貴方は英雄ですか? いえいえ。まだ一般ぴーぽーです   作:カルメンmk2

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 はーい、新章始まるよー!

 何度も言いますが、私は不幸があって初めて幸福を実感できると思います。ですので、プロローグのことについては修正するつもりはありません。
 また、超一流の悲劇よりも超絶ド三流のハッピーエンドの方が好きなタイプです。

 だって面白くないですか?
 悲劇を望む超一流のどこかの誰かの思惑を、ド三流が台無しにするのってね。


兎と灰被り、爺を添えて

 波乱の怪物祭からもう一週間以上が経過した頃、老人のような若い剣士こと、時雨永嗣(しぐれえいじ)は念願の自由を手に入れた。

 ミアハファミリアの主神、ミアハから完治のお墨付きをもらえたのだ。

 これで自由だと、鈍り気味の体をほぐしていると犬耳の女性、かのファミリアの団長であるナァーザ・エリスィスが怪我をしたらまた来るようにと言ってきた。あと、ディアンケヒトファミリアには行くなということも。

 

 彼女の言葉に、適当に返事をしていると準備を終えた兎のような少年ベル・クラネルが奥の部屋から出てきた。

 黒く輝く、小太刀のような武器はヘスティアからもらった逸品らしい。らしいというのは、自分が持つと切れるものが無いというぐらいにナマクラになるからだ。

 ベルが持つと途端に力強く輝くのだから、俗にいう付喪神のようなものだろうか?

 

 

「許可はもらえたんですか?」

「この通り。元気だよ」

「よかったです。――――――――僕一人だとジリ貧だったので」

「…………すまん」

「いえ………」

 

 

 世の中金である。

 どれだけ高尚な志や目的を持とうとも、金が無ければ何も始まらないのである。

 だって、雲や霞で腹が脹れるわけではないもの!

 

 永嗣の離脱は、それはそれはファミリアの財政に打撃を与えた。恐らく、意識を失った最後に味わった悪臭男の一撃並みの大打撃だ。

 つまり、金が無くて、でも借金は存在していて、利息払いで取り分が殆どなくなる状態だ。

 今回の治療も診察費は分割ということで待ってもらっている。料金の割り増しで何とか待ってもらっている。あの犬耳が小躍りしていたのを俺は忘れない。

 

 

「単純に稼ぎも増えるだろう。お前さんが世話になっているサポーターとやらにも挨拶したいからな」

「ホント、イイ子ですよ。知識だって僕よりずっとありますから頼りになります」

「それはいいな。でも、頼り切りはダメだぞ」

「もちろんですよ! というか、口調が変わってません?」

「ん? ああ…………なんでだかな」

「ふーん………まあ、いいか」

「いいと思うぞ。それよか行こうじゃないか」

「行きましょう。病み上がりなんですから慎重に」

「当然だ。そこまで愚かではないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして冒険者様。リリルカ・アーデと申します」

 

 

 住まいの違う冒険者が大体の確率で集合場所に選ぶという噴水のある広場。

 時代背景的に噴水なんて動力を使うものができるのだろうかと思うだろうが、そこは魔石機関という電気駆動ではなく魔力で駆動するものがあるらしい。魔石灯なるものがあるのだから、今更ではあるか。

 

 その噴水の縁には少女が座っていた。自分の倍以上はある大きさのリュックを背負う、少女である。

 彼女はリリルカ・アーデと名乗り、こちらも名乗ろうとした。

 

 

「俺は―――」

「存じ上げております。オラリオでは有名ですから。シグレエイジさまですよね」

「様はいらんぞ」

「僭越ながら、立場というものがあります。私たちサポーターはいわば寄生虫みたいな存在です。冒険者様のお零れにあずかろうと寄生しているだけの卑しい連中です。対等とは考えないでください」

 

 

 徹底的に自分を貶め、こちらのご機嫌伺いを立てる姿に、思わず眉間にしわが寄る。

 ふとベルを見れば、苦笑しながら首を横に振っていた。つまり、彼女はベルに対しても同様のことを告げたのだろう。

 だが、それは間違っている。

 

 

「リリルカ………だったか?」

「はい。なんでしょうか? 報酬の話でしたら一割ほどで………」

「そうじゃない。同じパーティーを組むなら、そういった態度はやめて欲しい」

「―――――――ですが………」

「俺はそういう奴を信用することはない。高圧的なのもどうかと思うが、必要以上に貶める奴も同様に信用ならん」

「そうだよ、リリ。僕らはパーティーなんだし、もっと気軽に行こうよ? ね?」

「…………………よろしいのですか?」

「問題ない」

「全然ないよ」

 

 

 わずかに動揺し、逡巡を見せると恐る恐るといった具合に妥協案を出してきた。

 

 

「…………………わかりました。でも、もう癖になってしまっているので敬語や様付けだけはご勘弁を」

 

 

 全くもって問題ない。

 親しき中にも礼儀ありというが必要以上にかしこまられては不愉快というものだ。

 若さゆえの過ちなど、その程度を許容できなくて何が年長者だろうか。

 

 

「………しゃあなしだな」

「じゃあ、行こうか!」

「お手柔らかにお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼前でばっさばっさとモンスターを斬り捨てていく一人の男性。私の悪夢も彼位の年齢だった。

 心臓が止まるぐらいに怖かった。周囲を確認するとき、その顔がこちらに向くたびに悪夢に見つけられたと思うぐらいに、心のうちは恐慌状態だった。

 私が囁いている。私を警戒していると囁いている。どうするべきか?

 

 

(アレは絶対に手に入れる。ヘファイストスの銘入り。小太刀だけど、冒険者の予備武器として申し分ないものだ)

 

 

 ヘファイストスというネームバリューもあるが材質だって相当なもののはずだ。持ち主が駆け出しでもあの切れ味なら、そこらの冒険者に売り払っても十分に使える。アレさえ手に入れれば、私はこの掃きだめみたいな街から逃げ出せる………!

 

 

(――――邪魔ですね。本当に邪魔です。予想ではもうしばらく治療に専念していると思ったのに………)

 

 

 問題は男性―――凶剣(きょうけん)と揶揄される話題の冒険者、シグレエイジ………こいつがいる限り、盗む算段がまとまらない。

 レベル6とまともに殺し合えるレベル1などいるものか、と思っていたがこの男は相当の実力者だ。

 どれだけ剣を振っていても息は乱れず、一瞬で距離を詰められるほどに俊足で、体勢を崩さない。武神タケミカヅチにも劣らない技量だ。

 ベル・クラネルのほうも異常だ。

 

 

(なんなんですかあれは? 本当にレベル1の動きなんですか? どうしてそんなに強いんですか、強くなれるんですか………!?)

 

 

 どれだけ頑張っても自分は強くなれない。冒険者の成り損ないでいられるのは、装備している武器に腕力も何も必要としない代物ばかりだからだ。

 でも、それじゃあ生きていけない。道具(たま)代ですべてが無くなる。

 非力な冒険者はダンジョンでは生きていけない。非力を補える魔法やスキルが無ければ何もできない。威力も持続性も限りのあるボウガンや弓では長く留まれない。

 

 

小人族(パルゥム)の何が悪いんですか? どうして小人族に生まれたんですか?)

 

 

 すべてはこの想い(のろい)に集約される。

 今、擬態している犬人族(シアンスロープ)であればどんなに良かったのか。私は――――――

 

 

(―――――――――今はそんな時分じゃありません)

 

 

 呪うことは何時だってできる。今は目の前の問題に取り掛からねばならない。

 と、ここまで彼女は二人の戦力を観察していただけのようだがその実、倒されたモンスターから迅速かつ丁寧に魔石を抉り出すという行動を並行して行っていた。

 二人の進路や退路を邪魔せず、自らの保身と採集作業をこなしつつ、冷静に癖や振る舞い、人物像を見極めていくその聡明さは名うての交渉人や指揮官として能力が高いことを示唆している。惜しむらくは、本人の実力がすべての基準となるオラリオでは活かされる機会が少ないということだろう。

 

 そして、モンスターを倒し終わり、肩慣らしも済んだと人心地着いた永嗣は手に持つ刀、【孔雀丸(くじゃくまる)】の感触を確かめていた。

 

 

(どうもなぁ………指一本分は広いく、腕一本は長いか)

 

 

 ここまでモンスター相手に様々な斬り方を試した。唐竹から始まり、切り上げ、袈裟切り、胴と反対方向からのも含めれば八つ。それに突きも含めて九つの斬撃を試みたが、どうにも刀の刃幅が広い。そして長すぎる。

 ダンジョンではこんなものなのだろうか? だが、ショーケースで見た刀は普通に使われる、よく見る長さのものだった。しかし、渡された刀は青江と同サイズでありながら、幅広の逸品。でも、重い。

 

 

(師匠の剣を意識したのだろうか? だが、これはなぁ……………)

 

 

 どちらかというと小さくした破邪の大太刀みたいなものだろう。振り回せるのもどうかと思うが、ダンジョンの中で使うには集団から離れたところで使うほかない。仮に乱戦となったら、組み討ちを行うしかない。

 華麗とは程遠いやり方なため好みではないし、そもそも想定する相手に組み討ちなど行いに行けば頸と胴体が離れ離れになってしまう。考えてみると、師匠(佐々木小次郎)は紛れもない超一流の剣士だと誇張なく言える。

 

 

(戻ったら、もっと短いのにしてくれと頼むか。それよりも……………強くなったな、ベル)

 

 

 武器の選択は後にして、共に戦っていたベルの動きを評価する。

 軽いステップですれ違いざまに斬りかかり、小さい相手は見合わぬ脚力で蹴り飛ばし、大きな相手には速度を活かして削っていく。隙を見せれば刈り取る。まるで忍者とか、暗殺者のような動きだ。

 ただ、武器を振り回すだけではいけないと至ったのか格闘術も視野に入れているようで、ゴブリンやコボルド相手に殴りかかっている。見よう見まねの震脚も使っていたのは普通に驚いた。

 

 

「――――――――負けてられないな」

「次、来ます!」

「斬り込むぞ! カバーしてくれ!!」

「はい!!」

 

 

 横を駆け抜けていった冒険者。その背中に憧れている目標。挑むべき頂点。

 ―――僕、ベル・クラネルの仲間であり家族であり、頼りがいのある人だ。怪物祭の後から雰囲気が変わっているけど、以前よりも距離が縮んだと思う。お爺ちゃんみたいな感じから、隣の家のお兄さんぐらいの感覚だ。

 そんな彼がカタナを振るう。僕の持っている短刀、シグレさんが言ううには小太刀という種類の極東の武器はよくなじんでくれている。すれ違いざまに斜めにして走り抜ければ、それだけでモンスターを斬れるのだ。

 

 それだけでも今の僕には十分すぎる性能だけど、シグレさんに稽古をつけてもらっていたのが幸いしたと思う。普通の剣の振り方だけではこの武器は生かせず、殺してしまう。基本は円の動きだ。

 圧し潰すように叩くんじゃない。撫でるように振りぬくのがコツだと気づけた。

 

 

(やっぱりすごいな。あんな大きなカタナで舞うように戦えるんだ)

 

 

 病み上がとは思えないぐらいに動き回る彼に僕は運がよかったんだと思えた。近くにあんなにすごい人が惜し気もなく見せてくれるのだ。

 今だって、柄を短く握って、刀身を指で挟むようにしながら跳びかかるウルフの上顎を刎ねている。ああいう戦い方もあるんだ。

 

 

(押し切るんじゃなくて、抑えて撫で斬る。うーん……………長さが無いか)

 

 

 この戦い方は余程斬れ味のいいものじゃないと無理だろう。力は入れやすくても、撫でるように斬れないなら、この手の武器を使う意味なんてない。短剣やショートソードで刺すか、内側から斬りつけるほうが効率的だし、武器の扱いも楽だ。

 というか、僕の小太刀――そうそう、コダチって言ったら怒られたんだ―――は刀身が凄い長いわけではない。肘から手のひら半ばぐらいの長さ。僕の体格を考慮すると少し長いかもしれない。大人になればちょうどいい大きさになるとは思うけど。

 

 

(それにしても………………なんか、見られている感じがするなぁ)

 

 

 ここ最近の違和感。背後から見られているような、上から見られているような、物陰から見られているような感覚が消えない。

 僕自身より、僕の周りに対して向けられているような不快感。ネメシスファミリアの報復だろうか?

 

 

「ん、今はそんな時じゃないね」

「ベル様、上です!!」

「ッ、そこぉッ!!!」

 

 

 天井(うえ)からの奇襲なんて気付かなかった。やっぱり、パーティーがいると楽だ。

 リリもじゃんじゃん拾ってくれているし、シグレさんも動きにぎこちなさが失せつつある。

 

 

「ありがと、リリ!」

「どういたしまして。あまり無茶をしてはいけませんよ」

「ははっ、わかった! 先輩の言うことは理由があるからね」

「ッ………………そう、ですよ。ちゃんということを聞いてくださいね」

 

 

 ―――――やっぱり、もう少し砕けてくれてもいいんだけどなぁ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃらじゃら、じゃらじゃらじゃら。

 久方ぶりの豊饒の女主人。お久しぶりと歓迎され、適当にお任せしますと注文を頼むと軽やかに店主のドワーフ、ミアにオーダーを届けに行った、灰色の髪のシル・フローヴァを見送って三人は人心地をついていた。

 じゃらじゃらとちょっといい気分になれる音はヴァリスの詰まった麻袋である。

 

 

「今回はいっぱいですね」

 

 

 普通はあり得ない、20万ヴァリス以上の稼ぎ―――だったが、装備品の掛け金を一括で抜いて、14万ほどだ。予想よりもぶっ壊し続けていたのだと恥じる思いである。

 で、残るは取り分の話だ。

 

 

「今までの取り分は?」

「半々です」

「んんー…………」

 

 

 ―――――――――やっぱり冒険者なのだ。兎の彼は冒険者と思えないぐらいに世間知らずで、優しいがお仲間の方はどうだ? どれだけ取り分を多くして、どんな理由で払わないようにするか考えているじゃないか。

 

 

「そうだな、4:6でリリルカだろう」

「は?」

「4:6ですか?」

「それだけの働きだということだ。ま、6の内には契約料が含まれているけどな」

 

 

 ―――なんだそれは?

 

 

「他のサポーターを知らないからアレだが手際がいい。自分のできることとできないことをはっきり弁えているところも評価できる」

「そうなんですか?」

「対応できない相手を倒してくれていたからな。主にベルのな」

「スイマセン………」

 

 

 ―――そんなことしていない。商品に傷がつくと困るから………コマルカラ………ワタシハ―――

 

 

「運搬能力も申し分ない。今回の稼ぎも彼女が居てこそ、だろう」

「確かに。契約のこととか頭にありませんでした!」

「うんうん」

 

 

 ―――ワタシハ、ワタシハ………ボウケンシャ ナンテ―――

 

 

「で、どうかな? リリは………ダメ?」

「ッ―――え、あ………いや、その………」

「一割は契約金。次からは5:5になるが………不服か?」

「そんなことはありません! あ………いえ、破格すぎます。サポーターなんかにそんな好待遇をするのは………」

「卑下する必要はない。君の働きに対し、正当な評価だと思っている」

「ですが………」

 

 

 ―――ダメだ。ダメだ。ダメだダメだダメだ。こいつらは冒険者なんだ。あの悪夢と同じ連中なんだ!!

 

 

「専属契約ということだ。俺たち意外とダンジョンに潜らない、そういう制約もついている。どうだ?」

「………………期間は?」

「二か月」

「途中で解除することは?」

「君の意思なら、契約金の一部を返還。負傷なら返還無し。こちらの意思なら返還無しに違約金として契約料の二倍払う。どうだ?」

「―――――考えさせてください」

「明日までだ」

「わかりました」

「賢明な判断を期待するぞ、っと、来たな」

 

 

 陽気な猫人族(キャットピープル)の運んできた料理に舌鼓をうつ、悪夢に似た彼は信じられないことを口にしていた。

 多くの冒険者には寄生虫だとか、能無しだとか臆病者、替えの利く囮としか思われないサポーターにれっきとした待遇を与えると言っているのだ。

 理解できない。彼らは冒険者ではないのか? あの醜く卑しい連中と同じ穴の狢ではないのか?

 わからない。わからない!

 

 

「リリも食べなよ。僕らの奢りだからさ」

「………いただきます」

「よく食べるといい。食べない大きくなれないからな」

「僕年下だから奢ってください」

「ダメだ」

「ええー!」

 

 

 ―――――――ああ、そうだった。彼らは知らないんだ。これ以上大きくなれない小人族だってしらないんだ。

 何時もならふざけるな、って思うけど……………なんだろう。

 すこし、どこかが暖まった気がする。




 とまあ、何もリリスケが不幸になり続けるわけではありません。
 ベルボーイがちょっとキズモノだからって、見放すようなクズに見えるだろうか? いや、ねぇな!!

 といふわけで、あとがき解説行くよー。



『時雨永嗣』
 負傷してから落ち着きのある年寄じみた雰囲気から、若々しい雰囲気へと変化している。この辺り、本人も周りも違和感を覚えるが、付き合いやすくなったと評価はいい。
 ただ、本人は心技体にかなりの違和感があるようで、以前のような強さはない。今回はその違和感を払しょくするためもあったが、どのような刀でも自在に操っていた依然と比べ、懐に入られるなど、無様をさらすことになった。
 「覚えているが、他人事のような感覚。足りないけど、足りている。そんな感じだ」


『ベル・クラネル』
 ゴールデンバックとの戦いの後、マールの動きを思い出しながら戦術に組み込んでいるなど、研鑽に余念がない。
 主人公が療養中も稽古は見てもらっており、その実力はレベル1では突出し始めていると言っても過言ではない。
 目下の目標は憧れの人たちに追いつくこと。リリと仲良くなることだったりする。
 「やっぱり、レベル5とか6だったのかな? ギルドでは教えてくれなかったけど」


『リリルカ・アーデ』
 お待ちかねのリリスケ、オンライン。
 幼少のころは冒険者の両親を持つオラリオでは一般的な家庭だったが、所属ギルドの内変で団長が変わり、そこからは地獄の日々が続いた。
 何の因果か、とある存在と知り合い、地獄の日々から地獄のような日々へと移り変わることができている。
 当人は能無しと卑下するが、主人公からすると前線指揮ができて、作戦も立てられるタイプだと一目を置かれている。
 また、戦闘能力も武器の威力ありきだが、その供給を安定させられれば中層でも活躍できるぐらいの見識と知識を兼ね備えていたりする。
 「弱っちいんですよ。弱っちいから――――騙すんですよ?」


『孔雀丸』
 【くじゃくまる】、と読む。
 薄緑色の刀身と拵えの大太刀と呼ばれる規格外の代物。似たような形に『破邪の大太刀』というものが存在する。
 肉厚で幅も広く、長いという刀の脆さを克服しようとしたのかなんなのか。実際は青江のようで、青江よりもイイものができるという嫉妬心から鍛ったもの。形状から、青江の倍近くは重いなど、問題がある上に、ダンジョンでは取り回しが難しいという致命的な問題がある。ひとえに、今回の成果は主人公のちぐはぐな力量のたまものだろう。


『サポーター』
 一言で言うなら、荷物運び、という言葉が体を表す。パーティーに追従し、魔石やドロップ品の他、消耗品の多くを受け持つ役割。
 ソロから大手ファミリアに所属するなど、サポーターだけでも案外種類がいたりする。特に有能なサポーターは大手が召し抱えるぐらいに貴重だったりする。
 しかし、ほとんどの冒険者はサポーターを替えの利く囮か寄生虫、落伍者(ドロップアウター)としか思っておらず、暴行や報酬の未払い、恐喝に強盗などの対象となることが多くある。
 大手はサポーターの有用性を理解し、ファミリアの名声に傷をつけないためにもそのあたりの教育をきちんとしている。いわゆるDQNな冒険者は中堅から例祭にかけて多いようだ。
 なお、召し抱えられるぐらいのサポーターは自衛手段を確立しており、中堅ぐらいの冒険者を返り討ちにするなど容易かったりする。

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