GATE くうかんポケモン 彼の地にて、時空を越えて戦えり   作:00G

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小説書いてるとホントこういう時ってあるよね。

だからといって今回の話に関係あるかと言われたらわからん。


短い……と思っても割とそうでもない時ってあるよね

 炎龍を撃退し、自衛隊と行動を共にすることになったパルキアは特地での活動拠点となるアルヌス駐屯地へと第3偵察隊の面々と同行していた。

 

 炎龍が去った後、伊丹たちは炎龍の襲撃の被害者たちを弔い、コダ村の人々と別れた。

 彼らはここまで連れてきてくらたお礼を述べ、伊丹たちに『ありがとう』という言葉を送って新たな生活の場へと向かった。

 しかし、中には伊丹たちと一緒についていく者たちもいた。

 炎龍の襲撃で親を失ったまだ幼い子どもや怪我をした者や高齢の者たちだ。

 身寄りのない彼らは、アルヌス駐屯地で暮らすということになった。

 アルヌス駐屯地へ伊丹が報告しないまま。

 まあそんなことはアルヌス駐屯地へと案内する車の後ろをついて飛んでいるパルキアには関係ないことである。

 それよりもパルキアはこのままアルヌス駐屯地に赴いても大丈夫なのかが心配だった。

 

「そのことなら大丈夫だぞパルキアよ」

 

 そう声をかけてくれるのはパルキアの背中に乗っている平猫だった。

 パルキアとしては唯一こちらの意思が通じる相手であるということもあって仲良くしておきたいというのが本音。

 背中に乗っているのもパルキアがそう提案したのだ。

 パルキア自身は良好な関係を築いていると思っている。

 平猫は伊丹がアルヌス駐屯地にパルキアのことをしっかりと伝えたとパルキアに教える。

 パルキアはそのことに満足し、その後はしばらく黙って車の後ろをついていった。

 

 しばらくすると、前方に白い壁が見えてくる。

 このまま進んでもちゃんと報告がされているというらしいから攻撃されることはない。

 もし攻撃されたらやり返せば良い。

 やられたらやり返す。倍返しだ!なのだ。

 まあそんな心配も杞憂に終わり、パルキアは伊丹たちと共にアルヌス駐屯地に空から侵入した。

 だが、例え伊丹の報告でパルキアがアルヌス駐屯地に来るということが伝わっていても空から飛来する巨体に驚かない者はいない。

 こうして降りてきたパルキアを一目見ようと自衛隊員数十名がわらわらと現れる。

 

「本物の白竜だ……」

「写真なんかよりも迫力あるな……」

「白竜の背中に乗っている猫はなんだ?」

 

 皆それぞれ思ったことを口に出すが、正直パルキアにとってそれはどうでもいいことだった。

 まあでもこれから互いに世話になるため下手なことをして自分の立場を悪くするわけにもいかない。

 パルキアは『ふんすー』とため息に似た息を吐くと伊丹たちがやって来るのを静かに待った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「騎士ノーマ。どう思われますか?」

「……これだけ多くの避難民が言うのだから嘘ではないだろう。 皆で口裏を合わせていると考えるのも難しいしな。 だが炎龍だけでも信じがたいというのに見たこともない白い竜まで出てくるとなるとな……」

 

 とある村にある酒場。

 そこではある噂で大変盛り上がっていた。

 その噂というのが『炎龍が撃退された』というものだった。

 コダ村の避難民たちが逃げている途中に炎龍が現れ、『緑の人』という緑の服を着た人たちが応戦。

 さらに白い竜が現れ、緑の人と協力して炎龍を追い払ったというではないか。

 デタラメ過ぎる噂だと思うが、証人が多すぎるため酒場の中は炎龍撃退の噂で持ちきりだった。

 

 その中で鎧を着込んだ男女4人も噂の真偽について話していた。

 同僚の騎士に意見を求めた女性の名前はハミルトン・ウノ・ロー。

 その顔立ちは凛々しいよりも可愛らしいというのが似合っており、お世辞にも頼り概のある女性とは言えなかった。

 ハミルトンに反論したのは同じ騎士のノーマ・コ・イグルー。

 彼は炎龍撃退の噂を信じていないため、ハミルトンにあやすような口調で反論する。

 

「ホントだよお客さん。あいつは本物の炎龍だったよ。 あたしはこの目で見たんだから」

 

 ノーマの反論に、さらに反論するように酒を持ってきた女中は噂は真実だと証言した。

 この女中メリザもコダ村からの避難民であり、緑の人と炎龍、そしてパルキアの存在を実際に目にした人物である。

 今は酒場の女中として生活している。

 

「炎龍だけじゃなく白い竜もね」

「面白い話だが私は騙されんぞ」

 

 いよいよ与太話だと思ったノーマが笑い出し、メリザは顔をしかめるがハミルトンがまあまあと宥める。

 

「私は信じるから。 よかったらその龍を撃退した人たちの話、もっと詳しく聞かせてくれない?」

「ありがとう若い騎士さん!こりゃとっておきの話をしないとね」

 

 ハミルトンから情報料として多めのチップを受け取ったメリザは上機嫌で饒舌に炎龍撃退の顛末を語る。

 

「あの日、襲われていたあたしたちを助けてくれたんだ。緑の人たちがね」

 

 数は12人。

 その内二人が女。

 黒髪の長身の美女と、小柄だけど胸が牛みたいに大きい女。

 女の話をした途端に酒に酔った男たちのスケベな声が上がるが、メリザは気を取り直して話を続ける。

 

「緑の人たちはすごい速さで走る荷車に乗って、火を放つ不思議な形の魔法の杖を使って炎龍を攻撃したんだ。 でも炎龍にはまるで効きやしなかったんだ。 もう駄目だって諦めたとき、あの白い竜が現れたんだ」

 

 酒場にいる全員の視線を浴びながら、メリザは呼吸を整えると続きを話す。

 

「綺麗な白い体を持った竜で、肩にこれまた綺麗な宝石が埋め込まれていたんだ。 外見は今まで見た竜とは全然違う姿だったよ」

 

 話に勢いが乗ったのか、メリザはさらに話を続けた。

 コダ村から逃げる前に、その白い竜の姿が目撃され、事前に逃げる準備をしていたから手早くコダ村から逃げれたと。

 そして、白い竜が現れたお陰で緑の人たちは逃げる避難民たちを炎龍と白い竜から離すように連れていってくれたと。

 

「白い竜が光の球を炎龍の足下にぶち当てると、炎龍の足下が爆発して倒れたんだ。 そして、白い竜が炎龍の前に降りてきた時、正直言っちゃあ悪いけど白い竜は頼りないくらい小さかったんだ」

 

 ちょうどこの酒場の屋根くらいまでの大きさだったよ、と分かりやすいようにメリザは例えを出しながら白い竜の事を話す。

 そんな小さな竜が炎龍を撃退したなんて信じられないと、酒を飲む男たちの表情を予想していたのか、メリザは歯牙にもかけずに話を続ける。

 

「あんな小さな竜が来ても勝ってこないって思ってたけどところがどっこい。白い竜は体当たりで炎龍を吹っ飛ばしたんだよ!」

「ホントかよ!?」

「魔導士やエルフでも炎龍を倒すのは不可能だっていうのに……話が本当ならその白い竜はどれだけ強いんだ?」

 

 話が中盤に差し掛かる頃にはもうすでに酒場は盛り上がり、白い竜の真偽について男たちが話し合う。

 メリザはまだ話は終わってないと咳払いをして、続きを話した。

 

「白い竜は炎龍に攻撃を続けたんだけど、途中で炎龍の炎に身を焼かれたんだ。 炎は白い竜の体をすっぽりと覆いつくして、さすがに死んだと思ったんだけど、白い竜は傷一つなくピンピンしてたのさ!その後、白い竜は炎龍の左腕を切り飛ばして炎龍が逃げていったんだ」

 

 これでメリザの話は終わり、男たちは酒を片手にメリザの話の真相について語り合う。

 鎧を着込んだノーマやハミルトンたちも例外ではない。

 

「姫様。この噂の真偽、どう思われます?」

 

 姫様と呼ばれた赤髪の女性ピニャ・コ・ラーダは顎に指を当て、思案する。

 

「確かに……にわかに信じがたいものではあるが……」

「正直、小官には先程の話が真実であるとは思えません」

 

 考え込むピニャに口を挟んだのはグレイ・コ・アルド。

 彼はピニャが幼い頃から付き従っており、一行の中でもピニャが一番信頼をおいている男性である。

 彼が言うのもごもっともであり、いくらドラゴンや神がいるとはいえ、さすがにこの話は作り話だと言った方が納得できる。

 

「グレイ、お前の言うこともよくわかる。 だがこの噂、妾は嘘ではないと考えておる」

 

 嘘だろ?と言わんばかりにノーマとグレイは顔を見合わせる。

 

「異世界での戦いの報告で、白い竜の襲撃があったというものがあった。 噂の白い竜と同じかはわからぬ。陛下も大敗した言い訳だろうと聞く耳を持とうとしなかったが」

「ということは……敵は白い竜を従えていると!?」

 

 ピニャの言葉に三人は顔を青くする。

 最悪、帝国は炎龍すら撃退できる力を持った竜と遭遇し、尚且つその竜を従える国と対立することになったのかもしれないのだ。

 ピニャはまだ見たこともない竜への対策を施さなければならないのかとため息をはく。

 彼女はこの後、白い竜であるパルキアの力をまざまざと見せつけられることとなるうえ、もう笑うしかない存在を目の当たりにすることになるのをまだ知らない。




次回、パルキアさんお休み回。
そんなしょっちゅうパルキア出してたらネタ尽きちゃう。

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