悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

21 / 95
第二階層 『刀』

現在、四人は階段を駆け上がっている。

長い長い階段だった。

 

妖夢「………何時まで続くんでしょうか、この階段。」

京谷「見えてる先は明るいから、そろそろ着く筈だけど。」

 

着実にだが、光が近づくのが確認できる。

 

利久「そろそろですね。」

京谷「だが、油断はできないのは確かだ。」

 

〔フロア2〕

 

京谷たちは階段を上りきる。

しかし、

 

京谷「まーただだっ広いとこかよ!」

咲夜「恐らく全て同じような内装なのかもね。」

利久「ってそんな事より、また誰かいますよ!」

?「…………………」

 

京谷たちの目の前に刀を持った人物が見える。

 

?「…………………」

京谷「あいつは………確か………」

咲夜「知ってるの?京谷。」

京谷「確か……あいつの名は『チャカ』……スタンドが

 

 

 

 

 

       『アヌビス神』

 

 

 

 

 

妖夢「!?それって!私が戦った!」

京谷「そう、あの時の戦いで俺が使った『スタンド』だ。だが、俺のはある意味『コピー』つまり『模倣』した物だ。だが、あいつは『オリジナル』だからな俺より強い筈だ。」

利久「!?京谷さんよりも!?」

京谷「『同じスタンドで戦えば』の話だ。だが、苦戦するのは間違いない筈だ。」

チャカ「話は終わったか?」

 

目の前の人物、『チャカ』は刀を鞘から抜きながら話しかける。

 

京谷「随分紳士的だな。待ってくれるなんてよ。」

チャカ「私と戦っていた時のスタンド使いが、騎士道精神とやらに乗っ取って戦っていたのでな。私も真似してみただけの事だ。随分と暇だったがな。」

京谷「へぇ、真似、ねぇ。」

妖夢「…………京谷さん。」

京谷「行くのか?」

妖夢「はい、ここは私に戦わせてください。京谷さんたちはお先に行ってください。」

京谷「………分かった。気を付けろ。」

利久「ちょっ!京谷さん!?全員で戦えば良いんじゃ!?」

京谷「利久、いずれお前にも分かる。」

 

京谷は妖夢の肩に手を置く。

 

 

 

 

 

京谷「やってこい。お前の信念をあいつにぶつけろ。」

 

 

 

 

 

妖夢「言われずとも、やりますよ。」

 

妖夢は刀のスタンドを出し、チャカに構える。

 

京谷「行くぞ。咲夜、利久。」

咲夜「分かった。」

利久「………………」

 

三人は次の階段へと走っていく。

残された妖夢とチャカは静かに構えていた。

 

チャカ「一つ聞こう。」

妖夢「何だ?」

チャカ「貴様の腰にさしている『獲物』は使わないのか?見たところ二刀流と思われる。」

妖夢「…………貴様に合わせているだけだ。『一対一』の対決が良いだろう?」

チャカ「………要らぬ気遣い、感謝する。」

妖夢「………では、手合わせ願おう。」

 

 

 

妖夢とチャカのスタンドが部屋中に響く。

 

 

 

 

チャカ「先手必勝!」

 

チャカは刀を素早く、急所に的確に切り裂こうと刀を振るう!

しかし!軌道が詠まれているのか妖夢は全て的確に弾く!

上下左右、あらゆる方向に攻撃しても!軌道を瞬時に変え別の方向から攻撃しても!全て弾かれる!

 

チャカ「(…………おかしい!何故全て詠まれるのだ!?変則的に攻撃しているのにも関わらず、その全てを詠まれている!!何なんだ!このスタンドは!?)」

妖夢「……………」

 

妖夢は無言のまま刀で防ぐ。

チャカは攻撃を止め、妖夢から距離を取る。

 

チャカ「………………」

妖夢「…………どうした?もう終わりか?」

チャカ「………一つ聞きたい。」

妖夢「……何だ?」

チャカ「貴様のスタンドの能力は一体何だ?先程から全くと言って良いほど私の攻撃が当たっていない。どのような能力なのか知りたい。」

妖夢「…………良いだろう。教えてやる。」

 

妖夢は構えを解く。チャカも同じように構えを解く。

 

妖夢「私のスタンド能力は『軌道を詠む』能力と『見た軌道を模倣する』能力だ。」

チャカ「!?なるほど、私の軌道は全て詠まれたと云うわけか。」

妖夢「そうだ。さて、次は私の番だな。」

 

妖夢は接近し、素早く刀を振るう!

チャカは辛うじて防いでいる。

 

チャカ「グヌゥ!!こ、この……剣裁きは!……先程……私が……したものと……同じなのかッ!!」

妖夢「見た軌道を模倣し、的確に狙う事ができるのでな。そして!」

 

妖夢の刀はチャカの腕に食い込む!

 

チャカ「ッウ!!フッ!!」

 

チャカは刀で妖夢の刀を押さえつけ距離を取る!

 

妖夢「………………」

チャカ「………強いな。」

 

妖夢は刀を振り、付着していた血を払う。

 

チャカ「まさか、私に傷を付けるとは。」

妖夢「………私の力ではない。そこに少し不満を抱いている。」

チャカ「?」

妖夢「この剣裁きは全て、私のスタンドによる物だ。これが無ければ、私はとっくに負けている。自分の実力じゃあない事に、私は腹を立てている。」

チャカ「…………なるほど、では私も同じ様な物だな。」

妖夢「?どういう事だ。」

チャカ「私のスタンド『アヌビス神』は本来ならば自我意識を持った刀なのだ。それを私は使っている。つまり、今の私も本当の実力じゃあないのだよ。」

妖夢「………なるほど、確かに似ているな。自我意識は別としての話だが。」

チャカ「……聞かせてくれないか。貴様のスタンドの名を。」

妖夢「………分かった。良いだろう。私のスタンドの名は、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スティッキーフィンガーズ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

利久「これで良かったんですか?京谷さん。」

京谷「………利久。もう少し考えろ。こんな事も考えられなかったらロクな大人にならんぞ。」

利久「なんでそうなるんですか!?」

咲夜「教えたらどう?京谷。」

京谷「……………はぁ、まあ良いか。何故妖夢を一人にさせたのか、だな。」

 

京谷は立ち止まり、利久に向かう。

 

京谷「利久、妖夢は剣士だからこそ任せたんだ。」

利久「剣士?それだけですか?」

京谷「それ以外に何がある?」

利久「いや、それだけって!?それだけで一人にさせたんですか!?」

京谷「それだけだ。剣士には剣士で。そういうものさ。」

利久「こう、もっと他に無いんですか!?」

京谷「…………あるとすれば剣士の誇りだな。」

利久「そ、それなんですか。」

京谷「ようは『こいつは知らない奴だが、同じ剣士として戦わなければいけない』という考え方だ。」

咲夜「まあ、それは年齢を重ねたら誇りの一つや二つは絶対持つわ。」

京谷「そして、妖夢のその武士道精神から名付けたスタンド名が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京谷・妖夢「『サムライ・スピリット』」

 

 

 

 

 

 

 

 

『スティッキーフィンガーズ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖夢「それが私のスタンドの名だ。」

チャカ「ほう、良い名だな。貴様のその武士道精神とやらには見習うべきものがあるな。」

妖夢「それはありがたいな。さて、こんな話よりも決着をつけるために勝負をしないか?」

チャカ「そうだな。確かに戦わなければ終わらないものだしな。」

 

妖夢とチャカはそれぞれ構える。

妖夢は居合いの構えを、チャカも居合いの構えをする。

その場には緊張感のみが漂っていた。

 

妖夢「………………」

チャカ「………………」

 

妖夢とチャカは右足を後ろに下げ、重心を低くする。

そして目を閉じ、その場に留まる。

そして、

 

妖夢「!!」

チャカ「!!」

 

同時に接近する。

妖夢とチャカは共に、着実に接近する。

そして!

刀を共に振るう。

 

 

 

 

辺りに衝撃音が響く。

 

 

 

二人は少し歩み、距離を取る。

 

妖夢「………………」

チャカ「………………」

 

しばらくして、一つの音がする。

チャカから。

 

チャカ「グボォ!!」

妖夢「………私の………勝ちですね。」

 

妖夢はチャカに近づく。

 

チャカ「ゴホッ!!何故……近づく?」

妖夢「私はいっちょ前に武士道精神とか言ってますが、そもそも半人前の分際です。半人前が武士道等と言ったとしても覚悟が無いと思われる。半人前だからこそ、私は貴方に近づいた。」

チャカ「………なるほど、そういうことか。」

妖夢「………ええ。」

チャカ「なら、それは間違いだ。」

妖夢「!?」

チャカ「貴様の武士道精神には見習うべきものがあると言っただろう。その精神はまさしく

 

 

 

 

 

 

 

     『一人前の剣士の心構えだ』

 

 

 

 

 

 

 

妖夢「………………」

チャカ「だからこそ、お前は俺を助けるな。俺も、騎士道精神を持つ者としての最後を、この手で送りたい。」

妖夢「…………分かりました。」

 

妖夢はチャカから離れる。

チャカは刀を持ち、

自分の心臓を貫く。

 

チャカ「グッ!!ガファ!!」

 

妖夢は振り返らない。一人の剣士として、階段へと歩みを進める。

 

妖夢「……………!?」

 

妖夢は何かを感じとり、後ろを向く。

そこには

心臓を貫いた筈のチャカが

立っていた。

 

妖夢「な、何故!?何故立っているのだ!?」

チャカ?「…………分からんのか?私の存在が。」

 

その時!妖夢に電流が走る!

 

妖夢「まさかッ!!貴様ッ!!」

チャカ?「クハハハ!!漸く気づいたか!」

妖夢「

 

 

 

 

 

       『アヌビス神!!』

 

 

 

 

 

 

アヌビス神「ハッハッハッハァ!!そうだッ!!私が操っているのさ!!」

妖夢「き、貴様ァ!!」

アヌビス神「ハッ!!何が騎士道だ!何が武士道だ!最終的に勝てば良い!そして、それをあのお方に献上すれば良いだけだ!それなのに!『生き返らせてもらった恩』を忘れ、自身の私利私欲の為に行動していた『コイツ』が悪い!」

妖夢「!?『生き返らせた』!?」

アヌビス神「そう!コイツはそもそも『死んでいた』のだよ!あるスタンド使いに殺されたのだよ!」

妖夢「……………」

 

妖夢は静かにスタンドを構える。

 

アヌビス神「ほぉ、俺と戦うか。良いだろう!」

 

チャカに取り付いているアヌビス神は妖夢に構える。

だが!

 

妖夢「!?」

 

突如!チャカの体が動き、アヌビス神を地面に刺した!

 

アヌビス神「何ぃ!?バカなッ!!既に意識を取り込んだ筈なのに!何故私の支配下にならない!?」

チャカ「………ゴホッ!!」

妖夢「チャカさん!!」

チャカ「俺は………死ぬ………もうじき………な………おま……え……は………はや………く………行け…………なか………まの……元へ……」

 

チャカは言い終わると同時に手を離し、アヌビス神の刃で頭が裂かれる。

妖夢はその光景を、ただ見守るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

妖夢vsチャカ

 

結果 チャカは『アヌビス神』の洗脳に耐え、力尽きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スティッキーフィンガーズ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

〔フロア5〕

?「チッ、やはり死ぬか。エンヤ婆よりは期待していたのだが、やはり人間……と言ったところか。」

 

その人物は頬杖をつきながら言う。

 

?「次が確か…………アイツか。まぁ、アイツらよりかは期待できると同時に心配だな。要らぬ事をしなければ良いが。」

 

 

 

 




どうも、うぷ主の鬼の半妖です。
さて、今回ですが……知ってる方は知ってる『アヌビス神』のスタンド使い『チャカ』です。何でチャカを出したか?についてですが、個人的にアヌビス神に取り付かれた人間よりかは、チャカの方が良いと感じたからです。
まぁ、どちらが良いかは個人の自由ですが。
では、次回もお楽しみに。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。