恐らくこれが今年最後になるかと思われます。
次回更新?
ハッ……1月になっちまうかもね……(ニヒルっぽく)
「うぇぁぁ……」
声になっていそうで意外と声になっていない声をあげながら、ティナに膝枕された状態で寝転がる。
さっきまで叱られていた筈なのに、なんでこうなってしまったのか本当に不思議で堪らない。
あれか、叱っていてもなんだかんだで許して甘やかしちゃう系のダメ女って奴か。
何それ可愛い一生添い遂げたい。とか思ったけど許されるだろうか。
まぁ許さないなら許さないで俺はそう言った奴をみんな消し飛ばして反対意見をなくすけども。
なんたってティナは誰よりも俺に尽くしてくれるし、誰よりも甘やかしてくれるし、誰よりも理解してくれている。
もう結婚しない理由が見当たらないくらいに完璧だ。
……って待て、俺は一体何を言っていたんだ?
なんか微妙に洗脳されていた感があるぞ……
こういう時はあれだ、一旦脳ミソを整理するんだ。
俺の脳細胞よ、記憶の海から思い出を探して整理したまえ……
「おにーさん、今日は私から離れないって言いましたよね?ね?」
「はい……」
「私、おにーさんに嘘を吐かれるなんて悲しいです」
「面目ないです……」
ティナによる説教中、なぜだか俺は自然に敬語を使っていた。
あれだ、逆らえないオーラ的なものがティナから発されているんだ。
普段ならなんてことないのに、今回は俺が悪いこともあってなんとも逆らえない。
というかこんな時は淡々と怒る相手が一番怖いんだよな。
ティナはいつだってこの口調だが、それがなおさらに恐怖を掻き立てる。
怒り心頭のはずなのに、それを制御して俺を淡々と叱り続けるティナが怖くて仕方ないよ俺は。
「おにーさんは、私のことそんなに軽く思ってるんですか?心外ですよ」
「すいません……」
「言葉だけじゃダメです。行動で示してください。具体的には……3日間絶対に離れないとか」
ってあれ?意外とお説教短かったな。まだ30分も経ってない。いつもなら一時間経ってしまってもおかしくないと言うのに……珍しいな。
それはそれで逆に怖いけどさ。
俺が予想以上に早くお説教が終わって何か怪しいと思っていると、ティナがこっちに寄って来て、隣に座って……おっと。
ティナが体を引っ張って寝転ばせて来た。
すると頭の方に柔らかい感触が伝わってくる……膝枕だな。
ティナの顔を見上げるとなんだか恍惚としているみたいだし、これがやりたかったりしたのかね?
まぁ、俺としても満更じゃないしこれでお説教が短めに終わってくれたのなら言うことなしなんだがね。
しかしそう油断していると、急にティナがこんなことを言ってきた。
「おにーさんは、3日間は絶対に私から離れちゃダメですからね?」
どうやら今度は本気の本気の本気で離れさせてくれないみたいだ。
こりゃ生死を分けた戦いの時でも絶対に離れてくれなさそうだな。
「分かった」
まぁもちろん、答えはイエスの即答だ。
ティナから離れないなんてことは罰にしても軽すぎる、いやむしろご褒美にされても悪くはないものだからな。断る理由なんて1つもないんだなこれが。
あるとしても、それは俺が端から見ればどう考えても完全かつパーフェクツに性犯罪者ということだけだ。
ならば問題は無いだろう。
何故なら今の俺に周りからの評価はまったく意味を為さないし、そもそも双方合意であれば性犯罪にはカウントされないはずだ。
されたとしても、国家権力程度力で抑え込めば良いから変わりはないのだが。
……つーかなんか緊張状態から一気に抜けたせいか体が重いわー。
あまりに体が重くてついうっかりティナのお腹に顔を埋めちゃうなー。でもうっかりだから仕方ないよなー。
俺はそんな事故弁護をしながらうつ伏せになり、ティナの腰に手を回して抱き締めた。
「もう、おにーさんは甘えん坊さんですねぇ」
「なんとでも言え……」
なんというか、この姿勢結構良いかなとか思えてきた。
面倒ごとから目を逸らしてただただティナだけを視界に納めるこのポーズ……名前を付けるとすれば、現実逃避のポーズとか言えるであろうこれは、かなりイイ。
正直なところ周りの些細なことなんてどうでも良くなるくらい、最高にイイ。
これこそ、ガストレアが現れる前に流行ったらしい、人類をダメにするポーズだったのかもな……
俺はそんなことを考えながら、意識の半分ほどを闇に沈めていくのであった……
……あぁ、そういえばこんな流れでこの状態になったんだったな。
結論を言うなら俺は完全にティナに洗脳的なことをされていただろうってところだが、やはりそれでもなんだかティナを憎めない辺り、俺の洗脳は深刻らしいな。
いやあるいは俺自身が自らを洗脳してしまっている、という可能性も……
そんな可能性を突き詰めていればキリがないのは分かっているが、それでもそんなことを考えてしまう。
俺はアホなのかもしれないな……
「なぁティナ」
「なんですか?」
「俺ってさ、どうしようもない馬鹿だと思うか?」
何故だか急に不安になってしまい、急にどうしたとでも言われそうな質問をした。
答えは恐らくイエスだろう。
俺だって分かってる。どうしようもないってのは嫌ってほど分かってる。
ただ、そこでティナに意見を聞くのは、多分俺の悪いクセだ。
「そうですね……おにーさんは確かにどうしようもないですよ。でもそれで私にもっともっと甘えてくれるなら、万歳です。もっとどうしようもないダメ男になっちゃってください」
……いや待て、なんか今俺よりもとんでもなくどうしようもないくらい残念な回答が来なかったか?俺の聞き間違いか?
いや、ティナが今の言葉を言ったのは現実だ。受け入れろ俺。
少なくともティナがちょっと残念で、ネジがぶっ飛んでいるのは知っているだろう。
むしろティナ検定8級のサービス問題級だぞこれは。
……しかし、ティナはやはりとんでもなく残念だと考えると、途端にティナが20倍くらい可愛く思えてきたな。
俺は心の求めるままに抱き締める力を強めた。
「おにーさん、今日は凄く積極的なんですね」
「……そりゃ、これから3日は離れないんだから、自重とかをする必要はないだろう?」
そして、ティナと軽く言葉を交わしたのち、自分意識を落とす。
自慢じゃあないが、こんなことが出来るのは相手がティナだからこそ、だと思うんだ。
普通のやつが相手なら、ここまで安心して眠ってしまうことは出来ないだろうよ……
この作品の基本姿勢は、『ティナちゃん可愛いよティナちゃん』である。
そんなわけでこんな話は結構挟まれてくるのだ……
でも、だからといって本編が進まない訳じゃない。
じっくりひっそり進むんだ。