魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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※今回の話の途中でポイントが表記されなくなりますが、表記忘れではありません。
最後まですごろくの内容を描けないので、敢えて途中から表記は表示しないことにしました。



2020年明け 8:サプライズ

 前回、3チームが罰ゲームを受けることになった。

 それでは、先行2チームの罰ゲームの風景をダイジェストにお送りします。

 

 チーム銀ノッブの罰ゲームは――1の『妙キック』

 

「「またかよッ!!」」

 

 銀時とノッブがツッコミ入れる。

 そして妙キックを受けるのは……、

 

「ケツ死ねオラァァァァァァッ!!」

「あ゛う゛ん゛ッッッ!!」

 

 ノッブであった。

 

「アハハハハハッ!!」

 

『沖田さん、アウト。

沖楽:-8ポイント』

 

『※三回目でも元気に手を叩いてめっちゃ笑う沖田さん』

 

「あうちッ!!」

 

 そして沖田さんは神楽にシバかれる

 続いてチームメガメガの罰ゲームは……2の電撃握手。

 

「私は二コラ・テスラ。天才である」

 

『※FGOからのゲスト、二コラ・テスラと握手』

 

「「…………」」

 

 新八とネプテューヌは三回目なのでもう既に察しているのかお互いの顔を見合う。

 するとテスラがすかさず、

 

「握手である」

 

 新八とネプテューヌの手首をそれぞれ掴む。

 

「「あいだだだだだだだだだだだだだだッ!!」」

「交流をよろしくッ!!」

 

 手を握りながら力強く言い放つテスラさん。

 

「「「「フフフ……!」」」」

 

 それを見て吹き出す四人。

 

『銀時、ノッブ、沖田さん、神楽、アウト。

銀ノッブ:2ポイント

沖楽:-10ポイント』

 

 銀時、ノッブ、沖田さんは半笑いになりながらツッコミ入れる。

 

「あ、握手じゃねェじゃん……!」

「手を掴んでるだけじゃの……!  アハハ……!」

「せ、選挙活動してんですかアレ……!」

「アハハハッ……!」

 

 そして電撃握手からようやく解放された新八とネプテューヌは手を抑えながら待機席へと戻る。

 

「うわー……不意打ち過ぎる……」

「問答無用で二人同時とか……」

 

 最後は沖楽の神楽と沖田さん。

 そしてなんと、この二人の番になって今までに出てない数字の8が出たのである。

 

『罰ゲーム8――ハリセン』

 

「わッ、直球のタイトルが来た……」

 

 沖田さんが嫌そうな表情を浮かべる中、白い両扉から青色のドレスの上に鎧を着込んだ金髪の少女がハリセンを持って出てくる。

 出てきた人物を見て新八が驚きの声を出す。

 

「うわッ、青セイバーさんだ!」

「Fateのドル箱今回も来たのかー……」

 

 青セイバーことアルトリア・ペンドラゴンは無言で神楽と沖田さんの前に立つ。丁度二人が並ぶ中間点の前に。

 無言で来た青セイバーに神楽と沖田さんが汗を流しながらお互いに視線を向けつつ戸惑っていると騎士王がハリセンを持ってない手を上げてある人物を指さす。

 

「――では、あなたで……」

 

 青セイバーが指さしたのは桜セイバー。

 沖田さんは一瞬左右を見渡してから疑問の声を出す。

 

「えッ? ……えッ!? わたしッ!?」

 

 自分の顔を指さして戸惑う沖田さんの胸倉を青セイバーは左手でガッシリ掴んでハリセンの準備に入る。既に自分が罰ゲーム執行されると分かって桜セイバーは慌て出す。

 

「ちょちょちょッ!! えッ!? えッ!? えッ!? なんで私なんですか!? なんで私なんですか!? コハエースですか!? コハエースの時のこと怒ってるんですか!?」

 

 慌てる沖田さんを見てノッブは必死に笑う我慢しているのか口を大きく開けている。

 神楽は無言でWセイバーから少し距離を取り、離れる相方に沖田さんが気付く。

 

「ちょッ神楽!? なに逃げてんですか!? なに逃げてんですかッ!!」

「ッ――!!」

 

 そこで青セイバーの目がカッと見開かれる。

 

「私以外のセイバーみんな死ねェェェェェェェッ!!」

 

 宝具ぶっ放す勢いで沖田さんの頭にハリセンが叩きつけられる。

 

 バッッシィン!!

 

「いッッッだァァァァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 勢いのあまり悲鳴を上げながら倒れる沖田さんは頭を抑えながらジタバタ地面を転がる。

 

「いたいいたいいたいい゙だい゙い゙っ゙だい゙!!」

「アハハハ……!!」

 

『ノッブ、アウト。

銀ノッブ:1ポイント』

 

 銀時がノッブのケツをしばく。

 

「いっだ!」

 

 沖田さんの頭を叩いた青セイバーさんは威風堂々と白い両扉の奥に向かって行き、ノッブは尻を摩りながらその姿を見つつコメントする。

 

「さっきのアルトリアじゃなくてエックスなのでは?」

「『私以外のセイバー死ねェェェ!!』って言ってましたもんね……」

 

 と新八が相槌を打つ。

 そして罰ゲームが終わった沖楽にフェイトが容赦なく告げる。

 

「二人のチームは-10ポイントなのでもう一回罰ゲームを行います」

「うえーッ……」

 

 と神楽が露骨に嫌そうな声を漏らす。

 ちなみに沖田さんは頭抑えて動けない。彼女が再起動する前に神楽はガラガラを回す。

 

「出た数字は……3です」

 

 と言うフェイトの言葉を聞いて新八が反応する。

 

「あッ、たぶんまだ出たことない罰ゲームですよ」

 

『罰ゲーム3――スリッパ』

 

「あッ、今度は地味に痛そうなヤツだ……」

 

 銀時が呟く間に白い扉が開き、中から先ほどの執行人青セイバーさんが出てくる。

 

「えッ? あれ? また出て来た……」

 

 驚きの声を漏らす新八。そして銀時がセイバーの手を指さす。

 

「あッ、スリッパ持ってる」

「スタッフ使いまわしじゃん……」

 

 とネプテューヌがツッコミ入れる中、青セイバーが神楽と倒れる沖田さんの前までやって来る。

 青セイバーは二人を交互に見てから口を開く。

 

「それで、どちらですか?」

 

 すると神楽が倒れる沖田さんを見てから屈んで告げる。

 

「ソッジー、じゃんけんするけどもし出さなかったらソッジーの不戦敗ってことにするアル」

「うわ、そうくるかあいつ……」

 

 と銀時がコメントし、神楽が右手を振る。

 

「じゃ~んけん……」

 

 ポンと言って神楽がパー、頭抑える沖田さんは手を上げてチョキ。

 口をポカーンと開けて自分のパーを見つめる神楽。

 

「「「「「……ァハハハハ……!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、なのは、ひかる、アウト。

銀ノッブ:-1ポイント

メガメガ:2ポイント

プリなの:2ポイント』

 

 笑いながらノッブと新八がコメントする。

 

「ハハハ……余裕あるのー沖田(あいつ)……」

「ビシッて手上げましたよねビシッて……」

 

 自分の手を見つめて呆然とする神楽に青セイバーは近づき、胸倉を掴む。すると神楽は悲鳴を上げる。

 

「ちょッ!! 師匠ォー!! ヤメテェ!!」

「あいつ前回の特別回のヤツ持ち出してきたな」

 

 と銀時が言うと同時に、

 

「師匠の愛の鞭だァァァァ!!」

 

 青セイバーは神楽の顔の横にスリッパ叩きつける。

 

「ブッッッ!!」

 

 衝撃のあまり神楽は横に倒れて頬を抑えながら悶絶。

 

「ブフ……ハハハ……!!」

 

『銀時、アウト。

銀ノッブ:-1ポイント』

 

 銀時は笑いながらツッコム。

 

「あ、愛の鞭ってなんだよ……!」

「笑ってる場合かーッ!!」

 

 ノッブが銀時のケツを叩く。

 

「いっだッ!!」

 

 ノッブは抽選機の前に向かいながら「ほれわしらの番じゃ……」と促し、尻を摩る銀時も後をついて行く。

 頭と顔を抑えて蹲る沖田さんと神楽に構わず銀時がガラガラを引く。ノッブは倒れる沖田さんを見て「おまえいつまで倒れとるんじゃ?」とツッコミ入れている。

 チーム銀ノッブの罰ゲームの番号は9。

 

「あッ、新しい奴だ」

 

 と銀時が声を漏らし内容が発表される。

 

『罰ゲーム9――タマキュア』

 

「「げッ!?」」

「うわッ!?」

 

 露骨に新八と銀時となのはが嫌そうな表情を浮かべ、タマキュアを知らない他の面々は困惑と疑問が入り混じった表情を浮かべている。

 そして白い両扉が開けば中から――キュアブラックのコスプレしたお登勢(ババア)とキュアホワイトのコスプレしたキャサリン(おばさん)が出てくる。

 

「「「「おェェェェェェェェッ!!」」」」

 

 銀時、新八、なのは、は露骨に吐き気と嫌悪感を出し、

 

「き、キツ過ぎる!! 目が腐る!!」

「お、おおおおぞましい!!」

 

 ノッブとネプテューヌはビックリしながら嫌悪感マックスになり、

 

「な、ななななにあれ!?」

「き、気持ち悪いルン……!!」

 

 ひかるとララは顔面蒼白になっていた。

 ちなみに倒れる神楽と沖田さんは腕枕して顔を覆ってタマキュアを見ないようにしている。

 銀時とノッブの前までやって来たタマキュアコンビ。

 吐き気が収まった銀時はなにされるのか分からず体を後ろに逸らしているとタマブラック(お登勢)が銀時に近づく。

 

「ちょちょちょッ! なになになに!? なんで俺!? じゃんけんは!?」

 

 タマブラックは左手を銀時の肩に置き、右手を銀時の頬に添える。

 

「えッ? えッ? えッ? えッ?」

 

 愛しそうな表情を浮かべるタマブラックは銀時にゆっくりと顔を近づけ、ノッブはハッとする。

 

「えッ? マジか? えッ!? マジか!? アレか!? せッ――!!」

 

 銀時はようやく自分がなにされるのか分かってノッブの言葉を掻き消すように、

 

「ちょッ!? うっそッ!! い、いやァァァァァァ!! ちょッ!! いやァァァァァアアアアアアアアッ!!」

 

 涙目になりながらありったけの声で悲鳴を上げ逃げようとするがタマブラックにガッシリ捕まれ体も顔も逃げられない。

 そして顔と顔がくっ付くところで、

 

「ハァ~ッ!!」

 

 タマブラックが思いっきり銀時に息を吐きかける。

 

「ッッッ!?」

 

 ビックリする銀時はすぐさま、

 

「くっさッ!? えッ!? うっわッ! くッッッさッ!!」

 

 あまりの臭さに鼻を抑えて苦しがる。

 銀時の様子を見てようやく罰ゲームの内容が理解できた面々は笑い出す。

 

「「「「ァハハハハハ……!!」」」」

 

『ノッブ、新八、ネプテューヌ、アウト。

銀ノッブ:7ポイント

メガメガ:0ポイント』

 

「くっさッ!! くっさッ!! くせェーッ!!」

 

 ノッブの尻を叩くのも忘れ臭がる銀時を尻目に帰って行くタマキュア。

 新八がさっきからずっと倒れている神楽と沖田さんに指を突き付ける。

 

「ちょッ! あの二人ズルい!! 絶対笑ってるってあれ!!」

 

 新八の指摘通り腕で顔と口を抑える神楽と沖田さんの顔は小刻みに動いていた。

 

「ほらお前ら立たんか!! アウトをいつまでも回避させるかッ!!」

 

 ノッブがいつまでも倒れる二人に怒鳴り声を上げつつ蹴り入れて立たせる。

 そんなこんなで次はチームメガメガの罰ゲーム。

 

「あァ……永遠に罰ゲームから抜けられない気がする……」

「うん……ホント……」

 

 そしてネプテューヌと新八が受ける罰ゲームの番号は……9。

 

「「え゛ッ!?」」

 

 驚くメガメガ。出てくるタマキュア。

 するとタマブラックが告げる。

 

「今度はタマホワイト、あんたの番だよ」

 

 そしてまたじゃんけんを待たずに今度はタマホワイト(キャサリン)が新八に近づく。

 

「ちょっとォーッ!! だからじゃんけんはッ!? なんで僕なの!?」

 

 臭い息吐きかけられるの嫌がる新八にタマホワイトが告げる。

 

「安心シナサイ。私ノ口臭ハ臭クアリマセン」

「えッ? そ、そうなんですか……?」

 

 タマホワイトは新八の左肩を掴んだところで何かの音楽が流れだす。

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 なんだなんだ? と少し驚き困惑する参加者一同。

 そして音楽に合わせて歌が流れ始める。

 

『はじめてのチュウ~、君とチュウ~――』

 

 『はじめてのチュウ』のサビが流れ出し、タマホワイトは右手を新八の頬に添えて頬を赤らめる。

 そして静観している一部の人間はすぐさま状況を理解して、

 

「「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、神楽、沖田さん、アウト。

銀ノッブ:5ポイント

メガメガ:8ポイント

沖楽:8ポイント』

 

 事態を理解した新八は涙目になる。

 

「い、いやァァァァァッ!? 今度はマジでそっちィィィィィ!?」

 

 ホリの深いおばさん顔があとちょっとのところで新八に顔に近づいた時、

 

 バシンッ!!

 

 とタマホワイトは思いっきり新八の頬にビンタする。

 

「ッッッ!?」

 

 驚き頬を抑えながら呆然とする新八と少し驚く待機組。そしてタマホワイトは吐き捨てる。

 

「変身ヒロイン見テ発情シテンジャネェヨ!! エロガキ!!」

 

 カーッペとタマホワイトは新八の額にツバ飛ばす。そして帰って行くタマキュアコンビ。

 

「………………」

 

 なんとも言えない空気の中、すさまじく複雑な表情を浮かべる新八は額に付いた唾をおもむろに手で触る。

 

「くさッ……!」

 

 ツバの匂いが鼻に付いて顔をしかめる新八。

 

「「「「「ブフ……ハハハ……!!」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽。アウト』

 

 そして新八がネプテューヌの尻を叩くのだった。

 

「いったァーッ!!」

 

 

 

 とりあえず罰ゲームが終わったので銀時が軽くサイコロを投げる。出た目は……2。

 銀時は小さくガッツポーズ。

 

「よーし、出目は悪いがポンコツ遊戯さんのマスだ。勝って一気にゴールに近づくぞ」

「運が向いてきたの」

 

 ノッブも機嫌よく告げると、

 

『特殊イベントマス』

 

「「えッ?」」

 

 まさかの特殊イベント発生に驚きの声を上げる銀時とノッブ。

 

「いやでも確かに結構アイテムいくつか出ましたしねー」

 

 と新八が言い、フェイトが声を掛ける。

 

「では皆さんはディスプレイを見て下さい」

 

 全員の視線がディスプレイへと移り、やがてディスプレイに映像が流れる。

 映像には頭に触覚が生えた肌色が薄紫色の健康に悪そうな小太りな男。恰好はいかにも西洋の王子風。

 そんな男が城のバルコニーで手を振っているシーンが流れ、ナレーションも流れ出す。

 

『我々はある星の王子に接触を図った。その動物にワケ隔てなくその愛情を注ぎ続けるその人物こそ、王子の中の王子――ハタ王子』

 

 そこまで見て嫌な予感を覚えたのか銀魂組とFGO組の顔が歪む。

 ナレーションは続いて行く。

 

『民衆の間ではバカ王子と親しみのあるあだ名で呼ばれ慕われるハタ王子』

 

「バカにされてんじゃん……」

 

 と銀時がツッコミ入れる。

 

『本日は、そんなバカ王子が密かに生成している商品をご紹介しよう』

 

「バカ王子になっちゃいましたよ……」

 

 と今度は冷めた顔で新八がコメントする。

 バカ王子が走り込みしたり、階段走りしたり、シャドーボクシングしたり、トレーニングシーンがダイジェスト風味で映し出される。小太りな王子からは大量の汗が流れ、彼はタオルで汗を拭う度に携帯している瓶に汗を入れていた。

 そのシーンを見てなのは、ひかる、ララは若干引いて青い顔をし、神楽はォェと露骨に嫌悪感を露わにしていた。銀時、新八、ノッブ、沖田さんは何かを察したのかチームプリなのに目を向ける。

 

『このように彼が激しいトレーニングをする理由は王子の貴重なDNAを採取する為』

 

 映像が切り替わりビーカーを熱して何かの理科実験をするようなシーンに移り変わる。

 

『彼が大量に流した汗を回収した後、熱して余分な雑味を取り、生成したのが純度100%の――王塩』

 

 汗から塩を作り出すシーンを見て銀時、新八、ノッブ、沖田さんはあー、と言う風に口をポカンと開ける。

 

『その王塩を惜しげもなく使い……』

 

 そして場面は移り変わり、グラサンを付けた半袖白Tシャツの男が右腕を立てながら塩を振りかけていた――分厚い生肉の上に。

 

「「「「「――ッッッ!!」」」」」

 

 そのシーンを見てビックリする一同。特に銀時とノッブの驚き顔は尋常ではない。

 

『完成した高貴なる一品が今度のすごろく大会で振る舞われる――』

 

 映像にはさきほどまで銀時とノッブが食べていた――出来上がったばっかのアツアツステーキにそっくりな物が映り込んでた。

 

『――〝王級ステーキ〟なのだ』

 

「「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!」」

 

 銀時とノッブが喉を抑えながらさながらこの世の終わりのように凄まじい悲鳴を上げ、他の面々も反応を示す。

 

「「アハハハハハ……!!」」

 

 新八と沖田さんは笑い、

 

「嘘ォォォッ!?」

「いやいやいやいやいやッ!!」

「わわわわわわわわわわッ!!」

 

 なのは、ひかる、ララは顔面蒼白になってドン引きし、

 

「「お゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙ッ!!」」

 

 神楽とネプテューヌは凄まじい嫌悪感を示していた。

 阿鼻叫喚の中でも特に銀時と涙目ノッブのリアクションが凄まじい。

 

「気持ちわる気持ちわる気持ちわる気持ちわりィィィィィィ!!」

「わしさっきまでパクパク食ってんだぞォォォォォ!! しかも全部食っちまったぞォォォォォォ!!」

 

銀時は喉を両手で抑えながら、

 

「ああああッ!! ああああああッ!! ああああああああああああああッ!!」

 

 なんとかステーキの肉を口から出したいのか凄まじい声を吐き出す。

 

「「アハハハハハハッ!!」」

 

 銀時とノッブのリアクションがおかしいのか更に笑う新八と沖田さん。そして沖田さんは半笑いになりながらノッブに告げる。

 

「アハハハ……! い、一生取れませんよ、王塩……!」

「言うなそれをォォォッ!!」

 

 ノッブは涙を流しながら叫び、新八は笑いながらコメントする。

 

「王塩っつうかバカ王塩ですね……アハハハ……!」

 

 そしてノッブと銀時は叫び、嘆く。

 

「わしこの大会終わったらカルデアじゃなくて英霊座に帰るゥゥゥゥゥゥ!! 全身分解させて新たな英霊に生まれ代わるゥゥゥゥゥゥッ!!」

「俺も帰ったら全身の血を抜くゥゥゥゥゥゥ!! 全身の細胞入れ替えるゥゥゥゥゥゥゥ!!」

「「アハハハハハハハハッ!!」」

 

 更に笑う新八と沖田さん。

 

『新八、沖田さん、アウト。

メガメガ:5ポイント

沖楽:4ポイント』

 

 インパクト強すぎたせいで二人のケツを20秒以内に叩く側が忘れたので二人のチームは余分にポイントが引かれることとなるのだった。

 そして締めとばかりにディスプレでは塩が入った瓶を手に持ったバカ王子がまるで商品を宣伝するように告げる。

 

『余の高貴なるDNAが入ったこの王塩。皆もこれを摂取し高貴になろ――』

 

 ズカァン!! と二つの学習椅子が空中のディスプレイに激突、もちろん投げたのは銀時とノッブである。

 

 

 

 王塩ショックからなんとか落ち着いた一同。

 だが銀時とノッブの疲労具合が半端なく、グッタリしていた。マイナスのオーラがひしひしと出ている。

 そしてそんな二人に関係なく、ネプテューヌが投げたサイコロがなんとゴールピッタリの〝4〟を出す。

 

「「はッ、えッ!?」」

 

 出た数字を見て驚き、喜びの顔を浮かべるチームメガメガ。他のチームも二人の出目に唖然としている。

 そしてコマがゴールのマスへと移動し、

 

『ゴォォォォォル!! 優勝はチームメガメガッ!!』

 

 勢いよくアナウンスが流れ、一部がヒビ割れたディスプレイでは花火が何度も上がっている。

 チームメガメガは同時に喜びの声を上げる。

 

「「や、やったァァァァァァァ!!」」

 

 新八はネプテューヌの肩に手を当て、ネプテューヌは新八の腰に手を当てて喜びのあまりぴょんぴょん跳ねる二人。

 すると新たに用意された椅子で座っていた銀時とノッブが立ち上がって無言で新八とネプテューヌに近づく。

 

「あッ! 銀さん!! 信長さん!!」

 

 新八は近づいて来た二人に気付いて嬉しそうに声を掛ける。

 

「長く感じましたけどようやくおわ――!!」

 

 突如銀時は新八の頬にバシッ! とビンタ食らわせる。

 

「ッ!? ……えッ? えッ!? ええッ!?」

「えッ、えッ、えッ?」

 

 頬を抑えて戸惑う新八と少しビックリしているネプテューヌに銀時は震える指を付きつけながら感情を押し殺したかのような声を出す。

 

「お、お前ら……! お、俺らはバカ王塩まで食ったのに俺たちより先にゴールしやがってコノヤロー……!」

 

 ノッブも震える指を突き付けながら頬をピクピク引き攣らせながらググもった声を鳴らしている。

 頬を抑える新八と唖然としていたネプテューヌはしばしの間黙っているが、

 

「……ブフ……ハハハ……!」

「……プフッ……!!」

 

 軽く吹き出し当てしまう。

 

『新八、ネプテューヌ、アウト。

メガメガ:2ポイント』

 

「「えッ?」」

 

 アウトになってポイントが減ったことに驚く新八とネプテューヌ。

 新八は戸惑いながら司会進行であるフェイトに問う。

 

「あ、あのー……ふぇ、フェイトちゃん? なんで僕らアウトになってポイント減ってんの?」

「う、うん。も、もうゴールしたのに……」

 

 ネプテューヌもおずおずと問いかける。

 嫌な予感を覚えているであろう二人にフェイトは冷たく言い放つ。

 

「1位が決まっても最下位が決まるまで大会は終わりません。ですので、笑ったらアウトになり罰ゲームも執行されます」

 

 フェイトの言葉を聞いて新八とネプテューヌは心底残念がる。

 

「うっそォ……!」

「まだ笑っちゃ駄目なのォ……!!」

 

 銀時は大きくため息吐き、ボリボリ頭を掻きながら諦めたように席へと戻っていく。

 

「あーもー、しょうがねェ。とっととやってとっとと終わらすか……」

「とりあえずやる気はでんが、最下位だけでも回避せんとのー……」

 

 ため息を吐くようにノッブも言葉を吐き捨て銀時の後に続き、さきほどビンタされた新八は不満そうに告げる。

 

「なんて勝手な奴らだコイツら……」

 

 銀ノッブにジト目向けている新八とネプテューヌ。

 そしてチームメガメガの次のチームであるチームプリなののララがサイコロを投げる事になった。

 

「ルン……」

 

 出た目は3。そして止まったマスの内容は『スカマス』。

 

「なんにもなしかー……」

 

 と言うひかるの言葉を聞いてなのはは告げる。

 

「なにもない方が良いですよ……」

 

 次に沖楽の番となる。

 沖田さんが投げたサイコロの目は4。

 

『特殊イベント発生』

 

「「あッ……」」

 

 と沖田さんと神楽は声を漏らし、白い両扉が開くとある人物が出てくる。

 それはさきほどこのイベントマスで出てきた仕掛け人――闇遊戯さんであった。

 

「ん?」

「なんだんだ?」

 

 新八と銀時が反応し、闇遊戯は沖田さんと神楽に声を掛ける。

 

「二人共、悪いんだがちょっと席に座ってくれないか?」

「あッ、はい……」

「わかったアル」

 

 沖田さんと神楽は素直に席に座る。そして闇遊戯は参加者一同の前に立つと、腕を組みながら全員に聞こえるように話し始める。

 

「みんな、聞いてくれ。実は俺の相棒の大事なカードが盗まれてしまったんだ」

 

 闇遊戯の言葉を聞いて参加者一同は少し驚きの表情を浮かべる。

 闇遊戯は深刻な表情のまま力強く告げる。

 

「そのカードの名は……青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)!」

「「「「「フフフッ……!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、神楽、なのは、ララ、ひかる、アウト。

※0ポイントのチームがいますがイベントは続きます』

 

 参加者全員笑っているが沖田さんだけ真顔。

 

「どうにかして相棒のカードを盗んだ犯人を見つけたい。みんな! 力を貸してくれ!」

 

 闇遊戯の言葉を聞いて全員の視線が沖田さんに向く。

 沖田さんは自分を見つめる周りを見て首を左右に振って慌て出す。すると神楽が沖田さんの右腕をガッチリ掴んで右手を上げさせながら立たせる。

 

「コイツです!! コイツがブルーアイズを盗みました!!」

「ちょちょちょちょちょッ!!」

 

 慌てる沖田さんに闇遊戯が嫌疑の眼差しを向け、神楽がしっかり説明する。

 

「コイツブルーアイズを売ったお金で私に美味いもん食わせるとか言ってましけど、きっとそっくりそのまま売上金を持ち逃げする気だったに違いありません!!」

 

『銀時、ノッブ、新八、アウト』

 

 銀時とノッブが半笑いになりながらツッコミ入れる。

 

「ハハハ……なんの子芝居してんだよ……!」

「結局ブルーアイズせしめてたのか……!」

 

 新八がネプテューヌにケツを叩かれ後、闇遊戯は沖田さんの前に立って鋭い眼差しを向ける。

 

「なるほど……お前が盗んだのか?」

「ち、違います……!!」

 

 沖田さんは首を横に振って小さく否定するが、闇遊戯が強く言い放つ。

 

「じゃあ〝袖〟のブルーアイズは一体なんだーッ!!」

 

 闇遊戯の気迫に沖田さんはビビる。

 

「「「「「アハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、神楽、なのは、ララ、ヒカル、アウト』

 

 銀時とノッブと新八が笑いながらツッコミ入れる。

 

「な、なんで知ってんだよブルーアイズの場所……!」

「ち、力貸してもらう必要ないじゃろ……!」

「み、ミレアムアイでも使ってんですか……!」

 

 そしてさきほどの剣幕から一転して闇遊戯は沖田さんに冷静に告げる。

 

「よし、付いて来い」

「は、はい……」

 

 沖田さんは渋々ついて行き、待機席から少し前の場所へと移動する二人。

 定位置まで移動すると闇遊戯は沖田さんに告げる。

 

「相棒の大事なカードを盗んだお前にはコレから闇の罰ゲームを受けてもらう」

「はい……」

 

 気のない返事を返す沖田さんを見つつ銀時とノッブは興味津々。

 

「ビンタかビンタか?」

「なんじゃろうなー?」

 

 闇遊戯は沖田さんに告げる。

 

「お前に送る闇の罰ゲームは……『大納言ビンタ』だ」

 

 闇遊戯の言葉に銀時、ノッブ、新八はお互いの顔を見ながら疑問の声を漏らす。

 

「ん? ん?」

「なんじゃ? 大納言ビンタって?」

「なんですかね?」

 

 やがてプロレスの選手が登場するかのようなBGMが鳴り響き、参加者一同が驚いていると白い両扉が開く。

 

「ガッデムッ!!」

 

 聞き覚えのある叫び声の後、扉の奥から出てくるのは筋肉ムキムキ大柄な――女。

 銀時、新八、ノッブ、ネプテューヌ、なのは、ひかる、ララが驚きつつコメントする。

 

「うわうわうわッ!!」

「なんかまた凄いのきたッ!!」

「またビジュアルが凄いのー!!」

「なにあれなにあれ!?」

「わわわわわわッ!!」

「ぷ、プロレスラーッ!?」

「異星人ルン!?」

 

『※闇の罰ゲーム執行人は弱酸性のエル大納言』

 

 弱酸性からの使者たるエル大納言の登場に騒然とする待機組。

 特に沖田さんなんかはとんでもないゲストに声も出せずに超ビビっている。

 ムキムキマッチョのエル大納言は沖田さんの前まで歩いて行くと腕を組んで低い声音で告げる。

 

「さぁ、覚悟は出来たな?」

「できてませんできてませんできてませんできてません!!」

 

 沖田さんは首を横にぶんぶん振って全力拒否するがエル大納言は強く言い返す。

 

「よしわかったッ!! そこに直れ!!」

 

 嫌がる沖田さんの胸倉を無理やり掴んでビンタの体制に入ろうとするエル大納言。

 

「「「「ハハハハッ……!!」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、アウト』

 

「ハハハハッ……!! 話し聞かねェ……!!」

 

 と銀時が笑いながらツッコミ入れる。

 凄まじい力で胸倉掴まれて逃げられない沖田さんは必死で待ったを掛ける。

 

「待ってください待ってください待ってください待ってください待ってください!!」

「ん? なんだ?」

 

 素直に応じるエル大納言に沖田さんはノッブを指さしながら必死に訴える。

 

「あいつに命令されたんですー!!」

「「「「「アハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 ノッブ、銀時、新八、ネプテューヌは笑いながらツッコミ入れる。

 

「お前はなにゆっとるんじゃ……!!」

「アハハハ……罪な擦りつけようとすんな……!」

「いやいやいや!! もう!!」

「ハハハハ……!! 往生際が悪い……!!」

 

 エル大納言は低い声を出しながら沖田さんに問いかける。

 

「どういう……ことだ? 経緯を説明しろ」

「え、えっと!! つ、つまりですね!!」

 

 沖田さんは言葉を詰まらせながらも両手を動かし必死に説明する。

 

「ノ……し、新八がカード盗んで!! の、ノッブが私に命令して盗んだカード盗ませたんですッ!!」

「「「「「アハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 銀時、ネプテューヌ、ノッブ、新八が爆笑しながらツッコミする。

 

「アハハハハッ!! な、なんで被害者増やすんだよ……!」

「み、見苦しい……!! ハハハハハッ!!」

「さ、最初わしの名前出そうとしてたろ……!!」

「ぼ、僕なんで実行犯になってんですか……!!」

 

 するとエル大納言は沖田さんの袖からカードを抜き去り彼女の顔に近づけつつ言い放つ。

 

「ごちゃごちゃ言うな貴様が犯人だァーッ!!」

 

 襟首をグイッと引っ張るエル大納言のせいで沖田さんの表情はビビりながら苦しそうな表情になる。

 

「「「「「アハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、神楽は更に笑う。

 

「アハハハハ……あーもー受けろ沖田……!!」

「アハハハハ……! もうそれがあんたの運命(さだめ)ですって……!!」

 

 銀時と新八が笑いながらコメントし、エル大納言は闇遊戯に沖田さんが持っていたブルーアイズを手渡してからビンタをする為に腕を大きく振りかぶる。

 もうビンタ回避が無理だと分かったのか沖田さんは待機席の銀時と新八とノッブを恨めそうに見ていた。

 エル大納言は強引にビンタの構えに入りカウントダウンを開始する。

 

「よし、行くぞ? 5、4、3、2、1――!!」

 

 もう諦めてか沖田さんがギュッと目を瞑った時だった。

 

「待ってッ!!」

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 突然の声に驚く一同。なにせ待ったの声を掛けたのは闇遊戯なのだ。だが、さきほど声を出したのは厳密には闇遊戯ではない。

 

「彼女は犯人じゃない!!」

 

 沖田さんが犯人じゃないと言う遊戯を見て銀時は驚きの声を漏らす。

 

「うわッ、表遊戯が出てきた……」

「なんか雲行きが怪しくなってきた……」

「ちょっとまずいかも……コレ……」

 

 新八とネプテューヌは不安げな表情を浮かべ、

 

「……えッ? ど、どういうこと?」

 

 なのはを含めひかるとララも呆然として困惑している。

 闇遊戯のもう一つの人格であり主人核でもある表遊戯――武藤遊戯はエル大納言へと説明する。

 

「実は僕の爺ちゃんの大切なカードを盗んだのは彼女じゃなかった!!」

「なに? どういう……ことだ?」

 

 エル大納言は沖田さんの胸倉を離し、九死に一生を得た沖田さんは胸を抑えて安堵し始めている。

 遊戯はエル大納言から受け取ったカードをかざして見せつけながら言い放つ。

 

「このカード真っ赤な偽物!! コピーカードなんだッ!!」

「なにィ!?」

 

 驚くエル大納言と一緒に沖田さんも驚きの表情を浮かべる。

 

「えッ? それ偽物なんですか?」

 

 遊戯はカードを指で挟みながら説明する。

 

「カードショップの店長をしている爺ちゃんから僕はレプリカと本物の見分け方を教わっている。彼女が持っていたのは間違いなく偽物の青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)

「では、コイツはなぜカードを?」

 

 エル大納言の問いに遊戯が答える。

 

「きっとコピーカードを作っただけの人だったんだろう」

「ざっくりした背景だな……」

 

 と銀時がツッコミ入れる。

 

「では本物は誰が持っているんだ?」

 

 腕を組むエル大納言の疑問に新八も反応する。

 

「マジで他に誰もカードもらってませんよね?」

「そうだよな。アイテムマスで沖田と神楽以外でカード誰も受け取ってねェし」

 

 と銀時が相槌を打つと遊戯が待ってましたとばかりに懐に手を入れる。

 

「だから盗んだカードを探し出す為にこの……」

 

 そう言って遊戯が懐から取り出したのはトランシーバーのような機械。

 

「海場コーポレーションで開発された『カード探知機』でカードを盗んだ犯人を捜す。この中の誰かが盗んだカードを持っていれば必ず反応する」

 

 遊戯の言葉を聞いて息を飲む参加者一同。

 遊戯は探知機を持って、彼から見て一番右端の席に座るララに探知機を向ける。

 

「…………」

 

 緊張の面持ちで背筋をピンと伸ばすララ。

 

「……違う」

 

 探知機が反応しないのでララはセーフ。次にひかる。

 

「……違う」

 

 ひかるもセーフ。

 次になのは、神楽もセーフとなる。

 

「…………」

 

 問題はさきほどビンタされそうになった沖田さん。息を止めるくらいの勢いで口を一文字にする幕末剣士。

 

「……違う」

 

 やはりセーフ。

 

「フー……!」

 

 沖田さんはホッと息を吐き出して胸を撫でおろす。続いて彼女の隣に座るノッブ。

 

「……違う」

「ほッ……」

 

 ノッブもセーフとなり、第六天魔王も安堵の表情。続いては銀時。

 

「ん?」

 

 ここで遊戯が反応を示したので銀時は焦りの表情を浮かべる。

 

「えッ? えッ? えッ?」

「……違う」

「……び、ビビらせんなよ……!」

 

 自分がターゲットじゃないことに安堵しつつ文句を言う銀時。次が新八となる。

 遊戯が新八に探知機を近づけた瞬間、

 

 ピピピピピピピピピッ!!

 

 探知機が目覚ましのようにけたたましい音を出し、遊戯がビシッと新八に指を突き付ける。

 

「コイツが犯人だッ!!」

「えええええええええええええええええええええええええええええええええッ!?」

 

 新八がありったけの声で驚く。

 新八はすぐさま席から立ちあがり焦り出す。

 

「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってェェェェェェェ!!」

「「「アハハハハ……!!」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、アウト』

 

「さっき沖田とほぼ同じリアクションじゃねェか……!」

 

 銀時が笑いながらツッコミし、新八はすぐさま弁明フェイズを開始する。

 

「僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃなァーい!!」

 

 新八は首をぶんぶん振りながら体のあちこちを触りながら上ずった声を出す。。

 

「僕の服のどこにもブルーアイズなんてありませェーん!! なんなら裸になってもいいですよォーッ!!」

「「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 新八の言い方に反応して笑っていなかった三人も一緒に笑いだす。

 

「アハハハ……やめんか見苦しい……!!」

 

 ノッブが腹を抑えながらコメントすると遊戯は諦めろと言わんばかりに告げる。

 

「残念だけど、あなたの悪知恵はすべてお見通しだ」

「だって悪知恵なんて働かせてないもん!!」

「なら……」

 

 遊戯はしゃがみ込み、新八の椅子の下に置いてあった物を取り出す。

 遊戯の不可解な行動を見てなのはとネプテューヌは不思議そうに声を漏らす。

 

「えッ?」

「なになに?」

 

 遊戯は新八が邪魔になって椅子の下に置いておいた赤ん坊新八を引っ張り出して抱きかかえると、赤ん坊を包むための白い布の隙間に指を入れてなにかを取り出す。

 

「この青眼の白竜(ブルーアイズホワイトドラゴン)はどう説明するつもり?」

 

 なんと赤ん坊新八の布の隙間から青眼の白竜(ブルーアイズホワイトドラゴン)が出て来て新八は口をポカーンと開けて唖然とする。

 

「「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 まさかの展開に爆笑する銀時たち。

 

「アハハハハッ!! そ、そうきたかーッ!!」

「いやァーッ!! これはさすがに気付かんかったァーッ!!」

「アハハハハハッ!! 腹痛い腹痛い腹痛いッ!!」

 

 銀時とノッブはしてやられたとばかりに笑い、ネプテューヌは腹抑えて爆笑している。

 ポカーンとする新八に武藤遊戯が言い放つ。

 

「自分の子供を盗んだカードの隠れ蓑にするなんてあんたは最低の人間だッ!!」

 

 遊戯にビシッと指を突き付けられた新八は、

 

「ちがァァァァうッ!!」

 

 ありったけの声で言い返し、反論フェイズを返しする。

 

「そいつは僕の子供なんかじゃなァァァァァいッ!!」

「「「「「アハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 新八以外が爆笑しまくり、銀時が腹を抑えながらツッコミ入れる。

 

「な、なにを真面目に言ってんだお前は! ハハハハ!!」

 

 すると武藤遊戯が赤ん坊新八を流し目で見ながら告げる。

 

「だったら、みんなに確かめてもらおう。この子が君の子供であるかどうか」

「えッ?」

 

 戸惑う新八の肩をすかさずエル大納言がガシっと掴み、待機組全員が新八の顔を見れるように振り向かせる。

 そして遊戯は赤ん坊新八を縦にし、そのなんとも言えない表情をした顔を新八の横に並ばせる。

 人形の顔が横に並ぶ直前、新八は突然眉を吊り上げ下唇を突き出しながら変顔をし出す。

 

「「「「「アハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 新八以外全員が大爆笑。

 銀時とノッブが笑いながらコメントする。

 

「アハハハッ……! お、お前もう抵抗すんな……!!」

「い、いい加減観念せい……!! ァハハハ……!」

 

 遊戯は真面目な顔で待機組に問いかける。

 

「どう? みんな? ……似てる?」

 

 笑いながら銀時、ノッブ、ネプテューヌがすかさず答える。

 

「似てる似てる似てる!!」

「うんそっくりじゃなッ!!」

「クリソツクリソツクリソツッ!!」

「ぜッッッッたい息子です!!」

 

 最後の沖田さんは間違いないと言わんばかりにハッキリ言い放つ。

 

「お、お前らァーッ!!」

 

 あっさり自分を見捨てるどころか売り渡す四人を睨む新八だったが、すかさずなにを思い付いたのかネプテューヌを指さしながら訴える。

 

「だ、だったらネプテューヌちゃんも調べて下さい!! この子が実は本物のブルーアイズ持ってる可能性もあるでしょ!!」

 

 新八の言葉を聞いて一同は余計に笑い続け、銀時とノッブはツッコミ入れる。

 

「アハハハ……ほ、本物もう出たじゃねェか……!!」

「し、支離滅裂じゃな……!! アハハハハハ!!」

 

 新八に言われた通り遊戯は腕をスッと軽く振ってネプテューヌにカード探知機の先を近づけるだけにしてあっさり終わらせてから新八に告げる。

 

「彼女も違う」

「もっとじっくり調べろォォォォォォォ!!」

 

 と新八は怒鳴り、

 

「「「「「アハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 新八以外は爆笑する。

 もう完全に詰んだ状態の新八は更に抵抗フェイズを続ける。

 

「そ、そもそも僕はあなたが言ったような悪知恵を働かせません!! ぜ、〝善良な眼鏡〟なんです!!」

「「「「「アハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 新八の謎の発言に新八以外は爆笑し、仕掛け人の遊戯ですら笑いかけて顔を背けている。

 銀時、ノッブ、ネプテューヌが笑いながらコメントする。

 

「ぜ、善良な眼鏡ってなんだよお前……!! ハハハハ……!!」

「ハハハ……! こ、ここでボケかますの腹立つなー……!」

「善良な眼鏡ですって言い方がイラっとくるー……!!」

 

 なんとか笑うの堪えた遊戯は真面目な顔に戻って向き直り、新八に言い放つ。

 

「……いや、君の悪どさは既に証明されている。なぜなら……」

「な、なぜなら?」

 

 と新八が問うと遊戯はビシッと眼鏡の顔に指を突き付ける。

 

「君はもう一人の僕にイカサマで勝っているからだ!!」

「ええええええッ!? …………あッ!!」

 

 驚きながら思い出す新八。そして笑いが収まった銀時とネプテューヌと沖田さんが冷静にコメントする。

 

「あー、確かに勝ってたな」

「絶対負けると思ってたのに余裕で買ってたもんねー」

「なんかおかしいと思ってましたよ」

 

 新八はなに言いだすんだテメェら! と言いたげ眼差しを三人に向ける。

 遊戯は新八に力強く説明する。

 

「あんたはデッキをシャッフルした時にイカサマをしたのを僕は見逃さなかった!! そして僕は確信した!! あんたのようなずる賢い眼鏡がイカサマの犯人であると!! だからこの時の為にもう一人の僕はあんたにワザと勝たせたんだ!! 全てはあんたの悪事の証拠を突き付ける為の布石として!!」

 

 ドン☆ と効果音が出そうなほどの論破カウンターを叩きつけ、銀時、ノッブ、沖田さん、ネプテューヌ、神楽はおぉ……と声を漏らしつつパチパチと拍手している。

 一方、犯人となった新八は、

 

「ちがァァァァう!! 僕はイカサマなんかしてなァァァァァい!!」

 

 声を荒げて必死に抗う。

 銀時たちは笑いそうになっているのを堪えており、新八はなおも弁明フェイズを開始する。

 

「い、イカサマをしたのは僕じゃない!! あ、アテムだ!! アテムが〝ワザとイカサマ〟して僕に勝たせたんだッ!! だから〝めっちゃ弱い僕〟が勝ったんだァァァァァァ!!」

「フフ……!」

 

 遊戯もさすがに耐えきれなかったの吹き出す。

 

「「「「「アハハハハハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 新八以外が大爆笑。

 銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さんが笑いながらツッコミ入れ始める。

 

「アハハハ! ふぁ、ファラオの本名呼び捨てにしやがった……!!」

「そ、そんな力強く弱い言わんでも……!! ハハハハ!!」

「し、仕掛け人の癖して笑っちゃダメでしょ……!!」

「アハハハッ!! よ、弱いからってイカサマしない理由にならないでしょ……!!」

 

 結局新八の無意味な抵抗は功を奏さず、

 

「とにかくこっち来い!!」

 

 エル大納言にしょっ引かれてビンタの為の位置、待機席から少し離れた前へと移動する。

 

『※カード窃盗の犯人である志村新八にはお仕置きの大納言ビンタ』

 

 そして定位置までやってくるエル大納言は腕を組んで問いかける。

 

「よし、覚悟は良いな?」

「だから違うんですってばッ!!」

 

 と新八は必死に弁明し、エル大納言は問い返す。

 

「なにが違う?」

 

 新八は遊戯の抱きかかえる赤ん坊をビシッと指さす。

 

「あいつは僕の赤ん坊じゃありません!! たまたま拾った子なんです!! だから僕は無罪なんです!!」

「わーまた別方向から粘るなー……」

 

 笑いが収まっている銀時は腕を組みながら言い、エル大納言は問い返す。

 

「では、誰の子だと言うんだ?」

 

 新八は迷わず待機席側を指さす。

 

「ネプテューヌちゃんの子です!!」

「「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 まさかの飛び火に新八以外が爆笑し、銀時、ネプテューヌ、ノッブが笑いながらツッコミ入れる。

 

「アハハハハハッ!! お、女のネプテューヌに擦り付けても意味ねェだろ……!!」

「アハハハハハッ!! わ、私があんな子供産むワケないでしょ……!!

「い、遺伝子まったく仕事しとらんじゃないか……!!」

 

 エル大納言は真面目なトーンで新八に問いかける。

 

「どうことだ?」

「あいつはネプテューヌちゃんがどっかからこさえた子供で僕とはまったく無関係!! だから僕は無罪!!」

 

 諦めの悪い新八の弁明に銀時とノッブは半笑いになりながらコメントする。

 

「も、もう黙れお前……!!」

「と、とっととビンタ受けろ……!!」

 

 新八の言葉にエル大納言はうんうんと頷く。

 

「ほー、なるほど。お前の言い分は分かった。ならば、お前の赤ん坊に訊いてみよう」

「えッ?」

 

 驚く新八にエル大納言は告げる。

 

「赤ん坊は嘘をつかん。貴様が親なら反応を示すはずだ」

 

 エル大納言の言葉を聞いて遊戯が赤ん坊新八の首とお尻の辺りに手を当てながら縦に持って新八に近づく。そしてエル大納言は赤ん坊新八に顔を近づけて話しかける。

 

「さー、赤ちゃん。あの地味な眼鏡は、お前の……親か?」

 

 すると赤ん坊が、

 

「パバァ゛~ッ!」

 

 とても人間が出すとは思えないような凄まじくきったない声で新八をパパと呼ぶ。

 

「「「「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、なのは、ひかる、ララ、アウト』

 

 新八以外が大爆笑し、腕を組むエル大納言は新八に近づく。

 

「これでお前が犯人と決まったも同然だ」

「いやだァァァァァァァァァッ!! あんな〝バケモノ〟僕の子じゃなァァァァァァい!!」

「「「「「アハハハハハハハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

 新八以外の待機組全員が更に爆笑し、銀時とノッブが笑いながらツッコミ入れる。

 

「アハハハハッ!! あ、アレ声以外お前の顔そっくりだろッ!! アハハハハハッ!!」

「アハハハッ! ば、バケモノ呼ばわりせんでも……!!」

 

 エル大納言は嫌がる新八の胸倉をグイッと左手で掴む。

 

「さー、覚悟しろ」

「なら最後に……頼みを聞いて下さい」

 

 と真剣に言って新八は待機席を指さす。

 

「あそこにいる、病弱幕末剣士も一回ぶってください」

「いや、なんで?」

 

 と戸惑いの声を出す沖田さん。

 

「「「「「ァハハハハハハ……!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、神楽、アウト』

 

 戸惑う沖田さんは一応神楽の尻を叩いてから不満そうな声を出す。

 

「なんで私を巻き込もうとしてんですかあの眼鏡」

 

 エル大納言は新八の胸倉を離し腕を組みながら問いかける。

 

「なぜだ?」

「だ、だってあいつはカードを盗んだじゃないですか!」

「いや盗んでません!」

 

 と沖田さんは首を横に振って否定すると新八は、

 

「盗んでなくてもコピーカード持ってたろお前!!」

 

 力強く言い放つと沖田さんも首を横に振って否定の言葉を返す。

 

「そ、そうかもしれませんけど遊戯さんのカードじゃないただ偽物です」

「魂のないカードを作ったお前も十分罪深い!! 裁きを受けろ!!」

「「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、アウト』

 

 銀時と沖田さんは笑いながらツッコミ入れる。

 

「あ、あいつどこの立場でモノ言ってんだよ……!」

「よくアドリブで思い付きますねあんなセリフ……!」

 

 エル大納言は新八に語り掛ける。

 

沖田さん(あいつ)はもう関係ない。裁きを受けるのは真犯人である……お前だ」

 

 エル大納言はそのまま新八の胸倉を掴む。

 

「尺もあまりない。そろそろビンタするぞ」

「じゃ、じゃあビンタしないでください……!」

 

 怯えながら新八が反論すると、

 

「うるせェバカヤローッ!! 黙ってビンタされろ!!」

 

 凄まじい気迫で言葉を返すエル大納言。新八は更にビビりまくる。

 銀時はその光景を見て半笑いになりながらコメントする。

 

「もうアレほとんど蝶野さんだな……」

 

 すると新八は小さな声を出す。

 

「……れました……」

「ん? なんだ?」

 

 エル大納言が新八の胸倉を掴みながら問うと新八は小さな声で言う。

 

「ぼく……一回……ビンタ……されました……」

「もう少し大きな声で言ってみろ」

 

 新八は少し声を大きくしていう。

 

「……オイラに……一回ビンタされたから、ぶたないで……ください」

「んなこと知るかァーッ!!」

 

 エル大納言は新八の顔の間近で怒鳴り散らす。

 超ビビる新八は思わず後ろに下がって逃げようとするがエル大納言は胸倉を思いっきり掴んでいるので新八は嫌がりながら苦悶の表情を浮かべる。

 

「「「「「ンフハハハハハハハハッ……!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さん、神楽、アウト』

 

 抵抗虚しくついにお仕置きの大納言ビンタのカウントダウンが始まる。

 

「さー行くぞ。……5、4、3、2、1!」

 

 バシィーンッ!!

 

「ッッッ――!!」

 

 衝撃のあまり声も上げられずに後ろに吹っ飛び倒れる新八。ビィ(?)の時と同じく、彼の眼鏡も吹っ飛んでしまう。

 そしてエル大納言は最後に決めゼリフを言い放つ。

 

「ガッデムッ!!」

 

 エル大納言は白い扉に向かって歩き、遊戯も赤ん坊を床に置いて白い扉の奥へと消えていく。

 

「あんだけ赤ん坊扱いしといて床に置いてくんだな……」

 

 と銀時がツッコミ入れ、床に倒れる新八は恨めしそうに銀時、ノッブ、ネプテューヌ、沖田さんを見ていた。

 新八の眼光を見て銀時とノッブはコメントする。

 

「わー……人殺しそうな目してる……」

「アレなら目からビーム出せそうじゃな……」

 

 ビンタされた新八に興味ないのかネプテューヌはこれから先に起こることを呟く。

 

「それより、あんだけ笑っちゃったから絶対罰ゲーム来るよねー……」

 

 ネプテューヌの言葉に銀時とノッブが相槌を打つ。

 

「あー……全員来るなー……」

「2週くらいやらされそうじゃなー……」

 

 ビンタタイムが終わったのでなのは、プリキュアコンビが新八を助け起こしたりしつつ銀時たちは罰ゲーム迎えることになった。

 

 

 

 一方、暗い空間ではある男が椅子に座って画面を見ながら、タイキックされたり、真田されたり、電撃握手くらったり、ハリセンくらって苦しむ銀時たちの様子を眺めていた。

 

「フフフ……そろそろ出番だな……」

 

 そう言って男は立ち上がる。

 

 


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