Infinitum Heroicis Ficta -無限の英雄- 作:燃え尽きた灰
ではどうぞ。
さて、とうとうクラス代表決定戦の日がやって来た。私は2回戦、3回戦。まずはセシリアvs一秋なのだが...
「はぁ!?専用機がまだ届いてないんですか!?」
「あぁ、先方の事故で到着が遅れるそうだ。」
「そうなったらどうしたらいいんですか!?」
「練習機でやって貰う事になるだろうな。」
「じゃあ、一夏さんとセシリアさんを第一試合にして、時間を稼ぐと言うのはどうでしょうか?」
「山田先生仕方がない、そうしよう。」
「じゃあ、一夏さん、先にお願いしますね。」
「はい、わかりました。」
はぁ、なんで毎回このバカ兄の尻拭いをしなくてはならないんだろうか、と私は内心ため息をつく。今回に限って言えば、一秋が悪いわけではないのだが。
◇◇◇
「まぁ、なんで一秋じゃなくて貴女が出てきましたの?もしかして、あの猿、怖じ気付いて逃げ出したのかしら?」
「うん、と言いたい所だけど生憎。専用機の到着がトラブルで遅れたからってだけ。」
「そうなのですね。まあ、気を取り直して、往きましょう?」
「そうですね。」
『模擬戦開始まで、あと5秒です。』
「いきますよ!」
『4...』
「ええ!本気でしましょう!」
『3...』
『2...』
「では!」
『1...』
「いざ尋常に!」
『戦闘開始!』
「「勝負!」」
◇◇◇
さすが一夏さんとしか言いようがありませんわ。まずは中距離からのエネルギー弾で動きを誘導してきますわ。それが解っていても、乗らざるを得ない布陣の上手さ。
「射撃精度がないなら弾幕を張ればいい、ってね!」
「うッ。ブルーティアーズ‼」
こんなに序盤からブルーティアーズを使う事になるとは。流石ですわ。次期代表は伊達ではありませんね。とはいえこちらも次期代表。その矜持というものがあります。
「それの弱点はわかってる!」
あっという間に4機とも墜とされてしまいました。そのまま近接の間合いへ入ってくるかと思い、
そして今度こそ近接の間合いへ入ってきました。
そのままエネルギーブレードが無防備な私に吸い込まれていくかのようにヒットしました。それだけで、絶対防御が働いたのかシールドエネルギーが6割り近く持っていかれましたわ。そこで私は慌てて
「ちっ、い、インターセプター!」
「はあぁっ!」
「きゃッ!」
ブレードを思わず取り落としてしまいました。
正直、ここまで苦しい戦いとは思いませんでした。
正直、彼女は近接専門だと思っていましたわ。こちらは先程から徐々に被弾が増えています。
此方はシールドエネルギーが残り2割。対して彼方はまだ9割方残っています。もう、こちらの勝利はあり得ないでしょう。無様に負けることは許されません。そろそろ潮時でしょう。
「降参しますわ。一夏さん、流石ですわね。」
『戦闘終了、勝者織斑一夏』
◇◇◇
セシリアとの模擬戦を終え、次はセシリアと一秋かな、と思っているとセシリアが織斑先生と話しているのが聞こえました。
「織斑先生、一旦オーバーホールしないと、損傷が激しくて戦えませんわ。」
「そうか... なら仕方がない、セシリアvs織斑兄は中止とする。」
やはり機体へのダメージは大きかったですか。あとで大丈夫か聞きに行こう。さぁ、次は一秋との勝負だ!
◇◇◇
「遅い!俺を待たせるとはどういう了見なんだ!」
「別にこの世界は貴方を中心に回ってるわけじゃない。こちらにも都合と言うものがあるの。」
「ちっ、その言葉後悔させてやる!」
「後悔するのはお前だ。」
なぜか、自分でも思ったより冷たい声が出てしまいました。カコノウラミッテコワイネー。
『戦闘開始』
◇◇◇
なんだろう、先程から一秋が時間をやけに気にしている気がする。
...あっ、もしかしてファーストシフト終えてなかったりするのかな?かま掛けてみよう!
「さっきから時間をよく気にしてるみたいだけど、もしかしてファーストシフト終わってなかったりする?」
「!?っっ‼。そ、そんなことどうでもいいだろ!」
ああ、この反応は黒だなぁ。
「ファーストシフトも終わっていない機体で来るって、相当舐められたものね。さて、もうそろそろ試合開始後25分が経過するけど、もうそろそろなんじゃない?」
「くそッ、潰してやるッ‼」
と、突然一秋の機体が光り、再構築されて行きます。ファーストシフトです。ファーストシフト後の機体は、工業製品的な鋭角さを持った機体から、どこか男性的な力強さと、女性的な丸みを帯びた、美しい機体へと変化して行きました。
「ははっ、反撃開始と洒落込もうか!来い、雪片弍型、
零落白夜と言うことは、シールドエネルギーを攻撃力に変える系の攻撃だろう。
「はあぁっ!」
「そんななまくらが当たるわけないじゃない。こっちも反撃しようか。
私の専用機、秋桜の
「くそッ!」
一秋にイグニッションブーストで一気に肉薄しつつ、斬撃を飛ばす。実は、斬撃を飛ばすこと自体は難しくない。先端速度が音速を越せばいいだけだ。と、どうやら一秋は絶対防御の発動により、気絶してしまったようだ。
『試合終了、勝者織斑一夏』
◇◇◇
「一夏さん、最後の攻撃、何が起こったのかわかりませんでした!やり方など、できれば教えて、練習にも付き合って頂きたいですわ。私、近接戦闘のレパートリーが少ないので、少しでも増やしたいと思っていますの。」
「うん、いいよ。あれはただ、斬撃を飛ばしただけ。斬撃を飛ばすこと自体は簡単なコツですぐ出来るようになるよ。」
「感謝しますわ。あっ、あと、一夏さんのこと、師匠と呼ばせてもらいますわ!」
いつの間にか弟子ができたようです。
どうでしたでしょうか。
毎度毎度遅れてしまってすみません!