の家系、その魔力量は現魔王と遜色がない程高い。

 

そして全ての魔法陣から極大の魔弾がアルテラに向かって降り注ぐ。

 

大地を削り、余波で木々がへし折れ、爆音が響く。

無限と思われるほどの魔弾の雨が降り注ぐ。

 

流石に疲れたのか魔弾を撃つのをやめるカテレア。

未だ砂煙が舞っているがあの魔弾の雨だ、いくら魔王でも無傷では済まない威力だ、何の力もない人間が耐えられる威力ではない。

 

「はは、大口を叩いた癖に所詮この程度か。やはり人間は劣等種でしたね」

 

カテレアは自分の勝利を確信した。

アルテラを殺した故か先程までの怒りも静まっていた。

そして無駄に警戒していた自分を恥じた。

己が真なる魔王と思っている彼女は無駄に力を使ったことに恥じていた。

ある程度自分を恥じた後彼女は本来の目的であるサーゼクスたちの元に向かおうとした。

しかし、彼女は知らなかった。

自分が相手にしているのが……

 

 

「…………五分経過。時間切れだ」

 

 

化け物である事を。

 

「……なっ!」

 

声が響いた、その声が聞こえるのはあり得ない。

カテレアは振り返る。

そして自分が先程まで攻撃していた地面を見る、未だ砂煙でよく見えないが、そこに人影が浮かび上がった。

そして次第に砂煙が晴れていく、そしてそこにいたのは……

 

「大体旧魔王の二分の一の実力か……その程度でよく真なる魔王を語ったものだ」

 

大きなクレーターができていた。

地面は焼け焦げ、大地はえぐれている。

しかしその中心地点だけは以前と無傷、そしてそこには無傷のアルテラが眠そうに欠伸をしていた。

それを見たカテレアはあり得ないものを見るようにアルテラを見て声をあげる。

 

「馬鹿な! 一体どうやって」

 

「先程も行ったが自分で考えろ……と言いたいが良いだろう。冥土の土産だ教えてやろう。まあこれといって何かやっていた訳じゃない、私は防御もして無ければ攻撃もしてない。そう、ただ“立っていただけ”それだけだ」

 

「あり得ない! 現魔王ですら重傷を負う威力だぞ! 何の力も持たない人間如きがどうやって……」

 

カテレアはアルテラの言葉に否定の声を上げる。

しかし事実アルテラは立っていただけだけだ、アルテラには対魔力スキルがある。

その効果は自分のランク以下の魔術、魔法の無効、ランク以上なら半減の効果がある。

詳しい説明もあるがぶっちゃけ面倒なので省く、簡単にいえばアルテラの対魔力のランクよりもカテレアの魔力の強さが弱かった故、魔法が無効化されたのである。

 

「さて、五分間もたった事だし反撃させてもらおう」

 

「人間が! 調子に乗るなぁ!」

 

カテレアはアルテラに向かって再び魔弾を放つ。

 

「無駄だ」

 

しかし魔弾はアルテラに当たる前に煙のように霧散した。

 

「なっ! 馬鹿な! あり得ない!」

 

カテレアは顔を赤くしながら攻撃を続ける。

しかし先程の焼き増しのように魔弾はアルテラに当たる前に霧散する。

 

「はあ、いい加減にうざいな、フン!」

 

アルテラが地面を蹴ると地面が陥没した、そして一瞬のうちに空飛ぶカテレアの前に到達した。

 

「なに! ガァっ!」

 

そしてそのままカテレアを頭から蹴り落とす。

地面に向かって落ちるカテレア、あまりの威力に地面にクレーターが出来上がった。

ただ蹴られただけだというのに体がボロボロに傷ついたいた。

アルテラの攻撃はどんな攻撃も破壊の特性を得る。

故にただの蹴りであろうと彼女の攻撃は破壊の一撃となる。

 

「カハッ……くそ……なん……で」

 

地面に縫い付けられたカテレアが悪態を吐く。

いったい、何が……

足音が聞こえる、ザッザッとこちらに近づいてくる。

 

「何で、か。別に難しい話ではないだろう。お前が私の力を見誤った、ただそれだけだ。そもそも【停止世界の邪眼】(フォービドウン・バロール・ビュー)で止まっていない時点で私が何かしらの力、または圧倒的な実力を持っていることくらい予想できたと思うが……まあ、今更な話か」

 

地面に埋まるカテレアに話すアルテラ。

彼女の言葉に何も言い返すことのできないカテレア。

彼女のいった言葉は当たり前のことで本来なら候補として考えておかなければならない事であった。

しかし人間を劣等種、ゴミと思っているカテレアはそんな事を考えもしなかった。

それに加えアルテラから何の力も感じなかった故に弱いと侮った事も悪かった。

まあ、今更論であるが結局は考えつかなかっただけである。

 

「さて、そろそろ終わりにしようか」

 

「まだ……まだよ、まだ……終わら……ない」

 

カテレアは傷ついた身体を無理矢理おこす、そして胸元から一つの瓶を取り出した。

その瓶を見てアルテラは呆れたような顔になる。

そんな彼女の雰囲気を知らないカテレアは喋る。

 

「本当はサーゼクスたちとの戦いのためにとっていたけど……光栄に思いなさい人間、貴方は初めて真なる魔王の力を見ることができるのよ!」

 

「……はあ、オーフィスの蛇か、確かにそれを使えばお前の力は底上げされるだろう。だが辞めておけ、お前じゃ扱えない。何より……」

 

アルテラが最後まで言葉を発することなくカテレアが高らかと喋る。

 

「ふふ、戯言を、真なる魔王である私が扱えない力があるわけないじゃない! これで貴方を今度こそ完膚なきまで殺してあげる!」

 

アルテラの制止を無視してオーフィスの蛇を飲み込むカテレア。

それと同時にはカテレアから黒い魔力が溢れ出る。

 

「はははは! 素晴らしい! これがオーフィスの力、これが無限。先程までの痛みが嘘みたい!」

 

ハイテンションになったカテレア、そんな彼女を同情の視線で見つめる。

そしてカテレアは高らかと喋ろうと……

 

「さあ、この力で貴方を殺し……て、あげ……る」

 

したが、その言葉は続かなかった。

アルテラを見つめるカテレアは声が出なかった。

いや違う、声だけじゃない、身体もまるで石になったように動かなかった。

そんなカテレアの状況を見ているアルテラはため息を吐いた。

 

「だから言ったのに……馬鹿な奴だ」

 

何故カテレアがこんな事になっているのか知っているアルテラは呆れたようにため息を吐く。

 

「どう……貴方……は、いったい……何な……の?」

 

「私か? そういえば名乗っていなかったな。私の名前はアルテラだ」

 

カテレアがアルテラのその名を聞くと、顔がどんどん青くなっていく。

 

「ふむ、やはり感じるか。さて、自分がどうなっているのかわかっていない顔だな。まあ少ない親切心だ、教えてやろう」

 

アルテラはそうしてこう言った。

 

「お前はオーフィスの蛇を飲み込んだ。そのお陰で確かにオーフィスの力の一部を得ることができた。それ故に、私という生物を理解してしまった。それがその状態の原因だ」

 

アルテラは普段、気配遮断の他に、自らの存在を偽る封印をかけている。

しかし無限と夢幻ドラゴンたちという最強のドラゴンたちにはこのスキルも封印による偽装も意味をなさない。

故にオーフィスの力の一端を得たカトレアは、今まで感じることのなかったアルテラの本当の気配を感じてしまった。

 

つまりカテレアは恐怖で動けなくなっているのだ。

 

「……………」

 

「……精神が死んだか。魔力が多くても精神力は弱かったようだ。まあ仕方がないか……まったく、オーフィスの力の一端を得たとしても私に勝てるわけないだろう」

 

オーフィス自身との戦闘なら今の自分でもどちらが勝つかわからない。

しかし、オーフィスの力の一端を得た程度の相手に負けるわけがない。

 

アルテラは興味を失ったようでカテレアに背を向ける。

もう、彼女の精神は死んだ。

直視してしまったから、彼女が何者であるのか、自分が相手にしているのがとんでもない化け物であると理解したから。

 

「はあ……虚しいな」

 

ポツリとアルテラはそう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやおや、負けてしまったのですかカトレア?」

 

戦場であるこの場所には場違いなほど陽気な声が響いた。

そしてアルテラは振り返った。

そしてそこにいたのは……

 

「どうも初めまして、可哀想な人間」

 

そこには緑のスーツとシルクハットを被った男が笑顔で立っていた。

 

「取り敢えず、死んでくださいな」

 

そうして男は手に持っていた槍でアルテラを突き刺した。

 




まあ、アルテラさんだもん、仕方ないね。

コカビエルが消滅死だったので、カテレアは精神死にして見ました。
カテレアはファンさんにはすいませんが。
あと、作者はカテレアさんは嫌いじゃないですよ? どちらかといえば負けキャラとして好きです。

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