ビギビキ
空の亀裂が更に大きく走る。
某所
「なんだこれは!」
空の亀裂が走るほど彼女の胸元が光出す。
まるであの亀裂から何かが発せられるかのように、
「これは、まさか!ヘリオス!」
片翼となった青年は空を見上げた。
ビギビキ、バキン、バキーン
ガラスが割れるように、空が割れた。
と同時に天より光が柱のように差してくる。
そこより現れるのは太陽の化身。
灼熱の恒星が再びこの地に降臨したのだ。
「行くぞ、貴様ら!世界を救おうぞ!」
「「「おおぉぉぉーーーっ!」」」
焔を纏った狂信者達は雄叫びを上げた。
「クハハハ、良いぜェ!最高だァ!力が溢れてくるぜェェェ!」
黒き光を纏い邪竜はその力を溢れ出す。
魔星は力を増して帰ってきたのだ。しかし、ヘリオスが造り出した特異点には過去の
この中には
だが、彼らが再誕したのはヘリオスの
「カカカ!皮肉なものだな。俺達が光の後継者の下につくことに成るとはな!」
「ふん。知るか。そんなことよりも先ずはあの男だ。雪辱を晴らしてやる。」
「この気配は。小太郎、君、彼と一つに成ったんだね。レディもいるのか。よし!行こう!」
「クハァ、応とも。天に至りしあの男に我が武勇、見せつけてやろう!」
天が割れる少し前
世界樹付近にて戦いがもう繰り広げられていた。
「何故、アドラーが攻めてくる。」
魔術師達の前にはアドラーの軍服を着た
「「「創星せよ、天に描いた星辰をーー我らは煌めく流れ星」」」
彼らは統率され無駄の無い動きで魔術師達を追い詰めていた。
だがそこに、
「血に塗られた我が人生をここに、捧げようぞ!」
「
赤黒い杭が
それでもなお、星辰奏者達は向かってくる。ヴラド三世は迎撃しようと手を向け、
「どけ。」
黄金の斬撃が彼を切り裂いた。ヴラド三世は呆気なく消滅した。
それを見て魔術師達は動揺した。彼らにとって自分達が何人いようが倒せない彼らの神の朋友が一撃で滅ぼされたのだから。
斬撃を放った男から溢れ出るのは鋼の意思。
彼から発せられる威圧感によってほとんどの魔術師達は戦意を亡くし呆然とした。
「来たか。」
男は待っていたのだ。彼らの神が現れるのを。
「貴殿、このような狼藉、赦されると思っているのか?」
神シュマと彼の朋友達は男が切り裂いた朋友の仇を取らんと怒り狂っていた。
男はどうでもいいとばかり、
「知らんよ。俺は勝ちに来たのだ。貴様らの理由などどうでもいい。」
シュマ達は、
「「「キサマァァァ!!!」」」
激昂し飛びかかった。
一番槍は牛若丸。彼女は自らの主に敵対した愚か者の首を取らんと宝具を発動した。
「壇之浦・八艘跳ィィ!」
しかし、
「邪魔だ。」
男は冷静に彼女の首を両断した。そして、
「なんだ?貴様ら、あえて言わせてもらおう。その程度か?」
男は力を更に放ち、
「
刀身が見えなくなるほどの光量を纏ったのだ。
「見つけたぜ。」
「ああ!やっと!」
光より現れた第三者がこの蹂躙に混ざってきたのだ。
「よう!英雄。久し振りだな!」
「ヴァルゼライド殺す!」
シュマ達はこの男の敵が来たため見方をしてくれると思ったが、
「戦うのはいいが、邪魔な奴らがいるな。消しとくか。」
「天昇せよ、我が守護星―――鋼の
「死が満ちる、死を満たせ、死を
「狂乱と破壊と炎と災いで、見渡す荒野を深紅に染める」
「青銅の鎧を纏え。両手は槍を携えよ」
「戦車へ騎乗し突撃すれば、敵兵はものみな等しく髑髏の山と成り果てようぞ」
「おお、芳しきかな、人肉の脂が燃える」
「打ち震えるかな、無意味で無情な流血よ」
「ただ理不尽に散りゆく獲物いのち、これぞ戦の誉れなり」
「野獣の如き蹂躙だけがこの身を至福へ誘うのだ。城壁の破壊者は、泰平をこそ打ち砕く」
「永遠たれ、凶兆たる災禍の紅よ。神々の弾劾さえ我が悦びを裁くに能わず」
「ーー
「
紅の光を纏い、
「何ですかこれは!」
「体が……!」
「王、私は!」
レオニダス、サンソン、ベティヴィエールは一瞬にその霊器を消滅させた。
シュマ、アルトリア、オジマンディアスはギリギリ当たらなくてすんだ。
「我が宝具、受けてみよ!」
ファラオの威光を見せつけようと、朋友の仇をとろうと彼は隙を見せてしまった。
「全能の神よ!我が業を見よ!そして……グフ」
眼鏡の男がファラオを刀で貫いていたのだ。
「キサマァァァ!!」
パチン
ドゴォォォーン
眼鏡の男が指をならせば爆発が起こり、ファラオを消し飛ばしたのだ。
「お前も、邪魔するのか?」
「ヴァルゼライド殺すぅ!」
「ふん。」
パチン
ドゴォォォーン
「のわぁぁぁ!」
魔星達は爆発に手間をとっている。
「
「行きますよ?ですがその前に閣下には消えてもらはなくてはいけないのです。我らが
眼鏡の男、ギルベルトは生前ではあり得ないことを口にした。彼はもう身も心も
「食らえ、
「ほら。」
パチン
ヴァルゼライドの足下に爆発を起こし、彼の迎撃を失敗させた。それでもなおヴァルゼライドはアルトリアを討ち取ったのは流石である。
「よくも!アルトリアを!」
シュマはヴァルゼライドに攻撃を放ち瀕死まで追い込んだ。
それでもヴァルゼライドに諦めは見れなかった。彼は笑っていた。彼はギルベルトの方を見て、
「英霊となりし俺の宝具を見せてやろう。」
と言った。ギルベルトは、
「(閣下の宝具?)」
「かつて俺は宿敵と融合することで冥王に対抗した。その逸話を具現化したものだ。」
ギルベルトは「ハッ!」と気づいたが遅かった。
「後は任せるぞ、我が
それに応じるかのように、声が聞こえた。
「ああ。任せておけ
大和の威光がここに再臨する。
「天昇せよ、我が守護星――鋼の
「おお、輝かしきかな天孫よ。」
「
「
「禍津に穢れし我らが大地を、どうか光で照らしたまえと恐み恐み申すのだ」
「鏡と剣と勾玉は、三徳示す
「とりわけ猛き
「我は
「国津神より受け継いで
『天駆けよ、光の翼――
『絢爛たる輝きにて照らし導き慈しもう。遍く闇を、偉大な雷火で焼き尽くせ』
「ならばこそ、来たれ迦具土神。新生の時は訪れた 」
「煌く誇りよ、天へ轟け。尊き銀河を目指すのだ」
――これが、我らの英雄譚
「
烈奏者と滅奏者に続いて天奏者がインしました。さぁ藤丸くん達は無事に帰還できるのか!