げどう☆ぼまーとしりある☆きらー   作:黄金馬鹿

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過去編終わりだよぉ!


其の十五

 意識を取り戻した俺の体からは、痺れは抜けていた。だが、手足は動かなかった。目を開け確認すれば、空は既に暗闇。その時点で俺は何時間か、下手をしたら十二時間近く寝ていたのに気が付いた。

 どちらかと言ったらフィジカル方面を鍛えていた俺だが、根本は魔術師。改造スタンガンの一撃を首に受けたら流石に長時間の気絶も普通に考えられた。

 そして、その後すぐに手足を確認すると、俺の手足は木の十字架のようなものに括り付けられ、足元には木々がまるで薪のように積まれていた。まるで、火炙りのように積まれたそれは素人が一人でやったものではなく、何人かで計画的にやられたものだった。

 その証拠に、俺の目の前には松明を持つ村の男達がいた。更にその中で先頭にいるのは、老人。

 この時、流石に俺も混乱したのだが、もう何がなんやら、混乱が混乱を呼んでさらに混乱したため、一周回って逆に冷静になっていた。自分でも何で冷静になれてたんだ、と苦笑するくらい冷静だった。

 

「……よう、どうした。何で俺を貼り付けにする。とっとと離してサクに会わせろ」

 

 この言葉もその冷静さから出た、ただの挑発だった。俺にはまだ、秘策があった。故に、こうやって挑発するという思考ができたのだと思う。

 

「……異邦人が、何を言い出すかと思えば」

「はっ、異邦人だと?原始人共が……いいからサクを出せよ」

 

 こちらの言葉を聞いちゃいない。それを知って俺は再び挑発するように要求を口にした。だが、目の前の老人は首を横に振って呆れたような顔をした。

 

「お主、今自分がどんな状況にあるのか、分かっていっておるのか?」

 

 老人の声と共に、俺の装備していた武器が村の男達の手に握られているのを見せられ、それを目の前で石や木でド突かれて壊された。シグだけは、小さいからか埋められるだけで済んだ。

 俺の抵抗手段。いや、装備していた物を目の前で使えなくしてから俺に諦めさせるつもりだったのだろう。生きる事を。

 だが、原始人達はセーフティの解除方法が分からなかっただけなのだろう。スタンガンは割りと扱いやすかった、だが銃に関してはそれなりの知識が無ければセーフティは解除できなかった。故に、壊すことにした。

 

「お主があの中を見なければ生きて返したものの……我等が主の命じゃ。ここで焼け死ね」

 

 老人の声にあわせて松明の炎が俺の足元に焼べられかける。が、俺はそれを待て。と声を出して止める。

 その声に松明は止まった。が、代わりに槍が突き出された。命乞いは聞いてやるってか?そんな感じの目をしていたのを覚えている。

 

「サクに会わせろ。辞世の句ってやつか?それくらい親しい奴に言わせろ、ボケ老人」

「……何も知らぬようじゃの」

 

 は?と俺はその時、素で聞き返した。その声を聞いた老人……一応、その後の展開で分かったのだが、この村の長らしい。

 村長は溜め息をついてからサクについて……俺にとっての終わりを話し始めたんだ。

 

「あの小娘は生け贄じゃ」

「…………は?生け贄?」

 

 生け贄。サクリファイス。俺の頭の中でその言葉が跳ね回った。

 どういう事だ。その言葉を汲み取ったかのように村長は話し始めた。

 

「あの小娘は主より十三年前から決められていた生け贄じゃ。生け贄に名前は無い。あるのは、『生け贄』という名前だけ。生け贄は我等の手によって育てられ、主へと捧げられる。それが、今日じゃ」

「……は?い、生け贄?何の事だよ……そんな時代遅れなこと……!」

 

 俺が完全に困惑し、貼り付けにされたままなのにも関わらず、問おうとした。だが、途中で気付いた。サクの名前の意味に。

 『サク』リファイス。彼女は生け贄と呼ばれ続け、それが物心付く前から自分の名前だと思い込み、その中で言いやすい最初の二文字を、自分の名前とした……誰も教えてくれないから。それを修正しなかったから、彼女は自分の名前をサクだと思い続けていた。

 だから、彼女は俺に『サク』と名乗った。サクリファイスの、サクとして。

 

「……おい、サクはどこだ」

「ほう、この話を聞いてまだあの小娘をその名で呼ぶか……あの小娘は今、生け贄にされた所だ。今頃は我等が主の手によって―――」

 

 その瞬間、俺の中の何か……理性的な物が、プッツリと切れ、困惑は殺意へと完全に変貌した。

 やったことの無い人殺し。そんな物への、殺人処女を捨てる事の躊躇など、完全に消えていた。

 

「それだけ聞ければ十分だ!Kill them all(テメェ等、皆殺しだ)!!」

 

 強化魔術を右腕にのみ集中。一転集中させた魔力によって発動された強化魔術はロープを容易く引きちぎった。それを見て呆気にとられた奴等を見て、俺は置換魔術で虚空からアサルトライフルを取り出し、片手で構えて乱射する。

 それによってバッタバッタと血を吹き踊りながら倒れていく村の人間。老若男女関係なく、俺は銃を乱射する。コイツ等は、サクを見捨てた。なら、殺す。殺していいのは、殺される覚悟がある奴だけだ。

 ワンマガジン使い切った所で今度はナイフを取り出し、左手を縛るロープと足を縛るロープを斬って地面に飛び降りる。それに合わせるように向かってきた槍を持った男達へ向けて今度はショットガンを取り出し、面制圧をする為に一発撃つ。

 それだけで向かってきていた男達は散弾を受けて倒れ、俺はそれを見てからLMG、装弾数二百発のマシンガンを取り出す。

 

「テメェ等を殺して、俺がサクを守る!!」

 

 そこから先は、詳しく覚えていない。だが、俺は武器庫にある八割以上の銃火器の弾を使い、その場にいた人間、村の人間、隠れていた人間全てを殺した。何の躊躇もなく、完全に。一人残らず。

 泣きわめき助けを乞う者も、全員、全員。だが、後に残ったのは大量の死体の山だったのだけは、ハッキリと覚えていた。

 そして、俺はやっと正気に戻った。

 

「……サク。サク、今、助けに行く……!!」

 

 俺は埋められたシグを掘り起こし、動作不良を起こしていないか確認し、弾を銀の弾丸に入れ替え、洞窟へと走った。

 最初に入った時よりも速く、そして足音を消す事を忘れ俺は洞窟の中へと走っていった。そして、灯りの灯っている最深部へ辿り着き、俺は両手でシグを構えた。

 

「動くな!!サク、今助け……て…………」

 

 訓練通り構えたシグを、俺は落としかけた。

 そこにあったのは、陵辱の跡だった。

 

「ほう……貴様、生きていたのか」

「さ、サク……」

 

 男は、死徒の男は、全裸だった。そんなのはどうでもいい。だが、サクも同様だった。

 首筋には、噛まれた跡が。そして、彼女の体のあちこちには、陵辱された跡が、辱めを受けた跡が、残っていた。

 今の俺なら、ちょっとしたギャグを言う余裕くらいは持っていただろう。ヨーグルトでも零したのか?程度には。だが、昔の俺はそんな余裕を持っていなかった。

 持てるわけが、無かった。

 

「お、まえ……サクを……サクに、何て事を……」

「何も知らぬ少女に絶望を叩きつけ、そして駒へと変え、最後は我が手で殺す……それ以上の快楽がどこにある?」

 

 死徒の言う言葉が、俺にはわからなかった。

 

「かい、らく……?」

「毎年続けてては村の子供も怪しもう……だが、こうして十何年に一度なら、完全に無知な少女を我が手で犯し、血を吸い、最後に殺せる……その時の顔に、私は興奮する」

 

 俺の理性は既に切れていた。だが、混乱という二文字が俺のトリガーにかかった指を引かせなかった。

 コイツは、屑だ。死徒の中でも、恐らくとびっきりの。

 己の快楽のためにこの島を、この島の人間を手中に収め、そしてまだ年端もいかない少女に絶望を叩きつけ、犯す。

 サクは、そのための生け贄。

 サクは、もう、人間ではない。人間に戻れない。死徒に噛まれた人間は、同じように死徒かグールとなり、理性を失い、人の血を求め彷徨う、人ではない物へと変貌する。戻す手段は、ない。

 

「お前……お前ェェェェェェェ!!」

 

 俺は叫んだ。そして、引き金を引いた。乾いた音と共に放たれた銀の弾丸はアッサリと避けられ、超スピードで俺へ接近した死徒は俺の腹を殴り、そのまま殴り飛ばした。

 

「ガハッ!!?」

「銀の弾丸か……だが、当たらなければ何の意味もなかろうに」

「うるせぇ……テメェは、ここで殺す!!」

 

 爆発物は使えない。故に、俺はサブマシンガンを取り出して、ベッドの上で寝かされているサクに当たらないように乱射した。

 だが、死徒にそれは当たっても、何の意味もない。当たったそばから傷は回復し、傷一つ付くことはなかった。

 

「無駄だ……無駄無駄無駄!!人間如きがヒトという種族を超越した私に勝てるとでも思っているのか!!」

「黙れ黙れ黙れェ!!よくもサクを……よくもサクをォ!!」

 

 あの子はまだ、知らないことが沢山あった。見たいものが沢山あった。やりたい事が沢山あった。やるべき事が沢山あった。なのに、こんな所で。こんな事で。こんな奴の勝手で。ここに住む人間のせいで、全て終わった。終わらされた。

 そうした奴等を、許せない。許さない。殺す。何がなんでも、殺す。

 

「死ぬが良い!」

「死ぬのはテメェだ!!」

 

 強化魔術で体を強化し、置換魔術で移動を瞬間移動に見立てて突っ込んできた死徒の背後を取り、シグから銀の弾丸を放つ。

 しかし、それすらも避けられ、俺は振り返りざまの回し蹴りで蹴り飛ばされ、壁に激突した。

 死徒は本来、執行者のようなキチガイと言えるほどの戦闘力を持った魔術師によってようやく倒せるような規格外。それを、俺のようなヘッポコ魔術師が倒せるわけ無かった。

 だが、引くわけには行かなかった。せめて、サクは最後に、何処か綺麗な場所に埋めてやりたかった。俺の手で。

 だから、絶対に負けるわけにはいかなかった。

 

「焼け死ね!!」

 

 そして懐から取り出した火炎瓶に瞬時に火を付け、投げ付ける。だが、それすらも当たらず、俺は再び殴り飛ばされる。

 

「無駄だという事が分からんか」

「分かるかよ……分かってたまるかよ!!」

 

 特別鍛えていた訳でもない俺の体は三回殴られ蹴られただけでフラフラだった。だが、よく耐えた方だ。死徒と戦い三手中三手、相手に攻撃されたのに生きている。普通なら一手で死んでもおかしくないのだ。

 弾はダメージにならない。火炎瓶は避けられる。置換魔術での擬似的な瞬間移動もダメージを与えられない。

 詰みとも言えた。だが、俺はナイフを取り出した。刃渡りが長めの、サバイバルナイフ。それと、シグを。

 

「ウアァァァァァァァァァッ!!」

 

 叫びながら、真っ正面から刺しに行った。死徒はそれを見て、溜め息をついた。

 

「最後に特攻か……ならば、これで終わりだ」

 

 俺の決死の特攻は、アッサリと懐に潜り込まれることで失敗した。そのお返しにと、死徒は俺の心臓へ、そんじょそこらの刃物よりも遥かに鋭利な爪を、突き刺した。

 だが、その瞬間、死徒の表情が変わった。

 

「防刃ジャケットだよ……ッ!!」

「しまっ―――」

jack pot(終わりだ、クソッタレ)……!!」

 

 四手目。防刃ジャケットでその爪を防ぎ、零距離で銀の弾丸を死徒に叩き込んだ。

 血が弾け、死徒が信じられない物を見たような表情で倒れ、そのまま動かなくなった。俺はそこにさらに数発、銀の弾丸を叩き込み、心臓にテントを張る時に使った杭を叩き込んだ。

 さらに首を切り落とし、最後には火炎瓶で死体を燃やし灰にした。

 完全なオーバーキルだが、ここまでやらなければ、いや、ここまでやっても俺の心は落ち着かなかった。

 落ち着かない心のまま、俺はベッドの上で放心するサクの元へ行った。

 

「サク……」

「…………おにい、ちゃん?」

 

 彼女の無残な姿に涙を流しながら、俺は彼女の名を呟いた。その声に反応して、サクは俺を見た。

 絶望に染まった瞳。俺は何も言えず、ただサクを抱き締めた。

 

「ごめん……ごめんな、サク……!!ごめん……!!」

 

 サクの名を呼び、ただ俺はごめん、としか言えなかった。泣きながら、そう言うしかなかった。

 

「おにいちゃん…………ひとつ、おねがいしていい?」

 

 サクは俺に抱かれながら、そう囁いた。俺はサクを離して、その目を見た。

 そして返ってきた言葉は、残酷な物だった。

 

「―――わたしを、ころして?」

 

 嗚呼。嗚呼、この子は分かっている。直感的に、子供故の勘の鋭さで。

 自分は、手遅れなのだと。もう、助からないと。血を吸い人を襲う、生ける屍となるという事を。

 

「……い、いや、だ…………おれは、俺は……お前を……!!」

「おねがい……わかるの。わたしは、もうしななきゃだめなんだって」

 

 ベッドの上で、寂しげな笑顔を浮かべながら、サクは俺の手を、シグを手にとって、自分の額に照準を定めさせた。

 手が震える。顔を横に振る。だが、サクは笑顔で小さく、頷いた。

 そして、俺へ。俺の心へ、軛を。呪いを、打ち込んだ。

 

 

 

――――わたしのぶんまで、いきて。それで、たくさん……たくさん、きれいなものをみてきてね。まってるから――――

 

 

 

 その瞬間、俺の中の何かが、壊れた。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 一つの、乾いた音が鳴り響いた。その音を、俺は一生。死ぬまで忘れることはないだろう。

 

 

****

 

 

 その日から、俺は生き汚くなった。生きるためなら何でもするようになった。

 サクの亡き骸を、誰も来ないような、自然豊かな場所に埋め、墓を作った。小さな、小さな墓を。

 そんな傷心の俺を待っていたのは、時計塔での、酷評。あの幻獣がいるという島へ行って何もせずに逃げ帰ってきた、臆病者。そう、罵られた。

 だが、俺はそんな事はどうでもよかった。

 サクを失った俺の心は。たった一日だけしか会えなかった彼女を失った俺の心は、想像以上に疲れていた。だから、俺はその時俺を罵ってきた奴等を、撃ち殺した。その時からだろうか。かの魔術師殺しに完全に憧れて真似する事を決めたことは。そして、初めて自分のための意志で、怒りや仇討ちではなく、殺人をしたのは。俺はその時が殺人処女を捨てた時だと、ずっと思っている。

 そしてそれから、俺は用心棒となった。金を稼ぐため、生きるため。守るため。

 生きるために金を稼ぎ、武器を買い、使う。そんな日々が。金だけが貯まり、金にいつしか心を奪われた。

 そして、十年近くそんな生活を続けた俺は様々なことを覚え、俗に言うキチガイになり、カルデアに雇われた。多分、こうやってふざけてるのは、サクの事を思い出さないため、何だと思う。彼女の事を思い出すと、俺は今でも後悔に心を押しつぶされそうになる。

 

「……ター…………りし…………スター……しっかりしてください、マスター。もう、襲われたらどうするんですか」

「えっ、あ、あぁ……すまん、メディア」

 

 俺の意識はそこで戻った。既に時刻は夜中。ジャックに例の兵器を使うのに最適な場所と道を探してもらい、俺達は人目につかないよう隠れていた。

 その間に、戦闘特化のサーヴァントを率いる六香ちゃんとマシュちゃんは新たなサーヴァント、ジークフリート、ゲオルギウス、エリザベート・バートリー、清姫を見つけて仲間へと加えた。まぁ、すまないすまない竜が竜がライブライブ安珍安珍とかなりうるさい大所帯になってるのを見た時は俺とメディアの口が開いたまま閉じなかった。あと、ヒロインXはジークフリートが抹殺対象か否か、考えているようだった。

 そんな日の夜中。俺は夜風に当たってくると声をかけて適当な場所に座ってボーッとしていたのだが、メディアが流石に遅すぎると思ったのか呼びに来た。

 

「……何を、考えていたんですか?」

「あぁ……昔の事を、な」

「……死徒と、女の子の話ですか?」

 

 その言葉に、俺の心臓が一際大きく跳ねた。

 

「サーヴァントとマスターっていうのは、過去の事を夢として見ることがあるんですよ。それで、この間見たんですが……」

「……そう、か。まぁ、隠す事でもないしな」

 

 メディアと俺の間に、沈黙が走る。

 

「……まぁ、もう過ぎたことだ。気にするな」

「だとしても、これから先の事は、変えられます」

 

 メディアは先程までの少し沈んだ声とは違う声を上げた。

 

「聖杯、ですよ。聖杯を使うんです」

「聖杯を……?」

 

 聖杯。それをどうやって使うんだ?そう問う前にメディアは自信満々に答えた。

 

「そうです、聖杯です。万能の願望機、聖杯にその子を生き返らせてもらうんです。特異点はまだここを合わせて六つあります。見返りに一つ聖杯を貰ったって誰にも叱られませんよ!」

 

 いや、しかしだな……死者蘇生は禁忌だし……何より、サクが生き返ってもまた殺して欲しいって言う可能性も……

 

「死者蘇生位見返りに合ってますよ!マスターは人類史を救うんですよ?過去未来現在全ての人間を救うんです。それ位のワガママ、許されるはずです。それに、聖杯はどこぞの七つのボール型の願望機とは違って何個でも願いは叶えられます!魔力さえあれば、ですけど……そこはほら、カルデアの電力で何年かかけて……そ、それで、死者であるサクちゃんと話しあったり何やらして説得してから生き返らせればいいのにいいんですよ!!」

 

 なんか、もう……色々と前提で破綻しそうな……っていうか。

 

「俺達の見つけた聖杯はダウィンチの解析によると、願いを叶えることは出来ないんじゃないのか?」

「えっ…………あっ」

 

 確か、俺達が分捕る予定の聖杯ってのは、この世界のルールそのもの、何故かこの世界の魔力の運用法やその他諸々が結晶化した物だから、願いは叶えられないと……

 

「な、なら私が降臨させますよぉ!!」

「降臨!?」

「聖杯でしょ、聖杯ですよね!?なら降臨させられますよ!!なんか未来の私のゴーストがそう囁いているんです!こう、なんか適当な器に聖杯降霊儀式用にサーヴァントの魂を確保しといて、それをぶち込んで儀式したら聖杯なんて降臨するって!!」

「ウッソだろお前!?そんな適当でいいのかよ!?」

「なんかこう……なんかこう!あるんですよ!!なので、これからサーヴァント倒したら私が魂捕らえておくので、後はお任せください!!あ、大聖杯も必要だし聖杯戦争しなきゃいけないのかな……?ま、まぁ、問題ありませんよ!!えぇ、問題ありませんとも!!多分なんとかなります!!」

 

 いや、なんかさぁ……なんかさぁ!!適当すぎないかなぁ!!?後でまた聖杯戦争しなきゃとかならないよね!?

 

「……まぁ、折角世界を救うんだ。多少のワガママ程度は聞いてもらおうかね」

「そうですそうです。報酬がお金だけ、なんて余りにも対価に合ってませんから」

 

 なら、これからはそれなりに全力で頑張りますかね。世界を守るために、サクを生き返らせるために。

 

「それに、マスターがこの戦いに巻き込まれたのは、必然なんですから。その見返りでそれなら、軽い方ですよ」

「そうか、必然か………………さぁて、どういう事だメディア。説明してもらおうか」

 

 メディアの頭をガッシリ掴んで俺の方へ向かせる。今コイツ、必然とか言いやがったぞ。俺がこうやって人理修復に巻き込まれたのは必然だと言いやがったぞ。

 何を知ってやがる、コイツ。痛いですよー、とニコニコしてやがるが、そこだけは説明してもらおうか。

 

「嫌だなー。私は何もしてませんよ。つまるところマスターの起源は『繋がる』事とか『守る』事、つまりは『人と繋がり守る』事が起源という珍しい人なんですから起源に則った行動をした結果こうやって守るための戦いに巻き込まれるのは何ら不思議ではなくむしろ必然に近いということ痛い痛い痛い痛い!!」

 

 確か、人ってのは自分の起源に則って行動をするんだったな……そして、能力もそれに引っ張られる。

 なるほど、だから俺の置換魔術は無意識下で時空を超えて『繋がり』、ヤケに人を守ろうとする……

 

「あ、あとサーヴァント召喚も何気に自分の召喚したい英霊との繋がり作ってから召喚をするというチートしてますからその時その時で欲しい能力を持ったサーヴァントが召喚されるんですよ後痛いですホント痛いです!潰れます!ザクロみたいに私のキュートでチャーミングな頭と顔がグチャってなっちゃいますぅ!!」

「自分でキュートでチャーミングとか言うなよ……」

 

 流石にうるさいから手を離せば、メディアは変形してないよね……?と呟きながら掴まれた所を擦っていた。

 

「お前のおかげで人類史を守る理由が保身以外に出来た。ありがとな」

「まぁ、私が聖杯をどうにか出来なきゃ願いなんてお金欲しい位しか叶わないんですけどねぇ!!」

「お前ここで上げて落とすか!?」

 

 しかもお金欲しいっていう願いを叶えるのはアニムスフィアだろうが!!クッソ、何で俺の召喚する英霊は初めからギャグに走ってるか、後からギャグキャラに変わっていくんだよ!!

 決めた。人類史救ったらサーヴァント(コイツ等)は絶対に座にクーリングオフしてやる!!




案外長くなった。取り敢えず、刹那ニキの起源発覚。そして、確実に人類史を救うために刹那ニキが今まで以上に手段を選ばなくなります。

そして台詞もなく仲間になるすまないさん、先生、アイドル、うそつきやきころすがーる。清姫さんはぐだ子の方をマスターと認めてしまったようです。

で、メディアさんが何やら滅茶苦茶な事宣ってますが、三章を思い出すんじゃ。聖杯があるじゃろ?姐御に願ってもらうじゃろ?

刹那ニキ、三章で願いが叶うの巻

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