Infinitum Heroicis Ficta -無限の英雄-   作:燃え尽きた灰

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6 -編入-

私たち代表候補生の約半数が専用機を持っている。例えば、私の秋桜がそうだ。これら専用機には、様々な制約がある。なぜなら専用機はISとしての戦闘力も汎用機に比べて大きい上、パーソナライズ(専用化)フィッティング(最適化)をすることによって、アクセサリー(装身具)の形に収納し、所有者の意思で起動、着用することができる。要するに、町中や重要な施設に強大な武力を持ち込めてしまうのだ。これでは、専用機持ちが簡単に防止不可能なテロ事件を起こせてしまう。もちろん、精神的に問題がある場合、専用機が支給されるなどあり得ないが、万一を防ぐために法律や条約で様々な制約や規制をかけているのだ。

なぜ私がこのような話をしたか。それを説明するには、朝のホームルームまで遡る。

 

◇◇◇

 

私たちのクラスに転入生が来た。

青みの強い銀、蒼銀とでも言うんだろう髪に、緑色の瞳を持つ娘だ。その娘は、教卓まで歩いて織斑先生のところまで歩くと手元のパッドを操作して、自己紹介を空中に投影させた。

 

「私は、ユーリ・ファルナツァーです。よろしくお願いします。ここにいる織斑一夏さんに憧れて、イタリアの代表候補生になりました。専用機は白銀です。よろしくお願いします。」

 

えっ、私なんですか!? あと、この人も専用機持ちなんですか...。このクラス、代表候補生の割合高いですね...。

というかこの娘、何処かで会った気がする。イタリアの候補生と会ったことはないと思うのだが。

 

◇◇◇

 

寮に帰る途中、彼女がうちのバカ兄(一秋)にちょっかいを掛けられているところを見てしまった。一秋が彼女に手を上げようとしたので、助けようと慌てて駆け寄って一秋にボディブローをかます。そして彼女の手を引いて寮に帰り、そのまま寮の私の部屋に駆け込んだ。

 

「大丈夫?」

 

「ええ。ありがとうございます。助かりました。」

 

と、ここでやっと私は彼女が少し前に私を助けてくれた女の子に似ている、もとい同一人物であろうことに気付いた私は少し緊張した笑顔で「お気になさらず。お相子ですよ。少し前、私を異形の怪物から救ってくれたのはあなたでしょう?」と言ったのだ。

 

◇◇◇

 

まさかあのとき救った彼女こそ織斑一夏だとは思わなかった。

こんなところで認識阻害の掛け忘れが響くとは。私は自分の失態を激しく後悔した。しかし、今日、彼女の兄である、織斑一秋こそがこの【領域】の特異点だとわかった。大方転生者(仮)だろう。

【英雄】の手下の【写本】にはそんな能力を持ったものがいたと思う。そう考えると彼は【英雄】に魅入られている筈だ。だとするなら、彼女を【印を戴く者】(オルキャスト)とするのがいいと思う。ならばどうせ知ること。記憶を消すのは無しだ。

そう考えた私は、彼女に「ええ。そうよ。」と答えたのだった。そして一夏と夕食まで魔法の事や今までの修行について、面白おかしく彼女に語ったのだった。

私は油断していたのかもしれない。彼が行動を起こしたと言う話を一夏から聞かなかったことでまだ大丈夫だと思っていた私は彼女の兄の事を隠してしまったのだ。

 

◇◇◇

 

なんと彼女は魔法が使えるらしい。私を助けた時も魔法を使っていたそうだ。そうして私たちは夕食の時間まで色んな事を話した。こんな平和な時間が少しでも長く続くように祈りながら。

しかし、このときの私はその願いがすぐに破られてしまうなんて、思いもしなかったのだ。後悔しても遅いのだろう。しかし、後になって思い返すと、この時点で一秋の行動を警戒していればこんなことにならなかったのだと思う。




7月はできればもう一話投稿したい(切実)。
オリジナルの方が筆が進むんじゃぁ。後1週間ぐらいで投稿したいと思います。。
あと、何時の間にかUAが2000越えていました!!次の話は閑話になる予定です。

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