もしもブレイブウィッチーズにドリフターズのあの人が来たら   作:ひえん

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短編:夢の中

 これは夢だろうか?管野直枝はそう考えた。

 視界は真っ白。妙な浮遊感のみ感じる。突如、視界が広がった。青い海、両岸には山々と街並みが広がる。どうやら雲を抜けたらしい。そして、どこかで見たことのある風景…、瀬戸内海だ。

 

「まったく、内地の夢か?」

 

 激戦と変人のせいで疲れて古郷が恋しくなったかな、そう思いつつ辺りを見回す。柱島の辺りだろうか。しかし、何かがおかしい。記憶にある風景と一致しないのだ。それに艦艇や船舶の姿も少ない。

 

「妙だな、こんなに船が少ないなんて」

 

 そう思って柱島泊地の方へ目を凝らしてよく見てみると、確かに艦はいる。だが、見覚えのない艦が多い。戦艦は榛名だろうか、日向らしき艦も見える。空母は見知った鳳翔が見えた程度で他は知らない艦だらけだ。どれも小型から中型といった具合である。

 更に見渡すと大きな艦影が一つ。まるで島みたいにでかい。あれは大和?そう思った時、地上のあちこちからサイレンが鳴り響くのが聞こえた。小型艦が慌てて動き出す。はて、何事か?もしやネウロイ?そう考えていると、体が徐々に四国側へと流されていく。

 

 たちまち、松山基地上空まで流された。嫌にリアルな夢だ。まるでストライカーユニットで空を飛んでいるような気分である。爆音が聞こえて下を見る。1000メートル程下方に何かが見えた。

 

「戦闘機…どこの機体だ?」

 

 濃い青の塗装が施された見たことの無い機影の編隊が呉を目指し飛んでいるのが見える。数は30機程だろうか。いや、後ろにまだいる。同じ数の編隊が何十と続いているのが見える、尋常な数ではない。戦闘機だけではない、攻撃機や爆撃機と思しき機体も多く飛んでいる。向かう方角は北、呉のある方向だ。つまり…

 

「あいつら、まさか呉を!?」

 

 そう思った矢先、目の前を戦闘機の群れがダイブして突っ込んでいく。濃い緑の塗装、胴体に赤い丸を付け、低翼でずっしりした機体…見覚えがある。異世界からやって来た菅野の乗っていた機体…紫電改だ。それが複数機、攻撃隊と思われる編隊に攻撃を仕掛けた。優位な位置からの奇襲である。たちまち何機かの航空機が火に包まれ地上へと落ちていく。それを皮切りに激しい巴戦が始まった。

 

 こうして、やっと状況を把握した。これは菅野の言っていた向こうの世界大戦の夢だ。ここは扶桑…いや、日本上空という事だろう。そして、相手は話に出ていた大国アメリカだろう。ネウロイ相手の戦いとは違う。人と人が命を懸けて戦う正真正銘の戦争の光景が目の前に広がっていた。呆然と見ているしかない。多くの航空機が煙や炎を吐き出しながら飛び交い散っていき、ふわりふわりと落下傘が落ちていく…これは本当に夢だろうか?呆然と眺めていると、無線が聞こえた。

 

「鴛淵一番、鴛淵一番、飛行場上空で交戦中!」

「菅野一番、菅野一番、敵編隊捕捉!」

 

 どこかで聞いた声が聞こえてきた。

 

「アイツは相変わらずなんだな…」

 

 そして、そのアイツはどこにいるのだろうと探していると、腹に響く炸裂音が聞こえてきた。

 呉周辺の高射砲が盛んに撃ち出され、上空は炸裂した砲弾の煙で覆われる。その中を多数の航空機が勇猛果敢に潜り抜け、急降下していく。海面に巨大な水柱が次々と立ち上る。瀬戸内海の中を駆逐艦が全速で走り回り対空砲を撃ち上げる。巡洋艦から爆炎が立ち上るのが見えた。恐ろしい、悪夢としか言いようのない光景が目の前に広がっているのである。早く朝になって誰か起こしてくれ、そう願っているとまたも無線が聞こえた。

 

「菅野一番、菅野一番、機体が火を噴いた!脱出する!」

 

「えっ…?」

 

 その瞬間、飛び起きた。体は汗を拭きだしている。見慣れた自分の部屋だ。やはり夢だったのだ。

 

「ひでえ夢だ、あんなの御免だな…」

 

 

 

 野山を戦国武者たちが駆け回る。とんでもない人数だ。

戦国時代の夢かな、と雁淵ひかりは考えた。弓矢に鉄砲が飛び交い、槍を持った足軽たちが激突する。だが、戦いは終盤なのか一方的な感じに見える。

 そんな中、戦場のど真ん中で動きが見えた、武者の一団が突撃を始めたのだ。丸に十字の家紋、その一団が戦場のど真ん中から優勢な側の本陣へ突き進み始めた。本陣は慌てふためき、馬上の総大将が刀を抜いた。

 

「首置いてけ!!」

 

 独特な訛りのある叫び声が戦場に響いた。

 

「なんで戦国時代の夢なんだろ?」

 

 ひかりはそこで目を覚ましたのであった。




あの人が夢の中にちょっと出てきたようです

お待たせしました。ということで短編です。
最近色々起こったりしてなんとか時間が作れればなあ、と考えてたらずるずると…

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