もう一つの未来   作:蒲鉾侍

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活動報告でアンケートやっております。
どうぞ、コメント くださいませ。


今回は悟飯の おともだち が出てきます。
アニメ版とか見てなかった人は知らないかも、原作には登場しませんからねぇ。




友との共闘

「ぐああぁァァ!?」

 

悟飯が痛みに耐えかね、悲鳴をあげる。

 

巨人と化したスラッグに足を掴まれ、何度も地面に叩きつけられる。

戦闘力は確かにスラッグの方が上だが、圧倒的に差があるわけではない。

元の巨人のナメック星人に戻ったスラッグは戦闘力こそ上がっていないものの、力は増している。

その事もあり、スラッグの巨大な手から抜け出すことは出来ないのだ。

 

「ハアァッ!!」

 

手の回りにクリリンの気円斬の要領で切れ味のある 気功波を作り出し そのまま体ごと一回転する。

 

「ぬおぉッ!?」

 

悟飯を掴んでいた手の指が全て切断される。

激痛に激しく悶えながら、指を再生させる。

 

「ならば、気功波で殺してやる!」

 

これ以上の痛みを味わうことに恐れ、同時に怒りを抱き 巨大な掌から更に巨大な気功波を作り出す。

 

「俺は…お前の弱点を知っている…!」

 

「あぁ?弱点だとォ?何をいってやがる」

 

突拍子もない言葉に思わず スラッグの手が止まる。

しかし、悟飯も嘘を言っている訳ではない。

 

「ピィーーーッ!!」

 

「うがああァァ!?」

 

悟飯が大きく口笛を吹くと、スラッグが耳をおさえ地面にへたりこむ。

 

スラッグの弱点だが、これはナメック星人 由来の弱点だと思われる。

地球人が黒板を爪で引っ掻く音を嫌いなように、ナメック星人は口笛が嫌いなのだ。

そして、聴覚の優れているナメック星人とっては最大の弱点だろう。

 

まだ幼かったとき、ピッコロの前で口笛を吹き こっぴどく怒られた事があった。

 

「き、貴様ァ……!」

 

少しでも、口笛の音を聞かないようにするために体を巨人化する前 悟飯と戦っていた時ほどに縮める。

 

「今だァ!」

 

「ぐぬぅ!?」

 

耳を両手で抑えていたため、体の防御が疎かになる。

そこを悟飯が突き、ボディブローを喰らわせる。

 

しかし、スラッグに多くの骨を砕かれた悟飯は思ったように力が入らない。

がら空きの体に攻撃を入れられ、少し後ずさるがすぐに体勢をたてなおす。

 

「これでもくら───「ピィーーッ!」

 

スラッグが気功波で悟飯を攻撃をしようとした瞬間、もう一度 口笛を吹き スラッグの動きを止める。

 

「ハァッ!」

 

また、がら空きとなった体へ気功波を撃ち放つ。

 

「ふん!」

 

しかし、スラッグはそれを見事に弾いて防ぐ。

 

「…!」

 

「バカめ、貴様は攻撃を仕掛ける瞬間 口笛を止める その一瞬の間で俺は防御をした……二つの事を同時にやるのは難しいようだな」

 

悟飯が攻撃を仕掛けるために一瞬口笛を止める その時を利用し 防御をしたのだ。

このまま行けば、スラッグは反撃もしてくるようになるだろう。

しかし、口笛を吹くしか 悟飯に策はない。

骨を砕かれ戦闘力が落ちているからだ。

 

「ピィーー!」

 

「くっ…」

 

口笛がスラッグの襲う。

不愉快ではあるが、実際にダメージを受けるわけではない。

 

「波ーーッ!」

 

「……!無駄だァ!」

 

悟飯は口笛を吹きながら気を溜め、最低限に隙を抑える。

スラッグの目の前までかめはめ波は迫っているが、避けないことはない。

 

 

 

「ビーーーッ!!」

 

「!?」

 

何処からか、口笛に"似た"音が聞こえてくる。

それにより、スラッグの動きは制限され かめはめ波に呑み込まれる。

 

「ぐ…がはっ…誰だ…!」

 

吐血をしながら、辺りを見渡し 口笛を吹いたものを探す。

口笛を吹いたのは悟飯ではないのだ。

トランクスでもない。

聴覚の優れているスラッグはそれ聞き分け 人間ではないと判断する。

 

悟飯とスラッグに注ぐ、日光が"何者"かに遮られ辺りが少し暗くなる。

 

「やっぱり、来てくれたか。随分と久しぶりだな…来てくれないかと思ったよ

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイヤードラゴン!!」

 

悟飯が空を見上げ、かつての友 ハイヤードラゴンへと言葉をかける。

悟飯も人間として成長したように、ハイヤードラゴンも竜として成長をしていた。

 

突然現れた大きな翼竜(ハイヤードラゴン)の姿にはスラッグも思わず 圧倒される。

 

ウオオオォーーーン!!

 

再会を喜ぶ、あまりハイヤードラゴンは大きく雄叫びをあげる。

 

「あぁ…!あとでじっくり話そう!今は力を貸してくれ」

 

ビーーーィ!!

 

喜びを口笛で表現し、リズムよく踊り出す。

楽しい雰囲気で口笛を吹いてるが、スラッグはそれに苦しまされ 頭に血管を浮かばさせる。

 

「終わりだ…!スラッグ!」

 

「!?」

 

悟飯の気が膨れ上がり、このままでは負けると悟ったスラッグが瞼を開く。

 

そこには、高密度の気で造られた翼を広げた悟飯がいた。

 

 

 

「“竜拳”……爆発ーーーッ!!」

 

「ぐッ!?ぬああぁぁぁ!!!」

 

翼竜 ハイヤードラゴン を模したその一撃はスラッグを貫く。

その姿はまるで、幼いときの悟空とピッコロ大魔王の最終決着を思わせる。

 

「ち"ぐじょオォ─────」

 

竜拳はスラッグを完全に消し去り、後には魔凶星の黒ずんだ石が残された。

 

「……!」

スラッグを仕留め 一息つこうとしたとき、シンの気が感じられなくなっていることに気づいた。

 

「この邪悪な気の持ち主と闘っているんだろう……早くいかないとヤバそうだ」

シンが簡単にやられるとは考え難く、スラッグやクウラよりも強い気を持つ者と闘っているのだろうと予測をつける。

しかし、その気の持ち主は自分やシンが神の気を纏ったときよりも高い事を感じとり、 冷や汗をかきながら 交戦しているであろう場所を目指す。

 

「グァ?グァーォ」

 

事態を知らない ハイヤードラゴンは首をかしげ 話し相手の悟飯がいなくなったのを悲しい顔で惜しみながら、自分の家族が待つ森へと帰っていく。

 

 




悟飯のフレンド ハイヤードラゴン。
成体になった姿はそのまま大きくしてスタイリッシュにした感じ。
龍拳じゃなくて竜拳なのは翼竜であるハイヤードラゴンをモチーフにしたから 性能とか攻撃力は龍拳には劣る。


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