昼休みになり、俺は質問攻めにあうのを避けるべくキンジを生け贄に捧げてこっそりと屋上に来た。
「ん? メールか……」
スマホのバイブを感じ画面を見るとメールが受信をしていた。メールアプリを開き幾つか見たくない差出人から来ていたのでそれを削除して武偵高からの周知メールを開く。
「おーおー、きれいに撮れてんな」
武偵高からの周知の内容は今朝キンジが遭遇したチャリジャック事件(笑)で武偵殺しが関係している可能性があるので注意しろとの内容だった。
「さて、のんびり昼飯でも……」
手にぶら下げていた袋からタコスとミネストローネのカップを取り出して食べようとした矢先にチラリと武偵高の女子生徒が見えた。
「レキか……」
「(こくり)」
体育座りをして肩にロシア製の狙撃銃、SVDドラグノフを預けているのは
「レキ、お前も飯か?」
「(こくり)」
……正直やりにくい。
「はぁ……カロリーメイトだけじゃそんなに腹膨れんだろ? 俺のカツサンドやるよ後、フルーツ味のカロリーメイトもな。体に気を付けろよ」
そう言って別の袋にカロリーメイトとカツサンドを入れて渡すと珍しくレキが反応を示した。
「……ありがとうございます。穂さんも気を付けて下さい。風が貴方に危険が迫っていると言っています」
本当に珍しい。レキがこんなにも喋るとは……。しかし、危険ね……テロリスト連中には心当たりがありすぎる。
「危険か……分かったよ注意する」
「貴方が生きていて……本当によかった」
あの日のことを思い出しているのだろうか少し遠い目になるレキ。俺もあの日のことは忘れるはずもなく今でも鮮明に覚えている。
「……お前も無事でよかった。じゃあな」
穂はそう言うと屋上を後にした。
午後の授業に出ようと思ったのだが、突然
「よう来たな転入生! うちが、
そう言って蘭豹が机に放り投げた書類は軍が用意したものだ。履歴、といっても俺の履歴はマトモどころではないためニューヨーク武偵高の部分以外ほぼ全て黒ぺンで綺麗に塗りつぶされている。
「ほう……こんなふざけた履歴書は私も初めて見るな」
そう言って横から現れたのは綴梅子、
「ふざけてると言われましても……」
そう言うと蘭豹は懐からM500を引き抜いて俺の眉間に押し付けてくる。危ないからマジやめろ!
「なんや?うちら舐めてんのか?あぁ?」
「やめろ蘭豹。あんたにこいつの頭を吹っ飛ばされたら聞くもんも聞けん。私に任せろ。ついてこい転入生」
助かった……流石に像殺しの銃を頭に押し付けられてると生きた心地がしないよ……。
綴に連れられたのは中央に机がひとつに椅子が置かれたマジックミラーを張りの小さな小部屋だった。どう見ても尋問部屋である。
「ふぅー。さて、時間はたっぷりあるしたくさんお話をしようか少年」
綴は口にくわえていたタバコに火をつけ興奮が押さえられないという顔で部屋の扉を閉めた。
そしてその後3時間みっちりと綴の尋問を受けた。
「で、綴先生。これで終わりですか?」
「はぁ……降参だ。お前さんは頑固だな本当に。私の尋問で吐かなかったのは驚きだ」
まあ、勿論確かにあの尋問を受ければ並大抵のやつならゲロっちゃうだろう。それぐらい色々な意味でアレだっただが、今まで受けてきた尋問に比べたらまだマシな部類に入る。
尋問部屋から出ると蘭豹が立っており口をあんぐり開け鳩に豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「うそ……やろ……?」
「ふぅー。真実だ蘭豹。こいつを吐かせることのできる人間はこの武偵高にはいない。」
あらかさまにがっかりしたかのように肩を落とす蘭豹。
「では先生方、もう戻っても宜しいでしょうか?」
正直早く帰りたい。
「まだや……まだ終わっとらん! 言葉がダメなら体を痛め付けて喋ってもらうだけや! 静間ぁ! 20分後強襲科の訓練場に来いや! そこで決着つけたる!」
えぇ……正直嫌なんですけど……どうにかなりませんかね綴先生
アイコンタクトを送られた綴は無徐にも首を横に振る。
「諦めろ。あいつはああなったらもう止まらん」
穂はガックリと肩を落とし、蘭豹はウキウキしながら職員室を退出した。
『全校生徒に連絡します。10分後強襲科訓練場にて蘭豹先生と静間穂君による決闘が行われます。クラスメイトをお誘いあわせの上で観戦に是非お越しください。繰り返します10分後――』
「なんだこれ……」
言われた通り強襲科の訓練場に来ると観客席には武偵高の生徒で埋め尽くされていた。しかも野次まで飛んでくる。
「何をやったかはしらんがさっさと死ね!」
「冥福を祈ってるぞ!」
みんな好き放題いい放つ。よく見ると観客席をよく見るとキンジとアリアに武藤もいた。3人揃って哀れみの目で俺を見てくる。そんな目で俺を見るな!
げんなりしていると反対側の入り口からジャージ姿の蘭豹が現れた。相変わらず手にはM500を握っている。
「おーおー、逃げずによう来たな静間。覚悟はええやろうなぁ!?」
「何時でも良いですよ蘭豹先生。先生が華麗に舞う姿、見てみたいものです。」
「こ、このクソガキァ……!」
蘭豹を挑発していると頭に殺気に押し潰されそうになりながら一年の女子生徒がルールを説明してくれる。
「えっ、えと……ルールをせ、説明させていただきまひゅ! ふぇぇ……こ、今回の決闘は手段Л武器は無制限となりどちらかが降参するか気絶した時点で敗北となります。い、以上です!」
逃げるように去っていた女子生徒が防弾扉を閉めた瞬間蘭豹が発砲してきた。
「くたばれクソガキ!」
ドウン!
「おっと危ない危ない」
蘭豹が撃ち込んできたM500の弾を体を捻り
「避けんなやクソガキィ!」
無茶言うな! あんなもん食らったら防弾制服来てても内蔵がいっちまうわ!
無茶苦茶だと思いつつも久し振りの心踊る戦闘にワクワクが止まらない。でも、蘭豹の攻撃は
「遅いですよ蘭豹先生」
パン! パンパン!
俺は避けもせず真っ直ぐ、それも素早く蘭豹に向かって突っ込む。ホルスターから引き抜いたHK45tを走りながら蘭豹に撃つ。
「ぐっ、がっ!?」
3発の内2発は蘭豹の腹部に命中し姿勢を崩す。
ヒュッガッ!
腰にさしていたコンバットナイフを抜いて蘭豹に襲いかかる。
「なっ!? はやっ……!?」
そう言いながら蘭豹は斬馬刀を抜いて穂のコンバットナイフを受け返す刀で斬りかかるがそこにはすでに穂の姿かはなかった。
「生徒だからって舐めてると死にますよお嬢さん?」
斬馬刀は字の通り、馬の足を切るのに特化した武器なのでそれなりに小振りだが俺にとってはそこまでの脅威ではない。
蘭豹の真横に移動していた穂の蹴りが腹に入り流石の蘭豹も斬馬刀を落とし膝をついてえずく。
「うっ……ごはっ……なんやて……うきゃっあ!?」
膝をつく蘭豹の腕を絡めとり無理矢理立たせ顎の下を押さえ足をかけて転がす。
「チェックメイトです蘭豹先生」
転がされた蘭豹の頭部には右手に握られたHK45tが、喉元にはコンバットナイフが押し付けられていた。誰がどう見ても詰みである。
「……くそっ! 降参や! さっさとうちの上からどかんかい!」
どかっ!っと蘭豹の蹴りが穂の腹に炸裂する。
「おうふ!」
「しょっ、勝者静間穂!」
強襲科の暴君を降参させたのだから拍手位は貰えるかな?……そんなことを思っていたときもありました。
『………………は?』
はい! 完璧に静まり返っております! それはもうこれ以上にないくらい静まり返っております! どうしてこうなった……。
(´・ω・`)(燃え尽きてもいいよねパ○ラッシュ)