ー???ー
ドシーンッ
「いて!」
くっそー、頭打った〜。
『八幡、変な部屋だ。』
あー、また頭の中の声が聞こえてきた。
『変な部屋だ。変な部屋!』
「んなこと分かってるよ。ここどこだ?」
辺りを見渡して見ると、何かスター○ォーズに出てくる司令室みたいな部屋に居た。
「ちょっと、あの子ブツブツと何か言ってるわ。打ち所が悪かったのかしら?目が腐ってるし。」
声がする方を向くと何か外見が猫っぽい女の人がこちらを見ていた。つか、目が腐ってるって俺の特徴ってそれなの?否定しないけど。
「はーい、よーこそー我が署へ」
彼女は俺の視線に気づくとニッコリ笑顔で、返してきた。あまりに綺麗な笑顔だったので思わず目を逸らしてしまった。あぶねー、惚れるところだったわ。じゃない、今署って言ったか?
「彼が独り言を言うのと目が腐ってるのは地球人であるのとは関係ないようだ。あの個体特徴のものらしい。」
「んー、俺の知り合いの地球人もあんな感じじゃないぞ。どうなってんだ?」
今度は猫っぽい人の近くに居た顔が真っ黒な人とちっこいけむくじゃらの人が喋ってた。
また、目が腐ってるって………何なの?この人たち。外見からして怪しいけど。
『八幡、怪しい連中だ。変なやつばっかりだ。』
いや、分かってるから。
「おー、よく来たな。比企谷八幡。」
後ろから声がしたので振り返るとそこに、銀髪で右目に眼帯をしてる男が居た。やべ、何かカッコ良い。
「ようこそ、宇宙警察エルドライブへ」
は?今この人何て言った?宇宙警察だと?しかもこの声って、まさか黒○スの高○?
「あ、レイン署長。ヨーヨーサ!」
「「「ヨーヨーサ!」」」
おい、周りの人たちが敬礼し出したぞ。まさか
「おっと、紹介が遅れたな。俺はレイン・ブリック。見ての通りこのエルドライブ太陽系方面署の署長だ」
『おい、八幡。こいつは初めて見るやつだぞ。もしかして」
「あー、このヤバそうな集団のリーダーだろうな。」
「はっ?」
あ、何か周りの雰囲気が凍りついた。
「おいおい、比企谷八幡。警察に向かってヤバそうな集団はないだろ?」
レインさんはそうかえすが、これだけは言っておきたい。
「いやいや、例え俺の目が腐ってるとはいえこんな未成年を拉致して訳わかんないとこに連れてく時点で怪しいでしょう?これって誘拐じゃないですか?」
「え?……いや、別に誘拐ってわけじゃ」
「そもそも、俺全く事情を説明されずに無理やり連れてこられたんで、任意の上で同行して貰いましたって警察に言っても通用しませんよ。」
「いや、……俺たちがその警察だって」
「見たこともない服装をしている上に、怪しい外見をしてる人たちに警察って言われて誰が信じますか?」
「うっ。……いやね、話を」
「それに、ここってどこなんですか?」
「いや、外見てみろよ。どう見ても宇宙だろ?」
確かに窓の外を見てみると、宇宙が広がっているがそんなのではおれは騙されない。
「最近は技術も進化してますからね。これってCGでそれっぽく見せてるんじゃないですか?」
「は?……そのCGってやつは分からんが……」
俺の言葉を聞いてレインさんは黙り込んでしまった。
「ちょっと、あの子疑り深くない?」
「仕方ないだろ。突然連れてこられたって言ってるんだ。混乱するのは当たり前だ。」
「地球人って皆あんな感じなのか?」
「だから、目が腐ってるのか?」
「つか、シージーってなんだ?」
おいおい、外野が好き勝手言い出したぞ。つか、CGを知らないって何?そういう演技なの?
すると、黙り込んだレインさんが、
「しょうがない。こういう時は論より証拠だ。おい皆、こいつにあのスーツ着させるぞ。」
そう言うとレインさんは端の方にあった宇宙服っぽいのを指差す。
え?何それ?
「「「ヨーヨーサ!」」」
いや、ヨーヨーサ!じゃねーよ。何されるんだよ。
「あ、あの、ちょっと。」
「まあまあ、落ち着けって。すぐに終わるから。」
そう言って、レインさんは俺の腕をガッチリとホールドする。
やべ、どうなるんだ?俺は………
その後、無理やり宇宙服っぽいのを着せられて、とある部屋に閉じ込められた。
ドウシテコウナッタ?
『良いじゃないか八幡。すごく面白そうだぞ。」
「俺はそう思わないけどな」
そんなことを言うと突然ガコッという音がした。
『八幡、扉が開くぞ。開く』
え?本当だ。
そして扉が開くと、急に体が浮き扉の外へ放り出された。
え?何だこの感覚。まるで宇宙にいるような。
『八幡、後ろを見ていろ!丸いのが見える。』
え?
『星だ。地球だ!八幡。』
後ろを見てみると………マジで。
言葉が出なかった。何故なら、そこにTVで何回も見た地球そのものがそこにあったからだ。これって現実か?と思ったが、この浮いている感じや肌で感じる空気は間違いなく本物。つまり俺は今リアルで宇宙にいるんだ。
「……地球って本当に青いんだな。」
そう呟くと
《おい比企谷八幡。振り返ってみろ。うちのカッコ良い署が見えるぞ。》
レインさんの声がして、振り返ってみるとそこにはガ○ダムに出てきそうなデカイ宇宙船があった。
『八幡、すごいぞ。プラモだ。プラモみたいだ。』
確かにプラモみたいだ。本当にデカイ。これもリアルだ。
どうやら、ここが宇宙ってことは間違いないみたいだ。
その後、外で作業をしていたいかにも地球外生命体っぽいやつらと遭遇したり会話したりして、俺の人生初の宇宙遊泳は終わった。本当に夢みたいだった。つか、宇宙遊泳って疲れるな。体力が持たんわ。
『面白かったな。八幡。宇宙警察って面白いな。」
「そう思ってるのはお前だけだろ?こっちは夢なのか現実なのか分かんなくなってきたわ。」
そうボヤくと、レインさんが、近づいてきた。
「お前って本当に独り言よく言うよな。何かのクセか?」
「い、いやそういうわけじゃ……」
このことに関しては説明しづらい。俺だってちゃんと把握しめるわけではないのだから。
「……まぁいい。ここが宇宙ってことを信じてもらえたところで、早速本題に入るぞ。」
「そうしてもらえると助かります。その本題っていうのは何ですか?」
俺がそういうと、レインさんは懐からデカイ腕章を取り出しこう言った。
「まずエルドライブのことからだ。俺たち宇宙警察エルドライブの使命は、宇宙に住む者の平和を守ることだ。」
レインさんはキメ顏でそう言った。外野はおーっと歓声を贈ったがおれはそんなノリは嫌いなのでスルーする。
「まぁ、そりゃそうでしょうね。宇宙警察なんだから。」
「……冷たいな、お前。」
「そんなことより、何で俺はこのエルドライブに拉致られたんですか?別に悪いことはしてないんですけど。」
「拉致って、言い方酷いなあ……それはお前が選ばれたからだ。」
は?
「うちの署員は宇宙警察の素質がありそうなやつを宇宙中に散らばるマザーコンピューターの総意が選出する。お前はそのマザーコンピューターに選ばれたんだ。」
なるほど、要するに抽選みたいなものか。
…変な抽選に当たっちゃったな俺。
「そして、今からやる採用試験に合格すればお前もエルドライブの一員だ。どうだ?良いだろ?」
レインさんがドヤッとした顔で俺を見る。
えー、正直やだなぁ。だって、それおれに社畜になれっ言ってるようなもんじゃないか。
俺の夢は専業主夫だ。警察なんて社畜同然みたいなものやってたまるか。
そう言いたいところだが、何故かレインさんの顔を見ると断りにくい。
どうしよう、この状況………
続く