我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

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どうも、久しぶりの白夜叉です。

ちょっとスランプに陥ってまして、まだまだスランプ気味ですが、とりあえず書いたやつを投稿します。

それから、これを投稿したらまた期間が空くと思います。
頑張って続きを書くので待っていてください。

それでは、本編をどうぞ。


第11話 出オチって、よくあるよね?

小猫との修行から数日。

ついに修行期間が終了し、久々に皆が集合した。

やはり修行の影響か皆二週間前に比べると見違えるほど強くなっていた。

一誠もどうにかこうにか禁手に至ったらしくとても晴れやかな表情をしていた。

参考までにどうやって禁手に至ったか聞いたところ、一誠は「俺、大人になったんですよ」と一言だけ言っていた。

正直わけがわからない。

その話をしていた時にリアス部長は顔を赤くして、アザゼルは大笑いしていたのできっと何かあったのだろう。

まあ何であれ一誠には禁手おめでとうと一言言っておいた。

そして皆が次の日のパーティーに備えるためにその日はすぐに就寝した。

 

そして次の日の夕刻、私は悪魔達のパーティーに来ていた。

正直、なぜ私が悪魔達のパーティーに出席しているか不思議に思う。

リアス部長達に無理やり連れてこられ、流されるままにメイド達にドレスを着させられた。

そしてそのまま悪魔のドラゴン、タンニーンに乗って会場に向かい、そして現在に至る。

 

ほんと、何でこんなことになっているんだ?

 

私は沢山の悪魔達が楽しそうに談笑をしているのを見ながらテラスで惚けていた。

正直、悪魔達のパーティーに今は人間である私にどうしろと?

 

「暇そうですね。アルテラ先輩」

 

「ん? ああ、誰かと思えば小猫か」

 

私は自分の近くに来た小猫を見てそう返す。

 

「折角のパーティーなのに、アルテラ先輩は混ざらないですか?」

 

「……はあ、知ってて言ってるだろ?」

 

「はい、もちろんです♪」

 

私は、こちらに向かって可愛らしい笑顔を浮かべる小猫を見てため息を吐いた。

 

ほんと、何でこんな風になっちゃったんだろう。

修行で小猫に限界を超えさせ尚も肉体を極限まで苛め抜く、小猫がやっていた我武者羅な方法ではなく、理論と経験をもとにした改造、もとい修行は良くも悪くも小猫を変えた。

 

未だ私以外にはこんな風に無邪気な姿は見せないが、彼女の心の闇となっていた膿はとり除けたと思う。

 

しかし本当に人間なにがあるか分からないな、小猫は元は猫又で、今は悪魔だけど。

正直鍛えた私が言うのも何だが小猫は相当な実力を得たと思う。

 

それと同時に何故か私は小猫にとって大切な家族として認識されたらしい。

 

昨日の夜もいつの間にか私の布団の中に乗り込んで来たから注意したら。「ごめんね♪」と楽しそうに笑顔を浮かべなおかつその見た目を最大限利用した攻撃を私にはなって来た。

なるほど、これが一誠の言っていた『萌え』と言うものか、とあの時は鼻血をこらえながら思い出したものだ。

 

「いきなり無言になってどうしたんですか?」

 

「……いや、何でもない」

 

「変なアルテラ先輩ですね♪」

 

小猫の変わりように思考が明後日の方に向かっていたとは口が裂けても言えない。

 

はあ、何故こんなことに、オーフィスといい、小猫といい、私はロリっ子に好かれる星のもとにでも生まれたのだろうか。

 

まあこの話はいい。

 

私は話題を変えるために小猫に話しかけようとした。

 

「そう言えば小猫「白音」……」

 

しかし、私の言葉を遮るように小猫が喋る。

 

「えっと、小猫「白音です」……」

 

無言の笑顔で私を見つめてくる小猫。

これは呼ばなければいけないのか? 白音は小猫と名前がつく前の名前。

私基準で言えば真名みたいなものか、しかしそれを呼べと言うことは……

 

「いいのか、私で?」

 

「……先輩だからですよ」

 

小猫、いや白音はそう恥ずかしそうにそう言った。

 

ああもう、可愛いいなこの野郎。

少し言葉が乱れた、しかし白音が可愛いのは事実なので否定はしない。

 

「では……白音、これでいいか?」

 

「はい、有難うございますアルテラ先輩……アルテラ姉様」

 

と、白音は顔を赤くしながら私をそう呼んだ。

 

やばい、まじ可愛い、これは黒歌が自慢するのもわかる。

こんな小さい子に姉様なんて呼ばれたら愛が鼻から流れ出そうだ。

 

いかんいかん! 私はロリコンではない。

ましてや、あんなシスコンと同類でもない!

 

何とか持ち直した私は明鏡止水の心で平穏を取り戻し話の続きを喋る。

 

「ところで白音、体の調子はどうだ?」

 

「はい、概ね問題ないです。むしろ今まで以上に体を自由に動かせるようになりました。少し前の私ならいきなりの変化に戸惑っていたかもしれませんが、アルテラ姉様のつけてくれた修行のおかげでどうにか力をコントロールできています」

 

「そうか、やはり彼奴の力は白音と相性が良かったらしいな。正直私もここまで白音が成長するとは思わなかった。全く、ヒトとは本当に面白い」

 

私は白音を見ながらそう呟く。

修行の時間が足りなくて正直どうしようかと思っていたが土壇場で白音が急成長してくれたおかげで何とか形になった。

 

私は白音とテラスから森を眺めながらそう呟く。

 

「なあ、白音」

 

「なんですか、アルテラ姉様」

 

「再三聞くようで悪いが、答えてくれ。白音にとって力とは、一体なんだ?」

 

私は修行の間も何度も聞いた質問を白音に投げかける。

正直、この言葉に意味はない。

何故なら力なんてものは本人がどう思っていようと圧倒的脅威であることに変わりない。

 

しかし私は聞かねばならない。

彼女を鍛えた者として、彼女に力を与えた者として。

 

私の投げかけた問いに白音は考える間も無くこう言った。

 

「何度聞かれても私の返答は変わりません。例えどんな強大な力を得ようと、どんな暴力的な力を得ようと、私が力に求めることは一つです」

 

白音は私の方に振り向きこう言った。

 

「その力は私の敵を倒すにたる力であるか。それだけです」

 

白音は笑顔でそう私に向かって宣言した。

そしてそんな白音の返答を受けた私は。

 

「くくく、そうか。本当に私にはもったいないほどお前はいい弟子だよ、白音」

 

アルテラは心底嬉しそうにそう笑った。

 

いやはや、本当に似ているな。

見た目も違う、性格も違う、性別も違い、種族も違う、だと言うのに白音の姿からは昔の彼奴が重なって見える。

いつも獰猛な瞳で私を見るあの人間に。

 

私は嬉しくて笑っていると私の魔力探知に何かがかかるのを感じた。

 

そしてその魔力の質と大まかな数を認識した私は深くため息を吐いた。

 

「はーーー、こんな時に奴らか」

 

「アルテラ姉様、これは……」

 

白音も感じたのだろう。

そして私は白音と一緒にコッソリ会場から出て外に向かった。

 

白音は未だ心配そうな顔になっている、私は彼女の頭に手を置いて撫でる

 

「心配するな。確かに数は多いが、まだ対処できないほどじゃない」

 

私はそう白音に言い聞かせると電話を取り出して彼奴にかける。

電話のプルプルという音が数秒なり、そして件の相手につながった。

 

「もしもしアルテラだ、今暇か? アザゼル」

 

『いきなりなんだよアルテラ。こちとらサーゼクス含んだ魔王たちと楽しく酒飲んでいたのに、そもそもお前は……』

 

酒の入った親父よろしく鬱陶しく長話をしようとするアザゼル。

しかし私はそれを無視して急かすようにアザゼルに聞かせる。

 

「単刀直入に言う。この会場に向けて不明な魔力を感知した。十中八九『魔神の団』だろうな。数はおよそ数百、未だ増え続けていることから魔物、または召喚獣であると思われる」

 

『おい、それマジか?』

 

あまりの衝撃に酔いが覚めたのかいつもの調子に戻るアザゼル。

 

「マジだ」

 

『おいおい、勘弁してくれよ。こんな時まで襲撃かよ、本当に面倒くせえなあ』

 

「同感だ……さて、そこで提案なんだが、今回の件、私に任せてはくれないか?」

 

『……何?』

 

私の言葉に訝しむ声を上げるアザゼル。

 

「何、折角のパーティーだ、そちらも水を差されたくないだろう。それに相手は隠密に長けているようで、未だ他のもの達には感知されていない。故にこのまま私が出向いてかたををつける。いい提案だろ?」

 

『………け、いいぜ、その話で構わない。しかしお前でもバレずにその数を相手にするのはキツいんじゃ無いか?』

 

確かに、いくら私が強くてもここにいるもの達誰一人にバレることなく殲滅することは無理だろう。

 

私個人の気配は隠密できても破壊の余波の爆音まで消せるわけでは無い。

 

しかしそんな事は百の承知だ、故に手は打ってある。

 

「安心しろアザゼル。すでに手は打ってある」

 

『あん? それはどういう……』

 

アザゼルの言葉は最後まで続く事はなかった。

何せ電話が切れてしまったのだから。

 

私たちがいた会場のビルには透明な壁のようなものが覆っていた。

 

「アルテラ姉様、これは……」

 

「なに、私の仲間の一人がやったんだ。幹部に結界張りのプロフェッショナルがいてな、これはそいつの結界だ。これなら一時間ぐらいなら魔王達にもバレないさ」

 

アザゼルがどう行動するか分からないがな。

まあ、何とかするだろ。

 

「ふむ、結界が貼られたという事はそろそろか」

 

「?……いったい何のことですか?」

 

白音が首を傾げていると私の目の前に大きな魔法陣が現れる。

 

そして魔法陣からは4人の人影が現れる。

 

「ふむ、久しいな皆」

 

「ああ、久しぶりだなアルテラ」

 

「元気そうにゃ!」

 

黒い和服の女性と黒い学ランを着た白髪でボサボサの長髪をしている男性がアルテラに挨拶をした。

 

初めに出て来た二人の片方を見て白音が目を見張る。

 

「んにゃ! 白音、何で!」

 

黒い和服の女性、黒歌も白音を見て驚いていた。

 

「黒歌、姉様……」

 

子猫はゆっくりと黒歌に向かって歩いて行く。

そんな白音を見て黒歌も戸惑いながらも自分の妹を迎えようと手を広げる。

 

そして姉妹の感動の再会が……

 

「アルテラ姉様直伝、猫殺し!」

 

「え? フギャッ!」

 

しかし白音は黒歌の顔面に向かって私が戯れに教えた必殺技のパンチを黒歌に向けて放っていた。

飛んだ黒歌は地面に顔を擦られて、数十メートルの所で止まった。

 

「おお、綺麗に入りましたねぇ」

 

「……死んだか」

 

白髪の男性の後ろにいた緑の男女は黒歌の飛びよう感想を漏らす。

 

「死んでにゃーい!」

 

しかし流石は黒歌、白音の割とガチな一撃を受けてもピンピンとしている。

そしてゆっくりこちらに戻ってくる。

 

「白音酷いにゃ! お姉ちゃんとの感動の再会のはずでしょ、なのに何で殴るのにゃ!」

 

「数十年私を置いてどこほっつき歩いてたんですか、という意味を込めての打撃ですよ黒歌姉様」

 

そう言われた黒歌は押し黙る。

そして白音は私の後ろに隠れ。

 

「それに今の私の姉様はアルテラ姉様です。昔の姉はお呼びじゃないです」

 

そんな白音の言葉を聞いて黒歌がガーン!という効果音が出そうなほど落ち込んだ。

 

「あー、すまないが話をしてもいいか? 割と時間がないからな」

 

「ああ、黒歌は気にしなくてもいい、このシスコンはすぐに復活する」

 

私の言葉通り数秒後復活した黒歌を入れて話が始まった。

 

「まず、いきなり呼び出してすまんな。何分急なことであった故」

 

「そこは気にするな。ちょうど暇していた所だ」

 

白髪の男性がそう返す。

私の服の裾を掴んで引っ張る白音。

 

「ん? 何だ、白音?」

 

「今更ですけど、この人たちは誰ですか?」

 

白音は不思議そうに彼らを見て言った。

 

そう言えば白音は彼らと会うのは初めてであったな。

 

「時間もないが、仕方ない。すまんが黒歌以外は自己紹介をしてくれ」

 

「何で私を抜くにゃ!」

 

いや、お前の事は白音も知ってるだろ。

 

そして私の言葉に苦笑しながらも残りの三人は自己紹介をする。

 

「確かに、自己紹介は大事だな。俺はジークフリート、英雄シグルドの血を継ぎし者だ。英雄派では幹部をやっている、よろしく頼む」

 

白髪の男性、ジークは白音にそう紹介する。

 

「次は自分すか。自分はまあ、ロビン・フット、義賊ロビン・フットの魂を継ぎし者でさぁ。元々は孤児でして今はロビンの名を名乗ってます。気軽にロビンでいいぜ」

 

オレンジの髪にフードを纏った男、ロビンはそう名乗る。

 

「最後は私か。私はアタランテ、アルカディアの女王、アタランテの血を継ぐものだ。因みにこの耳と尻尾は遺伝だ、別に妖怪というわけではない」

 

金から緑のグラデーションの髪をしたケモ耳尻尾の女性、アタランテはそう名乗った。

 

「さて、自己紹介も済んだことだし早速命令をだそう。まずアタランテとロビンは左翼を、ジークと黒歌は右翼を、中央は私……と、白音がやる」

 

白音の瞳は私を見つめ自分も出ると言っていた。

 

「ちょっと待ってよアルテラ。白音にもやらすの」

 

案の定黒歌は白音の身を案じて反発する。

しかし私は白音の頭を撫でながら黒かに説明する。

 

「なに、白音は今回は見学だ。間近で実践を見て勉強した方がいいと思った故の行動だ。異論はあるか?」

 

私の言葉におし黙る黒歌、しかしその顔は未だ納得していないようだ。

まあ姉である黒歌が妹の白音を心配する気持ちはわかる。

だがしかし。

 

「安心しろ黒歌。私が断言する、今の白音は強い。なんせ人外では2人目の『覚醒者』だからな」

 

私の覚醒者という言葉に驚く4人、まあ、普通は驚くよな。

英雄派でも今の所は黒歌以外に人外の覚醒者は出ていない。

実質的に白音で2人目の少ない成功例だ。

 

「嘘! 白音が覚醒者! 一体誰のよ!」

 

「黒歌に続いて妹もか、これは凄いな」

 

「へー、んじゃ、お仲間ってことだな」

 

「仲間ですか?」

 

ロビンの言葉に白音が疑問符を浮かべる。

その疑問に答えるように私が説明した。

 

「言い忘れていたが此処にいる四人は全員が覚醒者だ、英雄派の戦闘員の五分の一が覚醒者で構成されている」

 

「……そうなんですか」

 

白音は感心したようにそう呟く。

私は目の前の冥界の森に視線を向ける。

 

「さて、では時間だ。出来るだけ森は破壊するなよ」

 

「アルテラさん。奥の手使って一掃していいすか?」

 

「……まあ、別にいいか。だが加減はしろよ? お前のアレはシャレにならん」

 

「了解! 奴さん達は見えないが恐らくあの辺でしょ。んじゃ開幕の一発お見舞いしときましょうかね」

 

ロビンはそう言うと懐から籠手型の弓を取り出して装着、そしてその弓の弦を引っ張り天に向かって構える。

 

「何をする気ですか?」

 

「まあ、見ていればわかる。取り敢えず私の後ろに下がれ」

 

白音は彼の行動が理解できないため疑問符を浮かべる。

 

そうこうしているうちにロビンの弓に緑色の魔力が溜まっていく。

 

私は白音に言い聞かせるようになって呟く。

 

「白音、よく見ておけ。これが英雄……いや、人間の真の力だ」

 

そして溜まっていた魔力がついに解放される。

 

「いくぜ!【祈りの弓】 !」

 

ロビンが放った矢は到底ありえないであろう距離まで飛び森の中に落ちる。

 

そして次の瞬間森から大きな大樹が生えた、大樹には魔物のようなもの達が飲み込まれており所々血が流れている。

 

そして最大値まで大きくなった木はまるで息を吐き出すように紫色の煙をまき散らした。

そしてその煙が到達する場所から次々と魔物が現れ地面に倒れていく。

 

後ろの皆は私が破壊の結界を出しているおかげで紫の煙は届いていない。

そして数分後、ロビンが手に持っていた弓を外すと同時に大樹はどんどん縮んでいった。

そして後に残るは森の入り口のあちこちに倒れる魔物と魔獣の姿だけであった。

 

「やり過ぎだろ」

 

煙が無くなった事で安心した私は結界を解く。

 

「私はほどほどにと言った筈なんだが。これは流石にやり過ぎだ」

 

「あー、そっすね。正直俺もビックリ。冥界だと【祈りの弓】の威力が上がるみたいですね。流石は冥界に繋がる植物だ、まあ、妥当といえば妥当かな」

 

「かもしれんな……さて、ロビンのお陰だ大体片付いたな、後は残党狩りか……ん?」

 

残党を狩るために森の中を探知してみるとなんと魔物の数が減っていなかった、むしろ少し増えているくらい。

 

そして魔物はどんどん森から出てくる。

どうやら隠密は辞めたらしい、まあ私たちにとっては何方でも大して変わらんがな。

しかし魔物の数が増えるか。

 

「……どこかに召喚主、または統率者がいるな。作戦は先程と同じ、どうやら何らかの方法で魔物を増やすことが出来るらしい、見つけ次第処理しろ」

 

「「了解した」」

 

私がそう言うと皆はそれぞれの場所に走っていく、私は白音を連れてそのまま森に踏み込んだ。

 

「姉様。質問いいですか?」

 

「答えれる事なら何でも聞くといい。それで何だ?」

 

私は横から奇襲を掛けてくる五匹の狼の魔物を軍神の剣で破壊して白音の質問を待つ。

 

「では質問です。先ほどの『覚醒者』とは何ですか?」

 

白音がそう聞いてくる、私は上から飛び降りて切り裂こうとした虎の魔物を振り返る事なく剣でスライスする。

 

「うーん、そうだなぁ。簡単に言えば過去の英雄の力を持っているものだ。先祖返りや、輪廻転生、色々あるが、そんな稀有な力に目覚めた者たちを私達は総じて、目覚めし者、『覚醒者』と呼ぶ」

 

「目覚めし者……ですか」

 

「まあ、黒歌や白音は色々と例外であるがな」

 

白音が難しそうな顔をしながら考える。

しかし警戒は解いていないようで、後ろから奇襲を仕掛けようとした獣型の魔物に回し蹴りを叩き込んで粉砕した。

 

そしてしばらく森の中を歩いていくと少し開けた広場に出た。

 

そして広場の中心を見ると地面に座って何かをしてる女性とその周りに魔獣や魔物が大量にいた。

女性は私達に気づいたようで立ち上がってこちらに体を向ける。

 

「ふ、誰が出張ってくると思えば、下級悪魔とただの人間とは、正直がっかりね」

 

女性はこちらを見ると見下す様にそう言った。

その言葉に白音は少しムッとしたが直ぐに元の無表情に戻る。

 

「がっかりしいるところ悪いが、単刀直入に聞く。お前は誰だ? 」

 

「私が誰かって? ふふ、いいでしょう。下等な人間と未熟な悪魔に教えてあげるは。私の名前はアルメダ・ウァレファル、我らが王に使えし魔神が一体」

 

彼女の話を聞いてアルテラは納得した様に周りの魔獣を見る。

 

「ウァレファル、成る程だから魔獣や魔物なのか。まあ大体分かるがこの魔物達はお前の仕業か?」

 

「ええ、私の可愛い下僕たち、私が忌まわしき現悪魔たちを殺す為に作り出した下僕」

 

「つまりお前の魔神としての能力は『魔獣創造』の劣化版ということか」

 

アルテラはそう言うと剣の先をアルメダに向ける。

白音も私に続く様になって構えを取る。

しかしアルメダは未だに余裕の微笑みを見せる。

 

「あら、私を殺すの? 貴方が? 下等な人間の英雄程度が? は、なかなか面白いじゃない。じゃあ、こうしましょう 」

 

アルメダはそう言うと周りの魔獣たちに指示を出す。

 

「私の下僕たちを全員倒せたら私と戦わせてあげる。それじゃ、やりなさい!」

 

女性の掛け声に従う様に周りの魔獣たちが一斉にこちらに飛びかかってくる。

悪魔ですら引き裂くその脅爪がアルテラたちに振るわれる。

このままでは数秒後には無残な姿に成り果てるだろう。

 

しかしアルテラは焦る様子もなく呟く。

 

「確かに大変そうだ……まあ、正直……」

 

アルテラは手に持つ軍神の剣に魔力を収束。

いつの間にか現れている魔法陣に向かって投擲した。

 

「私に対して数で押すとか、愚策にも程があるだろう」

 

そう、言葉が発された次の瞬間、天から光の柱が広場に落ちた。

 

アルテラがした事、特に特別なことはしていない。

簡単に言えば転移陣に向かって真名解放した軍神の剣を投擲しただけ。

 

そして転移陣向こうは広場の上空。

 

光が晴れるとそこには大きなクレーターができており何も残っていなかった。

 

アルテラたちは予め防御魔法を展開していたため無傷。

そして煙が上がるクレーターの中心には彼女の愛剣の軍神の剣だけだった。

 

「殲滅終了だ」

 

「いや、流石に酷すぎませんか?」

 

別にいいだろう、勝手に慢心して勝手に死んだし。

てか魔神柱になる事なく死んだな彼奴、敵なら第二形態ぐらいなってから死ねよ。

 

塵おいてけ!

 

なんか変な電波を受信した気が……まあいいか。

 

私は敵のあまりのあっけなさにため息を漏らす。

 

「はあ、白音帰るぞ」

 

「え? いいんですか?」

 

別にいいだろう、魔力の感じからジークやロビンの方も終わった様だし。

 

てか何気に悪魔が三人来てたのね。

 

私はついさっき消えた魔力の反応を見てそう思った。

 

そして特に支障なく私と白音は戻り、ご飯を食べたりパーティーの続きを楽しんだりした。

 

パーティーから帰って来たとき、会場や料理を用意したサーゼクスが涙目だったのはまた別のお話。

 

中々美味しかったと言っておこう。

さすがは貴族、いいもん食べてるよ。

 




今回のオリキャラ。

ロビン・フッド
元教会側の人間、聖なる力よりも魔なる力の適性があった為教会から追われることになった少年。
ロビンとしての力は英雄派での実験で手に入れた力。

アタランテ
英雄派に来る前はとある町の町娘、しかし遺伝によって生えてきた耳や尻尾によって迫害されたところを英雄派のメンバーに拾われた。
見た目はFateのアタランテそのもの、外では帽子をかぶり尻尾は丸めてしまっている。


アルメダ・ウァレファル

旧魔王派に所属していた悪魔、レフと同じく大戦時代に死んだ存在だがあるものによって復活、新たな力を得た事により調子乗ってパーティー中のアルテラに気づかれ出オチになった女悪魔。
能力は魔獣創造の劣化版、最高で最上級悪魔クラスの魔物や魔獣も創造可能。


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