我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

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第2話 堕天使アザゼル襲来

 

「………………眠い」

 

アルテラは私服で町を歩いていた。

コカビエルを倒した彼女はそのまま自分で砕いた空間に戻りその場を離脱した。

その際にグレモリー達が色々と騒いでいたが興味ないので無視した。

それにしても。

 

「………私らしくもない」

 

アルテラは昨日の自分の行いを疑問に思っていた。

疑問とは、なぜ自分がデュランダル使いを助けたのかと言う事だ。

彼女にとって人間とは守る対象である。

それは人間に憧れを持っているからである。

 

前世が人間だった故に、この世界の人間の扱いが気に入らない。

だから彼女は曹操の罪なき人々を守ると言う目標に協力している。

しかしそれはあくまでも力を持たない人間や、神器の所為で迫害された者達限定の話である。

他勢力の人間や悪魔に転生した人間、そんな者達は彼女にとって守る対象になり得ない。

なら何故デュランダル使いの彼女を助けたのか?

 

アルテラは考える。いや、考えるまでもなかった。

 

「……ふふ、私も存外甘いのかもしれんな」

 

惜しいと思った。ただそれだけだった。

それは何故?

 

天然の聖剣使いだったから? 違う。

 

彼女の魂が可能性に満ちていたからだ。

助ける理由はそれだけで十分だった。

 

今の私は人であるが本来の私は巨人、そして捕食遊星を喰らった事で遊星の化身から遊星の星霊となった。

星霊とは神とは違い星が生み出した生命であり、神とは一線を記す力を持っている存在。

その力は天地創造すら可能とする権能を有する。

故に神にできることはだいたい可能だ、なので命を持つ魂を見ればその者がどんな星の元生まれたのか一発でわかる。

そんな私から見て彼女の魂はとても輝かしかった。

 

「さて、これからどうするか」

 

今回の件はすでに曹操に連絡しており、等分ここで過ごすことを伝えてある。

せっかく久々の外出なのでこれぐらいしてもいいだろう。

その証拠に今私は駒王町のホテルに泊まっている。

それを伝えた時に曹操の機嫌が変に良かったが、一体どうしたのだろうか?

 

「……腹が減った」

 

コンビニで本と弁当買ってこよ、何となく面倒ごとが起きる気がするがすぐ帰れば大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めましてだな。お前がアッティラであってるか?」

 

何と言うか、フラグとは怖いものだなと実感した私であった。

 

買い物に行く途中、スーツを着たイケメンなおじさんに声をかけられた。

その歳でナンパか? と思ったがその魂の色から彼が人間ではないとわかるのでそれはない。

そして彼は私のことを知っている。

うん、厄介ごとの予感。

 

「人違いだ……と言っても、既に裏は取れているのだろうな」

 

「ああ、うちのもんからの情報と、おめえの可笑しい雰囲気でな」

 

はあ、やはりご飯を我慢するべきだったか……いや、腹が空いたら仕方がないか。

 

「それで、私に何の用だ?」

 

「まあそう急かすなよ、立ち話も何だし少し付き合えよ、な?」

 

それ、拒否権ないよな、それ。

どうしようか、別に倒してしまってもいいのだが、その後に起こる厄介ごとを考えると……仕方がないか。

 

「……いいだろう、話ぐらいなら聞こう、堕天使総督殿」

 

「ッ!!……お見通しってわけかい。まあいいか、じゃあついてきな」

 

そう言って歩き出した彼、私はそんな彼の後ろについて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おじさんに連れられるままきたところはこの時間帯には珍しく空いている居酒屋だった。

私とおじさんはその店の座敷にいる。

 

「それで話とは何だ?」

 

「まあそう急かさんな、取り敢えず自己紹介からか?」

 

「別にいらん、お前のことなら知っているさ、アザゼル」

 

「だろうな、まあ一応な?」

 

ふむ、面倒だが仕方がないか、これも礼儀を示す一つだしな。

 

「よし、じゃあ俺からだな。 堕天使総督のアザゼルだ。趣味は神器の研究、よろしくしようぜアッティラ」

 

「嫌だ」

 

「即答かよ、酷いねぇ」

 

アザゼルは可笑しそうに笑う。

上っ面だけの笑いだとすぐ分かる。

 

「さて私だな、私の名前はアルテラ。一応アッティラの子孫となっている。しかしそのその名は好かん、故にアッティラでは無くアルテラと呼べ」

 

「……成る程な、いいぜよろしくなアルテラ」

 

「よろしくしたくないな」

 

「さっきからひどくねぇか!」

 

今度は本当に悲しそうな顔をする。

何と無く苦労人臭がするなこのおじさん。

 

「はあ、話を戻すぜ。この前はコカビエルが世話になったな。本当ならうちの奴がケリをつけるはずだったんだが……」

 

「知らん、お前たちの対応が遅いのが悪い」

 

「ごもっともで。その件についてはこちらの不手際だ。もっと早く行動していれば……」

 

アザゼルは申し訳なさそうに喋る。

ふむ、堕天使総督とは初めて会うが……成る程、思いの外良心的な人物らしい。

 

「それで今回の一件、俺達に不手際があった以上、三勢力が集まって会合を開くつもりだ……で、物は相談なんだが、今回の三大勢力の会談。お前さんにも参加してもらいたい」

 

「何故だ?」

 

いや、だいたい予想できるけど……一応、ね。

 

「いやなに、コカビエルを倒した奴がいた方が話が進みやすいと思ってな」

 

やっぱりね、まあ腐ってもコカビエルは聖書に名を連ねる堕天使、それをどこの誰とも分からない人間が倒しとあっちゃ仕方ないかな。

 

「……で、本音は?」

 

「面倒ごとの原因はお前にもあるんだからついて来いやコラァ……だな」

 

正直でよろしい。

しかし会談……正直三大勢力の会談なんて興味ないんだがなぁ。

天使と悪魔と堕天使が停戦を結ぼうと私にはどうでもいい。

まあ、旧魔王派どもがなんかするだろうが……やっぱどうでもいいな。

私あいつら嫌いだし。

 

「普通は嫌だろうな、少なくとも俺は嫌だ。だからここは一つ。お前さんの願いを聞いてやるって事でどうだ? 何せ、今回の一件で三勢力全てに貸しを作る形になったわけだからな。余程のことでなけりゃ、俺もあいつらも叶えてやると思うぜ?」

 

願いねぇ……正直なところ簡単な願いなら自分で叶えられるしそこまで叶えたい願いってないんだけどなぁ……いや、今思いついた。

これなら彼らに頼んだ方がいいか。

 

「……いいだろう。日時などは決まり次第連絡してくれ」

 

「おう、わかった」

 

私はアザゼルに自分の携帯番号を書いた紙を渡す。

 

「さて、めんどくさい話も終わった事だし、なんか頼むか?」

 

「ん、そうだな」

 

そう言えばここは居酒屋だったな、話の事ですっかり忘れていた。

腹もいい加減空いてきたし丁度いい。

 

私はアザゼルの言葉に甘えてご飯を頼むのんだ。

あらかたご飯を食べた私はそのまま家に帰るのだった。

その時会計の領収書を見たアザゼルの顔が印象的であった。

 

そして数日後、アザゼルから日時の連絡をもらった。

会談が楽しみだな。


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