暇つぶしとなんとなくで書いた作品なので続かないかもしれません。
好評だったら続きを書くかもしれません(絶対)
私は死んだ、その筈だ。
しかしなんの因果か私は転生した。
良くあるテンプレ神様転生という奴だ、特典をもらい記憶を持ったまま新たな生を受けた。
さて、簡単に私の説明もした事だし、とある話でもしよう。
君は運命を信じるだろうか?
人間誰しも自分で道を選んで自分の人生を進んでいる。
まあ、中には誰かに言われるままに歩んでいるものもいるだろうが、それもまた一つの選択だ。
しかしふとこう思う事はないだろうか?
あの時ああしてればよかったと、誰もが一度は思った事があると私は思う。
なぜ急にこんな話をしたかと言うと私も昔の自分の選択に後悔の念を抱いているからだ。
私にとって運命の分岐点とはやはりこの世界に転生した時だろう。
目が覚めたら森の中、あてもなく旅をしていれば変なゴスロリ幼女に会うは、巨大な喋るトカゲが喧嘩売られるは、へんな組織に勧誘されるはで散々だった。
と、これでは愚痴だな。
さて、話は変わるが現在、私はと言うと。
そこは部屋だった、本棚があり、机があり、クローゼットがあり、ベットがある普通の部屋。
「……………ふふ」
そうな部屋で、私は一人本を見ながら微笑みを浮かべる。
ペラ、ペラ、ペラ、ペラ。
「…………(ペシペシペシペシ)」
私は読書が好きだ、特にライトノベルの様な気軽に読める小説が好きだ。
会話文があり、挿絵があり、話の内容が分かりやすい、何よりも物語の内容が面白い。
「……へえ、ここでお前が……」
「…………(ベシベシベシベシ)」
特に好きなジャンルとして学園バトル系、または異世界転生系や勘違い系のジャンルの作品が好きだ。
ライバルとの熱いバトルや、ラスボスが仲間になったりなど御都合主義と呼ばれる展開は王道で見ていて楽しい。
そして何よりも、そんな物語を作る作者が大好きだ。
読者が読んでいる間、物語の中のもの達は確かに生きている、たとえそれが妄想の中であろうとも。
故に私は小説が好きなのだ。
「…………ふう、面白かった」
「…………(ペシペシペシ)」
私は本を閉じ、近くの机に置く。
今回のストーリーもとても面白かった、次巻を読みたいところだが、あいにくこれは昨日出たばかりの最新刊なので続きを知るのは作者だけだ。
発売期間から考えるに次が出るのは三ヶ月後だとは思うが……まあいい。
その間に別の本でも探してみるか。
もしくは所持しているシリーズ本を一から読み直してみるのもいいかもしれんな。
それはともかく。
「先程からなんだ、オーフィス」
そう言いながら私は目線を横に向けながらそう言った。
「………我、暇……」
「いや、私に言われてもなあ」
目線の先にいたのは、黒いゴスロリを着た小さな少女だった。
とても可愛い美幼女なのだが、その暗黒の様に光がない瞳のせいでその姿は不気味に見える。
まあ、だからと言ってけして壊れているわけでもなければ病んでるわけでもない、この瞳はオーフィスの標準装備故、致し方がない。
まあ、彼女が普通なのかと問われれば、私は全力で否と答え流だろうが。
こんな見た目だが、彼女は世界最強の龍神なのだから、まあこの話はまた今度。
「暇なら、他のもの達の所に行けばいいだろう」
「いや、我は『ーーー』とがいい」
左右に首を振り確かな否定の威を告げる。
いやほんと、どうしてこうなったのか…………いや、確か初めてあった時からこんな感じだった気がするな。
全く、変に懐かれたものだな。
まあいい、頼られて嫌な気はしないからな。
私は苦笑を浮かべながら、オーフィスを膝に乗せて背中から包む様に抱く。
オーフィスも私に体を預け気持ちよさそうに体を揺らす。
それから暫く静寂の時間が続いていく、そんな時だった。
静寂の中に、突然私の部屋の扉が開い開いた。
そして入って着たのは中華服姿の男性だった。
鍵は閉めていたはず、と思ったがオーフィスが入っていた時点で考えるのをやめた。
「失礼するぞ、『ーーー』」
「はあ、せめてノックはしろと何度言えば解る。なあ、曹操」
私は頭に手を当て呆れながら中華服姿の青年、もとい曹操を見る。
「ふむ、善処しよう」
あ、これまたやるパターンだな。
私は少し物足りなく感じながらも、オーフィスに降りる様に促す。
オーフィスは少し不満そうだがそのまま私から降りて、何故か私の背中にくっついた。
いや、降りろよ。
「ハハッ、相変わらず仲がいいなお前達は」
「笑い事じゃ無いんだがなぁ」
そんな私達を見て曹操は笑い声を上げ、私は困りながら溜息を吐く。
そのままでは話がいつまでも進まなそうなので私は自分から要件を問うた。
「はあ、それで要件はなんだ?」
「なに、少し面白い話をな」
「お前が持ってくる面白い話の大半が面倒ごとなんだがな」
「ん? そうだったか?」
曹操は惚けながら微笑みを浮かべてそう返す。
白々しい笑顔を浮かおって。
私は少し不機嫌になりながら早く話をする様に促した。
「ああ、なに、とある堕天使が戦争を起こそうとしていると言う話だ」
「それはまた、穏やかじゃないな」
このご時世に戦争とか、その堕天使は一体なにを考えているのやら。
「全くだ、その件の堕天使の名はコカビエル、聖書にも載っている神話の堕天使だ」
へぇ、コカビエルか。
まあ、戦争を考える堕天使なんて奴ぐらいしかいないだろうしな。
なんせ奴は戦闘狂、戦いの中に喜びを感じる精神異常者だ。
むしろ今まで良く持った方だと思う。
堕天使の総督は余程の手腕を持っていると見える。
「奴は教会からエクスカリバーを奪い逃走。恐らく聖剣を持って悪魔や天使との火種を作り、かつての戦争をまた起こそうとしているのだろう」
「それはまた、はた迷惑な奴だな」
「同感だ、正直な所、三大勢力が戦争をしようとどうでもいい。しかし何よりも気に入らないのが奴らがことを起こそうとしている場所が人間界だと言うことだ」
曹操は右手を握り、そして手から血が垂れる。
その様子からひどく悲しんでいるのがうかがえる。
そんな曹操を見た私は思う。
「……お前も変わったな、曹操。昔のお前に今のお前を見せてやりたいよ」
今でも思い出す、曹操との出会いを。
世界を旅していた私の前に突如現れた曹操はいきなり『人間の限界に挑んで見ないか?』と私を誘い、世界に喧嘩を売ろうとした危険人物だった。
しかし今では人間を守ろうと奮起している。
最近では種族問わずに孤児の子供や、迫害された、暴走した、神器使い達を集めて面倒を見ている。
ホント、人間なにがあって変わるかわからないものだ。
「……ああ、そうだな、昔の私なら人間がどれだけ被害に会おうと自分の目的に支障が無ければ見向きもしなかっただろう。まあ、それもこれもひとえにお前のあの言葉がのお陰さ。覚えているか? お前が私に言ったあの言葉を?」
言葉とな?
はて、私は一体なにを言ったか?…………ああ、思い出した、確か。
「『英雄とはその武勲を認められ讃えられたものの呼称だ。故に質問だ、お前は何か成し遂げたのか?その名の者は確かに英雄だろう、己が信念を貫き通し突き進んだ覇王だろう。しかしそれはお前じゃない、お前は名前が同じなだけの別人だ、例えその英雄の魂を継いでいようと、記憶を持っていようと、今ここにいるお前は英雄ではない。故に自覚しろ、前はただの愚者だと』だったか?」
「ああ、そうだ。あの言葉で俺は目が覚めた。自分の先祖の名を語り勝手に勘違いをして英雄を名乗っていた自分から、一人の人として、ただの曹操としての俺に。だから改めて、ありがとう『ーーー』」
いや、そんな感謝されても。
私はただ思った事を言っただけなんだがな。
まあ、感謝されて悪い気もしないし、その言葉はちゃんと受け取っておこう。
「さて、少し脱線したな。それじゃ話の続きだ。仮にも私たちは『救いなき弱者に救済を』を信条にしている。故に今回のこれは見逃せない」
「そうか、それで結局どうしたいんだ、お前は?」
私は苦笑を上げながら曹操に問うた。
そんな私の顔を見た曹操も苦笑を浮かべ返事を返す。
「ふふ、お前には敵わないな。単刀直入に言う、この堕天使だが。倒してきてくれないか?」
「いいのか? 戦争になるかもしれないぞ?」
「ハハッ、その時はその時だよ」
曹操は笑顔でそう言った。
本当に変わったよお前は、もちろんいい意味で。
「分かった、微力ながら頑張ろう」
「微力なんてとんでもない。任せたぞ」
「ああ、任された」
さて、そう言う事ならすぐ準備をしないと。
その前に。
私は背中のオーフィスを降ろし向き合う。
「すまんな、オーフィス。この続きはまた今度だ。少しの間だけ待っていてくれ。すぐ帰る」
「ん、我待つ」
「ああ、待っていてくれ」
さてと、それじゃあ準備をするか。
しかし久々の人間界か、私も人間だからな、懐かしき故郷に帰るのも中々如何して楽しみだ。
「では、行ってくる」
「ああ、頼んだぞ……『アッティラ』」
「その名で呼ぶな曹操。私の名前はそんなものじゃない」
そう私の名前はそんな名前じゃない。
この体は私の大好きなかの英雄、そう私は…………
「アルテラだ」
この作品のアルテラさんは強いぞ。
なんてったて魔改造されてるからな。