ダンガンロンパ ~reality~ 空想で少女は何を見る 作:超高校級のネタ体質
教室を出て来た私、明石玲香は、ちょっと明るい気分になるために童謡を歌いながらブラブラと歩いていた。
明石「も~も太郎さん、桃太郎さん♪おっ腰につけたきび団子ー、ひっとつーわったしにくださいなー♪
……『上げるわけねえだろ、この畜生共がぁ!』『だったら奪い取るだけじゃあ、この人間畜生めぇ!!』」
朝日奈「待って!!桃太郎とその家来三匹に何があったの?!」
大和田「てか何で童謡を歌ってんだよ?!」
あ、どうやら他に人がいたらしい。
ツッコミが聞こえた方向を見ると、そこには玄関ホールのほうを調べていた朝日奈さん、大和田君、そして大神さんがいた。
明石「ああさっき振りですね、朝日奈さん、大和田さん、大神さん。そんなに大声を上げてどうなされたんですか?」
朝日奈「いや、今明石ちゃんが歌っているのが聞こえるなぁって耳を澄ましてたら、急に物騒なことが聞こえたから…。」
明石「ああ、すみません。さっきなんとなく、桃太郎とその家来三匹たちの仲いい童謡を歌いたくなってしまって…。」
大神「最後の言葉で、一気に険悪な仲になってしまったがな。」
大和田「むしろ最後のがインパクトありすぎて、その一人と三匹が喧嘩してるイメージしか頭に来なくなったわ…。」
インパクトって凄いね!
明石「それはまあさておき、御三方は玄関ドアを調べているのですか?」
朝日奈「うん、明石ちゃんが出ていった後、結局皆適当に探索をすることになってさ。で、私たちは学校側を調べることになったの。」
大神「どこか脱出できる場所がないかを探しているが…、今のところは見つかっておらぬ。」
明石「見たところ、どこも頑丈そうですからね…。」
残念そうに言ってはいるが、正直玄関ホールのドア以外の脱出経路はあまり期待していない。
最終的に苗木たちが出ていったのも玄関ホールだったしね。
むしろ、変な所から出てマシンガンとかでドガガガガガッってやられたら大変だ。
だからここを出るには正規法しかないだろう。
大和田「お、おい、明石…。」
明石「何でしょうか?大和田さん。」
朝日奈さん達から探索の途中結果を聞いていると、大和田が気まずそうに私に声をかけてきた。
ええ…、私なんかしたっけ…(※明石さんは体育館での膝カックンはスルーしております。)
まさかあって初日に告白とかはないだろうしなぁ…。
いや本当に覚えがないなぁ…(※しつこいようですが膝カックンは明石さんの記憶から抹消されております。)
大和田「…さっきは、助けてくれてあんがとうな。」
明石「へ?」
大和田「オレがモノクマの野郎が爆発した時のことだよ…。」
朝日奈「ほら明石ちゃん、大和田にモノクマ投げるように言ったじゃん!あと、そのスーツケース!」
明石「……ああ、そう言えばスーツケースでモノクマの破片を防御してましたね。あの時は無事で何よりです。」
なるほど、その礼を言いたかったのか。
大和田「出来ればすぐ礼を言いたかったんだが、十神の件で解散しちまったからな…。」
明石「別に礼なんて良かったのに。どちらかと言うと、その十神さんの件の最中に大和田さんが殴ってしまった苗木さんに謝ってくることの方をしてほしかったです。」
大和田「うぐっ!!…あーってるよ…。」
大神「そう言えば、お主は何故そんなに荷物を持ち歩いているのだ?」
朝日奈「あー、確かに!リュックサックはまあ分かるけど、何でスーツケースも?」
明石「うーん…、普段から必要そうなものは持ち歩く癖なんですよ。」
朝日奈「へ~。」
本当は日本に帰国する直前だったからなんだけどね…。なんか一緒についてきちゃってしょうがないから持って歩いてんだよ…。
明石「私そろそろ、他の場所にも言ってみようと思います。朝日奈さんたちもなにか良い物が…。」
朝日奈「もう、明石ちゃん、そんなにかしこまらなくても良いよ!わたしのことは呼び捨てで呼んで!」
大神「うむ、我らは同じ年なのだ。少し気を抜いたほうが良い。」
大和田「オレも、その『大和田さん』は止めてくれ…。むず痒くて仕方がねえ…。」
朝日奈「そうそう、私もタメ口で話してるからさ、明石ちゃんももっと砕けた喋りで喋って良いんだよ!」
明石「皆さん……。
じゃあよろしくな、ゲス共!」
大和田「砕け過ぎだよ!」
おっと、やりすぎてしまった。
明石「冗談冗談。じゃあ4人でいる時はお互いタメで宜しくね。朝日奈ちゃん、大和田君、大神ちゃん。」
大神「……やはり、我はさん付けのままで頼む。」
そんな気楽なやり取りをした後、私はまた探索を始めた…。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
十神「…で?ここで何をしているんだ。」
明石「視聴覚室の壁に張り付いてるラジオっぽいものの上に、なんかモノクマの絵が描かれたメダルが見えたので机を使い、上に登って何とかメダルを取ったものは良いものの意外にもここと天井との間が狭いので立ち上がることが出来ず、結構な高さとこの身長のせいで降りれなくなってしまいました…。助けてくれると幸いです。」
十神「本当に何をしているのだ、貴様は…。」
自分でも分からないよ、そんなの。ただモノクマメダルを取りたかっただけなんだもん。
そしたらいつの間にかラジオの角に半分乗って足が床につかない状態から動けなくなっちゃったんだもん。
十神君は舌打ちをしながらも私のパーカーの背広を掴んで私を地上に降ろしてくれた…って私は猫か?!
明石「有難うございます、十神さん。」
十神「ふん、ただ見てて目障りだったから手を貸したまでだ。礼を言われるほどじゃない。」
明石「じゃあ罵ればいいですか?」
十神「何故そうなる?!」
いやだって礼を言われるほどじゃないって言われたから…。
明石「十神さんも探索ですか?」
十神「他の奴らと一緒にするな、俺が調べているのは俺達を閉じ込めた犯人についての手がかりだ。これと言って見つかってはいないがな…。」
明石「じゃあ今のところ、私の中でのこの学園脱出計画に一番使えねぇなランキングのブービーですね!」
十神「どんなランキングを取っているのだ貴様は…!」
明石「因みにワースト1位は、皆が最初に確認している情報を報告会にて笑顔で報告しそうな石丸さんです。」
十神「地味に合ってそうな事を言うな!」
まぁ合ってるんですけどね。
ついでに言うと只今気絶中の苗木君はまあしょうがないので除外にしてます。
だって主人公だもの。
十神「貴様…、体育館での暴言といいこの会話といい…。まさか、十神家の名を知らぬとは言わせぬぞ…。」
明石「今この場で名前言ってるから確かに知らぬとは言えませんけどね。十神さん、私にそう言う堅苦しいのはあんまり効果ないですよ。」
十神「…何?」
明石「私はね、世界で最も適当な女子なんですよ。
肩書だとか御曹司だとか、そんなの私にとってはただ履歴書に書く為の言葉にしか過ぎないんです。もしも、ここで私に凄いと言わせたければ行動で証明してくださいよ。例えば皆を導いて、ここを脱出するとかそんな。もし出来たら改めて敬いますよ、貴方のこと。」
十神「………。」
…なんか急に黙られてしまった。もしかして怒らせちゃったか?もうここにも用はないし、さっさと移動しちゃうか。
明石「それじゃあ十神さん、私はそろそろ失礼します。それじゃあ!」
私は出来る限り早足でその場を去って行った。ちゃんとスーツケースなども忘れずに持って、全速力で。
十神「……良いだろう、証明してみせようではないか。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
早歩きで視聴覚室から去っていった私は、またのんびり探索を始めていた…。
葉隠「おりょ?明石っちじゃねーか。」
不二咲「明石さんも探索してるんだ。」
廊下を歩いていると葉隠君と不二咲…君、そして廊下にある鉄板にくっついて唸っている江ノ島さんと桑田君がいた。
…よく考えたらこのグループ、逆ハーレム状態じゃないか?見た目はともかく。
明石「あ、葉隠さんにちーくん、さっき振りです。ところで、そこで必死に鉄板の螺子を回そうとしている男女二人は何をしているんですか?新手の恋占いですか?」
江ノ島「違うって!今頑張って鉄板を退かそうとしてんの!」
不二咲「あのね、もしかしたら鉄板のどれかが外せるかもしれないから一つずつ試してみようってなったんだぁ…。」
なんだ、恋占いではないのか。
明石「それで結果は?」
桑田「全然ダメ。どれもビクともしねぇよ…。」
江ノ島「ヤバイよ…マジヤバいって…、どーすんの…これ…。」
出来れば、鉄板がどれもこちら側から取り付けられていることに気が付いて欲しかったがまあそういうシナリオなのだから仕方ないか。
明石「…あの、少し試したい事が2つ程あるんですがいいでしょうか?どちらも上手くいくか分かりませんが…。」
葉隠「おっ、なんかいい方法でもあるんか?」
明石「桑田さん、ちょっと荷物預かってくれませんか?」
桑田「お、おう。」
荷物を桑田君に預けて、私は近くの教室から机を持って来た。
私は机の脚を掴んで持ち上げ、鉄板の隣の壁に向かって全力で振り投げた。
明石「おうりゃぁぁぁぁぁ、今朝自費で買ったお菓子を友達に食われた恨みだァァァァ!!」
葉隠「明らかに八つ当たりだべ!」
しかし壁は予想より頑丈だったのか傷一つ付かず、代わりに激突した机はバラバラになった。
明石「チッ、武器が悪かったか…。」
桑田「ちょちょちょ!何やってんの明石ちゃん。」
明石「窓に鉄板が付いているけど、壁には特に何にも施されてなかったみたいなんで壁を壊せば出れるかなーって思ったんですけど…ダメでした。」
江ノ島「…ホッ、良かった…。いや、そんなので壊せたらアタシ達とっくにこっから出られてるでしょ。」
オイ今失言が聞こえたぞ、残姉さん!
不二咲「それで…あとの一つは何?」
明石「この様子だと可能性は低そうですが、簡単に言うと…
どこか壁がやわい所を探し、モノクマをそこに呼びつけて、自爆装置を起動させて穴あけようかなって。」
桑田「えげつないな方法ッ!!」
不二咲「で、でも、確かにそれなら出来そうかも…。」
モノクマ「させないよ、そんなこと!!」
4人が同意しそうになったその瞬間、モノクマがどこからかともなく現れた。
葉隠「うおっ、出やがったべ!!」
モノクマ「聞いちゃったよ、聞いちゃいましたよ、オマエラの恐ろしい作戦を!こんな可愛いボクを使って脱出だなんてさせませんからね!」
明石「ダメですか…チッ。」
モノクマ「舌打ちしたよ、この子?!」
明石「あとついでに言いますけど、貴方が思っているほど可愛くないですからね、そのデザイン。とある進学校の性格が下衆な栗のほうがまだ可愛いです。」
モノクマ「しかも罵ったよ!というか何を比較に出してんの?!
とにかく、オマエラがそんな事しないように自爆装置は切っとくからね!オシオキ道具はまだあるからね!じゃあ、バイナラ!」
モノクマは青筋を立てながら…といってもヌイグルミだからないのだが、とにかく怒った様子でそのまま去っていった。
不二咲「行っちゃった…。」
葉隠「これで明石っちが言ってた案はどっちも潰れたべ…。」
明石「すみません、お役に立てなくて…。」
桑田「明石ちゃん、そんな気にすんなよ。どの道モノクマの暴力は校則違反だから危険だしな。」
江ノ島「こうなったら、このまま全部の鉄板を調べて外せるのを探してやろうよ!」
不二咲「そうだねぇ…、じゃあ頑張ろう!」
私の案は全て没となったが、4人はこのまま鉄板の除去を続けるらしい。4人は拳を上げ、力強く声を上げた。
「「「「えいえい、オー!」」」」
ぐぅ~…。
葉隠「…あ、すまんべ。」
が、葉隠の腹の音でその力は一気に抜けた。
この空気を壊すとは流石は葉隠!私たちにできないことを平然とやってのけるッ!
そこに痺れるぅ!けど憧れないっ!
桑田「オイコラ、ウニぃ!今の腹の音で一気に力が抜けたわ!!」
葉隠「腹の音はどうしようもねえべ!もうここに来てもう8時間経ってるし、朝からずっと重労働してっから腹が減ってしょうがないべ!」
桑田「それでも時と場合ってもんがあんだろうが!」
江ノ島「でも確かにちょっとお腹減ってきたかも…。」
不二咲「僕たち、結構な時間動いてたんだねぇ…。」
近くの時計を見てみると確かにもう5時過ぎていた。確かにお腹が減ってくる頃合いだろう。
………なるほど、ご飯か。
明石「ああ、私そろそろ失礼しますね。作業頑張ってください。」
不二咲「うん、それじゃあまた後でねぇ…。」
桑田と葉隠の口論を横目に、私はこちらに手を振ってくれている不二咲君に手を振り返しながら、食堂へと向かっていったのであった。
因みにとある進学校とは黄色いタコを暗殺する教室がある中学校のことです。