二度目の初恋を月の下で   作:檻@102768

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登場人物

珊瑚の姫

 

【人物背景】

 

 人間を見捨てた彼への罰。美しいヒトのかたち。

 原作における語り部の少女。『満月の夜に光る海』の島のお(ひい)さま。

 

 その美貌と珊瑚の海の光に惹かれてやってくる求婚者を無理難題で追い返す、現代のかぐや姫。ただし本人には悪気も嫌味もちっともなく、単に語られる愛に理由を求めるタイプというだけ。

 生きる為の知識は遺伝子で、暮らす為の知識は口伝で継承される。それぞれの姫の性格は誕生時、月の満ち欠けでちょっとずつ違うという。

 

 容姿(デザイン)は「坂本さんとアルクが混ざった感じ」とのこと。(たい)()は割と華奢で、充分に少女らしい。

 イメージカラーはどこかくすんだ亜麻色。完結を放棄した物語の続き。夢見た石のひとかけら。永遠だったものの忘れ形見。

 

 物書き然り、”彼女達”の学習・順応能力が異様に高いのは、「珪素姫が元々人とコミニュケーションを取る事を前提に組み立てられたので、その為の手段の習得に対して自ずと長じる」……という解釈。外部入力機能で獲得した知識(データ)は出力にも転用できるだろうとの認識。

 始祖ですら叶わなかった”読み書きをも習得して見せる”という、実に生命らしい変化を為した。

 

 

 望まれて生まれたのに、生きることまでは望まれなかった命自身の望みのすがた。

 まだ人間にはちょっと遠い。

 

 

 

魔術師の青年

 

【人物背景】

 

 自分でしかない誰か。人でないものを見捨てなかった報い。

 幻想が意味を持っていた時代の末路。魔術特性は『生誕』。人類最後の魔術師で、万能である代わりに”唯一ではないもの”に価値を見出せない。

 

 容姿(デザイン)は成長した愛歌の色違い。ただしロングヘア。線の細さから一見女性と勘違いしかねないけれど、声の低さでなんとか男性と分かるタイプ。

 イメージカラーはあらゆる色を拒絶した純白。終末を告げ終えた鐘。踵も焼かれたアキレウス。絶対(ひとつ)ではいられない人の罪業。

 

 世界に関心を持っていたが、だからこそ向き合って傷付けるのを恐れ、結果として「相互理解」を断念した。その身の白さと装いの黒さは自らの潔癖性と世俗(ヒト)の色、その重なりを拒んだ姿の表れ。

 互いに穢し合う事も奪い合う事もない断絶、混ざる事も交わる事もない並行故に両立する矛盾の具現。――――その禁を破った経験(ばつ)は、拭えぬ哀愁として神経(こころ)に刻まれる事になる。

 

 

 他者の望み通りに生き続けた末に、自分の望み(ユメ)を抱く余地を失った命のカタチ。

 もう人間からはだいぶ遠い。

 







 お姫さんの難題は『自分に愛す価値があるなら、それ以上のものと引き換えにしてほしい』という物でした。
 が、何もかもが十把一絡げ。万物を区別なく自在にできる生き物が、誰かを特別だと証明するにはどうすればいいのか。

 かぐや姫然り、原作では「難題の品を用意できない」のがネックでしたが、今作ではそれをひっくり返して「難題の品()用意できる」のを主軸の一つに置いてみました。


 相手に何でもしてあげる場合、その理由は二つに分けられます。
 一つは、相手を他の何より愛おしいと思っているから奉仕するのか。
 もう一つは、相手自体に思い入れはなく、単に()()()()()()()()()叶えてやるのか。
 前者は愛歌、後者ならジークフリートや蒼崎祖父が該当しますね。

 どちらも『願いを叶える』という結果だけなら同じなのに、行動原理はどこまでも真逆。
 でもそれで成り立ってしまう。元より過程と結果は独立したもの。結果はいつも過程の証明にはならないし、過程はいつだって結果に結びつかない。だからそれがどうしてかなんて、本当に愛故かなんて、明らかにしてはくれなくて。
 そして証明できないものは、全てが全て思い込みの域を出ない。

 …………作中で述べたとおり、証明できたところで、愛は錯覚(おもいこみ)の一種でしかないのだけれど。


 なんて経緯で、魔術師らしくインドア的な愛歌の反転した姿を採用し脳内で動かしていました。少女になってしまった全能の対極、万能に手を届かせられた青年。かみさまにされた発条(きかい)仕掛け。造花だけが咲く花園。

 ジークフリートもモデル候補でしたが、あんな戦士らしい筋肉質は合わない……と棄却。魔法使いな蒼崎祖父はグラフィックが出ていないので没。いつか見てみたいなー。







 もう一話だけ続きます。



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