貴方は英雄ですか? いえいえ。まだ一般ぴーぽーです 作:カルメンmk2
あと、土方Getしたぞクルァアアアアア!!!! 二万も飛んだぞ、うぎゃあああああああ!!
ところどころでオリジナル展開に突入し始めています。何が言いたいかというと、こいつは原作にとても似ているってことさ!
ガネーシャ主催の
冒険者の肉体は、この程度の登り階段など疲れのうちに入らないがしばし続くこの風景に嫌気がさすのもまた事実だ。さらに言えば、疫病男ほどとは言わないものの、冒険者の体臭がものすごいのである。浅い階層でならまだしも、深く潜っていた連中は水浴びなどできるはずもない。
運悪く、そんな彼らと帰路を共にしてしまった。
悪臭の中、黙々と登っていると、反対側にある貨物エレベーターが作動しているのが感じ取れた。
機械音―――車輪が動く音を鳴らしながら、エレベーターには布を被せられた大きな物体が幾つも積まれている。その周囲には冒険者が見張るようにして、取り囲んでもいた。
「アレ、なんですかね?」
普段なら気にもしないことだが、今日は何か違ったのかベルが呟いた。永嗣はそれにわからない、と返す。
すると、耳ざとく聞いていたのか隣を歩く強面の冒険者が教えてくれた。
「アレは
「外に出して大丈夫なんですか?」
「馬鹿言え。逃げたら仕留められるようにレベル4以上の冒険者が囲んでるんだよ」
エレベーターに乗っていたのは、すべてレベル4以上の冒険者らしい。
その理由とやらは、殺さずに捕獲するというのは難しく、二級冒険者《レベル3》以上の冒険者が薬や魔法を駆使して捕獲するらしい。
見たところ、レベル4の人物がいたことから、中層のモンスターが積まれえているかもしれないとのことだ。
「まぁ、一般人の歓心を得るためにも、娯楽は必要ってことさ。カジノに行けるのは金が無ければ行けやしねぇ」
「カジノまであるのか、ここは」
「やめとけやめとけ。堅実なほうが上に行ける」
もう話すことはない、と男はそれきり黙ってしまった。
もう当の昔に遥か上まで行ってしまったエレベーターに、むしろ乗せてくれんかの、なんて思っていたのはここに居る冒険者たちの考えではないだろうか?
見上げればまだまだ、地上は遠い、と肩を落として登るのであった。
時を一日ほど戻して、ヘファイストスファミリアはヘファイストスの執務室。
部屋の主であるヘファイストスと未だ土下座を続けるヘスティアがいた。ヘファイストスは無視するように仕事を進めるが、一日経ってもしつこく続けるヘスティアに、流石に折れてしまった。
「何時までそうするつもり? 私、暇じゃないんだけど」
「君が鍛つと言ってくれるまで」
「……………………はぁ。どうして―――は、野暮ね。私もそう思うわ」
会場で土下座を始めたヘスティアは懇願した。
―――二人のために武器を造ってほしい。
―――ベル君もシグレ君も必ず、ネメシスたちと対決することになる。
―――僕たちの稼ぎでは、まともな武器一つ、調達することが出来ない。
―――金を貯めるなら、素手で潜らないといけなくなる。でも、貯める前にネメシスは襲い掛かってくるだろう。
―――君の誇りを傷つけるのは分かっている。でも、どうか! そこを曲げて鍛ってほしい!
―――僕は愛する家族に伝えたいんだ。諦める必要はないって! 理不尽に抗う力はあると!
―――与えられるだけじゃない。与えてあげたいんだ。返したいんだ。ありがとうって! こんな駄女神の家族になってくれてありがとうって!
「――――言っておくけど、うちの一級品の相場は知ってる?」
「億単位だ。それも僕が必ず返す。何百年かけても必ず返す」
「二つでざっと4億ぐらいね。300年ローンぐらいかしら? それでもいいの?」
「かまわない。僕ができるのはそれぐらいだから。縁を切られても構わない!」
ちょっと嫉妬してしまう。自分もここまで言える眷属は居るだろうか?
いや、居るのだろう。でも組織の巨大化によって、そんな存在ですら私は切り捨ててしまうのかもしれない。切り捨てられないなら、他の子どもを犠牲にするのかもしれない。
そう考えると、ヘスティアのようにごく少数でいるファミリアが羨ましく思える。何時からだろうか? 損得で切り捨てができるようになってしまったのは………。
「――――たまには昔に戻るのもいい、か……………よし!」
ヘファイストスは椅子から立ち上がり、壁に掛けられていた鍛冶道具を取る。ベルトを腰に巻き付け、金槌からやっとこなどの彼女が長く愛用し続ける鍛冶道具を身に着けていく。
最後の一つを入れたところで、彼女はヘスティアに向かって告げる。鍛つと。鍛ってやると。
「ありがとうヘファイストス………!」
「私的な頼みだから私が鍛つわ。文句ある?」
「まさか! 天界の名工、鍛冶神にヘファイストスを知らぬものはないと言わしめる君の実力を僕が知らないと思うのかい」
「神の力が封じられているけどね」
「それでも技術は失われていないだろう! それとも劣るから許してと言い訳かい?」
「はっ! 年季の違いを見せてあげるわよ。子どもたちに負けたら主神の、鍛冶神の名が地に墜ちるわ」
「それでこそヘファイストスさ」
私を超えるという子供は多く存在する。でも、そう易々と超えさせるわけにはいかない。私は案外、負けず嫌いなのだ。
「貴女の眷属の武器は何かしら?」
「えっと…………ベル君はナイフで、シグレ君はカタナだよ」
「ナイフとカタナ、ね。…………シグレはどうして刀を折ったの?」
「噂通り、ネメシスの子どものスキルらしいんだ。切っ先で斬ったけど、広がってきて、半ばで折るしかなかったとか」
「ふぅん………レベル1で………カタナは?」
「あとで供養に出すって。無理をさせたから、最後はちゃんと見届けるべきだって」
「そう。――――良い剣士なのね」
良い剣士なのは認めよう。腕前も認めよう。
しかしこの悲しさは何なのだろうか?
「ヘスティア」
「な、なにかな? やっぱりやめたとか!?」
「違うわ。シグレのカタナは私は鍛たないわ」
「ええッ!?」
「ただし、条件次第では鍛つわ」
「じょ、条件って……………?」
「うちには極東から来た鍛冶師の一族がいるの。その子に鍛たせるわ。もし、その子が認めたのなら私は鍛たない。認めなければ鍛つ」
認めなければ鍛たないとはどういうことか?
「その子は冒険者に失望してるの。腕のいい冒険者は存在するけど、彼らは極東の武器を使わないわ。慣れしたんだ武器を優先するもの」
「そういえば技術が必要だって言ってたね。それさえあれば大抵のモノは斬れるとか」
「技術が必要なのは事実ね。もしかしたら炉の火を落とすかもしれないの。そんなのあんまりだわ」
彼女は逸材だ。椿に匹敵するほどの。花を咲かせずに終わるのは勿体無い。
二人と――――欲を言えば、あと一人が切磋琢磨し合えばさらなる高みに到れるだろう。私達に近づくほどに、人の身で天に挑むほどの腕前を持てるはずだ。
「彼がそこまでの実力を持つなら、あの子は自分から望むはずよ。認めなかったら、私が鍛つ。その時は4億ヴァリスもらうわ」
「認められれば安くなるのかい?」
「ナイフの方だけだからね。半額は私のポケットマネーで出すわ。流石にどれほどの値がつくのかわからないけど」
「うーん………わかった。君が押すほどの鍛冶師だ。何か必要なものってある? これがあると認められやすいとか………」
「折れたカタナを持ってきなさい。見ればわかるだろうから」
本棚の本を弄くれば、機械音とともに鍛冶場が姿を見せた。
消えぬ炉の火で温まっていた空気が、執務室に流れ込む。空気が移動する音でヘスティアに、凄い何かがあるという錯覚を起こさせた。
「ここにあったのか」
「私のは売り物としては使えないもの。さ、貴女にも手伝ってもらうわよ。材料は………………………最近手に入れたものと――――」
ヘスティアの子どものために鍛つのだ。ヘスティアに協力してもらわなければならない。
材料は最近売られたものにして、レベル1の冒険者が使うものに合わせる。
購入者が購入者なため、買い替えが不要なものにしよう。持ち主と一緒に育つ武器などどうだろうか。
「ちょっとやる気出てきたわね」
「まずは何をすればいいんだい?」
「ほんの少しの神威や血を混ぜてちょうだい。鍛ちながらね」
「合点承知!」
――――さぁ、久しぶりの本気を見せようか。
「神様、今どこにいるんでしょうか?」
「ヘファイストスファミリアの所らしい。昨日帰ってきたと思ったら、刀を持って出ていきおった」
「折れてるのに?」
「必要らしい。アレを売らなければならぬほどに金欠だったかの」
「稼ぎは倍以上ですからそれほどとは思いませんよ? どっちかというと、武器代が……………」
「じゃのぅ。あのデブめ、じゃんじゃん武器を壊すが良いとは…………もっとマシなもの寄越せ!」
「はぁ……………ローンがあと3万ヴァリスでしたね」
「いや、今日の分も含めると3万3000ヴァリスじゃ」
時は更に経って、
朝から大挙して押し寄せる地域の住民らが、街門の外で蠢いている。それを外壁上から眺めたギルド長、ロイマン・マルディールはほくほく顔で小躍りしそうだった。
「今年も盛況だな」
エルフでありながら、まるで豚のように肥え太るこの男。タプタプとした二重あごを震わせて、外にいる連中がどれだけ金を落とし、集まってきた商人からどれだけ税金を巻き上げられるか。頭の中は高速回転していた。
この男、エルフのくせに俗物的で誇り云々よりも金を優先する。必然的にエルフからの印象は種族全体にとっての恥さらし、と蔑まれるほどだ。
「鬱陶しいことこの上ないな。貴様もいい歳して恥ずかしくないのか? ああ! そんな贅肉だらけの体を言っているわけではないぞ? いや、贅肉がつきすぎて面の皮どころか全身厚くなってるか!」
「今日はめでたい日だから見逃すが、終わったら覚えておけよ?」
「はっ! 覚える価値もないわ、このデブめ! いや、DEBUめ!! カエサルに謝ってこい!!」
「誰だそれは!? それにデブではない。膨よかと言い給え!!」
ロイマンと、ひたすらに口汚い
「んー……………………大丈夫ね」
「はぁはぁ…………………居ないのか?」
「居ませんわ、ギルド長。ラキアの工作部隊は居ないようよ。非番の兵士だらけね」
「ということはあの情報は正しかったということか」
「山間部で工作部隊の全滅。レベル2で編成されたとかだったな」
「うむ。他の国家から来た冒険者かと思ったが………………情報は引き続き集めろ、いいな」
「はーい。じゃあ、行ってきますね」
「気をつけてな」
ロイマンの心配も聞かず、マタ・ハリは街へと繰り出していった。彼女はギルド職員でもあるが凄腕の間者だ。何せ、ロイマンの隠し通帳の在処やプールしておいた資金の額まですべて知っていたのだ。そんな有能で危険な存在を野に放つことなどできない。
はぁ、とため息を付きながら、ロイマンは今年の怪物祭も無事終わることを願っていた。
「ギルド長」
「ハルバルスか。どうした?」
「VIPが到着しました」
ロイマンの顔に一瞬だけ、険が浮かんだ。
「―――――
「ええ。
「ならいい。粗相の無いよう、気をつけろ。あとお前と何人かつける。抑えろ」
「わかりました」
一礼し、ハルバルスは戻っていく。鉄面皮の彼をハンスはこう称した。
「つまらん男だ。いや、つまらん奴か。何のためにもなりはしない」
「オラリオのためだ。最早どうにもならん」
「ふん。放蕩のツケだ。いい様だ。胸糞悪いがな!」
オラリオの闇、黒い部分。どんな場所でもあるのだ。醜い部分というものが。
だからこそ、それを知られることもなく、何時かは切除してしまわなければならない。
「つくづくお前は神が嫌いなようだな」
「当たり前だ。奴らは基本、ロクデナシの極潰し。人間に愛情なんて持っていない。居たとしても極僅かだ。だいたい、神であるならなぜ救わない? なぜ小人族を見捨て、美醜を嗤い、貧富を良しとする?」
積み荷の中身など見当がついている。神の御許で、知られながら行われる中世の悪しき伝統。あるいは傲慢。
そんなことをこの都市の神々も、自分の世界の神も手など差し伸べなかったのだ。
「
「口が過ぎるぞ」
「はっ! 俺は価値観を押し付けてくる馬鹿どもも嫌いだが、ああいう無能も反吐が出るほど嫌いだ。ああ、くそったれ! 神なら締め切りを伸ばしてみろ! 俺を過労死させるつもりかッ!!」
「守らんお前が悪いわ!!」
「執筆の苦労も知らない肉ダルマがほざくなぁああ!!!」
―――冒険者とて休みは必要だ。
ベルは永嗣の提案を受け入れ、いつもより重くなった財布を懐に、祭りへと乗り出した。
ヘスティアが留守にしてからはや数日。出来れば一緒に回りたかったし、永嗣さんも一緒にと誘うが先約がいるとのことだ。女性だろうか?
だとすれば、許しがたい裏切りである。ダンジョンに出会いを求めて来たというのに、出会うのはオッサンばかりだ。アイズさんやリヴェリアさん、ロキファミリアの美人さんとキャッキャッウフフなお祭りしたいです!
でも、故郷の収穫祭とは違って、とても賑やかで華やかだ。
露店に並ぶ、普段なら買わなそうな怪しい珍品も今日なら手に取ってしまいそうなほどに、この怪物祭には力があった。
そして小腹が空き、普段なら食べないであろう値段の串焼きセットを一つ購入。肉の旨味と油の甘味を引き立たせるような塩加減が絶品すぎて、思わずうまっ! と口に出してしまう。
するとほら。客がいっぱいやってきて、瞬く間に売れてしまった。
「んー………美味い!」
最後の一本を食べ、そこかしこに置かれているゴミ箱に捨てる。祭りの時だけ増えるとかなんとか。
腹も脹れて、冷やかしがてら歩こうかと思っていると声をかけられた。
「あ! そこの白髪の冒険者! ちょっと待つニャ!」
「はい?」
どこかで見た給仕服姿の
「久しぶりニャ、少年」
「えっと……………あ!」
「冒険者たるもの、常に周辺に気を配っておくニャ………と、いうのは置いておいて」
これ頼むニャ! 彼女はちょっと洒落た財布を差し出した。何の意図があるのだろうかと思っていると、また一人店内から顔を出した。
「ちゃんと理由を言いなさいよ、バカ猫」
「察することが大事だって、ミア母さんが言っていたニャ。そのうえでじゃんじゃん注文させるのニャ」
「客の前で言うなっ………っと、ごめんね。言葉足らずでさ。ちょっと頼みごとがあるんだ」
余計なことを言った猫人族ことアーニャ・フローメルに拳骨を一つ落とすと、人族ことルノア・ファウストが気まずそうに頼みごとをしてきた。
「シル――――ああ、君を誘った娘ね。銀髪のさ。その子が祭りに出かけたんだけどお財布を忘れちゃって………」
「ああ! 届けてほしいと?」
「うん。お客さんもいっぱい来るから準備中なんだけど、狙ってか偶然かシルは休みを取るし、リューも休んじゃって」
「そこでミャーたちのためにも、ひいては店のためにもお願いするニャ。見つけたら戻って来いと言っておいてほしいニャ」
まだ受けるとは言ってないんですけど!?
「まぁまぁ。シルを見つけたら、ちょっとデートしてもいいからさ。夜のほうに出ろって言っておいてよ。お・ね・が・い?」
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃいニャー」
困っている人を助けることも英雄への第一歩だ。決して、甘い声で囁かれたからとか、尻尾が優しく巻き付いてきたからだとかではない。デートに行けると思ったからではない。
だけど! だけどあえて言いたい。
――――女の人って柔らかかったです。
遠くで人の歓声が聞こえる。
アイズ・ヴァレンシュタインは主神であるロキとともに、静かなカフェで一人の女神と対峙していた。
いつも
「何を企んでるんや、フレイヤ」
「別に………何も企んでいないわよ。人聞きの悪い」
「信じられるかい。何時も、バベルの天辺で見下ろしているだけの女神が下に降りてきてるんや。で、そういうときは必ず騒動が起きる。なんでやろうな?」
「さあ?」
ころころと鈴のように笑うフレイヤを、ロキは食えない女神やで、と頭が痛くなる。必ず何かしらの陰謀を携えて降りてきているはずだ。
知古であるフレイヤをロキが善き神として見るなどあり得ない。
信用はしても信頼はせず。信頼しても信用はせず。両方してしまえば、足元を掬いに来る。
「ここんとこ、表に裏に動き回ってるのは知ってる。で、目的はなんや? どこぞのファミリアの子どもでも拐そうって魂胆か?」
「失礼な言い方ね。自分で
「自分でなぁ…………」
「ふふっ。まあ、いいわ。ちょっと前にね、
「どこぞの高レベルか?」
そうねぇ、とフレイヤはどこか逡巡するような態度で、眼下の往来を見下ろした。
美の女神でも、特に強い力を持つフレイヤにとって、見た目の美醜もある程度の基準となるが、何よりも魂の色という抽象的なものを絶対の判断基準としている。
どんなに美しかろうと魂に価値が無ければ十把一絡げの有象無象であり、すこし醜くても魂が綺麗であれば興味の対象となる。
魂も見た目も美しければそれに勝るものなどない。男女も関係ない。
「駆け出しの新人たちと恩恵を持たない
「三人、か……(ご愁傷様なこっちゃ。可哀想やけど)」
フレイヤがそんなに執着する子どもに興味は湧くが、手出しをすれば、どこまでするかもわからないのがフレイヤという女神だ。
「うちには関係ないさかい。大ぜいに迷惑かけなければええわ」
「それもそれで楽しそうね。でも、助かるわ」
「だけど言うとくで。あんまり、調子に乗ってると十年前の再現や」
「私が二人で、貴女たちが私たちかしらね」
「どれだけ集まるかわからんけどな」
オラリオを混迷へと叩き落とした十年前の戦争。当時の都市最強ファミリアの疲弊を狙った強襲と奇襲により、勝利をおさめて自分たちは今の地位に君臨しているのだ。
一度起きたのだ。二度目が無いなんて楽観できる神なら、今なおここでふんぞり返れるわけがない。例えどんなことでも見逃さず、それらを駆使して自らの望む結果へと近づけることを止めない。そうでもなければ留まることすら許されないのが強くなったファミリアの最低条件なのだ。
「話戻そか。祭りの間はやめとき。ウラノスやガネーシャが知ったら怒るで」
「目の前に神酒が置いてあって、明後日までお預け………我慢できる?」
「ぬぐぅ…………」
「そういうこと―――――じゃ、失礼するわね」
スッと、もう話すことはないと言わんばかりに席を立つフレイヤをちょい待ち! と呼び止めるが無視して出て行ってしまった。
結局の見掛けのアップルパンチとブランデーが残された。中の氷がカランんと音を発てて、仕方ないかとロキは残ったブランデーを一気に煽る。神は自由奔放で束縛を嫌うのだ。
「ほな、アイズたん。デートに行くでー!!」
「セクハラで訴えますよ」
「お手てつなぐのもセクハラ扱い!?」
一人で騒ぎ立てるロキを無視して、アイズは思い返す。神フレイヤはどうして一瞬、外を凝視したのかと。
ようやく始まりました、怪物祭。前回はここを超えられなかったのでなんとしても超えたいですね。
ちなみに、当作品の神々は善い面も悪い面も極端に出てきます。神様って基本、ろくでもないからね。仕方ないネ!
じゃ、解説行こうか。
『時雨永嗣』
武器入手フラグが立ちました。
「儂の知らないところで話が進んでるんだけど?」
『ベル・クラネル』
豊饒の女主人の店員に色仕掛けされちゃったチェルィイボゥイ。ただ考えてほしい。メインストリートだけでも広いのに、その中で人を見つけろという無理難題の恐ろしさを……。
「すっごくいい匂いで、
『ヘスティア』
極東の奥義、DOGEZAをするも、思った以上の成果はなかった。
ただし、彼女の家族を想う気持ちは嘘偽りのないものである。
「この武器はラブ・ブレード」と名付けよう」
『ヘファイストス』
なんだかんだで友神を見捨てられない女神様。オラリオの常識神の一人。でも、金は勝ちでとり立てるのは当然のこと。
ベルの武器は、当人としてもあまり鍛ったことのないタイプのため、技術を惜しみなく使う予定である。
「その名前はやめなさい!!」
『ロイマン・マルディール』
ギルド長で、肥満のエルフ。眉目秀麗のエルフでは異形で、あまりに俗物的なため多くのエルフから嫌われている。
しかし、その腕は敏腕であり、適度な間引きや容認などを駆使してオラリオの発展を裏で支えていることを知るものは少ない。
「デブじゃないんです。ぽっちゃりとか、ふくよかなんですぅ!」
『ハンス』
久しぶりの登場。口の悪い青髪小人族。神様大っ嫌いなのは経験上からである。
「ろくでなしが大挙して寄生している都市だぞ? どこが素晴らしいんだ。スラムのほうがまだマシというものだ」
『マタ・ハリ』
重宝活動はお任せあれ。多くの謎を持つ女スパイ。でも、夢は暖かくて幸せな家庭を得ることである。
「出会いってそうそうないわよね。冒険者は威張ってばかりだし」
『ハルバルス』
無表情、鉄面皮、鉄仮面、まるで石のよう。ただ規定通り、命令通りに動くのがこの男だ。
「それが組織であり、体制であり、秩序である」
『VIP』
詳細は外伝リュークロニクルにてどうぞ。
神々に娯楽を提供する存在であり、もはやギルドも手出しできないレベルにまで膨れ上がった闇の部分。扱う商品は知らないのが長生きの秘訣だ。
『ロキ』
今日もオラリオの現状維持に努めようと暗躍中。フレイヤと正面切って構えられるのは彼女のファミリアだけとあって、それなりに強権がそんざいしている。フレイヤも同じだったりするのは秘密だ。
目下、いかにしてアイズとベッドでいちゃいちゃするか思案中。
「うちはスケベやないで。ドスケベなだけや」
『アイズ・ヴァレンシュタイン』
傷んだ剣が早く直らないかと思っている、バトルジャンキーガール。永嗣と一戦交えたいけど、リヴェリアやフィンに止められて不満です。
「開き直らないでください」
『フレイヤ』
常識もあるがそれ以上に厄介すぎる女神。バベルの外に出るときは全身をローブで隠して出てくる。一般人も、彼女の姿を目にしただけで魅了されてしまうからである。
「ふふふ、どれもいいわ」
『狙われる三人』
「寒気がするぞい」
「何か悪寒が……?」
「厄介なのに狙われたかもしれません」
『シル・フローヴァ』
大変な時に休暇をとって、みんな激おこぷんぷん丸です。財布を忘れて祭りに出てしまううっかりさんだけどね!
「あ、お金忘れちゃった」
『リュー・リオン』
行方の分からないエルフ。普段なら働くのだが、急な休暇の申し入れにミアも思わず受け入れてしまった。
「………いきましょう」
『アーニャ・フローメル』
「ミャーはミャーで、シルとリューがさぼるのはミャーは許さニャー!!」
『ルノア・ファウスト』
アーニャと同じく、豊饒の女主人の店員。
かつては腕利きの賞金稼ぎであったようで、黒拳と恐れられていた。
「いやぁ、初心な子は扱いやすいね」