これは人外ですか?いいえ、ただの人間です(凍結)   作:爆走ボンバー人間

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今回はおもに会話だけです


やはりユーは可愛い!

リビングで待っていたユーはメモ帳にペンを走らせ俺に見せる。

 

『お腹すいた。早くご飯』

 

「ごめんな、遅くなって。今日は卵が安かったからオムライスだ」

 

『楽しみ』

 

これが俺とユーのいつもの会話だ。何でユーがわざわざメモ帳で話す

のかも俺はその理由を知っているからこれが当り前なのだ。

 

キッチンに入り買ってきた食材と冷蔵庫から必要なものを取り出し

調理にかかる。

俺が調理している間、ユーはリビングでお茶を飲みながら

バラエティー番組を見るか、暇になったら手伝いをしてくれるかの

どちらかだ。…どうやら今日はテレビを見て待つようだ。

そんなことを考えながらも手は休まず調理は進んでいく。

 

料理が出来たのでリビングに運ぶ。ユーは相変わらず無表情だが、

料理を今か今かと楽しみに待っている犬のように見えた。

 

もし尻尾があったらパタパタと振っていると思う。

 

 

「グフッ!!」

 

 

ヤバい

 

一瞬その姿を想像してしまい、あまりの可愛さに悶えてしまう。

 

俺はユーを見慣れてるからそのギャップの破壊力は凄まじい物だ。

常人ならこれで昇天してると断言できる。

これに甘えるような声でも足されでもしたら自分は間違いなく

鼻血による出血多量で失血死していたところだろう。

 

『どうかしたの志希?』

 

俺の様子が変なのを見たユーがそう尋ねる。

 

イカンイカン、冷静になれ俺。ユーに心配をかけてどうする?

平常心だ平常心。

 

「別に何でもないさ。相変わらずユーは可愛いと思っただけだ」

 

周りからしたら口説き文句のようなセリフだろう。

だがこれは嘘でもなんでなく志希の本心なので尚性質が悪い。

 

だがこれを聞いたユーは

 

『そう。それならよかった』

 

変わらずに無表情でそれだけ返し出されたオムライスの

方に向く。

 

今のユーにとっては志希の口説き文句よりもオムライスの

方が大事なようだ。

 

まぁ志希も志希でそんなつもりで言ったわけではないので

特に気にしていないようだが。

 

そして志希とユーは向かい合うように座り合掌する。

 

「『いただきます」』

 

二人は食事のあいさつ(一人はメモ帳だが)をして食べ始める。

 

「どうだユー、おいしいか?」

 

『とても美味しい。やっぱり志希の料理はおいしい』

 

「まあ料理だけは誰にも負けない自信があるからな。

知ってるか?料理をおいしくさせる最高の調味料」

 

ユーはしばらく顎に手を当て考えを書く。

 

 

 

『セニョサザミのカニ味噌?』

 

 

 

「いや違うけど、ってか何それ?俺聞いたことないんだけど」

 

『冥界の辺境に住んでると言われている幻のカニ。

そのカニの身は黄金の輝きを想像させ一度食べると

病みつきになりさらに食べたいと思わせる魔性の味。

さらにそのカニのカニ味噌は他の料理に混ぜるだけで

頭がすっきりとして疲労を回復させるが、幻覚を

見るようになったり急に叫びだしたり果てには

いつの間にか神隠しにでもあったかのように消える

謎の調味料』

 

「いや何それ!?ただの危ない薬じゃん!

そのカニただの麻○の塊のようなものじゃねえか!

そんな怪しい調味料出すわけないだろ!!」

 

『ちなみに通販で5個入りセットで送料無料で

300円という破格の安さ』

 

「通販でとれるのかよ!全然幻じゃないじゃん!

普通に出回ってるじゃねえか!ってか300円って

いくらなんでも安すぎだろ!完全に売れてない

証拠じゃねえか!」

 

ぜぇぜぇと息を吐きながら一気に突っ込みしきった

志希。ゆっくりと深呼吸をして息を整えていた。

 

『まぁ冗談はこのぐらいにして』

 

笑えねえ冗談だよと内心つぶやき苦笑する志希

 

『私にはよく分からない』

 

「ま、今に分からなくてもユーにもそのうち

分かるようになるさ」

 

『答えは教えてくれないの?』

 

「こういうのは自分で見つけるから意味があるんだよ」

 

『確かにその通りかも』

 

「その答えを見つけるためにもユーも料理してみないか?

俺が教えてやるからさ」

 

俺の提案にユーは『考えとく』とだけ返した。

確かに答えはあるがそれはやっぱり自分自身で考えなきゃ

意味がないからな。

 

……決してユーの手料理が食べたいからというわけではない。

 

断じて違う!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後バラエティー番組を見ながら黙々とオムライスを

食べユーが3回ほどおかわりをして食事を済ませた。

 

ユーが風呂に入って行くのを確認してその内に

食器の片付けを済ませ暇を持て余していた時

 

プルルルルル!プルルルルル!

 

電話が鳴った。

 

「もしもし、星上院ですけど」

 

〔あ、志希か!悪いなこんな夜に〕

 

「いや、ちょうど暇だったからいいぞ」

 

〔そうか?なら良かった。それで学校で話した

デートについて何だけどさ、一応考えたんだけど

やっぱりちょっと不安だからアドバイスくれないか?」

 

「ああ、俺でいいならアドバイスしてやるよ」

 

〔ほんとありがとうな志希!えっと最初は

近くの公園で待ち合わせをして……〕

 

その後兵藤から細かくデートのプランを

聞かされちょっとありきたりすぎる感じも

したが初めてのデートならこれぐらいが

ちょうどいいだろうと思った。

 

〔今日はほんとにありがとな志希!〕

 

「お前そのセリフ何度目だよ。別に

いいって言ってるだろ」

 

〔あ、ああわかった。じゃあデートの

結果楽しみにしててくれよな!〕

 

「期待しないで待っとくよ」

 

ひでぇな!と言いながらも兵藤はどこか

満足した感じで電話を切った。

 

『誰かと話してたの?』

 

いつの間にか後ろには風呂から上がって

いたユーがいた。風呂上がりで濡れた銀髪が

さらにその輝きを主張しており綺麗だった。

 

…何度目かはわからんがやはりユーは可愛い!

 

まぁそんなことは顔には決して出さないが

 

「ああ、学校のクラスメイトと話してたんだ。

デートプランの相談に乗ってくれって

言われててな」

 

『そのクラスメイトって……』

 

「ああ、神器(セイクリッド・ギア)を宿してる奴だ。まぁ、特に

強い力は感じなかったけど…少し妙なんだよ」

 

『どうかしたの?』

 

「いや、さっきも言ったけどそのクラスメイト…

兵藤からデートプランの相談に乗ったんだが

 

 

 

 

 

相手がこの町に潜伏してる堕天使なんだよ」

 

別に堕天使がどこで何してようと害にならない限り関係ない。

人外と人との恋もそう珍しい事ではなく、実際にそのまま成就

した例もある。だがこの町に居る事自体おかしいのだ。

 

『確かに変。ここはグレモリーの領地。そんなところに堕天使が

侵入しているということは……』

 

「三大勢力の停戦状態に影響を与える、下手したら戦争になる。

兵藤の話によると[一目惚れで告白された]と言っていたが

こんなところにわざわざ来るということは何か目的がなければ

わざわざ来ないはずだから兵藤に近ずく為の口実だろう。

兵藤の神器がめあてによる上からの命令か?…」

 

『それはない』

 

『堕天使総督のアザゼルは無闇に戦争を起こすような危険な

事はしない。もしそうだとしても悪魔に気付かれないように

もっと上手く隠す』

 

「そうだよな。ってことはアザゼルの知らない所による

部下の暴走ってところか。だけど兵藤からは特に強い力は

感じなかった。まぁあいつの力が弱過ぎて感じないだけ

かもしれないし…考えられるのは……」

 

 

1.実は兵藤の神器がすごい物だから

  勧誘or危険だから抹殺!

 

2.この町に何か重要なものがあるからその調査!

 

3.この町に他に目的があり兵藤の神器が邪魔だから抹殺!

 

4.本気で兵藤に恋をしている!!

 

 

大体この四つのうちのどれかだと思うが…

 

「まぁ2と4は確実にないな!2なら俺たちが気付かないはずが

ないし悪魔の領地に侵入するほど重要なものならもっと上手く

隠すだろうしな…4はさっき言った通りだ」

 

『本当は?』

 

……ん?

 

「ユー?それはどういう意味だ?」

 

『4の可能性が完全にないとは言い切れない。でも志希は

絶対にないと言った。でも4はその堕天使が本気で恋を

して危険を犯して来たかもしれないのに絶対にないと言った。

何故?』

 

ユー、なかなか鋭いな

 

「それは…兵藤は学校では知らないものはいないほどの

ド変態だからな!そんな奴を好きになる物好きはいないだろ」

 

『彼女はその物好きなのかもしれない。それに志希は

一目惚れされたと言っていたから学校の事は関係ない』

 

………

 

『彼女がいない妬み?』

「ないな!妬みなんてそんな馬鹿馬鹿しいこと!それに

俺だって彼女作ろうと思えば一人や二人簡単に…はい、

そうです。妬みです、はい」

 

否定しようとしたがユーの目が冷たい物になりすごく

怖くなったのであっさり白状してしまった。

 

 

だって俺だって年頃の男だよ!彼女いないしましてや

あの「おっぱい魔人」と言われてる兵藤だぞ!そんな

奴に先越されたとか納得できるか!

 

 

「ま、まぁこの話は置いといて…1も少し可能性は

低いだろうな。勧誘するにしても兵藤自身も神器に

気付いてないぐらいだしよっぽど特殊な事でもない限り

覚醒しないだろうし、殺すならもっと上手く隠ないと

勢力同士の関係を壊しかねない」

 

『だとしたらやっぱり3で部下たちの暴走?』

 

「一番可能性が高いのはそれだろうな。でも何が目的か

までは今のところわからないな」

 

『仕方ない。情報が少なすぎる』

 

「こればかりは今のとこどうしようもないな…

まぁデートのとき兵藤の初々しい反応でも見て

楽しみながら死なないようにぐらいはしてやるか」

 

『デート見るのがほとんど目的のつもりでしょ?』

 

「…ユーってもしかして人の心読む能力とかある?」

 

『そんな能力はない。

なんとなく志希の考えてることはわかるだけ』

 

・・・それはそれで怖いです、ユーさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ユーのキャラや話し方ってこんな感じで
大丈夫なのだろうか?
おかしい所があったらぜひ指摘して下さい!

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