我、破壊の大王なり   作:白夜の星霊白夜叉

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5巻始まりますね。
結構直ぐに終わると思う、だって殆ど強化回みたいな感じだから。

野郎ども、温泉だぜ、気合い入れな!

それでは本編をどうぞ。


第9話 温泉とはいい文明だ

「突然だけど、冥界に帰るわ」

 

学園の一学期も終わり、これから夏休みという今日この頃、私ことアルテラは兵藤家の朝ごはんにお邪魔させてもらっていた。

 

朝早くリアス部長から呼び出しがあって特に用事がなかった私はそのまま一誠の家にやってきていた。

 

初めて一誠の家を見たときはどこのホテルだ? と思ったが、どうやらサーゼクスが彼の家を改築したらしい。

まあ、他人の事情に私がとやかく言う気はないので気にしない事にした。

 

そして一誠は朝からにゃんにゃんしていたようだ、英雄色を好むと言うが、流石に大変だなぁと、私は思った。

私はすでに起きていた小猫と一緒に朝食をとった後、少し甘味談義に花を咲かせながらリアス部長達を待った。

そして私と同じく呼び出された木場とギャスパーを含め、オカ研メンバー全員が集まった事で、先ほどのリアス部長の言葉に戻る。

一誠はリアスの言葉を聞いてこの世の終わりのような顔をしている。

そんな彼を見てリアス部長が慌てて補足する。

 

「心配しないでイッセー。純粋に里帰りするだけよ。毎年の恒例なのよ」

 

リアス部長のその言葉に安心する一誠。

 

「何だ、ビックリしたぁ……あれ、でも、部長の里帰りと俺達に何か関係があるんですか?」

 

「関係あるに決まっているじゃない。眷属であるあなた達も一緒に行くのよ。冥界にね。一応、八月の二十日過ぎまでは向こうで過ごす予定よ。修行やその他諸々の行事は冥界で行うからそのつもりでいてね」

 

リアス部長のその言葉に私はふと疑問が浮かんだ。

 

「それは、私も行っていいのだろうか?」

 

私はオカ研のメンバーであるものの悪魔でもなければ、眷属でもない私が里帰りについて行っていいのか疑問に思った。

 

「ええ、大丈夫よ。お兄様には既に伝えているわ」

 

ふむ、サーゼクスが。

随分手際がいいな、もともと私を連れて行く算段でもあったのだろうか?

まあ、私も概ね暇だし別にいいか。

 

「ならお言葉に甘えよう」

 

英雄派の中で基本的に私は自由に行動することができる。

それは曹操が英雄派を作る時に協力する条件でもあった。

まあ、一応連絡はするよ、報連相は大事だからね。

 

「あー、でも、俺、夏休みやりたいことがあったんですけどねぇ」

 

「ん? 一誠は何処か行く予定でもあったのか?」

 

一誠の発言に私が問うた。

 

「はい。海やプールに行こうかなーって」

 

「海は冥界にはないけれど、大きな湖ならあるわ。プールだって、この家や私の実家にもあるのよ? 温泉もあるし、それではダメなの?」

 

リアス部長の言葉に少し考える一誠、そしてその顔はどんどんニヤけていく。

 

うん、正直気持ち悪い。

Fateの黒ひげ並みに気持ち悪い。

背景からデュフフフという文字が浮かび上がってそう。

画面越しだと特に何も思わなかったが、今ならアンとメアリーの気持ちもなんとなく理解できる。

 

「……いやらしい妄想禁止」

 

「イッセーくん、想像以上にスケベな顔だったよ」

 

「先輩の想像力が豊かで楽しそうです……うらやましいなぁ……」

 

他のお三方も同じくいい気持ちは感じてなかったらしい。

あと、ギャスパーくん、流石にあれには憧れたらダメだからな。

 

「俺も冥界に行くぜ」

 

「「ッ!?」」

 

いつの間にか、席の一角にアザゼルが座っていた。

私以外の全員が突然の登場に面食らっているらしい。

 

「ど、どこから、入ってきたの?」

 

「アザゼルなら、普通に入り口から入ってきたぞ」

 

「おお、アルテラの言う通りだぜ」

 

私はみんなが話している間にアザゼルが来たのに気づいたが、あえて無視した。

 

「……気配すら感じませんでした」

 

「それはいかんな、アザゼルは普通に来ただけだ、もしこれが敵ならここにいるもの達は全員死んでいたな」

 

「ま、そうだろうな、それよりも冥界に帰るんだろ? 俺も行くぜ。俺はお前らの先生だからな 」

 

アザゼルはそう言うと懐からメモ帳を取り出すと、開きながら読み上げた。

 

「冥界でのスケジュールは……リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介。あと、例の若手悪魔たちの会合。あとはあっちでお前らの修行だ」

 

「私はどうしたらいい?」

 

「あん? 別に好きにしたらいいんじゃないか? 冥界に入ったら基本的に自由だ、暇ならグレモリー達の修行にでも付き合ってやれ」

 

そうだな……まあ、暇だしいいか。

温泉もあるらしいし楽しませてもらおう。

 

「それじゃ、アザゼル……先生もあちらまで同行する事でいいのね? なら、行きの予約もこっちでしておいていいのかしら?」

 

「おう、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだからな。ちょっと楽しみだぜ」

 

相変わらず子供みたいな奴だな。

 

と言うわけでオカルト研究部全員は冥界に行くことが決定したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅立ちの日、私たちが向かったのはこの町の駅だった。

服装は駒王学園の制服姿。

冥界ではこの服装が正装らしい、ちょっと意味がわからないな。

 

そしてリアス部長の後ろをついて行くとエレベーターの目の前で止まった。

 

「ここから降りるわ。まずはイッセー。それにアーシアとゼノヴィアとアルテラからね。私と一緒に乗ってちょうだい」

 

「お、降りる? 部長、このエレベーターって昇るだけじゃ……」

 

「ふふ、乗ればわかるわ。朱乃、あなた達はアザゼルと一緒に降りて来てね」

 

とりあえず、指定されたメンバーでエレベーターに乗り込んだ。

しかし見た所地下に降りるボタンなんて無いが……さて、どう降りるのだろうか。

 

「これを使うのよ」

 

私達が見守る前でリアス部長が懐から一枚のカードを取り出すと、それを電子パネルに向けた。

瞬間、電子音が鳴り響いたと思ったら、エレベーターが静かに下降し始めるのを感じた。

 

「マ、マジで降りてる!? 部長、これって一体……!?」

 

「この駅にはね、地下に秘密の階層があるの」

 

「は、初耳ですよそんなの!?」

 

「当然よ。これは悪魔専用のルートだもの。人間では一生辿りつけないわ。意外かもしれないけど、この街にはこんな風に悪魔の領域が結構な数隠れているのよ」

 

そうこうしている間に、エレベーターが停止し、扉が開いた。

リアス部長に促されて出てみれば目に飛び込んで来たのは、冗談みたいに広大な空間だった。

よく見れば所々駅のような面影がある。

 

メタい発想だが、地下にこれだけの空間を作ってバレないとか、日本の政府馬鹿すぎだろ。

いや、この町が悪魔の領地だから出来るだけか。

 

少し待っていると、エレベーターから祐斗や子猫、アザゼルなどが降りて来て合流した。

 

全員合流した事でリアス部長を先頭に歩き出す。

そしてリアス部長にくっ付いて来たところには列車らしきものが鎮座していた。

見た目からして独特なフォルムだが鋭角で、悪魔を表す紋様がたくさん刻まれていた。

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

リアス部長がそう言って列車を紹介する。

 

へえ、貴族悪魔は列車すら所有してるんだ。

飛行機と違って需要少なそうだなぁ。

 

そして部長先導のもと、私たちは列車の中へと足を踏み入れた。

既に席も細かく決まっているそうで、リアス部長は先頭車両。

グレモリー眷属とアザゼルや私は中央から後ろの車両。

 

対面席で、私と小猫が並んで座り、祐斗とギャスパーが私の前に座った。

直後、勢いよく汽笛が鳴らされ、列車がゆっくりと動き始めた。これで後は到着まで待つだけだろう。

 

「出発か、だいたいどれくらいで着くんだ? 小猫」

 

「何もなければ大体一時間ぐらいつきます」

 

一時間か、地味に長いな、普通ならここで本でも読んで暇をつぶすんだが。

私がそう考えていると何かを察した祐斗が私に話を振る。

 

「暇なら質問してもいいかい? 僕たちはまだアルテラさんのことをよく知らないからね」

 

「そうですね。私も気になります」

 

祐斗のその言葉に小猫が肯定をした。

ギャスパーも緊張しながら肯定していた。

隣の席の一誠たちやいつの間にか来ていたリアス部長も交えて私に対する質問会になった。

 

「それで、まず何が聞きたい?」

 

私がそう言うと皆考えるように頭をひねる。

そしてゼノヴィアが挙手をする。

私はそのまま喋るように促す。

 

「私は英雄派のことについて教えて欲しい。名前は知っているイマイチ理解していない。だから出来れば教えて欲しい」

 

ふむ、英雄派のみんなのことか、正直直接会ってくれた方が早いと思うが……まあ、べつにいいか。

 

「いいだろう。確かに協力すると言うのに相手のことを知らないと言うのはいささか不安だな。取り敢えず英雄派について詳しく教えよう」

 

私はそう言うと腕を組んで語り出す。

 

「英雄派とは基本的に人間の神器使いが集まってできた組織だ。所属するもののほとんどが人間社会を迫害されたもの、神器の所為で人外に狙われたものが多い。それ故に英雄派でははぐれ者を保護することがよくあった。その中には人間だけではなく妖怪などの人外も含まれる。『禍の団』に入ったのもより多くの神器使いの情報を知る為だ……ここまでいいか?」

 

私が皆に確認すると全員首を縦に振る。

 

「よろしい。さて、英雄派の構成員は三つに分けられる。まず非戦闘員。基本的に戦う力を持っていないもの達がここに含まれる。二つ目は戦闘員。基本的に戦う力を持ったもの達。神器使いの人間や迫害された人外達が多い。そして最後に私たち幹部、これについては詳しくは説明できない。ただ一つ言えることは、全員が神器や何かしら力を持っており、一人で最上級悪魔を倒せる実力者達であると言うことだ。さて、英雄派についての大体の説明はこれで終わりだ。他にはあるか?」

 

幹部達が最上級悪魔を一人で倒せるといったところでリアス部長らは驚いていた。

 

まあ、力や能力的に劣る人間が悪魔の中でも最大と言える最上級悪魔を倒せると聞いたら驚くのも無理ないか。

けどリアス部長、あなた達は勘違いしている。

化け物を倒すのもまた人間であると。

 

私がそう聞くと次に手を挙げたのはリアス部長だった。

 

「幹部は全部で何人いるの?」

 

「私を合わせて全部で七人、リーダーを抜いて六人、皆が知っている中ではヴァーリも幹部の一人だ。そして幹部クラスの実力者が数人いる。幹部のほとんどは英雄の子孫やその魂を継ぎしもの達だ。さて、質問は以上か?」

 

私がそう言うと皆黙る。

 

「ふむ、ならこれで終わりだな」

 

私がそう言うと皆が別々に話し始めた。

私も小猫と共に甘味の話をして時間を潰すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間たち、リアス部長の実家に着いた。

沢山のメイドや執事に迎えられて中に入ると現グレモリー家当主との会合があった。

一言で言えばサーゼクスという息子にこの親あり言わせる親だった。

悪魔にしては人柄がよく私が人間でも下に見るような事はなかった。

 

その後リアス部長含む眷属たちは若手悪魔たちの会合のために会場に向かった。

リアス部長は私も来るように話を振ってくれたが流石に私はそれを拒否した。

 

流石に若手悪魔の会合に行くのは気がひける。

下に見られるのは別にいい、相手を見た目や種族で決めつける奴は基本的に弱い。

ぶっちゃけ面倒臭いため断った。

 

そして今私はグレモリー家の人に案内して貰ったこの家の書庫。

中を見たときは図書館とも見紛う大きさに流石の私も驚いた。

まあ、英雄派にはこれ以上の大きさの大図書館があるのですぐに慣れたが。

 

私はここで自分が持ち込んだ本を読んでいる。

部屋で読むよりも本に囲まれた部屋で読むのが私のマイブームだ。

本から香る古いインクの匂いが丁度いい雰囲気を醸し出している。

 

そして結局部長たちが帰ってくるまで私は本を読んでいた。

 

そして帰ってきた部長の第一声が。

 

「アルテラ、手伝いなさい!」

 

いきなりどうした。

私はそう思った。

 

その後リアス部長の説明を聞いて何となく理解はできた。

 

どうやらシトリー眷属とのレーティングゲームの為に修行をするらしく、その修行を私にも手伝ってくれとのことだった。

 

アザゼルも合流し修行について大体の話が終わった。

 

「話は以上だ。明日は朝食後に庭に集合しろ。そこで改めて修行の内容について説明する。気合い入れろよ」

 

私を抜いた各々に気合いの籠った返事をする皆。

そこへ、狙いすましたかのようにサーゼクスの『女王』グレイフィアが姿を現した。

 

「お話がまとまった所で、温泉のご用意が出来ましたのでよろしければご利用ください」

 

「お、いいねぇ! やっぱり冥界といえば温泉に限る。冥界で屈指の名家であるグレモリーの私有温泉とくれば、名泉も名泉だろう。今から楽しみだぜ」

 

そう言えば皆が会合に行っている間ずっと本を読んでいたわけだから私の体も少し埃っぽくなっているかもな。

 

そう思っていた私にはその温泉という言葉がとてもいいものに感じた。

 

ウキウキ顔のアザゼルに触発されたのか、みんなもそれぞれに温泉についてしゃべりだした。

 

「そうね。会合で疲れちゃったし、早速入ろうかしら」

 

肩に手をやりながらそう言うリアス部長。

 

「うふふ、ここの温泉に入るのも久しぶりですわね」

 

いつもの微笑みを浮かべる朱乃先輩。

 

そして私はというと。

 

「何をしている? 置いて行くぞ」

 

「「え? て、早!」」

 

すでに皆を置いてグレイフィアについて遠くにいた。

そして皆は私に急かされるように温泉に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜リアスside〜

 

 

温泉に入って早々朱乃によるセクハラから逃げ出し、私は息を整える。

最早スキンシップを超え、完全に愛撫と呼べるものだった。

 

全く朱乃のスキンシップは心臓に悪い。

 

私はそう思いながら周りを見渡した。

 

みんなが私の眷属の子達がそれぞれ体を洗う中私の目がいったのは端っこの方で身体を洗っているアルテラだった。

 

私は彼女の横に近づく。

 

「となり、いいかしら?」

 

「ん? リアス部長か? 別に構わんよ」

 

彼女がそう言ったのを聞くと私は彼女の横に座り頭と身体を洗う。

そして横を見て私は彼女に気になっていたことを聞く。

 

「ねえ、その体の線は一体何なの?」

 

彼女の裸体に不自然に書かれている薄い白線。

私が指摘すると彼女は困ったような顔をした。

 

「あらら、普段は見えないようにしているのだが……どうやら温泉に浮かれて消すのを忘れていたようだ」

 

彼女はそう言いながら自分の体の線を撫でる。

その姿は同じ女性の私でも艶めかしく映るほど蠱惑的だった。

 

「さて、この白線のことだったか。実は生まれた時からあるものでな、私自身もよく知らない」

 

「そうなの?」

 

アルテラの言葉に私は少し驚く。

 

「まあ、多分アッティラの由来の紋様なのだろう」

 

「アッティラ由来の?」

 

私はよくわからなかったので不思議そうに頭を傾けた。

そんな私を見たアルテラは考えるそぶりをした後話す。

 

「そうだな……リアス部長は私の祖先、アッティラについてどこまで知っている?」

 

「少しだけ、『神の鞭』や『神の懲罰』と呼ばれ恐れられていたことくらい」

 

他にはフン族の王で神の武器を持った人間であったことかしら。

 

「ふむ、大体そうだな。それを踏まえた上でアッティラについて話そう。そうだな……ではまずアッティラの出生について話そう」

 

「……そんなもの何であなたが知っているの?」

 

アルテラはアッティラの子孫であって本人では無い。

そんな事を知っていることに疑問を持った私はそう聞いた。

 

しかし件のアルテラはその問いに普通に答えた。

 

「む? そう言えば言ってなかったな。私はアッティラの子孫と銘打っているが、本当はアルテラの前世、もとい魂を継ぎし人間だ」

 

へえ、知らなかったわ。

アルテラはそのまま話を続ける。

 

「さて、話を戻そう。アッティラの出生についてだが。まずアルテラはフン族の王であったが元はフン族王家の人間ではない。赤の他人だ」

 

「え? そうなの!?」

 

まさかフン族の大王アッティラがフン族とは関係ない赤の他人だったなんて。

 

「ああ、アッティラであった彼女は記憶を失っていてな、あても無く大地をさまよっていた。そんな彼女を見つけたのがフン族の王だった。そして彼女の持つ力を見た王は彼女を養子として迎えた。それが今に語られるアッティラの出生の真実だ」

 

「そうだったの」

 

私は彼女の話す真実に驚いた。

けど何でアッティラは記憶を失ってたのかしら?

 

「さて、次は何故アッティラが破壊の大王と呼ばれていたかだな。アッティラは敵国を侵略する時、決まって全てを蹂躙した。大地、町、その全てをな。そして彼女の持つ軍神の剣、その破壊の力からアッティラは『神の鞭』や『神の懲罰』と呼ばれることになった、そして話は変わるが、彼女は君臨すれど統治せずの王であった、故に彼女の死後、繁栄した大国は彼女の子供達の当主争いによって滅んだ。その波乱の人生のはて、後世の人間達がつけた敬称が破壊の大王。それが、アッティラが破壊の大王と呼ばれる理由だ」

 

話し終えたアルテラは、静かに目を閉じていた、まるで昔を思い出すように。

そんな彼女の雰囲気を察した私は話をそらす。

 

「そ、そう言えば貴方の持っているあの剣、あれが軍神の剣なの?」

 

私の話を聞いたアルテラは静かに肯定する。

 

「ああ、あれは確かに軍神の剣だ。いや、軍神の剣だったものだ」

 

「?……と言うと?」

 

「ああ、あれは私が、んん!……アッティラが軍神との戦いの果てに手に入れた軍神の剣。その因子をアッティラが吸収した事で一体化した物。まあ、例えるなら神器みたいなものだ」

 

アルテラは手に軍神の剣を出してみせる。

 

相変わらず剣とは思えない機械的な見た目をしている。

 

「この剣は、私の魂と一体化している。故にこれは軍神の剣であるものの厳密には軍神の剣であったものと言うわけだ」

 

アルテラはそう言うと軍神の剣を消す。

 

「なるほど、つまりそれは軍神の剣でもあるけど、同時に貴方自身でもあると言うことね。貴方の力に少し納得したわ」

 

神器使いでは無いとアザゼルから聞いていたけど、まさか神の武器と一体化しているなんて。

彼女のあの異常な力は神の力というわけね。

 

「アルテラさ〜〜ん♪」

 

アルテラの後ろから朱乃が抱きつく。

そのことに驚くアルテラ。

 

「あ、朱乃先輩! ん、んん、あっ、ひあっ!」

 

「あらあら、直に触ってみると……癖になりそうな肌触りですね♪」

 

嫌がるアルテラに朱乃が絡みつく。

私もさっき味わったからわかるけど、朱乃は上手いのよね、何がとは言わないけど。

 

けど朱乃もそうだけどアルテラも綺麗なのよね。

整った体の凹凸が綺麗でまさに女性の理想の体型。

大和撫子系の朱乃とは違って褐色肌のインド系の美人。

 

対照的な二人が絡んでいるのをみると同じ女性でも思うところがあるわね。

 

「あ……あんっ!………いい加減にしろ!」

 

朱乃に絡まれていたアルテラが朱乃を振りほどき怒鳴る。

流石にやりすぎたと思ったのか朱乃も清く謝る。

 

「御免なさいね? 癖になる肌触りだったものだから」

 

「……はあ……はあ……今度からは、やめて下さい」

 

アルテラはそう言うとそのまま湯船に歩いていった。

 

 

 

〜sideエンド〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、酷い目にあった」

 

全く、朱乃先輩のセクハラは堪えるな。

 

私は湯船に肩まで浸かりながらそう思う。

 

しかしリアス部長が私について聞いてくるなんてな。

自分の事を誰かに話すのはいつぶりだろうか、最後に話したのは曹操だったか。

きっとレーティングゲームを控えて不安なんだろう。

なんせ今回の相手はリアス部長の幼馴染であるソーナ会長のシトリー眷属達、緊張するのも無理はないか。

 

「はあ……いい湯だな」

 

アザゼルの言う通り、ここはいい湯だな。

体に溜まった疲れが流れ出るようだ。

 

「うーん、極楽極楽♪……ん? なんだ」

 

私が温泉を楽しんでいると上の方から声が聞こえたそして上を見てみれば。

 

私の目の前に一誠がいた。

 

「……ほえ?」

 

「おわああああああああっ!」

 

ドッボォォォォォォォンッ!

 

私は飛んできた一誠にぶつかり湯に沈む。

そしてすぐに湯船にでて息を吸い込む。

 

「ブハッ! 一体なんだ! 」

 

私が湯船から出て周りを見てみると目の前の湯が赤くなっていた。

そしてそこをよく見てみると……

 

「………………ッ!」

 

鼻血を垂れ流しながら私を見る一誠がいた。

なぜ空か降ってきたのか、何故私を見ているのか、いろいろ言いたいことはあるがとりあえず一言。

 

「一誠よ、最後に言い残すことはあるか?」

 

「は、はい! えっと……柔らかかったです」

 

「そうか、なら死ね!」

 

私は一誠に向かって割とガチな威力で蹴る。

湯船に入っていた私の足は水の抵抗を切り裂き、そのまま特大の水柱を上げながら一誠を蹴り飛ばす。

 

そして私の蹴りを受けた一誠はそのまま男女の風呂を分ける垣根を突き破り男湯に吹っ飛んでいった。

 

一誠を吹っ飛ばした後、私は周りを見る。

私の蹴りで少なくなった湯、一誠が飛んでいき突き破られた垣根の穴。

 

「……はあ、まったく、せっかくの湯が台無しだ」

 

私は空を見ながらそう悪態を吐くのだった。

 




はい、アルテラさんのこの世界での設定の説明でした。

軍神の剣についてですが、ハイスクールのエクスカリバーの設定を少し追加しました。
因子だけの一体化なので軍神の剣自体はマルスも持ってます。
アルテラの軍神の剣は因子と一体化してそれを最適化した物なので、本家の軍神の剣よりもチートです。
神剣と言うか、星剣? 取り敢えず魔改造済みです。

一誠は災難でしたね、でもフォトンレイ喰らわないだけマシです。

因みにアルテラさんに羞恥心は余りありません、一誠を吹っ飛ばしたのも普通ならこうするだろうと言う気持ちの末の行動。
ぶっちゃけアルテラさんに性別はないですから。
前世の記憶からアルテラが女と思っている為女の姿になっているだけです。
なのでなろうと思えば男にもなれます……まあ、見た目は変わらんがな!

アルテラさん、男の娘化フラグ?
知らんな。

とまあ、こん感じです。
次回はあるキャラの強化フラグが立ちます。
ヒントはアルテラさんと親しい人、それでは次回もよろしくお願いします。

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