月曜日のたわわ〜幼馴染はとてもたわわです〜   作:とちおとめ

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お久しぶりです。

ただいま幼女戦記にハマっている私です。

といってもまだ2話までしか見てないんですが、ターニャちゃん可愛いなぁ。
捕まえたぁ♡のdie隙(誤字にあらず)ホールド最高でした。


アイちゃんと盛大な夢落ち

 幸せに満ち足りた日々、私こと――アイにとって正に今がその瞬間だった。

 幼馴染のユー君と正式に付き合いだして多くの時間を過ごしてきた。ユー君と過ごす日々は本当に幸せで、温かくて、楽しくて、ずっと前からユー君のことが好きだったけどもっともっと好きになる時間だったと思う。

 高校を卒業して大学に入り、そして大学も出た後は早速籍を入れて私とユー君は夫婦となった。結婚したと言っても特に何かが変わるとかそんなことはなくて、相変わらず私はユー君の傍に居るという幸せに包まれていた。そして――。

 

「……あ、今動いたか?」

「そうだね、ちょっと叩いたかな」

 

 私のお腹には一つの命が宿っている――私とユー君の子供だ。

 母になる感覚……というのはまだまだ実感がないけれど、自分のお腹の中に新しい命が生まれたというものに関しては新鮮な感覚で、更にその命がユー君との愛の結晶だと考えるとそれだけで幸せに思えるから私は単純である。

 お腹が膨れてからあまり体に負担を掛けることはできないため、ユー君は率先して私を助けてくれる。もちろん妊娠する前もユー君は私のことをたくさん考えてくれていたが、ここ最近はそれが顕著である。少しだけ過保護過ぎないかと思わないでもないが、私はそれに異を唱えることはしないのだ。だって他でもない、私がユー君を独占できている時間なのだから。

 

「……どうした? いきなり笑って」

「え? ……ふふ、なんでもないよ」

 

 どうやら苦笑いとして表情に出ていたようだ。

 まだどうしたのかと首を傾げているユー君に寄りかかる様に身を寄せる。肩に頭を乗せるようにすれば、いつもと同じようにユー君の手が私の頭を優しく撫でる。もう十分に大人な私だけど、ユー君に撫でられるこの感覚は本当に飽きないほどに大好きだ。

 そして何か求めるようにユー君の瞳を見つめれば――。

 

「……ん……ちゅ」

 

 こうやってキスもしてくれる。

 もちろん今は体に負担を掛けられないのでその先はできないが、やっぱりこれだけでも幸せなのである。でもこんな幸せを感じていて一つだけ、別に心配ではないけど心配だと思う矛盾した気持ちを私は抱えていた。私はユー君を見上げながらこう言葉にするのだった。

 

「ねえユー君」

「なんだ?」

「……お腹の子が生まれても、私を変わらず愛してくれる?」

 

 お腹の子が生まれても変わらず私を愛してくれるのか、そんな不安だった。こんなことを考えてしまうのは母親失格なのかもしれないけど、子供が生まれても今までと変わらず、寧ろそれ以上に愛してほしいという願望。ユー君は優しいからそんなことはないと思うけど、子供に夢中になって私の相手を疎かにしてほしくない……そんな困った不安である。

 私の言葉を聞いたユー君は少し驚いた様子の後、肩を震わせて笑い出した。

 

「な、なんで笑うの!?」

 

 いきなり笑い出したユー君に思わず顔を寄せる。

 私はこんなにも悩んでいるというのに、そのユー君がこんなに笑うなんてどういうことだ。少し強く顔を寄せた私の心情を察したのか、ユー君は優しく私を見つめながら口を開くのだった。

 

「いや、ごめんな。なんだアイ、俺が子供に夢中になるって嫉妬でも?」

「……うぅ~!」

 

 ストレートに嫉妬と言われたことで私は恥ずかしさのあまり顔を伏せる。そうですよ、そうです! 私は大好きなユー君が子供に夢中になって私の相手をしてくれなくなるかもしれないって思ったんです~! 自分の子供に嫉妬してしまうような最低な母親なんです! ……あぁ、自分で言ってて悲しくなった。

 ユー君の顔が直視できず俯いたままの私、そんな私の耳に届くユー君の言葉。

 

「まだ子供ができる感覚は分からないけど、知り合いの話とか聞く限りまあ夢中になるだろうなぁ」

 

 それはそうだと思う。

 ユー君の言葉のように自分たちの子供というのは特別愛おしく感じるそうだ。これは友人が言っていたことだが、姉や兄が結婚し子供ができて、家に連れてきて騒いでいることに対し鬱陶しく思ってはいても、いざ自分の子供ができた時その価値観が一気にひっくり返ると私は聞いた。

 当時の友人の話を思い出していた私、そうやって気を抜いていたからかユー君に引っ張られ、気づけば私はユー君の胸の中に抱かれていた。

 

「ユー君?」

 

 見上げればすぐ傍にユー君の顔があった。

 私の目を真っ直ぐに見つめながら、こう続けるのだった。

 

「子供はたくさん可愛がると思う。だって俺と、そして大好きなアイとの子供だ。こんなの可愛がらないわけにはいかないだろ」

 

 ……同意だ。

 私と、大好きなユー君との子供なのだ。そんなの当たり前に決まってる。

 

「……子供もそうだけど、アイの存在を蔑ろにするようなことはないんじゃないかなぁ……つまり……そのだな」

 

 少しだけ歯切れが悪く、頬を掻きながら照れた様子のユー君に私は首を傾げた。

 しばらくそうしているとユー君は諦めたのか赤くなりながらも言葉を続けた……その言葉はおそらく、ずっと私の心に刻まれ残り続けるであろう言葉。

 

「こんなに好きなんだ。好きで好きでたまらない、そんな嫁さんを俺は蔑ろにはしないよ」

 

 好き……たったそれだけの言葉なのに私の心は嬉しさという感情が溢れ出す。

 目を真っ直ぐに見つめられ伝えられる言葉だからこそ、それは私の脳を犯すように甘く入り込んでくる。ゆっくり優しく頭を撫でられる感覚も手伝って、ユー君の存在しか見えてこない。

 

「今も昔も、そしてこれからも俺はアイにずっと夢中だよ」

 

 そう言って今度は抱きしめられた。

 ……あぁ駄目だ。こんな幸せを味わうと抜け出せるわけがない。抱きしめられる中で、私はさっきまで不安になっていたことが馬鹿らしくなった。ユー君はこんなにも私を想ってくれている、だというのに不安になってしまうなんてそれこそ失礼じゃないか。

 

『パパ! ママ!』

『おうパパだぞ~』

『は~い、ママですよ~』

 

 ユー君と私、そして生まれてくる子供で彩られる幸せな未来……それはしっかりと想像できて思わず私は笑みを零す。ユー君と一緒に子供と生活をし、その子供が私たちを求めるように手を伸ばしてくるような愛らしさ……あぁもしかしたらこれが自分の子供を愛おしく思う感情なのかもしれない。

 

「ねえユー君」

「うん?」

「この子が生まれたらさ。きっと今よりももっと幸せになるよね」

「そうだなぁ。きっと」

 

 膨れたお腹を撫でるように、私は来るであろう未来を夢見る。

 大好きな人と共に家庭を持ち愛おしい我が子を可愛がる、それはきっと何よりも幸せで満ち溢れた日々なのだろう。それを想像すると自然と頬が緩み、胸が高鳴ってしまう。

 

「……元気に生まれてきてね。可愛い私たちの赤ちゃん」

 

 トンと、私の声に応えるようにお腹の中で赤ちゃんが動いた気がした。

 

 

 

 

 

 

「……可愛い……なぁ……ママですよぉ……すぅ……すぅ……」

「……幸せそうな顔しちゃってるねお姉ちゃん」

「本当ねぇ。きっとユー君との間に生まれた赤ちゃんの夢でも見てるんじゃないかしら?」

「赤ちゃんって……まだユーさんとお姉ちゃんは高校生なんだけど」

「いいじゃないの。女の子はいつでも夢見るものなのよ。私だって――」

「お母さんはもういい年だよね」

「何か言った?」

「……いいえ何もいっておりませんですはい」

「よろしい」

 

 ぐっすり眠っているアイ、それを見つめながら言葉を交わすアイの妹と母親。

 そんな中、耳元に置いてあったアイのスマホが震え、そのせいかアイは目を覚ました。まだまだ夢心地のせいか目元をこすりながらだったが、そんなアイの寝ぼけていた頭もスマホを見た瞬間一気に覚醒した。

 

「……えっ!?」

「な、なに?」

「どうしたの?」

 

 いきなり驚いた様子のアイに妹と母親は揃って首を傾げ、そして固まっているアイの左右を陣取りスマホを覗き見る。

 そこにあったのはユーからのメッセージ、書かれていた内容は次である。

 

『……姉の告白現場に遭遇、俺はどうしたらいい?』

 

 そんな文面だった。

 そのメッセージを見た反応三者三様であった。

 

「え? どういうことなの!?」

「うっそ本当に!? ユーさんのお姉さんついに!?」

「あらあらまあまあ!」

 

 上からアイ、妹、母親である。

 母親が立ち上がりキッチンに向かった行動が少し疑問だが、今は気にしている暇はない。驚きのあまり固まっているアイと妹はとりあえず座ってはどうかとソファに腰を掛ける。

 

「とりあえずユーさんに電話してよお姉ちゃん」

「そうだね、旦那様に電話を……」

「旦那?」

「……はっ!? ううん何でもない! ……ってあれ、ということはあれは夢……? あの素晴らしき日々は夢!? ユー君は? ユー君と言う名の愛おしい旦那様は? 可愛い私たちの子供は? 全て夢だと言うの!?」

「お、お姉ちゃんがご乱心!?」

 

 翌日、泥棒でも入ったのかと近所に心配されたそうな。

 それほど騒がしかったようである。


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