GATE くうかんポケモン 彼の地にて、時空を越えて戦えり   作:00G

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新しく原作カテゴリにGATEが入ったのは嬉しいことだけど、原作名は英語なのにこっちはカタカナでゲートはどうなのかなーと思う00Gでした。

この原作タイトルもカタカナにした方がいいのかな?


し~ろいつ~ばさの~♪パルキア~♪

 ソレ、パルキアが建造物を越えると、そこには広い草原だった。

 建造物を越えてから長いこと日が経ち、パルキアは悠々と空を飛んでいた。

 

 世界を二つも越え、少々警戒しながら探索を行っていたがそれは杞憂に終わった。

 建造物を越えてから今日までこの世界の脅威、生息する生物、村や町の位置などを把握するために念入りに探索を行っていたがこれまで見た物はどれも格下の存在ばかり。

 

 人間、獣型人間多数。

 動植物多数。

 竜型生物多数。

 巨大竜型生物少数。

 

 と、いった所だ。

 巨大竜型生物は遠目に二体しか確認していないが、巨大な体躯を持つ生物はどのような場合でも数は多くない。

 実際に戦闘を行ったわけではないので詳しい戦闘能力はわからないが、火炎を放つことと水を勢いよく放つくらいしかしていないのでそれほどトリッキーな攻撃は持っていないのだろう。

 まあその二体が交尾中だったため、やはり結局のところは戦闘能力はわからないということになる。

 

 この世界に生息する生物のことはある程度わかったが、空間の修復方法はまだわからずにいた。

 世界が違うからなのか、やはりパルキアの空間操作がうまく通用しない。

 単純な空間操作による攻撃と防御は行えても、空間の狭間を利用した移動や攻撃といった操作はできない。

 ここはやはり地道に探っていくしかない。

 ここで怒りに任せて暴れては空間を司る神の名が泣く。

 他所の空間だから好き勝手していいという訳ではないのだ。

 

 さてここでどうやって情報を知ろうか、とパルキアは他ポケモンより発達した知性で考える。

 これまでの期間の間に見聞きした物は到底理解することができない言葉だったり文字だったりしていた。

 こちらが喋ることは出来ないが向こうからの言葉は理解できる。

 だがそれは前いた世界での話でありこの世界の言葉は一切理解することができなかった。

 この巨体でいきなり現れても現地の人間たちを脅かすだけだし、最悪害獣扱いされて駆除されるかもしれない。

 非常に難しいところだ。

 

 最悪、非常に甚だしいが、全くもって不本意だが、時間の奴の力も借りるしかないのだろう。

 はっきりいって嫌だが、必然的には何時かは力なり知恵なり借りなければならない。

 時間の奴とは仲が悪く、以前は街の中で大人げなく喧嘩して人間にバカヤロー呼ばわりされてしまったのは苦い思い出だ。

 破れた世界にいる彼女は喜んで手伝ってくれるかもしれないが、時間の奴との喧嘩で破れた世界に悪影響が出てしまっているので少々頼みにくい。

 

――やはり一匹でやろう。

 

 そう決心するパルキアだった。

 

 さて、本当にどうやって情報を集めようかとパルキアは真剣に悩む。

 巨体で怖がられ言葉も通じない。

 しかもこの世界にやって来るために通った建造物の前には人間たちが陣を築いていた。

 数十日前までは騎士風の男たちと異形共の軍と、銃やら戦車といった近代兵器を持った軍の殺し合いが続いていた。

 結果を言えば銃や戦車を所持する軍が圧勝して、騎士風の男たちが散り散りに逃げていったことで殺し合いは終了した。

 圧勝した軍が建造物を占拠して陣を築くのは戦略的行動として当たり前なのだが、誰にも気付かれずに空間の行き来ができる建造物に近づけなくなったのは痛い。

 ポケモンたちが住む世界には戦車や銃といったものが減っているとはいえ、それらが持つ脅威は何ら変わらない。

 下手をしたら重症を負うことだって有り得る。

 要するに閉め出しをくらったのだ。

 

 コミュニケーション不可。

 帰ることも出来ない。

 逸そ開き直ってこの世界の散策を旅行気分で行おうかとパルキアは考える。

 この世界で生活することは何の苦もなかった。

 食料となる木の実や果実、肉といったそれらは自生している樹木や野性動物から手に入れることができた。

 何回か人間が飼育していたらしい家畜を捕食したことがあり、現地の人間とはそこで接触した。

 今は完全に警戒されているのでもう不用意に近づけなくなっている。

 デカイ体は色々不憫だ。

 

 さて、朝から飛行を続け気がついたら今はもうすでに昼時。

 腹も減れば喉も渇いてくる。

 何処かで食料を確保しようかとパルキアは眼下を見下ろして辺りを探る。

 樹樹樹樹。

 どこを見渡しても緑色の葉を生い茂らせる樹木が大地を覆っているが、木の実や果実を実らせている樹木が見つからない。

 どうやらこの辺りの樹木は木の実や果実を実らせる種類ではないらしい。

 見た所腹を満たせそうな野性動物も見当たらない。

 水は500~600メートルほど離れた場所に崖のようになっている岩場から滝が流れている。

 パルキアは先に喉を潤そうと滝が流れる場所へと飛翔していった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 一方、パルキアが向かう滝から300メートル程離れた林道を1台の荷台がゆったりとしたスピードで進んでいた。

 荷台には物が大量に詰められているせいでパンパンに膨れ上がった布袋や木箱が複数乗せられていた。

 その荷台を引くのはもちろん馬……という訳ではなくなぜか馬よりも体躯の小さいロバだった。

 この際なぜロバなのかは置いておき、明らかにロバが引っ張れる重量を越しているはずの荷台をロバは表情を変えずに引っ張っている。

 そしてそのロバの手綱を握るのはローブを着た少女。

 その隣に白髭をたくわえた老人の計二人の人物が座っていた。

 

「いやーモモンの実とオレンの実が多く手に入って満足じゃわい」

 

 老人は荷台に積み上げられた布袋の中に詰め込まれている物を見ながら満足気に言う。

 老人が言ったモモンの実とオレンの実というのは森の奥地に自生している木の実である。

 モモンの実は有りとあらゆる毒物への解毒効果があり、オレンの実は体力増強の効果がある実であり、採取できる場所や実が持つ効能もあって滅多に流通しない物である。

 それを大量に持っているということは、実際に自生している場所に行って採取してきたのだ。

 もちろん採取するには自生する森の所有国から採取の許可と採取する量に応じた金額を前払いしないといけない。

 さらに森には危険な動物なども生息しているため、それらを撃退する力も必要とされている。

 しかし、それらのことがありながらもモモンの実とオレンの実を大量に持っているということは、お金も力も十分にあるということなのである。

 

「師匠。モモンの実は非常に柔らかい。 戻るまで気は抜けない」

 

 老人の横でロバの手綱を握っている少女が老人に顔を向け、嗜めるような口調で言った。

 

「わかっておるわい。 だから魔法を使って浮かせているのじゃろうか」

 

 彼らが荷台に乗せている実。

 特にモモンの実は果肉が非常に柔らかく、少しの段差から落ちたり何かに擦れただけで実が崩れたりしてしまう。

 運ぶ際には細心の注意が必要になる品物だが、老人の言う通りモモンの実が詰め込まれている木箱は荷台の上でふよふよと浮かんでいた。

 木箱を浮かせているものが彼らが扱える魔法というものだが、今は説明を省く。

 

 ガタゴトと石が転がる道を進みながら彼らが住んでいる村の一角に設けられた家に向かう途中、彼らの頭上を黒い影が通りすぎていった。

 いきなり頭上に現れた影に驚いて老人と少女は当然のこと影へと顔を向ける。

 一瞬だが、白い巨体が飛んでいく姿が見えた。

 

「な、なんじゃ今のは」

「師匠、今のが飛んでいった先にはコダ村がある。 村人たちが危ない」

 

 頭上を飛び去った白い巨体に困惑しながら老人は白い巨体が何だったのか考える。

 だが考えるよりも先に隣に座っていた少女が眉を寄せて若干険しい表情で警告する。

 白い巨体が飛び去っていった先。

 そこには彼らが世話になっている『コダ村』という村がある。

 コダ村の領主が戦によって今はいないとはいえ、コダ村で生活している村人はいる。

 あの白い巨体が何であれ、コダ村に住む村人たちに襲いかからないという保証はない。

 古代龍と呼ばれる存在は人間を喰うということもある。

 

 少女の言葉を聞いて老人は顔に皺を寄せて手に持っていた杖を軽く振った。

 すると、彼らが座る荷台が地面からフワリと浮かび上がった。

 少女は手綱をバシンと叩いてロバを走らせる。

 ロバは命令通り歩きから走りに変えて道を進んでいくが、荷台の重さを感じていないのかその走りは実に軽やかだった。

 

 しばらくロバを走らせると遠くに小さな村が見え始める。

 村の入り口には門が建てられ、現地の言葉でコダ村と書かれていた。

 そのコダ村では何人もの村人たちが慌てた様子で家の外に出て空を見上げている。

 老人と少女はコダ村に到着し、走るロバを手綱を引いて停止させた。

 村人たちは老人と少女の姿を見つけると急いで駆け寄ってきた。

 

「カトー先生、それにレレイも!」

「どうしたというのじゃ」

「先ほど見たこともない白い竜がコダ村の上を飛んでいったんです!」

 

 村人は老人をカトー、少女をレレイと大きな声で呼び、カトーの問いに答えた。

 やはり村人たちが慌てた理由は、カトーたちが見た白い巨体が関わっていた。

 村人たちの表情は不安と恐怖の色が伺える。

 見たこともない巨大な生物を見れば、誰だって不安と恐怖を覚える。

 

「ワシたちもその白い竜は見た。どの方向に飛んでいったのかのう?」

「あっちの方角です。ちょうどカトー先生たちの家がある方向で……」

 

 そう言いながら村人の一人は白い竜が飛んでいった方向を指差した。

 指差した先には、ここからは見えないがカトーとレレイが住んでいる家がある。

 白い竜の目的はわからない、というか生物が何を考えているのか人間からは殆どのわかるわけがない。

 精々、襲ってきたときに反撃するくらいのことしかできない。

 

「お主たちは今からでも逃げる準備をせい」

「カトー先生!?」

「あの白い竜が何をしてくるかわからん。ワシが様子を見てくる。 レレイ、お前は村人たちと一緒におれ。何かあれば魔法で伝える」

 

 普段はふざけて弟子のレレイにセクハラまがいなことを言うカトーだが、今回はそんなふざけた様子を見せずレレイに言った。

 普段は見ない師匠の姿に多少の困惑を見せるレレイ。

 確かに師匠のカトーは実力があるというのは理解している。

 だが、彼女は未知の存在に対する好奇心が非常に強かった。

 もちろん、白い竜もその好奇心の対象になっており、村に残れと言ったカトーにこう言った。

 

 私も行く、と。

 

 流石にまだ年が15のレレイを、何をしてくるかわからない白い竜のもとに行かせるのは危険すぎる。

 だが、レレイの目は本気だった。

 

「……様子を見るだけじゃ。危険だったらすぐ逃げるならついてきてもよいわい」

「師匠、ありがとう」

 

 渋々、カトーはレレイを条件付きで同行させることを許した。

 孫娘の願いを無下に出来ない気持ちはこんな感じなのだろうか、と的外れな考えをしながらも、カトーたちは風の魔法を使って人の臭いが漏れないように風のベールで身を包む。

 下準備が出来てから、カトーとレレイの二人はまず森の奥にある自分たちの家の周囲から探そうと歩みを進めていく。

 もちろん木々や草木に隠れながらだ。

 二人が住む家は森の奥といっても、少し歩けばすぐに到着するくらい近い。

 

 家の隣から流れる滝の音がはっきりと聞こえるくらいまで近づいたとき、お目当ての白い竜を見つけた。

 カトーとレレイは白い竜の姿がしっかりと見える位置に移動すると、草木の中に身を潜めて白い竜の様子を観察する。

 白い体を持つこと自体珍しいことなのだが、それよりも目を引くのが肩に埋め込まれた宝玉だろう。

 カトーは若い頃何度か一国の城に行ったことがあり、そこで何種類もの金や宝石といったものを見た。

 だが、目の前にいる白い竜の宝玉は生命力を感じさせているのか、今まで見た宝石が石ころ同然に見えるほど美しかった。

 感心するのはさておき、本来の目的だった白い竜の監視を行う。

 白い竜は見つけたときから滝の水を飲んでおり、カトーたちのことに気づいているという様子は見当たらない。

 時折、水を飲みながら滝の中に顔を突っ込んでいる。

 顔を洗っているつもりだろうか。

 ふと隣のレレイを見れば、その視線は食い付かんばかりに白い竜へと注がれていた。

 未知のものへの興味がこれほど強いのは嬉しいことなのやら悲しいことなのやら。

 

 滝の中から顔を出して頭を振ることで顔についた水滴を飛ばした白い竜は、今度は滝が流れ落ちる池へと視線を向けた。

 しばらく何かを探す素振りを見せていたが、目当ての物は見つからなかったのか池から視線を外す。

 

「(腹でも減っておったのか? 人間を襲わなければいいのだがな……)」

 

 警戒しながらも白い竜を観察するカトーたちだったが、白い竜はもうここには用はないのか片翼3枚の翼を広げて浮かんだ。

 そして、チラリと赤い瞳を草木に隠れているカトーとレレイの二人に向ける。

 

「(気付かれておったのか!?)」

 

 カトーも流石に焦ったのか、何時でも反撃に移れるよう杖を手にする。

 しかし、白い竜は何もすることなくカトーたちを一瞥するだけで空へと飛び上がり、何処かへと飛んでいってしまった。

 

「……はぁぁぁぁ、流石に最後は焦ったわい」

「でもすごく美しかった。できれば今度はもっと近くで見たい」

 

 バクバクと老体にはきつい鼓動をあげる心臓を押さえながら、カトーは空いた手で額を伝う汗を拭う。

 臭いでバレないよう魔法で細工をし、見えないよう草木に隠れて白い竜からもできるだけ離れた。

 なのにあの白い竜は短い間で自分たちの存在を察知した。

 襲ってこなかったのは不幸中の幸いだろう。

 一方で、白い竜の姿を見ることができてホクホク顔のレレイがポツリと不穏な発言をする。

 白い竜がどんな行動をとってくるのかわからない危険性があるのはレレイも理解しているはずなのだが、やはりこの好奇心の強さには困ったものだ、とカトーはレレイの後ろで多くため息をはいた。




ちょくちょくポケモンネタ入れれたらいいなーと思ってます。

あとこの作品には私のリアル友だちが考えたキャラクターが登場します。
登場したときにはタグに追加しようかな。

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