折角おせちをもらったのですごろく大会参加者たちはお互いの労をねぎらいながらコタツに入り、取り溜めしていた年末年始の特番を見つつ、最高級おせつを食している。
「このおせちめっちゃ美味しい!」
普段貧乏な食生活が多い新八は舌鼓を打ち、
「大会が終わった後なのかより美味しく感じますね」
なのはも笑顔で相槌を打つ。するとノッブが疲れたように言葉を漏らす。
「……しっかし、こう思い返してみるとあんなに笑わせられるとはのー……」
「たぶん、銀時さんと信長さんが一番笑ってと思います……」
となのはが苦笑しながら言うとネプテューヌが両手で頬杖を付きながら話す。
「って言うか、笑わなかった時があんま無かったよねー。なにか起こるマスにしろ罰ゲームにしろ大抵誰かが笑ってたし」
「スカマスとハズレマスだけが平和だったねー」
とひかるが苦笑しながら言うとララが微妙な表情を浮かべる。
「ハズレは平和とは言えないルン……」
「あー、ごめん……」
ひかるはハズレマスで罰ゲームを受けてことを思い出してか顔を逸らす。
すると沖田さんが口に箸の先を当てながら思い出しように言う。
「いやでも、たしか誰も笑わないイベントとかありませんでしたか?」
新八が人差し指を前に出しながら反応する。
「あー、ありましたありました。終盤で出てきた『総統閣下』のマスがありましたよね。時間無駄にしただけの」
「アレ誰も笑わなかったルン」
とララが言うとノッブが腕を組みながら眉間に皺を寄せる。
「そもそもあのマス最後ら辺不自然なとこがなかったか?」
「そう言えば……」
となのはが思い出しつつ言うとネプテューヌが小首を傾げる。
「えッ? そうだった?」
「じゃあ、ちょっと気になりますし確認してみますか?」
そう言って新八がさきほどイベント星人から送られて来た大会の内容を編集してまとめたDVDを取り出す。
*
これは大会終盤で出て来たイベントマスの一連の出来事。
『イベントマス――総統閣下』
「またなんか来るのかー……」
イベントマスと言う表示を見てノッブの頭は垂れ下がる。
「ゴールしたのに、これ以上罰ゲーム受けたくないなー……」
ネプテューヌも嫌そうにコメントするが、イベントは勝手に進んで行く。
「ではみなさん、空中のディスプレイに目を向けて下さい」
参加者一同は指示に従い、待機席の椅子に座りつつ画面へと目を向ける。
映像が流れ始める。
ガチャンと言う音と共に最初に聞こえ、画面下に字幕が映る。
『閣下。ようやくこの時がやってきました。年に二回だけある確定ガチャのお時間です』
画面下に字幕が出る中、画面には複数人の人間が所狭しと映っている。ほとんどが軍人だ。
「あー、また嘘字幕か……」
と銀時が言ってると映像では開いた扉からは軍服姿の沖田総悟が入って来る。
「ん?」
銀時が疑問の声を漏らす中、字幕のセリフは続く。
『剣、弓、槍と言った具合に小分けされているこのガチャこそ現状で少ない戦力を補強するまたとない機会です』
どうやらとある作戦会議室の風景のようで、髪型がアフロで口元を覆面で隠した軍服姿の男が地図を指さしながら何かの説明をしている。
そして画面が移り変われば椅子に座るある眼鏡をかけちょび髭を付けた近藤勲が映る。
そこまで映像を見て、銀時は少し驚きの声を漏らす。
「ええッ? そう言う感じ?」
「いや最初字幕でしたからてっきりまた嘘字幕かと思いました……」
新八も驚きの声を漏らす。
『※イベントの映像は真選組による総統閣下』
映像は進んで行きアフロの男が地図を指を動かすと字幕が出てくる。
『更には今後のことを考えアルターエゴとフォリーナーが確定で出るガチャを選びますZ。我々にとっては確実に新キャラ確定な上、騎、殺の高レアすら持っていない現状を鑑みれば十分な戦果が得られるはずですZ』
そこまで字幕で言ってアフロの男は地図から指を離して背筋をゆっくり伸ばす。
画面が移り変わり総統閣下姿の近藤が手に持ったペンを動かしながら告げる。
『よし、待ちに待った☆5確定ガチャだ。怯えていらん。年明けの景気づけにパーッと引こう』
「いや普通に喋んのかよ!! サイレントパロディ映像じゃねェの!?」
と銀時が即座にツッコミ入れ、少し笑いそうになっている新八もツッコミ入れる。
「つうか字幕のZってなんですかね? まァ、それにしても真選組総出でアホなことやってますねー……」
続けて沖田さんとノッブもコメントする。
「って言うか、ジョーカーさんと違って別世界の新選組が担当するんですね……」
「またスタッフ使いまわしたのー……」
映像の内容を見てある程度察しが付いたネプテューヌが脱力しつつコメントする。
「グラブルの次はFGOかー……」
やがて映像はガチャを引く画面に入っていた。そしていきなり高レアのカードが出たようで。
―☆4 恋知らぬ令嬢―
『あッ、最低保証終わった……』
山崎がボソリと告げ、近藤閣下が言う。
『礼装か……とりあえずタップしておくか』
『あッ……』
アフロの男が字幕を漏らし、近藤総統が困惑の声を出す。
『ん? なんだ? なんかマズいことしたか?』
頭が丸坊主の真選組隊士――原田右之助が説明する。
『あの、総統。総統は普段あんまりガチャを引かないから忘れてますが、タップすると新礼装と新サバと高レア以外はすぐに飛ばされてしまいますよ』
『しまったッ! 折角の福袋だからじっくり引きを見るつもりだったのに!』
近藤閣下が焦った声を出す。
「わしら一体何を見せられとるんじゃ……』
ノッブが冷めた声を出し、銀時が困惑気味の声を漏らす。
「つうかさっきからなんなんだあのアフロ? なんであいつのセリフだけ無音字幕なんだ? テレパシーで喋ってんのか?」
「わかりませんね……」
と言って新八は眉間に皺を寄せる。
映像では新たな高レアのカードが出始める。
『次だな。高レアの礼装……☆5か?』
近藤総統が期待を込めたセリフを言う中、出てくる礼装は……。
―☆4 マグダラの聖骸布―
近藤閣下の部下がコメントし出す。
『一応、新☆4礼装は出るんだな』
続いてと原田とアフロの男が言う。
『まー、☆4サバはともかく☆4礼装くらいは2、3枚くらいは出てもおかしくないだろ』
『せめて☆5礼装、欲を言えばカレスコみたいなかなり使える礼装が出て欲しいZ』
次はどうやらサーヴァントが出る演出で、出たカードは☆3。
『おッ、新サバか?』
と近藤総統が期待する中出るのは、
―☆3 アスクレピオスー
『アスクレピオスって☆3でもかなり優秀なサバじゃないか?』
山崎の言葉を聞いて部下たちが次々話し出す。
『確か陳宮編成で使ってた記憶がある』
『宝具重ねる必要ないよな?』
『問題はスキル上げだろ』
するとまたガチャの演出が始まり、原田ヨードルがボソッと言う。
『あッ、光った……次が新☆5か……』
そして出るのは金ランサー。
『えッ?』
―☆4 ウラド三世―
予想とは反したキャラが出て近藤閣下がコメントする。
『わー、ビックリした……一瞬何事かと思った……』
アフロの男が相槌を打つ。
『狂じゃないのに狂なウラドが来たZ』
『良かったですね、☆4が来て』
部下の言葉を聞いて近藤総統は少し残念そうに告げる。
『できれば女子キャラ、それでなくてもせめて槍以外、剣か殺か騎が来て欲しかった……』
『あぁ、うちは槍が最低限揃ってますから』
とアフロの男が言うと近藤閣下の右腕の土方十四郎が助言する。
『でもその為のアルターエゴが出る福袋じゃないですか。次を期待しましょう』
そしてようやく出た高レアサバは……☆5 ムーンキャンサー。
『え゛ッ?』
驚く近藤総統をよそに部下たちが話し合う。
『☆5でムーンキャスターって言えば……』
『あの子しかいないだろ』
―☆5 水着BB―
『おおッ! 水着BBちゃん来た……!』
近藤閣下は嬉しそうに驚くがクレープスは少し残念そうに告げる。
『あー、この福袋、アルターエゴとフォーリナー以外にムーンキャンサー入ってたのか……』
『まさか一人しかいないBBちゃん、しかも水着が来てくれてむっちゃ嬉しい! けど……』
近藤総統の言葉を代弁するようにアフロの男が言う。
『戦力的にはアルターエゴかフォーリナーが欲しかったZ』
『※ちなみにこの時、総統閣下たちはジコナの存在を完全に忘れてます』
締めとばかりにアフロの男と原田ヨードルが終わったようにコメントする。
『まー、これで年明け福袋も終わりだZ……』
『次は五周年までお預け……』
部下たちがガチャ終幕ムードになっているとガチャの演出はまだ続き金サバ。
『『『『『えッ!?』』』』』
驚く近藤閣下と愉快な仲間たち。
そして出てきたカードは……アルターエゴ。
それを見て驚く総統閣下の愉快な仲間たち。
『うっそ……』
『マジで……』
『まさか……』
―☆5 魔神・沖田総司―
『き……来たァァァァァァァァァ!!』
近藤総統、まさかの大当たりにありったけ叫ぶ。
『マジで二枚抜きしたぞおい!! てっきりパッションリップかと思ったのに!!』
『クソォ!! おっぱいパッションが見れずじまいか!!』
『すげェ! まさかの魔神さんが来たぞ!!』
『今回大勝利じゃないか!! 魔神さんだけに!!』
と浮足立つ総統閣下と部下たちだが近藤閣下がここであることに気付く。
『いや、ちょっと待て!!』
また演出が始まり……金サバが登場。
『えッ!? また!?』
『マジか!?』
驚く部下たちをよそに出るのはアルターエゴ。
『うっそうっそうっそ!! うっそだろおい!!』
『また魔神さんか!?』
『次こそパッションでは!?』
『今回凄過ぎるぞ!!』
盛り上がる部下たち。そして出てくるのは、
―☆5 メルトリリス―
『来たァァァァァ!! うォォォオオオ!! 来たァァァァアアアアアアアアア!!』
近藤総統は血管が張り裂けんばかりに大喜びし、部下たちの盛り上がりも最高潮に達する。
『うっそだろおい!! 別キャラ☆5三枚抜きって尋常じゃないぞ!! マジで神引きじゃないか!!』
『ウラド公で肩透かしくらったのが嘘みたいな大逆転だぞ!! 凄過ぎないか!!』
『福袋1枚抜いたとしても11連中に☆5二枚は凄過ぎる!!』
『これは行くべきだ!! 次も行くべきだ!!』
『もう福袋引けねェよ!!』
『ならば次は通常ガチャだ!!』
『よせ止めろ!! そこから先は地獄だぞ!!』
『年明けに良いモン見れた!!』
だがそこで、
『あーあ、次はガチャ引こうとしても当分☆5引けないな』
沖田の発言で会議室にいた全員が意気消沈する。
『『『『『…………』』』』』
『お、おまえ!! 折角の神引きなのになんてこと言うんだ!!』
小太りな童顔の男――佐々木鉄之助が文句を言うが沖田はすかさず反論する。
『だが実際そうだろう? 確率は収束する。ガチャが怖いとこは高レアが出た後だぞ』
『渋ガチャの神引き報告は氷山の一角。渋ガチャソシャゲーマーには有名な話だ』
冷静になった原田ヨードルが言うと近藤閣下も冷静に返す。
『いや……うん……。変な汗出るほど嬉しいけど……たぶんこれから先当分☆5出ないよね?』
『閣下!! 諦めていけません!! このままガチャにレッツトライしましょう!!』
するとまだ熱が冷めないのか土方ゲッベルスが煽るので部下の一人が慌てて止めに入る。
『お前なんてこと言うんだ!! これ以上は虹石が全部パーになる確率大だぞ!!』
するとさっき場を冷めさせた沖田が言う。
『もしかしたらもっと出るかもしれんだろォ?』
『さっき確率は収束するって言ってただろうが!!』
と鉄之助ブルクドルフがツッコミ入れる。部下たちの発言を聞いて頭が冷えた近藤総統が冷静な発言をする。
『お前たちも今回の神引きでテンションおかしくなっているが……ガチャ、特にFGOのガチャは常に引き際を弁え、自制心を養わねばならん。下手に突っ込めば闇に引きずり込まれる。あと、今回の引きが無駄にならんようにID復帰の事前準備をしておかねば』
するとさきほどまでガチャを煽っていた土方ゲッベルスも便乗してコメントする。
『とは言え、結局ガチャ産高レアサバ宝具は1。いや、これで充分なのですが、やはり基本はフレ便りになるでしょうな。せめてそろそろ☆5キャラ、もしくは☆4キャラをスキルマ、もしくはレベマにする方向も考えた方がいいかもしれません』
『レベマならまずは魔神さんにしたいな』
と言う近藤閣下に原田ヨードルが机を叩いて熱く諭す。
『あなたには最初に出た☆5のおっぱいタイツ師匠がいるでしょう!! 最初に出てくれた☆5としての縁を大事にするべきです!!』
続けて鉄之助ブルクドルフが強く言い放つ。
『そもそも今回当たった☆5を全員スキルマにしたらどんだけ素材いると思ってんだ!! 素材むっちゃ食う連中だぞ!! 初期からいるサバたちだって満足に上げられてないのに!!』
鉄之助の発言からどんどん部下たちの論争が激しくなる。
『つうかまずは新スマフォに課金する為の軍資金を作り出すことが優先だろ!!』
『お前それを言うなよ!! 悲しくなるだろ!!』
『スマフォより最新パソコンだッ!!』
そんな中、近藤閣下が締めの言葉を告げる。
『まぁ、とにもかくにも良い一年になりそうだ』
『運使い果たして事故死しないようにしてくださいね』
原田ヨードルの冷たい言葉に近藤総統はなんとも言えない表情で返す。
『そう言うのはせめて宝くじ当たった時に言ってくれない? ガチャで神引きした後、悲運が降ってきて死ぬとか笑い話にもならんから。だ――』
と言う近藤総統閣下の言葉で画面は暗転する。
一通り映像を眺めていた参加者たちは無言で、いの一番にノッブがコメントする。
「……クスリともせんかったな……」
*
そこでピッとDVDの再生を止め、新八たちが互いの顔を見ながら話し出す。
「やはりクスリともせんかったな」
とノッブが腕を組みつつキッパリ告げると新八が汗を流す。
「信長さん、わざわざ大会の時と同じこと言わなくてもいいんですよ?」
続いてネプテューヌが意見を言う。
「でもさ、やっぱジョーカーさんの方がシュールで不意打ちキツかったもんね。なんて言うかこっちはツッコミどころ満載だけど、ギリギリ笑わなかったって感じ」
「まー、そこまで笑えないってワケじゃないですし、ガチャの結果は凄い事は凄いのかもしれませんが……ん~……なんでしょうか? なにかが足りませんね?」
と沖田さんがコメントし、なのはが指を立てる。
「山崎さんでは?」
「いや、山崎さんはチラッと映ってたよ」
と新八が言ってから腕を組んで小首を傾げる。
「ん~……やっぱり、少し違和感を感じるのは最後辺りですね」
「話を途中で切った感ありましたよね」
沖田さんが腕を組みながら相槌を打ち、ひかるが小首を傾げる。
「やっぱり『だ』って聞こえたよね」
「ミスルン?」
とララ言うとノッブは首を傾げる。
「さ~、わからん」
*
一方、マッチョたちが暴れ終わった空間ではイベント星人がフェイトにおせちの重箱を手渡していた。
「どうも、今まで司会進行のお仕事ありがとうございました。コレはほんのお礼です。帰ったらゆっくり食べて下さい」
フェイトは無言で頭を下げながら受け取る。
ちなみにイベント星人の隣では他のゲストのまとめ役も兼任していたマシュが立っている。
フェイトにおせちの重箱を手渡したイベント星人は手を前で組みながら問いかける。
「でも良かったんですか? わざわざ隠れず彼らと年明け祝っても罰は当たらないと思いますよ?」
フェイトは首を横に振りながら説明する。
「私にも色々事情があるから。彼女たちとはまともに話すことはできない」
「……そうですか」
とイベント星人が相槌を打つとフェイトは「でも……」と言って真面目な表情を少し変化させる。
「少し、息抜きができたから大丈夫……」
「なるほど……」
イベント星人は何度か首を縦に軽く振り、再び深く頭を下げる。
「今回はお忙しい中、司会進行を引き受けていただきありがとうございました。今回はあなたのお陰で大会を問題なく進めることができました」
「…………」
フェイトは周りの破壊の後をジト目で見ながら、ふと思い出しように尋ねる。
「そう言えば……『総統閣下』のマスだけど、なんで映像の最後を流さなかったの? 『だから戒めの為、罰を執行する』って言葉の後に罰が執行される予定って聞いてたけど」
「あぁ、それですか……」
イベント星人は遠くを見つめながら説明する。
「執行を担当する〝ゲスト〟がどこかに消えてしまったので……」
とイベント星人が話している途中で、白い両扉が開き始めていた。
*
そしてまた時間は経ち。
おせちを食べながら一通りすごろく大会の思い出話で雑談する参加者たち。そしてある時、ノッブが襖を見ながら肩眉を上げる。
「そう言えば、いくらなんでもちょっと銀時の奴遅くないか?」
「年明け用のお酒がないから買ってくるって言ったきり帰ってきませんね?」
と沖田さんが言い、ノッブが不満そうな表情で腕を組む。
「祝いの敦盛ならぬ酒盛りしたいんじゃがの~……」
すると、
「みなさん大変です!!」
突然和室の扉が勢いよく開き、慌てた様子でマシュが出てくる。驚く新八、なのは、ひかる、ララとは対照的に現れたマシュに顔を向けてノッブと沖田さんは呑気な声を出す。
「おー、マシュではないか。わしたちと一緒に遅い年明け祝いをしに来たのか?」
「おせちまだまだありますよ~」
「おせち食べてる場合じゃありませんみなさん!! 銀時さんが!!」
「「「「「ん?」」」」」
全員が不思議そうな声を出し、マシュに案内されてある場所に向かう。
そこはすごろく大会のあった会場で、筋肉のモンスターたちによって破壊された跡が真新しい空間。
「あれを見て下さい!!」
マシュが指を指す方向、すごろくステージの真ん中に付いて来た面々は顔を向ける。
そこにはオレンジ色のクセのあるショートヘアの左側の髪をシュシュで結んだアホ毛が生えた――黒いパンツ一丁のほぼ全裸の女が銀時の胸倉を掴み上げて絡んでいた。
「おいテメェ。なんでも10連で☆5三枚も出したって話じゃねェか」
かわいらしい声でドスを効かせながら謎の迫力を出す謎の女。
「ちょちょちょッ!? なになに!? お前だれ!?」
感情があるのかないのか分からない瞳と笑っているのか笑ってないのか分からない口を持った何考えてるか分からない顔を近づけられた銀時はおっかなビックリしながら弁明するが、謎の女はお構いなし。
「おいふざけてんのか? 調子こいてんじゃねェぞ?」
謎の女は制裁とばかりに銀時に何度も腹パンを叩きつける。
「ブヘッ! ブハッ! ちょッ!! ブェッ!! 俺じゃない!! ブヘェッ!! 当てたの閣下で――!!」
「ん? 当てた?」
謎の女の拳の振りがより強くなる。
「グフェッ!! だからちがブベェッ!!」
そしてマシュが焦ったようにみんなに声を掛ける。
「謎のマスターに銀時さんが襲われているんです!!」
「いや一体全体どういうことッ!?」
いの一番に新八が声を上げ、他にもあることに気付いて声を上げる。
「ってッ、ちょッ、あれェ!? フェイトちゃんがいる!? 銀さんが殴られるのを離れた場所で黙って見てる!?」
新八の言う通り、イベント星人の隣でフェイトは銀時が腹パンされている様子を黙って眺めている。謎のマスター相手なので手が出せないだろうか。
色々ツッコミどころ満載なのを敢えて無視してなのはが他の大会参加者一同に呼びかける。
「と、とにかく銀時さんを助けましょう!!」
だがノッブ、沖田さん、ネプテューヌは完全に及び腰になっている。
「だ、駄目じゃ!! アレには関わってはいかん!!」
「そ、そうです!! 謎のヒロインXさんも言ってました!! 『謎のマスターには関わるな』と!」
「私の本能も告げている!! 関わってはダメなやつだよアレは!!」
「なにを言ってルン!!」
そこでララが強く言い放ち、ひかるも続く。
「そうだよッ!! 私たちはこのすごろく大会を一緒に乗り越えた仲間だよ!! 仲間のピンチを助けない理由はないよ!!」
「「「ッ!!」」」
ノッブ、沖田さん、ネプテューヌがハッと何かを悟ったような表情となる。
するとマシュが力強く言い放つ。
「安心してください!! 皆さんの他にも救援を呼んであります!!」
マシュの言葉に呼応するかのように銀時救出の助っ人が駆けつける。
「Let's party!! Yaーhaー!!」
欧州筆頭伊達政宗!!
「政宗さん!! まさか来てくれんですか!!」
と新八が驚きと喜びが混ざった声を上げ、黒い馬に乗る政宗は六本の刀を抜刀。
「Helpを聞いて駆けつけてきたぜ!! 前の特別回のよしみだしな!! もちろん俺だけじゃないぜ!!」
すると前回の特別回のゲストたちも援軍として続々駆けつけて来る。
「半端な相手ではないようですね。我が宝具を開放しましょう」
「ピカチューッ!!」
「私たちもお助けします!!」
「しょうがないわね」
「私も力を貸そう!!」
「イヤッフゥゥゥゥ!!」
「ポヨッ!!」
「助太刀するってばよ!!」
青セイバー、ピカチュー、キュアマジカル&キュアミラクル、仮面ライダー1号、マリオ、カービィ、ナルトが救援に集まってくれた。
「みんなッ!!」
まさかの前回の特別回ゲストたち大集合に嬉しそうになのはは声を上げる。だが、救援者たちはこれでは終わらない。
新たに今回のゲストたちまでも続々と姿を現す。
「まッ、見捨てても目覚めが悪いしね」
「お助けするです!」
「■■■■■■――ッ!!」
「力を貸すぜ! 神を召喚!!」
「しょうがないわね……」
「直流の力を見せてやろう!」
「交流の力を見せてくれる!」
コンパ、アイエフ、ヘラクレス、闇遊戯、御坂美琴、エジソン&テスラ。
更には、
「また本気が出せそうだ」
「おもしれェ……」
「リヨの名を持つマスターか。申し分ない相手だ」
エル大納言、ビィ(?)、神楽大王も駆けつける。
「みんなありがとう!!」
となのはが力いっぱいお礼言い、バリアジェケット姿となってレイジングハートを構える。
するとなのはに倣ってひかるやララもプリキュアの姿にネプテューヌはパープルハートの姿に変身し、ノッブや沖田さんは武器を構える。
そしてマシュが手を上げて集まった全員に号令のように言い放つ。
「みんなの力を一つにするんです!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」」」」」
新八を除いた大会参加者たちとゲストたちが一斉に力を開放して攻撃を放ち、そのエネルギーは一纏まりの巨大な力の本流となる。
巨大な光は一直線に謎のマスターへと向かい直撃した――盾にされた銀時に。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!」
銀時の悲鳴をBGMに新八は涙を流しながら両手を上げて叫ぶ。
「あけましておめでとォォォォォォオオオオオオオッ!!!!」
Happy New Year!!!!
ようやく2020年明け&50話達成特別回が終わったので、本編進めます。