帰りたい、でも帰れない天狗さんの日常   作:monochrome vision

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お気に入りが200から一日で1500程度まで上昇…マジでびっくりした。ありがとうございます。
あと感想もです。サンクス。

…感想欄、厨二とかなんとかで溢れてましたが、それを二次創作を読めるここで言っちゃう? 
や、私もそう思うけど! そういう歳じゃないから考えたこともあるけど! 黒歴史は辛いよな(吐血)……でも、名前くらいいいやんけ。ちょっとのお茶目くらい見逃して下さい。真面目な名前の小説読みたいなら本屋で買ってこよう(白目)

指摘に恥ずかしさがちょっと出てきて、私は悶ながらもこの名前で書いていく。む、昔よりましだと信じればなんとか……!


04 地下室の少女

 

 

 

 

 

 喘息魔法少女の喘息が落ち着いてきたのでそのまま寝かせて次へ行くことにした。途中でどこからか戦闘音が聞こえたが静かになったので終わったのかもしれない。急げ俺。

 

 影を纏って戦闘音のしたところに行くとそこはホールのような場所であり、至る所にナイフが刺さっている。これだけ見ると殺し合いでもあったんじゃないかと思う光景だが、血が何処かに飛び散っているというわけでもないので誰も死んでないんじゃないか? 弾幕ごっこで死んだらそれも事件である。俺が新聞に乗せてやろう。

 

 取り敢えず写真を撮るのはもはや現場に対する礼儀。このネタを撮らないのは失礼だ。勝手に断りを入れて勝手に受諾されたと思い込んでおくが、安心して欲しい。尊厳を損ねるような記事は絶対に書かない……と思うので。盗撮? ちょっと何言ってるのかわからない。

 

 そしてそのホールには一人の女性が階段を登っていた。後ろ姿だが銀髪でミニスカートから覗く真っ白でスラリとした美脚……そしてメイド服である。まさかのミニスカメイドである。男子諸君は歓喜するに違いない。もう後ろ姿からしてスタイルはいいとわかり、美人だとわかる。再度言うがメイドさんである。やっふぅ!

 

 俺も年頃の男の子…メイドさんは普通に好きだ。傷だらけで今にも倒れそうな程フラフラしている後ろ姿を静かにパシャリ。無音カメラはいい仕事をしてくれるぜ。

 

 と、その時。今までで一番の轟音と揺れが館を襲いかかり、天井に刺さっていたナイフがカラカラと床に落ちている。これはあれだ、多分博麗の巫女が親玉と戦っているのだろう。この異変で一番の見所をしっかり収めないといけないが……

 

「きゃッ!?」

 

 まずは後ろから階段を落ちようとしているメイドさんを助けなくては。揺れで足を滑らせて転倒しかけたメイドさんの背後に一瞬で移動し、衝撃を極力消すようにして受け止める。

 

「え…?」

「大丈夫か?」

「あ、はい…ありがとうございます………侵入者ッ!?」

 

 お礼を言ったかと思うと俺を押しのけるようにして距離を取り、いつの間にかナイフを所持して此方に敵意を向けている。やはり想像した通り綺麗な顔立ちをしている。アイドルも裸足で逃げ出すレベル。もし話しかけられたら勘違いして告白して振られるだろうな。…って、振られちゃうのかよ、俺。

 

 いかん、そんなことより敵意はないと言うことを示さなくては……そう思い、取り敢えず無難な両手を上に上げるという行動を行うと、意味がわかったのか戸惑いを感じられた。

 

「取り敢えず落ち着け。俺は敵ではない」

「……侵入者が敵じゃないと言って、貴方は信じられますか?」

「無理だな。だが、もし敵なら博麗の巫女達と協力しないと、しがない鴉天狗は吸血鬼に瞬殺されるぞ?」

「では、なぜここに?」

「ああ、俺は新聞を書こうと思っているのだが、異変を記事にしようと思ってな。遅かれ早かれ幻想郷中に知れ渡るんだ…尾鰭が付く前に俺が真実を伝えたほうが、お前の主の評判的に良いんじゃないか? 今後、幻想郷の住人に受け要られやすくなるだろうよ」

「……………………」

「不安か? 出来上がった新聞はお前に渡しに来る。あとは…絶対にお前の主には手を出さないと誓う。俺も死にたくないしな」

「………………本当に敵対行動はしないのですね?」

「しない。敵対するのなら今頃弱ったお前は俺にやられているぞ? 階段から転げ落ちるのも眺めていたはずだ」

 

 飄々と答える俺に本当に敵対心がないとわかったのか、やっとナイフを下ろしてくれた。

 

「いいでしょう。しかし、余計なことはしないで下さい。掃除が大変ですので」

「了解した。ああそうだ、できれば詳細な情報を新聞に載せたいから、このメモ帳にこの館とメンバーの情報、異変を起こした理由など色々書いておいてくれないか? 俺は博麗の巫女との戦いを見に行くが、帰りに取りに来る」

「このことをお嬢様には……」

「言わなくていいだろ。言っただろう? 遅かれ早かれ散らばる情報だ」

 

 無理やりポケットから取り出したメモ帳とペンをメイドさんに手渡してからホールを出て長い廊下で影に潜る。ただ、戦闘開始に間に合わなかったので、せめて音声だけでもと思って影を繋いで録音だけしておいた。

 

 「こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ」はいいとして「あなたは今まで食べてきたパンの枚数を覚えてるの?」はどこかで聞いたことのあるセリフである。吸血鬼っぽくていいとは思うが、声が幼い少女の声音だ。

 そう言えばメイドさんがお嬢様と言っていたが…もしかして吸血鬼は女? しかも少女。それでも普通の鴉天狗なら吸血鬼相手に敵わんだろうがな。能力全開なら負けはしないとは思う。尚、勝てるとは言っていない模様。

 

 影を伝って屋根へと向かってみれば紅い空に浮かぶ紅い月の下、博麗の巫女と一人の少女が戦闘を繰り広げていた。翼からしてあれが吸血鬼だろうが…幼い。妖怪だから見た目より年は取っているだろうが博麗の巫より幼く見える。DIO様みたいなのを想像していたんだが、只の美少女だった。

 

 確かに戦いは吸血鬼を思わせる力強さもある。それに対抗する博麗の巫女もかなりの強さだ。正直、真正面から向かっていって俺が勝てる相手ではないだろう。まぁ、俺がまともな戦いをするわけないのだが。

 

 新聞のネタとしては十分だろうが、そこまで特筆するようなことはない。それよりも俺が最初っから気になっていることがある。影により館を把握した際、地下に一つ大きな部屋があり生命反応が確認された。それはなにかと部屋の中を影だけで覗こうとした。

 

 そして……部屋を見ることができた瞬間、影のある場所一帯が破壊されて見ることができなくなった。

 

 あの部屋にはなにかがある。俺は博麗の巫女と吸血鬼の少女の戦いを最後まで見届けて情報を収集してからその地下へ向かうことにした。

 此処から先は新聞などは関係ない。ただ、俺が気になるから向かうのだ。俺が居るわけでもなく、気配を発しているわけでもないのに消されたことが気になるから行くのだ。

 

 もう場所は把握した。わざわざ地下への入り口から律儀に入るなんてことはせずに一気に影へと飛んでいく。

 

 ゆらりと影から出現した俺は地下にある部屋へと出ることができた。

 薄暗い部屋の中を見渡すと、壊れた人形、血の匂い、少量の家具、分厚い本、そして一人の少女が人形を抱えて座っていた。

 

「……………こんばんは。お前か?」

「こんばんは。私だよ?」

 

 にこりと笑う少女が俺の質問の意味を理解して肯定する。やはり、この少女が破壊したのだろう。

 金髪の少女は背中に輝く宝石のようなものをぶら下げた翼を持っている。恐らくこの少女も吸血鬼なのだろう。

 

「それで、いきなり現れた狐で鴉なお兄さんはだーれ?」

「……狐鴉(こあ)でいいさ。お前は?」

「私? 私はフランドール・スカーレット! フランでいいよ!」

「そうか。そう言えば上の方で色々やってたんだが、お前は参加しなくても良かったのか?」

「う~ん、いいんじゃない? 私はここで495年も幽閉されてたし、上のことはわかんない!」

 

 無邪気に笑う少女、フランは人形をぎゅっと抱きしめてそう言った。それにしても495年も幽閉? こんな何もない場所でそんなにも長い年月を過ごすとは…暇人か。

 

「幽閉とは穏やかじゃないな。理由はあるのか?」

「ん~、なんか私が狂気に侵されてて危ないからって閉じ込められたらしいよ」

 

 ……は? 狂気に侵されてて? 危ないから495年も外に出ることなく地下に幽閉? 外を知らないからこんなにも幼い? 

 

 何かがおかしい……何かが引っかかる。

 それは先程出会った瞬間から感じられた……あの無表情がここまで無邪気に笑えるのか。495年も幽閉されて笑っていられるのか? 壊れてしまったから幼くなっているのは確かに普通の考えだろう。

 

 しかし、この子は…もうかなり昔に違う方へ壊れてしまっているのではないか? 壊れたことを自覚して今を振る舞っているように見える。じゃないとあの仮面のような笑顔は……そうだ、あの無邪気な笑顔を俺は何度も見たことがある。それは彼女に裏切られ続けていたとき……俺に笑っている顔は全て作り物だった。あの顔に非常に似ている。

 

「ねえ、何考えてるの?」

 

 そう言われて顔を上げる。少しの間考え込んでいたようだ。いつの間にかフランが目の前に来て俺の顔を覗き込んでいた。

 

「なんでもない」

「そう? それよりさ、せっかくだから私と遊ばない?」

「遊び? まあ構わんが……弾幕ごっこか?」

「ううん、それよりももっと楽しい遊び! 叩いて、斬っテ、抉ッテ、ツブシテ…ネェ、アソビマショウ……?」

 

 笑顔は変わらない。それでも目は黒く染まり、中心が紅くなって…まるで狂気に染まったかのような………。

 俺が蹴りを放つのとフランが妖力弾を放つのは同時だった。放たれた弾を上体を倒すようにして避けると同時に蹴りを放ってフランの胸を蹴ると、ベッドの向こうへと落ちていった。

 

「モウ、イッタイナァ……女ノ子ヲ蹴ルナンテ、酷クナイ…?」

「酷くないな。いきなり殺し合いを仕掛けてくる相手に、優しくなんてできんよ」

 

 後方をちらりと見てみると、弾幕によって壁が大きく凹んでいた。あの威力では当たれば只ではすまない。

 初めての殺し合いに緊張が高まり、神経が次第に研ぎ澄まされていく。同時に能力によって感覚を最大限まで強化して如何なる事にも対応できるようにする。

 

 感覚を奪ったり、影で拘束したりと簡単に終わらせることはできるだろうが、何故か()()フランには意味が無いように思える。

 

「ジャア、今度ハワタシノバンネ!」

 

 狭い部屋の中で大量に弾幕が展開されるが、射出されたそれを全て生み出した影の剣で叩き斬る。地面から生えた影の先端が剣状になって斬り捨てているのだ。

 弾幕じゃ無理だとわかったのか、弾幕はそのままに身を低くして跳ぶように飛び掛かってくるフラン。痛いのは嫌いだから接近戦は勘弁してほしいのだが……フランの右手の貫手を、伸びきる前に肩を叩くことで無効化する。だがそれで終わるはずもなく、今度は左手の小さな拳を腹に向けて打ってくるが、右腕で内から払うことで迎撃し、大きく隙きができたところでフランの右腕を左腕で絡めるようにして固め、取り敢えず打ち込みやすい鳩尾、心臓、人中に拳を叩き込み、最後に蹴り飛ばす。ジークンドーとかその他諸々習っててよかった。マジで。

 

 フランが再び蹴り飛ばされたことで弾幕は一旦消え、俺との距離も空く。先程の数秒にも満たない攻防…いい感じに叩きのめしたかのように見えたが、流石吸血鬼、バトルセンスは優れている。

 

「アハハ……イタイヨ……」

「よく言う。全て当たる瞬間に後方に身を引いてまともに喰らわなかったろう?」

「ソレデモ、腕ハ壊レチャッタヨ?」

 

 右肩と肘のことだろう。固めたまま蹴り飛ばしたことで壊れたらしい。しかし吸血鬼だ、もう治っているようじゃないか。ズルいものだ。

 戦ってわかったが速度も力も尋常じゃない。俺が妖力で強化、影で強化外骨格を作ってやっとの戦いだ。

 

 そして…フランはそんな俺すらも更に超えていく。感覚を強化しているお陰で反応はできた。既に目の前にいるフランの下から抉るかのようなアッパーを顔を上げることで避けるが、そのアッパーより更に速い正拳突きが腹に刺さる。

 

「――ッ!!」

 

 声にならない叫びを唾とともに吐き出して身体は壁に激突する。大きくクレーターを作って轟音が鳴った。

 前のめりになる身体を踏ん張って支える。それでも強化外骨格のお陰で目立つ怪我は負わず、衝撃だけが体を叩いた。

 

「ゲホッ…チッ、痛いのは嫌いなんだがな……」

「アハハハハハッ! 凄イ、スゴイヨ! アレデ壊レナイナンテ!」

「ハッ、これでも俺はもやし並みに脆いからな。これ以上は流石にキツイぞ」

「アハハハッ! モット壊レチャエ!」

 

 

 ――禁忌『レーヴァテイン』――

 

 

 炎を纏った時計の針のようなものが下から掬い上げるように振られ……俺は炎と衝撃に襲われる。鳴り響く破壊音が、落ちてくる瓦礫が、充満する熱気がその恐ろしさを物語っていた。あまりの威力に地下から地上まで一気に破壊しつくされたのだ。

 

 

 

 




戦い…上手く伝わるかな? 文章力半端なく低いから自分じゃ気づかない。

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