げどう☆ぼまーとしりある☆きらー   作:黄金馬鹿

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早速序章で主人公がサーヴァント召喚するよ

ぐだ子もいるよ


其の二

 その次の日。人類救済RTA、はっじまるよーとはいかなかったのが現実だった。

 はい、まぁ、そんな訳だ。俺が部屋でゴロゴロしてた時、案の上というか何と言うか、テロは起こるさ、何時だって。とも言わんばかりで起きたさ。オルガマリーの嬢ちゃんの足元でな!お仕事失敗しちゃったよオイ!!

 いやぁ、でも、流石に笑ったな、アレは。まさかあの怪しさ百パーセントで構成されたレフさんが犯人とはなぁ。バッチリと写ってましたよ。前日の夜中に爆薬仕掛けてるの。まぁ、流石に何してるかまでは分からなかったから、何してたか判明したのは爆破後の映像確認中なんだけどな。

 何が起きたかを反応の途絶えた監視カメラの映像から割り出した俺は取り敢えずテロ現場へ向かう事にしたわけだ。その途中でテロに気が付いたDr.ロマンと今日来たばかりの新人ちゃん……えっと、藤丸六香ちゃんとすれ違ったわけだ。六香ちゃんはマシュちゃんと初対面で先輩って呼ばれてたから覚えてるよ、うん。

 

「あ、君は!」

「えっと……エインズワーズさん?」

「はいはいどーも、俺の不手際でテロ起きちゃったんでせめて供養だけでもしようと思った刹那さんですよ」

 

 俺の一言に六香ちゃんの顔が若干曇る。あらら、まさかテロの中で生き残りがいるとでも思ってたのかな?そりゃ酷いことした。おっと、ロマンさん。頼むから俺をそんな目で見んな。口滑らせたのは理解してっから。

 まぁ、俺とロマンのような大人は生き残りなんている方が奇跡だと既に割り切っているからこんな態度だが、まだその奇跡を信じている六香ちゃんにはキツかったみたいだな。

 俺のようなテロが身近の人間ならともかく、六香ちゃんは確か、つい先日まで一般人だった子供だ。そう思うのも仕方のない事だと思う。

 

「まぁ、そんなに落ち込むな六香ちゃん。俺も怪我人がいたら全力で助けるからよ」

 

 治癒の魔術は使えねぇが、応急手当なら俺でも出来る。置換の魔術で薬箱のお取り寄せ程度なら出来る。

 六香ちゃんの頭を撫でてからこの子、犬みてぇだな。なんて思ってからロマンにはこの施設の機能がどこまで生きているかの確認に行ってもらった。本格的な治療は彼とこの施設の機能が生きてない事にはどうにもならないからな。

 

「フォウ!」

 

 そして走り出そうとした所で白い毛の塊が六香ちゃんへと飛びかかった。六香ちゃんはそれを両手で受け止め、正体を確認した。

 

「うわっ、フォウくん!?よかった。生きてたんだ!」

「おぉ、てっきり焼き肉になってるもんだと思ったんだがな。しぶとい謎生物だ」

「フォウフォウ!!」

 

 何だか抗議の声を上げている気がするが、畜生風情の言葉なんて理解出来無いので無視安定。

 六香ちゃんの肩に乗ったフォウを一見してから、六香ちゃんに急ぐぞ、と声をかけて走る。暫く走り、無駄に広い施設の中にある、レイシフトルームにたどり着き、変形した扉を蹴破った。

 中の惨状は、まぁ酷かった。まさしくテロの後としか言えない惨状のレイシフトルームを見て六香ちゃんは顔を青褪めた。しゃーない。何てったって、そこら辺に血が飛び散ってんだからさ。俺としてはこのままもう一回爆破したほうが火葬も省けると思うんだが、六香ちゃんの背を押して生存者の探索に出る。そして、適当なコフィンをこじ開けて中の死体の脈を測った。

 

「……生きてる、だと?」

 

 その死体はまだ生きていた。いや、よくコフィンの中の人間を見てみれば死体だと思った人間は皆気を失っているが生きている。瀕死だが、ちゃんとした治療を受ければ後遺症こそあれど生き延びれる。そんな状態だった。

 コフィンが頑丈だったのかどうなのかは分からないが、これには流石に驚かざるを得なかった。さて、どうしたものか……

 

「マシュ、マシュ!しっかりして!」

 

 考え込んでいたら、六香ちゃんの声が聞こえた。もう死んだと割り切ったあの子が生きている?まさかとは思いつつ六香ちゃんの方へ向かえば、そこにはまだ息のあるマシュちゃんがいた。

 ――――下半身を瓦礫に潰されて。

 

「せん、ぱい……」

「よかった、マシュ……今、助けるから!」

「無理だ、六香ちゃん。他の奴らならまだしも、マシュちゃんは下半身を潰されてる。どの道出血多量でお陀仏だ」

 

 まだ夢を見る少女へ現実を押し付ける。

 マシュちゃんは何がどうなったのかは分からないが、瓦礫に下半身を潰されている。むしろ、その時の痛みでショック死してない事の方が奇跡だ。今のこの状況でマシュちゃんを助ける手段はない。

 

『システム、レイシフト最終段階へ移行します。座標、西暦二千四年、一月、三十日。日本、冬木』

 

 そして流れるアナウンス。やべぇ逃げなきゃ。そう思った時には俺達が入ってきた扉とは別の扉……障壁が俺達を隔離していた。

 あー、こりゃ詰んでますわ畜生と毒づきながら俺はサッサと簡易的な対爆破魔術を構築していく。

 んでもって、なんか人類の未来を観測するとかいう地球儀をデカくしてゴテゴテさせたような機械、カルデアス。それがまぁ、何とも見事に真っ赤な事。確かあれ、真っ赤になると人類ヤバイっていうかオワタレベルになるってオルガマリーの譲ちゃんに聞いたんだよなぁ……やべぇよ、人類滅亡が確定した瞬間居合わせちゃったよ俺。遺書書かなきゃ。

 

「六香ちゃん、マシュちゃんの手、握ってやれ」

「は、はい……」

「マシュちゃん、君の先輩は何とかしてやらァ。お代は君の命でいい」

「ありが、とう……ございます……」

 

 んじゃま、お仕事しますかね。置換魔術で爆破の衝撃を別の場所へ持ってくように調整してっと。

 

『レイシフト完了まで、三、二、一……全工程完了。ファストオーダーの実証を開始します』

「あ、こりゃ展開する魔術ミスったわ」

 

 爆破かと思ったら転移系でしたね。失敗失敗。

 

「ちょっ!?」

「だめ、みたいですね……」

 

 おうマシュちゃんや、命落としそうな君ほどダメじゃないやい。そんな声を上げる前に、俺達は光に飲まれた。

 あ、タバコ持ってくんの忘れた。

 

 

✱✱✱✱

 

 

 目が覚めると、そこはテロの跡でした。いや、ホントに。意識を取り戻して確認した景色が空爆受けた後の街みたいな、そんなん。

 頭のネジ数本抜けてるって自負してる俺でも流石に困るわ、こんなん。

 取り敢えず気持ちを落ち着けようとタバコを取り出そうとするが、生憎電子タバコは忘れて来た。畜生め、と近くの石ころを蹴っ飛ばして溜め息。

 

「いやー、しかしまぁ、よく燃えてるもんだ。山火事ならぬ街火事ってか?ただの戦争だよそれ」

 

 おちゃらけてみるが、まぁ困惑はどうにもならんわな。

 えっと、確かさっきのアナウンスだと、ここは二千四年の一月三十日の冬木。うん、第五次聖杯戦争の真っ只中だねこれ!!

 やべぇよ、マジで戦争だったよ。んでもってこんなの知らねぇよ。俺の中の第五次聖杯戦争はこんな街火事起こってねぇよ。ガス爆発が多発した事しか覚えてねぇよ。

 でも、それが人類滅却……特異点の改竄なんだろう。

 七つある特異点。それ等が全て何者かによってねじ曲げられ、本来の歴史とは違う道を歩んでいる。それを正すのがカルデアの目的だ。

 この冬木もその一つだったんだろう。つまり、俺は英霊とかいう一人で軍隊相手にできるヤツがいるかもしれない場所に放り込まれた訳だ。やべぇよ生き残れる気しねぇよ。

 

「けどまぁ、英霊の召喚方法は知ってるんですけどね」

 

 しかし俺はこんな事……と、言うか英霊が攻めてきた場合を考慮してカルデアの英霊召喚術式は覚えてきた。英霊には英霊ぶつけないとどうしようも出来ないからな!

 それに、衛宮切嗣も聖杯戦争には参加した。だから、俺もいつ聖杯戦争に巻き込まれてもいいように聖杯戦争に関する知識は詰め込んでおいた。その中にはもちろん、英霊の召喚方法だってあった。

 索敵の魔術で周りに敵性生物がいないのを確認してからササッと術式を書き上げる。で、通信機でカルデアに通信を繋げる。

 

「こちら刹那だ。ロマン、応答どうぞ」

『せ、刹那!?生きていたのか!?』

「残念だったな、トリックだよ……というのはさておき、これから英霊を召喚する。アシスト頼んだ」

『ちょっ、なんか君順応力高すぎないかい!?』

「いいからはよ」

『わ、分かった。少し待っててくれ』

 

 と、言われたから少しだけ待つことにした。流石に聖杯のバックアップ無しで英霊を留めるのは難しい。だから、カルデアの電力による魔力補給を受けるしかない。で、大体数分後に再びロマンからの通信が入った。

 

『こっちの準備は完了した。いつでも召喚してくれ。方法は分かるかい?』

「あたぼうよ」

 

 俺は魔法陣の前に立って懐から石を三つ取り出した。聖晶石と呼ばれるそれはかなり強力な魔力を内包している。右手に痛みを感じ、令呪と呼ばれるサーヴァントへの三回までの絶対行使権が具現したのを確認してから俺は石をその手で砕いた。

 気持ちいい音と共に割れた石は魔力となって魔法陣へと流れ込む。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 再び石を割る。これでもまだ英霊の召喚には足りない。故に、もう一つ割る。そうする事でカルデアの英霊召喚システムと完璧に同調した魔法陣が起動する。

 六つの球体が浮かび上がり、ゆっくりと回転を始める。

 

「――――Anfang」

 

 球体は白色のまま更なる高速回転を始める。

 

「―――――告げる」

 

 さらに球体は回転し、完全な一つのリングへ変化する。

 

「―――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 リングはやがて三つへ分裂し魔法陣の外側を回り続ける。

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ。天秤の守り手よ――――!!」

 

 その瞬間、リングは収束し、一つの光の柱へと変貌する。

 成功した。魔法陣の中心へ繋がる魔力のパスを感じ、俺はガッツポーズを取る。そして次の瞬間、光の中から人が現れる。

 

「――――アサシン、ジャック・ザ・リッパー。よろしく、おかあさん(マスター)

 

 どうやら、俺は嫁を取るどころか嫁になって子供まで作ってしまったらしい。

 

「……ジャック・ザ・リッパー?君がか?」

「うん、そうだよ」

 

 しかし、気になるのはそこではない。俺の前に現れたジャック・ザ・リッパーを名乗る少女は、一言で言えば幼女だ。

 確かに、腰には四つのナイフと二つのナタのような物を下げている。しかし、どれもが子供用の大きさであり、あの切り裂きジャックには見えない。

 コスプレした幼女。俺の、この子への第一印象は正しくそれだ。

 だが、彼女は俺の魔法陣から現れた。そして、俺の事をマスターと言った。そして、俺もこの子と魔力のパスが繋がっているのは確認している。

 即ち、この子は本当に英霊であるジャック・ザ・リッパーなのだろう。

 

「……そうか。なら、これからアサシンかジャックと呼ばせてもらうよ」

「うん、おかあさん」

 

 それに、先程から彼女のおかあさん、という声とマスターという声が混ざったような発音はとてもじゃないが人間には出来ないだろう。

 かつて起こった聖杯戦争では、伝承とは違う姿で英霊が召喚された事があると聞いた。彼女も、その類なのだろう。

 

「早速だが、ジャック。これは普通の聖杯戦争じゃない。それは分かるか?」

「うん。わたしたちが召喚されたから、それは分かるよ」

「……ん?どういう事だ?」

「わたしたちは召喚される場所やおかあさんで姿が変わるから。この姿で固定されてるのは、この召喚だけ」

 

 なるほど。つまり、ジャック・ザ・リッパーをカルデアの英霊召喚システムで召喚するとこの幼女なジャック・ザ・リッパーが召喚されると……この言葉を裏返すと、バーサーカーで召喚したらまた別のジャック・ザ・リッパーが召喚されそうだな。

 何ともややこしい。

 

「まぁ、分かってるのなら話は早い。君の望みも人類を救わなければ叶わない。だから、手伝ってくれ」

「うん、いいよ。わたしたちはそれに応えたから」

 

 あぁ、そういえば英霊側も現在の状況と現代までの知識が付与された状態で召喚されるんだったな。なら、特に聞く必要もなかったか。

 そして、ジャックは俺の指示には基本的に従うスタンスだろう。しかも、アサシン。気配遮断が出来る遊撃は俺としてはありがたい事だ。

 ステータスも今確認したら、敏捷はA。そして気配遮断がA+。アサシンとしてはこれ以上ないステータスだ。さらに情報抹消……相手から自分の情報を戦闘後に消すスキルまで持っている。まさに大当たりのサーヴァントだ。

 

「じゃあ、ジャック。早速だが、気配遮断を使って生きている人がいないか確かめてきてほしい」

「いいの?おかあさんはどうするの?」

「いざとなったら令呪を使ってお前を呼ぶよ。だから、まずは辺り一帯の捜索を頼む」

 

 まずは生存者の確認。そして、六香ちゃんの安否の確認が先だ。六香ちゃんがもし、これに巻き込まれていたのなら……間違いなくパニックを起こしてしまうだろう。

 そうしてしまえば最後、敵性生物に見つかればお陀仏だ。そんな可能性があるのが、特異点となり人類が滅びる原因となったこの時間だ。

 

「わかった」

「頼んだぞ、ジャック」

 

 俺の言葉を聞いてジャックは一瞬にして姿を消した。流石は敏捷A。人間なんかよりも圧倒的に早い。

 で、俺の方は、だ。先に俺の周りを片付けなきゃならん。

 

「既に探索魔術には引っかかってんだよ」

 

 懐からシグを取り出し片手で構えれば背後には敵性エネミーがいた。

 スケルトン。そうとしか言えない風貌のソイツは手に持った槍を構えてこちらへ向かってきている。近付かせないために銃弾を頭にぶち込むが、それでもスケルトンは倒れなかった。

 アンデッドの類。バラバラにしなくては動きを止めないだろう。すぐにそう判断し、シグをしまってからコートの中を置換魔術で空間連結。中から手榴弾を取り出し、歯ではなく指でピンを抜く。

 歯で抜けば歯の方が抜ける。それが分かっているから歯では抜かない。

 そのまま手榴弾を転がしてやればスケルトンはそれに気付いてるのか気付いてないのか、手榴弾に近付いていき、爆発。

 手榴弾の爆発でスケルトンは弾け、さらに破片が全身に刺さり、完全に再生不能となって倒れた。

 

「この程度なら何とかなるか」

 

 もっとも、攻撃的な魔術を使えればもっと早く片付ける事も出来たんだが。それに、ジャックなら一秒程度で倒せるだろう。

 しかし、スケルトンが俺一人で何とかなる以上、六香ちゃんの事を優先しなくてはならない。俺はそう、マシュちゃんと依頼を交わしてしまったから。

 

「おい、ロマン。応答しろ」

『こ、今度はこっちかい!?』

「六香ちゃんはここに来ているのか?」

『あぁ。今さっき僕と通信してたよ。マシュと所長も一緒さ』

「マシュちゃんとオルガマリーの譲ちゃんも……?どういう事だ」

 

 マシュちゃんはあの時、確かに瀕死の重症でいつ死んでも可笑しくない状況だった。そして、オルガマリーの嬢ちゃんは……俺の映像での確認が確かなら、木っ端微塵どころか肉体が消滅して死んでいたはずだ。

 

『それは話すと長く……待ってくれ、六香ちゃんの近くにサーヴァント反応!?』

『おかあさん、女の人とサーヴァントを見つけたよ。かいたいする?』

「あー……ロマン、それは俺のサーヴァントだ。あと、ジャック。解体はするな。暫く待機して敵性エネミーが湧いたらそっちを解体しておけ」

『うん、わかった』

『えっ、君のサーヴァント!?本当に召喚に成功したのか!?』

 

 何ともまぁややこしい。流石に同時に会話するのは相手の方にもこっちの方にもややこしい。

 ロマンには後から話す。とだけ言っておいてからジャックとのパスを辿って六香ちゃんの元へ向かう事にした。

 が、ここで少し凶報が入った。

 

『おかあさん、真っ黒なサーヴァントが出てきたよ』

 

 彼女達には疫病神でもついているのか。俺は溜め息をついた。




主人公の鯖はジャックちゃん。対マスターをするのなら畜生な鬼畜性能だけど、サーヴァント戦だと同じ敏捷値の敵が出てきたら間違いなく詰む子だよ!!この子で聖杯戦争勝ち抜ける気しないね!!

え?展開が急だって?特に何も考えてなかったから仕方ないね

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