げどう☆ぼまーとしりある☆きらー   作:黄金馬鹿

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ちょっと短いし話が全然進んでいませんけど、更新


其の十三

 謎のヒロインXを召喚してから数時間、というか俺が気を失うように眠って数時間。若干の倦怠感を残しながら目覚めた俺を待っていたもの、それは聖剣エクスカリバーを二本の刀、乞食清光と菊一文字則宗で必死な形相をしながら受け止める沖田と、鬼のような形相で沖田を亡き者にしようとするヒロインXの姿があった。あ、影になって分かりにくかったけど、黒いエクスカリバーでジャンヌも狙われている。

 ……やべぇ、クッソ関わりたくない。沖田とジャンヌからのすっごい救援要請というか、目線と言うかそんな物を感じてはいるものの、ヒロインXに関わりたくない。そういえば、沖田はセイバーだったな……で、昨日ジャンヌも狙われかけていたな……寝るか。

 

『ちょっ! !?』

「セイバーとアルトリア顔死ねぃ!!」

 

 ……とりあえず、メディア、頼んだ。

 

「ぺいんぶれいかー」

『アッー!!?』

 

 ……寝よう。

 

 

****

 

 

 で、だ。俺はその数時間後、立夏ちゃんとマシュちゃんに揺すられて起こされた。いやぁ、美少女二人に起こされるっていいものですな。役得ってやつかな、ははは。

 

「マスター」

 

 さて、行くか。ジャック、いつも通り偵察頼んだぞ。

 

「マスター!!」

 

 メディアも、いつでも治療を出来るように構えておいてくれよ。沖田と信長も立香ちゃんの事とマシュちゃんの事、頼んだぞ。ジャンヌ、マリー、モーツァルトも頼んだぞ。

 

「マスター!!早く私を縛る縄を解いてくださいよ!!」

「 うっせぇ!!」

 

 折角いい気分だったのにヒロインXに邪魔された。ヒロインXは縄で木に縛り付けられており、そのついでと言わんばかりにメディアの魔術によって縄は超強化され、筋力B(魔力放出有り)のヒロインXを見事に封殺していた。

 召喚された数時間後からすぐに仲間殺しをしようとするサーヴァントは仲間とは思えませんねぇ……ってか、ホントに沖田とジャンヌを殺そうとするとはな……自害させておくべきだったか?いや、自害させても一度召喚したサーヴァントはカルデアに戻ってくるんだったな……

 さて……どうしてやろうか、このアホ毛娘。

 

「私には!セイバーを!殺すっていう!使命が!!」

「そういうのいらないんで」

「何でですかぁ!!」

 

 いや……今ダヴィンチから例の物が完成したっていう報告あったし……もうエクスカリバーなくても勝ち確ですし……

 

「ねぇ、刹那さん……一発なら誤射かもしれないって言葉があるし、解いてあげたら?」

「そう!そうですよそこの人……具体的に言えば昔私を召喚した赤毛の口癖がなんでさっていう投影魔術が得意で起源が剣になりかけていて、ルートミスると世界と契約して過去の自分絶対殺すマンになる人を女体化したような人!!」

「誰その人!!?割と本気で誰!!?っていうかどういう事なのそれ!!」

 

 あ、初めて立香ちゃんが叫んでツッコミをしたかもしれない。

 

「まぁまぁ、先輩……」

「茄子ちゃん!早く助けて!!」

「誰が茄子ですか!!」

 

 茄子……まぁ、確かに紫だか ら茄子とは言えなくもないが……

 あ、マシュちゃんが軽くキレてる。なんかちょっと何時もよりも眉毛が逆八の字になっている気がする。いや、なっている。

 

「先輩、刹那さん。もう行きましょう」

「茄子ちゃん!?」

「こんなのがアーサー王なんて私の中の何かが許さないんです……!具体的には私の中の英霊が……!!」

 

 あー……そういえば、マシュちゃんはサーヴァントが憑依した存在、デミ・サーヴァントだったな。その英霊、円卓の騎士とかじゃね?

 でもってヒロインXはなんか閃いたというか理解したような表情しているし。

 

「私の中の英霊?……はっはーん。その盾、その顔……なるほど、大体わかっちゃいましたよ!」

 

 どうやら、ヒロインXは何かに気が付いたらしい。マシュちゃんが何か?とちょっとキレ気味に聞いたためか、ヒロインXはいえ何も。と言葉を返した。

 で、だ。流石にどうしようかね。ヒロインXは戦力になる。何てったって彼女はかのアーサー王。俺達が数日前に全力で初見殺しを仕掛けてぶっ殺した張本人だ。だが、そこまでしなくては倒せなかったと言う事にも、この事実は繋がる。だから、ヒロインXは己の掌に乗せておきたい、がそれは確実に不可能なので、仲間を殺させないようにしなくてはならない。

 ってか、折角の広域殲滅能力を持ったサーヴァントだ。何がどうしても手綱は握っておきたい。

 

「……ヒロインX。単刀直入に言う。仲間を殺さずに俺達の人理修復を手伝え」

「えー、でもアルトリア種は宇宙のガンですしおすし」

「頼む からそういうのは座に帰ってからやってくれ……!ここで人理修復に失敗したらお前も消えるぞ……!!」

「……あ、それもそうですね。でも、私こそがセイバー・オブ・セイバーですし……他のセイバーいりませんし」

「お前は俺のサーヴァント。沖田は立香ちゃんのサーヴァントだ。もう俺はサーヴァントを召喚する余裕も理由もない。だから、俺のサーヴァントの中ではお前が唯一のセイバーだ。あ、アサシンだったっけぇ!!?」

「ぶっ殺すぞマスタァ!!私はセイバーだっつってんでしょうが!!」

「アサシンって呼ばれたくなかったら俺の指示に従えよ!!あ、沖田やこれから仲間になるサーヴァントを殺したら即自害に加えてジャックの暗殺だからな!!」

「ぐぬぅ……分かりましたよ !そこのセイバーとアルトリア顔を殺すのは人類を救ってからにしましょう!最終的に世界が滅びてしまっては本末転倒ですからね!」

 

 これでどうにかなったか?とりあえず、ジャックにヒロインXを拘束していたロープを切ってから俺がヒロインXの前に立つ。

 ヒロインXは一息ついて一回沖田とジャンヌを睨んだ。沖田とジャンヌは木に隠れてヒロインXを睨んだ。

 ……あーあ、これ、大丈夫かな。

 

 

****

 

 

 何か、ヒロインXがアルトリア種とかいうやつが宇宙のガンとか言っていたが、なら地球のガンは何だ、という話に持っていこう。

 地球に巣食う地球のガン。それは、人間なのではなかろうか。自然を破壊し、思い通りに地球を動かし様々な生物を脅かす病原体……だが、それは違うのだろう。地球の意思、ガイアが動いていない現状で人間をそう決めつけるのは少しばかり早い。なら、そんな地球と共存した人間にとってのガンは何か。

 それはこの世に沢山あるのだろう。だが、俺はその中で吸血鬼、死徒を推す。

 これは少しばかり昔の話で長い話にもなる。俺がまだ時計塔に所属していた頃、とある人物……といっても、俺が受けていた授業の教授だったのだが、そこからちょっとだけ気になる会話を聞いたんだ。

 このイギリスから少しだけ離れた場所にある小島。そこには原住民が住んでおり、様々な財宝が眠っていると。しかし、そこはこの神秘が薄れた時代なのにも関わらず、神秘に溢れており、財宝は様々な幻獣が守っていると言う。この教授はこの後、私くらいになればそんな島程度、ほんの数日で攻略して見せれると自慢話に入っていたが、俺はその話にホイホイと釣られてしまった。というのも、俺も当時はまだ若さ溢れる十代。三十路が近い今よりも遥かに元気と行動力があり、恐ろしいほどに金が無かった。

 そう、金が無かった。故に、俺はこの話にホイホイと釣られてしまったのだ。この授業を聞いた後の俺は置換魔術を使えるという利点を使って家の倉庫の一部を武器庫に作り替えた。幻獣すら殺せるような武器を揃えた。ロケットランチャー各種、マシンガン。果てにはミニガンすら数台、台に乗せた状態で揃え、そして、最後に銀の弾丸。もしも、吸血鬼が出てきたときのために銀の弾丸を俺は仕入れて愛銃となるシグ、SIG SAUER P220のマガジンへ詰め込んだ。この銀の弾丸は今でも持っており、退魔の力を持った特別性だ。

 そして俺は深夜に船を盗んで件の島へと向かった。常に現在地を確認しながら、時々錨を海に沈めて置換魔術で家に帰って飯を食ったり他の事をしたりで数日が経ち、俺は小さな、小さな島を見つけた。その島が俺の探していた島だった。

 その島は現代でも自然が生い茂っており、一昔前にタイムスリップしたのではないかと思う程、開発がされていなかった。

 適当な場所に船を浮かべて陸に上がった俺は、一人の小さな女の子を見つけた。

 ―――これが、俺の始まりだった。いや、俺が人を殺すことに躊躇を無くす原因となり、俺のトラウマであり、俺が子供には甘い原因でもあり……俺が今ここで生きている、生きようとして必死にもがいている原因。

 

「……お兄さん、誰?」

 

 この言葉が、俺の人生を大きく、大きく変えていった。当時の俺はそれが分からなかった。




次回、刹那さんの意外と暗い過去の話。

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