Infinitum Heroicis Ficta -無限の英雄-   作:燃え尽きた灰

8 / 9
いつの間にか8月になってた((((;゜Д゜)))
もう夏休みも折り返しですね。


幕間1 ユーリの【狼】修行

見習い【狼】ユーリの朝は早い。何故なら、師を働かせるわけにはいかないからだ。ここは【基幹世界】と違って電気も水道もガスも、凡そライフライン(生命線)と現代で呼ばれるものがない。

それでもなんとかユーリがやっていけているのは、一重に魔法や魔術と言われる技術体系のお陰なのだ。その上、【基幹世界】の【狼】は、それ以外の【領域】(リージョン)と違って、才能に左右される場合は別にしろ存在する物語の中のそれらをすべて習得できる。然し【基幹世界】の【狼】は、数が少ない。それゆえ、【基幹世界】で新しく【狼】に成ったばかりの者はいろんな【領域】(リージョン)の【狼】に弟子にするために虎視眈々と狙われるのだ。

ユーリの今の師匠、ガルネク・グレーラ・ファルナツァーとの出会いは今から、この【領域】(リージョン)の時間で一年近く前の話になる。

 

◇◇◇

 

印を戴く者(オルキャスト)】としての使命を終えたユーリは友理子に戻り、普段通りの日常を送っていた。そしてそのあまりにも平和な日常に、ユーリは【印を戴く者(オルキャスト)】としての冒険が、実は夢だったのではないか、と時おり感じるのだった。しかし、時おり胸を掠める一抹の悲しみや寂しさ、鎖を通して首にかけた【狼の印】がそれは夢ではない、と語っていた。

そんなある日の事だ。いつも通りに歩いて学校に向かっている時のことだった。突然一人の男が宙に現れたかと思うと友理子の方へ倒れてきた。突然のことでパニックになった友理子は男を突き飛ばしてしまったのだ。突き飛ばされた男は、呻き声を上げたと思うと「よし、成功だ!」と呟いた。そして友理子の方を向くと、「君が、ユーリで合ってるかい?」と尋ねてきたのだ。

思わず「ええ。」と答えた友理子はなぜだか急に冷静になり、「って、貴方誰!?け、警察呼ぶわよ!」と叫んでしまった。

 

「怪しいものじゃないよ。」

 

「怪しい人はみんなそう言うのよ。」

 

「まあまあ。こう言えば分かるかな?【領域(リージョン)】の【狼】の一人だよ。」

 

そう言うと、男は【狼の印】を取り出して見せた。

 

男の話によると、男はガルネク・グレーラ・ファルナツァーと言い友理子、いや、ユーリを【狼】としての弟子にするために来たのだと言う。

 

やはり自分のなかに周りの人間とは違う、と言う疎外感のようなものを感じていたのだろう。ユーリは仲間意識のようなものをその男、ガルネク・グレーラ・ファルナツァーに感じてしまった。

そして気づいたときには男の提案に肯定してしまっていたのだった。

 

◇◇◇

 

「当時の自分にもっと警戒しろ、といまなら言いたいですね。でも、師匠がいい人でよかったです。」

 

「あれ、僕にそんなこと思っていたのかい?」

 

「し、師匠!?いつから聞いていたんですか?っていうかこんなに早く起きてくるなんて、どこか具合でも悪いんですか?大丈夫ですか!?」

 

「だ、大丈夫だから。ちょっと目が覚めただけだよ。」

 

「珍しいこともあるんですね。」

 

「ああ。自分でも思うよ。」

 

私【銀の牙】のユーリ、一人前の【狼】目指して今日も元気に修行に励みます!


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