Infinitum Heroicis Ficta -無限の英雄-   作:燃え尽きた灰

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今回も短めです。一夏誘拐とかの下りはカットしました。よってIS学園入学からです。それではどうぞ。


1 -入学-

 IS学園。ここには世界各地から優秀なIS操縦者となるべく少女たちが倍率1万倍とも言われる入試を潜り抜け集まっている。その上空に、誰に知られることもなく一人の少女が姿()()()()()()()()()漂っていた。

 彼女の名前はユーリ。【銀の牙】の後継者である。彼女は文明の崩壊を企む【黄衣の王】と戦う【狼】の一人。彼女は物語の【領域】(リージョン)の者ではない。たったひとつある、基幹世界の人間である。

 この世界(インフィニット・ストラトス)には【英雄の物語】は存在しない。ならば何故この世界にいるのだろう。その理由は単純である。【黄衣の王】の眷属が彼女との戦闘の末この世界に逃亡したからだ。

 

「はぁ、独立して初めての獲物が逃げた先が知っている物語の【領域】でよかった。だけど、貴方は何?異分子(イレギュラー)。」

 

◇◇◇

 

 世界で唯一ISが動かせる男、織斑一秋(おりむらかずあき)は転生者である。彼がISを動かせるのはそのときに貰った転生特典だ。最も、この世界では織斑一夏は女性なので当然のようにISを動かしているが。

 閑話休題(それはそれ)。話がずれた。彼の周りには当然のように女しかいない。それが一秋に向けて好奇の視線を向けてくるのである。

 

居心地悪いな。原作一夏ものれを耐え抜いていたのか。安易にハーレムとか考えるんじゃなかった。

 

チャイムが鳴り、扉が開く音がした。

 

「1年1組の副担任の山田真耶です。一年間よろしくね。」

 

そちらを向くと、なにとは言わないが大きなものを持った目の保養にもなりそうな少女がいた。

 

あれが先生か。どう見ても俺たちと年齢が変わらなそうなのに。ハハッ、まあいいや、この学園に俺のハーレムを作ってやる

 

◇◇◇

 

 私は小さい頃から(一秋)に虐められてきた。兄とは双子だが、あちらは千冬姉と一緒で天才だった。勉強でも運動でも常に比べられてきた。兄はテストでは毎回満点。私は凡才だったから、兄や千冬姉に少しでも追い付きたくて必死になって努力した。でも、学校の先生には千冬姉の妹と言うだけで、テストで一問間違えただけでも怒られた。その後、A+という高いIS適正が分かり、国家代表候補生に選抜されてもう兄と比べられることはない、と思っていた。何故ならISは()()()()()()()()()()()()()()()からだ。でもなんの間違いか、兄である織斑一秋はISを動かしてしまったのだ。

 

はぁ、また比べられていじめられる生活が始まるのかなぁ...

 

「では、SHRをはじめめす。自己紹介から始めましょう。先ずは相川さんからお願いします。」

 

どうやらホームルームが始まったようだ。晴れた空模様とは裏腹に心のなかは不安で曇っていた。

 

ここで上手くやらないとまた虐められるかも...。どうしよう...

 

「じゃあ次は織斑さんね。お願い。」

 

唐突なその声で思考が途切れた。

 

「織斑一夏です。日本の国家代表候補生をしています。趣味は料理です。よろしくお願いします。」

 

「じゃあ次、織斑君お願いできるかな。」

 

「織斑一秋です。三年間よろしく。」

 

一秋はあの目付きさえどうにかすればなぁ。

 

兄は獲物をむさぼる様な目付きを隠してはいたが、長くともに暮らしていた一夏からすればバレバレなのである。あの目は誰かを虐めている、虐めようとしている目だった。突然後ろから怒声が聞こえた。

 

「お前はちゃんとした自己紹介もできんのか!」

 

ドガッ。千冬姉が兄の脳天に出席簿を叩き込んだ。

 

「ち、千冬姉?」

 

バゴッ

 

「織斑先生だ、馬鹿者。」

 

「1年1組担任の織斑千冬だ。貴様らを今年一年で使い物になるようにしてやる。わかったら返事をしろ。わからなくても返事をしろ。」

 

その刹那、耳をつんざくような嬌声が響いた。

 

「「「「「「「「千冬様よ、本物の千冬様!」」」」」」」」

「私千冬様に会うために来たんです!」

「優しくしてください!」

「でも調子に乗らないようにたまには厳しくして!」

 

「どうして毎年私のクラスには馬鹿者ばかり集まるんだ?意図的に集めているのか?」

 

そんなこんなで自己紹介も終わり、1時間目までのみ次回休み時間が始まった。

 

「箒、久しぶりだな。」

 

「ふん。」

 

「俺にISについて教えてくれないか?」

 

「どうしても、というなら教えてやらんこともない。」

 

「ああ、お願いだ。」

 

そうしていると、突然にセシリアが割り込んできた。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「あ、あぁ。」

 

「いいですのよ、あなた、この、イギリス代表候補生、次期代表のセシリア・オルコットに話しかけられて緊張しているのでしょう?」

 

「はぁ」

 

「あなた、気が抜けたような反応をしてなんですの?。わたくしと話が出来るなんて貴方のような下々の者からしたら、願ってもない幸運でしてよ。初めての男性操縦者はどんな御仁かと思いましたが期待外れでしたわ。でもいいですわ。わたくし、優秀ですので貴方のような方でも訓練して差し上げてもよろしくってよ。」

 

「いや、箒がいるし。」

 

「貴女に何が教えられますの?ランクCの篠ノ之さん。」

 

「ランクなんて関係ないだろう!」

 

突然の乱入でフリーズしていた箒が再起動した。

 

「貴様らは未だ殻も破っていないヒヨッコにすぎない。そんな奴のランクなんてごみ同然だ!無意味な争いをするな!」

 

バゴッ。箒とセシリアの脳天に出席簿アタックが炸裂した。

 

「ち、千冬姉...」

 

バゴッ

 

「織斑先生、だ。」

 

俺が叩かれたのを見て怯えたのかなんなのか、フリーズするセシリア。

 

「授業を始める。早く席にもどれ。」

 

織斑先生のその言葉でセシリアが再起動した。そして悪役の逃げ口上のテンプレのような台詞を吐きつつ席に戻った。

 

「ふん、あなた、覚えていらして!」

 

 

 

 

 

...あいつ、何しに来たんだろう?




次の投稿は2017年1月1日の予定です。次回もどうぞよろしくお願いします。

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