魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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※予定(理想的)では今週中にすごろく大会は終盤まで進めるつもりです。


2020年明け 6:ミッションとイベント

「ようやく1周だな……」

 

 全チームがサイコロを振って二回目の自分のチームの番が来たことにため息を吐く銀時。ここまで来るのに何度笑って何度痛い目にあったことか。

 そして次にチーム銀ノッブのサイコロを振るのはノッブ。

 

「ほいっと……」

 

 ノッブが軽くサイコロを片手で投げれば出た目は3。

 

「おー、少しマシな数字が出てきたな」

 

 と銀時がコメントしているうちに銀ノッブのコマ(頭は赤い液体と酢昆布まみれ)が動き出す。

 そして3コマ進み、アナウンスと共にディスプレイに内容が表示される。

 

『ハズレマス』

 

 ミッションマス以外の種類が出て来た。ディスプレイの文字を見てノッブと銀時は露骨に嫌そうな顔をする。

 

「ハズレマス……」

「いやーな予感……」

 

 新しい種類のマスが出たのでフェイトが説明を始める。

 

「ハズレマスは文字通りハズレです。基本はプレイヤーに不利益(マイナス)なことが起こります」

 

 とフェイトが説明し終えるとハズレマスの内容が表示される。

 

『1回休み』

 

「うわッ……すごろく的に普通だけど地味に嫌なヤツだ……」

「んー……キツイぞコレ……」

 

 この最低の罰ゲームが待ってるすごろくでは重症レベルの躓きに銀ノッブの二人は顔をしかめ、待機席へととぼとぼ戻っていく。

 そして次にチームメガメガが前へと出て新八が地面に落ちたサイコロを手に取り、一旦息を吐いて気持ちを整えている。

 

「……よし」

 

 うんと頷いてサイコロを投げる新八。

 出た目は5。

 

「ぱっつぁんやるじゃん!!」

 

 良い結果にネプテューヌは喜んで新八の尻をバシッと強く叩く。

 

「い゛ったい!! ちょッ!! やめてッ!! さっきまで結構尻叩かれてて尻が弱ってんだから!!」

「い、いや尻弱ってるって……」

 

 新八の言葉にギリギリ笑いそうになるが堪えるネプテューヌ。

 そしてコマが5マス進む。

 

『ミッションマス――野球

成功条件:投手からヒットを一本打つ

失敗条件:チーム全員が三振

成功した場合:10マス進む』

 

「野球……」

「10マスって大分奮発してる……」

 

 ミッションの内容を呟くネプテューヌと新八にフェイトが近づき説明をする。

 

「それでは、二人は白い扉を潜ってミッション用のステージに移動して下さい」

 

 促された二人は戸惑いながら開いた白い両扉を潜っていく。

 どうやら大掛かりのミッションらしいが、このままだとチームメガメガがこれから何をさせられるのか待機組には見えない状態。

 

「それでは、待機組の皆さんは空中のディスプレイを見て下さい」

 

 とフェイトが促し、待機組の視線が空中の巨大ディスプレイに向けば、ある映像が表示される。「おッ……」と銀時が声を漏らす。

 映像は新八とネプテューヌを映し、それから彼らがこれからミッションを行うステージの各所や全体像が映し出され、なのはが驚き気味に声を出す。

 

「あッ、野球場だ」

「新八とネプテューヌがいますし、わざわざ球場でバッティングするんですね……」

 

 無駄に大掛かりな設備に沖田さんは汗を流し、映像が再び新八とネプテューヌをピックアップする。

 

「なんか年明け特番のスポーツなんちゃらを思い出すの……」

 

 腕を組むノッブがコメントすれば、ネプテューヌと新八が長谷川に金属バットを手渡された。

 

『長谷川さん仕掛け人とスタッフ兼任してんですね……』

 

 ディスプレイから新八の声が流れると銀時となのはがコメントする。

 

「わー、ぱっつぁんの声がめっちゃクリアに聞こえる」

「しかも画面の下に字幕出てますよ……」

「いや生放送じゃろアレ? どうなっとんじゃアレ?」

 

 最早技術が色々となんでもありなことに対してノッブですら戸惑う始末。

 そんなこんなでミッションを進める為にフェイトがマイクに向かって声を出す。

 

「ではミッション通り、二人はこちらが用意した投手からヒットを一本打てば成功です」

『あッ、フェイトちゃんの声だ』

 

 と新八が反応し、ネプテューヌが「はーい」と手を上げて返事をしながらバッターボックスに向かう。

 

『それじゃ、私がサクッと打って終わらせますか~』

 

 銀色の金属バットを軽く振りながら余裕のネプテューヌ。

 そしてベンチから野球帽を被り、グローブを付け、ボールを握った投手が出てくる。

 

『■■■■――!!』

 

 バーサーカー(ヘラクレス)が投手板に立つ。

 

「「うわッ……!!」」

 

 と沖田さんとノッブがいの一番に反応し、

 

『『うわァァァァァァァァッ!!』』

 

 新八とネプテューヌが絶望の声を上げる。

 

「「「わわわわわ……!!」」」

 

 なのは、ひかる、ララは映像越しのとんでもない投手に顔を青ざめさせる。

 

「あー、ダメだな……」

 

 銀時がボソッと呟くとすぐにミッションスタート。

 ぶるぶると震えてバットを構えるネプテューヌに対し、

 

『■■■■■――!!』

 

 ヘラクレスは容赦なく全力投球。

 

『うぎゃッーッ!!』

 

 人ぶっ殺しそうなほどの威力で投げられた野球ボールにビビるネプテューヌはボールから逃げるように後ろに飛び下がり、とんでもな風圧を放つボールはストライクゾーンに入ってそのまま後ろの壁に激突。分厚い鉄の壁に野球ボールがめり込む。

 

『『…………』』

 

 尻もち付くネプテューヌと後ろで控えていた新八は鉄の壁にめり込んだボールを見て唖然。

 

『ストライク』

 

 機械判定なのかストライクのアナウンスが流れる。

 そしてネプテューヌと新八は、

 

『『打てるかァァァァァアアアアアアアッ!!』』

 

 ありったけの声でシャウト。

 

「どうりで10マスなワケだ……」

 

 と銀時が冷めた声を漏らし、ネプテューヌは涙目になりながらバットを構える。

 

『もうヤケクソじゃァァァァァァァッ!!』

『■■■■■――!!』

 

 ヘラクレスピッチャーが二球目を投げる。

 

『おんりゃァァァアアアアアアアアアアアアッ!!』

 

 ほとんど当てずっぽうでネプテューヌはバットを振り、バキンッ!! と凄まじい音が響く。

 

「えッ……!?」

「当た……った?」

 

 音で銀時とひかるが驚きの声を漏らしていると、地面にコトンとバットが落ちる。厳密に言うとバットの上半分。

 ネプテューヌは落ちたバットの上半分を見てから後ろの壁にめり込んだ二球目のボールを見て、次に自分が握っているバットを見る。

 〝金属〟バットは〝半分〟にポッキリ折れていた。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 映像の光景に待機組一同は唖然とし、

 

『『打てるかァァァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!』』

 

 ネプテューヌと新八は涙を流しながらシャウト。

 

『ストライク』

 

「えッ? アレストライクなの?」

 

 と銀時が疑問の声を漏らし、ネプテューヌは折れたバットを勢いよく投げ捨てる。

 

『こうなったら私の奥の手見せてやるーーーーーー!!』

 

 気合いの声を出し、ネプテューヌはまたパープルハートへと変身。

 ノッブと沖田さんは呆れ声でコメント。

 

「いやバットが折れるんじゃ変身しても意味ないじゃろ……」

「つうかあの恰好でメットだけ被ってるのってシュールですね……」

 

 パープルハートは不屈の闘志でバッティングホームで構える。

 

『さぁ……きなさい!!』

 

 パープルハートが構えているのはバット――ではなく黒と紫の入り混じった刀だった。

 

「あれで打つ気かよ!?」

 

 と銀時が驚きの声を漏らし、ノッブが冷めた声を出す。

 

「もうヤケクソじゃな。もし当たってもあれじゃボールが真っ二つになるだけじゃろ……」

『■■■■■――!!』

 

 ヘラクレスが気合いの雄たけび(?)を上げ、三球目を投球。

 

「ッ――!!」

 

 捉えた! とばかりにパープルハートはカッと目を見開き、愛刀を振り切る。

 スカッ!! と刀にボールはかすりもせず、後ろの鉄の壁にストライクする。

 

「「「「「えッ?」」」」」

 

 まさかの結果に呆けた声を漏らす待機組。そしてアナウンスが流れる。

 

『それでは、今の瞬間をスローで見てみよう』

 

 すかさずディスプレイにバッディングの瞬間の映像がスローモーションで流される。パープルハートの脇をボールがすり抜けていく頃に刀が振られ始めているのがよくわかった。

 

「「「「「アハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、なのは、ひかる、ララ、神楽、沖田さん、アウト。

銀ノッブ:6ポイント

プリなの:4ポイント

沖楽:5ポイント』

 

 そして銀時とノッブが笑いながらツッコミ入れる。

 

「へ、変身までして外すのかよ……!」

「み、見事に振り遅れたなー……!」

 

 そして三振したパープルハートは既にネプテューヌに戻っており、

 

『うぅ……チクショー……!』

 

 涙を流しながら球場の土を集めていた。

 次の番が来た新八がバットを持ちながらバッターボックスに立ち、バッタを握り締め息を吸い込み、

 

『かかってこいやオラァァァァァァッ!!』

 

 気合いの一声で立ち向かう。

 

 

 

「――それで、ミッション失敗ですがマイナス1ポイントと2マス戻るのどちらにしますか?」

 

 とフェイトが聞くと、

 

「「……とりあえず、2マス戻ります……」」

 

 結局予想通り三振して球場ステージから戻ってきた二人が沈んだ声で告げる。そしてチームメガメガのコマが2マス戻る。

 とぼとぼと待機席に戻る新八とネプテューヌを見ながら銀時がノッブに話しかける。

 

「なー、なんであいつら2マス戻るにしたんだろうな。折角デカい数字出て結構進んだのに」

「罰ゲーム回避を優先したんじゃろ。なにより、わしらが1回休みなのを見越してな」

 

 と銀時とノッブが話し合ってる間にチームなのプリがサイコロを振る。

 

「えいッ!」

 

 ひかるが勢いよくサイコロを投げ、出た目は4。

 

『アイテムマス』

 

 アナウンスと共にディスプレイに表示された文字を見てなのはがあッ、と声を漏らす。

 

「新しいマスだ」

 

 そして司会進行を務めるフェイトが近づきつつ説明する。

 

「アイテムマスは1~8番のうちのどれかの番号を選んでもらいます。選んだ番号に合わせてアイテムを一つ支給します。アイテムによって得られる効果や影響は様々です」

「「なるほど」」

 

 プリキュアコンビがうんうんと頷き、チームプリなのの作戦会議が始まる。

 

「……とりあえず、どうします?」

 

 なのはが少々不安げに尋ねるとララがひかるを指さす。

 

「ならひかるに任せルン!」

「えッ? 私?」

 

 とひかるが自分の顔を指さしながら目をパチクリさせるとなのはがルルの意見に同意を示す。

 

「あー、確かに。ひかるさんて運が良さそうですしね」

「わ、わかった! 頑張る!」

 

 ひかるは両の拳をギュッと握りしめ、フェイトへと人差し指を立てながら告げる。

 

「じゃー1でお願いします!」

「端っこの番号は止めた方が良いと思うけどなー……」

 

 ボソッと銀時がコメントを漏らし、フェイトが「それでは……」と言ってある物を取り出す。

 

「こちらをどうぞ」

 

 長方形の皿に乗った白く丸い食べ物だった。

 

「あッ、大福だ」

 

 とひかるが反応し、なのは大福を数える。

 

「ちょうど三人分ですね」

「ひかるの家で食べたことあるルン!!」

 

 フェイトはひかるに大福と刺す用の短い串が乗った皿を手渡しながら説明する。

 

「1のアイテムは大福です。好きな時に食べて下さい」

「あー……良かったー……」

 

 なのははホッと胸を撫でおろし、ララも安心したように肩を撫でおろす。

 

「酷いアイテムに当たらなくて良かったルン」

「とりあえず、席に戻って食べよう」

 

 ひかるの言葉になのはとララもうんと頷き、三人は待機席に戻っていき、代わるように沖田さんと神楽が前に出る。

 

「「…………」」

 

 一方、銀時と新八は皿に乗った大福を無言でジッと見つめている。

 そして沖田さんがサイコロを投げる。出た目は5。

 

「おッ! やったアル!」

 

 神楽は喜ぶが、沖田さんは「あッ」と声を漏らしている。

 コマが移動し、止まったマスはさきほどチームメガメガが挑戦した『ミッションマス』の『野球』。

 空中のウィンドウに表示された文字を見てさっきまで喜んでいた神楽も「あッ……」と声を漏らす。

 そして始まるバーサーカーピッチャーの投球。

 ボールにバットが当たるが吹っ飛ぶ! 沖田さんバットに当てるが三振空振り! 

 

『打てるわきゃないでしょあんなの!!』

 

 画面の向こうでは沖田さんがヘルメットを地面に叩きつける。

 そんなほぼムリゲーな野球中継を見ながら大福を食べているプリなの。大福を口にし、ララが少し驚きの声を出す。

 

「あッ、これちょっとしょっぱいルン」

「「――ッ!」」

 

 新八と銀時が反応を示し、なのはとひかるが説明する。

 

「コレ塩大福ですね」

「しょっぱいのと甘いのが混ざって美味しいね」

 

 三人の塩大福の感想を聞いて銀時と新八はお互いの顔を見合わせる。

 

「ぎ、銀さん……アレって……」

「いや、さすがにないだろ。だってプリキュアにアレをなー……」

 

 すると銀時の隣のノッブも反応を示す。

 

「まー、この容赦のないイベントじゃ。なにより、来る時が来たのかもしれんな」

「あー、お前も知ってんだ、アレ……」

 

 と銀時が気のない返事をする辺りで、画面の向こうでは神楽がボールにバットを当てるがバットが折れている。

 

『チクショメェェェェェェェッ!!』

 

 バットを地面に叩きつける神楽であった。

 結局、チーム沖楽は5マス進んで2マス下がった。

 そして三巡目――チーム銀ノッブは一回休みなので飛ばしてチームメガメガ。

 

「それじゃネプテューヌちゃん、お願い」

 

 と新八が声を掛ければネプテューヌはビシッと敬礼。

 

「任されたッ!」

 

 そしてネプテューヌが軽くサイコロを投げれば、出た目は4。

 コマが移動しマスの内容が表示される。

 

『イベントマス――ジョーカー』

 

「あッ、また新しいマスが出た……」

 

 新しいマスが出たのでお馴染みのフェイト司会進行の説明が始まる。

 

「説明します。イベントマスは文字通り何かしらのイベントが発生します。基本的には参加者たちが何かするワケではありません」

 

 フェイトの説明を待機席で聞いている銀時とノッブは訝し気な表情となる。

 

「基本的には……かー……」

「いやーな予感がするのー……」

 

 フェイトは手を空中のディスプレイへと向ける。

 

「では、映像が始まるので皆さんはディプレイを見て下さい」

 

 フェイトに促され参加者一同がディスプレイに目を向ける。ちなみにさきほどまでサイコロを振っていた新八とネプテューヌも待機席に戻っている。

 やがてある映像が映し出され始める。

 

*

 

 薄暗い部屋。ブーと言う音が鳴ると同時に扉が開き、眼鏡をかけ髭を蓄えた男が出てくる。

 眼鏡をかけた男が歩くと同時にアングルが変わり、薄暗い部屋の中で鉄の机の前に座るのはピエロのメイクをした男。

 ピエロは問いかける。

 

『ごきげんよう。結果はどうだった?』

 

 そこまで映像を見て銀時がコメントする。

 

「なんかどっかで見たことあるぞコレ……」

「たぶん嘘字幕で有名な奴ですよ、アレ……いや、僕ら見てるの吹替ですけど……」

 

 と新八が相槌を打つ。

 そして映像が続き、ピエロの男――ジョーカーと対面するように座るゴードン警部が告げる。

 

『なんとも言えんな……』

『だろうね』

 

 とジョーカーが相槌を打つとゴードンが問いかける。

 

『お前はどう思う?』

『俺か? ……俺は特に問題なかった』

 

 すると新八がコメントする。

 

「なんかー……普通ですね」

「ちょいと違和感を感じるが特に変なとこないな」

 

 ノッブが腕を組みながらコメントし、映像は進んでいく。

 ジョーカーが手錠を見せつけてから言う。

 

『他に誰が回した? お前の部下か? まーなんにせよ……良い結果にはならなかったかな?』

 

 黙るゴードンにジョーカーは告げる。

 

『いかんかな? 総督。できる人間がどれ程いる? よく考えずにやらせたらどんな結果を招くか予想できなかったのかな?』

『お前はどうだ?』

『いま何時?』

『それを訊いてどうする?』

『時間によって違うんだ。纏まってたり、バラバラだったりね』

 

 唐突に始まったバットマンダークナイトのジョーカーの尋問シーン(吹替)を黙って見続ける銀時たち。

 

『ゲームをするつもりなら……』

 

 そこまで言ってゴードンはジョーカーの手錠を外し、立ちながら告げる。

 

『コーヒーを持ってこよう』

『お決まりのパターンだな』

『少し違う』

 

 そこまで言ってゴードンは尋問室のドアを開けて出て行く。

 ドアが閉まると同時に電気が明るくなった瞬間、ジョーカーの後ろに黒い男が立っており、黒い男は彼の頭を机の上に叩きつける。

 ジョーカーは痛がりながら額を抑え、自分の前へと回り込んだ黒い男――バットマンに文句を言う。

 

『ずいぶんご立腹だな。やっぱ結果がわる――』

 

 すかさずバットマンがジョーカーが机に置いた右手に拳を叩きつける。

 

『――っかたのかな?』

 

 椅子へと座ったバットマンがジョーカーに低い声で告げる。

 

『俺の結果を聞きたいんだろう?』

『お前の出方をみたくてね』

 

 ジョーカーが喋ってる途中でマジックミラー越しに尋問室の中の様子を覗いている警察たちのシーンが挟まれる。

 そして再びジョーカーとバットマンが対談するシーンに移る。

 

『そして期待通りの結果だったと見える。お前は失敗し、次のチャンスまで待たなくちゃならなくなった。残念だったな。俺と同じ強欲な奴だ』

『そんなことはない』

 

 食い気味に否定するバットマンにジョーカーが諭すように告げる。

 

『バカな奴は次こそは次こそはと躍起になる。だが俺にはわかる。元には戻らない。お前は間違いなく後悔している』

『そんなことはない』

 

 そこでジョーカーは吹き出し笑いながら煽るように語り掛ける。

 

『後悔してるだろ? どう考えても未練たらたらだぜ? 俺にも同じ轍を踏ませようとってか? まさか』

 

 そこまで見て銀時が眉間に皺を寄せる。

 

「やっぱセリフおかしくね?」

「なんか違和感ありますよね」

 

 と新八が相槌を打ち、ジョーカーがバットマンに諭すように語り掛ける。

 

『お前は、まさに俺と同じだ』

『お前と一緒にされる筋合いはない』

『誤魔化すな!』

 

 ジョーカーは食い気味に言い放ち、冷静な声で語り掛ける。

 

『だからお前は失敗したんだ。……所詮お前も同じ穴のムジナに過ぎない。俺と同じくな。連中がお前を必要としてると思うか? お前は必要としてるとしても、お前の想いに応えてくれるとは限りない。ましてや闇を自覚してなお突き進むとは、タチの悪い冗談だ。だから俺が教えてやろう』

 

 ジョーカーはグイッとバットマンに顔を近づけ、告げる。

 

『俺の〝グラブルガチャ〟の結果をな』

 

「「「ッ!?」」」

「「ブッ!?」」

「んん!」

 

『新八、ネプテューヌ、アウト。

メガメガ:1ポイント』

 

 驚く銀時、ノッブ、神楽、吹き出す新八、ネプテューヌ、そして笑うのはギリ耐える沖田。

 銀時とノッブは笑うの耐えてから納得したように声を出す。

 

「あー、違和感あると思ったらそう言うことかー……」

「ガチャの話だったかー……」

 

 そして再び映像は再生され始め、さきほどのシーンの続きから始まる。

 

『俺の〝グラブルガチャ〟の結果をな』

 

 ジョーカーさんが余裕の表情で告げる。

 

『まーとりあえず年末年始じゃお目当てのピックアップキャラはゲット出来たぜ』

 

 そこまで言ってジョーカーはグイッとバットマンに顔を近づけ、低い声音で告げる。

 

『――お前はどうだった?』

 

 突如としてバットマンがジョーカーの胸倉を掴み上げる。

 バットマンはジョーカーの足を地面から離させながらより一層声音を低くする。

 

『クリスマスでサンタナルメアちゃんが手に入った』

 

 少し笑いそうになった銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、沖田さん。そして沖田さん以外の面々ががツッコミ入れる。

 

「バットマンにサンタナルメアちゃんって言わせんよ……」

「イメージ崩れるのー……」

「もうダークヒーローじゃなくてただのソシャゲおじさんとソシャゲピエロですね……」

「しかも良い声の吹替で言うからなー……」

 

 ツッコミ入れてる間もシーンは続いていく。

 

『おー良かったじゃないか。間違いなくお目当てのキャラだろ?』

 

 バットマンはジョーカーの背中を壁へと叩きつける。

 そこまで見てノッブは冷めた声で告げる。

 

「わしら一体何を見せられてるんじゃ?」

 

 バットマンはジョーカーの首を腕で抑え付けながら低い声音で告げる。

 

『天井まで引いたんだぞ』

『おー、初めての300連か。もしかして天井でナルメアゲットか?』

『あーそうだよ』

『今までガチャ我慢した甲斐があったな。ガチャを回す石は狙いのキャラの為に惜しみなく使うのがベストだぞ』

『マギサさんが出なかった』

『そりゃ残念。だがどちらかしか選べないなら優先度の高い方を選ぶ他ないだろ』

『……どちらか……』

 

 そこまで聞いて銀時が腕を組みつつコメントする。

 

「なんかちょくちょくそれっぽいセリフにしてくんのが腹立つなー……」

 

ジョーカーはバットマンに告げる。

 

『苦渋の決断だっただろう。〝シコリティ〟が高いキャラを優先するのはソシャゲあるあるだ』

 

「「「「アハハハ……!!」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌ、アウト。

銀ノッブ:4ポイント

メガメガ:-1ポイント

※0ポイントのチームが出ましたが映像は続きます』

 

 映像が止まり必死に笑いを耐える沖田さんの横で銀時と新八とノッブは半笑いながらツッコミする。

 

「なにを真面目に言ってんだ……!」

「いきなり下ネタぶっこんできましたねー……!」

「結局スケベ親父ではないか……! いや分からぬくはないが……!」

 

 新八は笑いつつ、たぶんネタについていけてないだろう困惑顔のチームプリなのを見る。それ見てまた笑いそうになる新八は我慢しつつコメントする。

 

「……こ、コレもそうだけどなのはちゃんたちが特定のネタが笑う回数少ないなー……」

「絶対色々ネタが分かる私たちを狙い撃ちしてるよもー……」

 

 ネプテューヌが疲れようにコメントした辺りで映像が再開される。

 やがて再び止まった映像が動き出す。

 

『苦渋の決断だっただろう。シコリティが高いキャラを優先するのはソシャゲあるあるだ』

 

 バットマンがジョーカーを机の上に叩きつけ、背中を打ち付けられたジョーカーはケラケラ笑い出す。

 

『天井回しご苦労様!』

 

 バットマンは椅子でドアを封鎖。

 机から降りたジョーカーは背中を伸ばしながら告げる。

 

『まぁ、もう一回天井まで回せば良い話だしな』

 

 バットマンはすぐさま近づいてジョーカーの頭を近くのガラス窓に叩きつける。

 

『出来るワケねェだろ!』

 

 するとジョーカーは壁に背中を預けながら告げる。

 

『なら天井に頼らず当てれば良い!』

 

 バットマンはジョーカーの顔を殴る。

 

『出来るワケねェだろ!!』

 

 怒鳴るバットマンにジョーカーは体を元の位置に戻しつつ告げる。

 

『俺は天井せずに初っ端両方当てたんですけどね! 次のクリスマスガチャまで頑張って石貯めてね! アハハハハ!!』

 

 バットマンはジョーカーの顔を殴り付け、倒れ伏すジョーカーは体を起こしつつ嘲笑いながら告げる。

 

『まー何度やっても無駄さ。何度やろうがあんたはお目当てのキャラを引くことはない。お前がいくら我慢して石貯めようとな』

 

 ジョーカーの煽りに耐えきれずにバットマンはピエロの胸倉を持ち上げる。

 

『そうカッカするな。俺がガチャの必勝法を教えてやる。これでお前もいくらでも好きなキャラを揃えられるぞ。やることは一つだけ。お目当てが出るまで、ガチャを――回し続けろ』

 

 バットマンはジョーカーを床に叩きつけるところで画面は暗転する。

 するとタイミングよくフェイトが告げる。

 

「これでイベント映像が終わったのでポイントが0以下にまでなったチームの罰ゲームを始めます」

 

 新八、ネプテューヌが嫌そうに声を漏らす。

 

「注射だけは避けないと……」

「あー……もうあんな映像で……」

 

 チームメガメガの抽選。

 出た数字は1。

 

「「うげッ!?」」

 

 もう何が来るか分かってる二人は嫌そうな声を出し、すさかずネプテューヌが新八に力強く言い放つ。

 

「ぱっつぁん!! 弟の責務として姉キック受けなさい!!」

「嫌だボケッ!!」

 

 言い合っても結局決まらないので公平に決める。

 

「「最初はグー!! ジャンケンポン!!」」

 

 新八はパー。ネプテューヌはチョキ。

 

「あああああああああああッ!!」

「よっしゃーッ!!」

 

『罰ゲーム1――妙キック』

 

 そして妙キックさんが謎ダンスしながら登場。

 新八は姉からのキックをジッと待つ、

 

「あ、姉上!! 僕弟ですから!! だから手加減してッ!!」

 

 ほど度胸はないのでやっぱり命乞い。

 

「ケツ砕けろおらァァァァァァァァッ!!」

「お゛ッッッッ!!」

 

 だが姉は全く容赦せず、実の弟は苦悶の声を上げながら尻を抑えて倒れ悶絶している。

 

「「フッ……!!」」

 

『銀時、ネプテューヌ、アウト。

銀ノッブ:3ポイント

メガメガ:8ポイント』

 

 銀時とネプテューヌは耐えきれず吹き出し、ポイントを失う。

 すかさずノッブが銀時のケツを叩く。

 

「そらッ!」

「いっだッ!! 5秒も笑ってねェよ!!」

 

 無意味にケツ殴られた銀時は文句を言う。

 そんなこんで罰ゲームタイムは終了し、次はプリなのがサイコロを振る番になる。

 

「ルン……」

 

 ララが投げたサイコロの目は……6。

 

「おお!」

「凄い!! また高い数字!!」

 

 喜ぶプリなのをよそにコマは進み、マスの内容が発表される。

 

『イベントマス――ジョーカー2』

 

「「「「「えッ?」」」」」

 

 一同が呆けた声を出し、またウィンドウにさっきのジョーカーさんの映像が流れだす。

 しかもそれは唐突にバットマンがジョーカーに対面するシーンで、ジョーカーが低い声音で告げる。

 

『レジェフェスでグビラちゃんどころかビカラちゃんも出なかった』

 

「「「「「もうええわッ!!」」」」」

 

 ノッブ、銀時、新八、ネプテューヌ、沖田さんが一斉にツッコムのであった。

 ほとんどセリフが変わったガチャ報告だったので不意打ちもなく特に目新しい映像もなかったのだが、ジョーカーさんが映像の終盤であるセリフを言いだす。

 

『そうカッカするな。ガチャが失敗してそんなにストレス溜まったか? なら最高のストレス解消法を教えてやる。ネプテューヌ――妙キックだ』

 

「え゛ッ!?」

「「「「「えッ?」」」」」

 

 驚きの声を上げるネプテューヌと呆けた声を漏らす他の面々。

 映像が終わりすぐさまアナウンスが流れる。

 

『ネプテューヌ、妙キック』

 

 そしてタイキックさんのBGMが流れ始め、白い両扉から妙キックさんが踊りながら出てくる。

 

「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってェェェェェェェッ!!」

 

 まさかの展開にありったけの声で悲鳴を上げ、妙キックさんから逃げるように新八の後ろに隠れるネプテューヌ。

 

「「「「「アハハハハハッ……!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、沖田さん、神楽、アウト。

銀ノッブ:1ポイント

メガメガ:6ポイント

沖楽:3ポイント』

 

「いやァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 まさかの理不尽展開にネプテューヌはありったけの声で悲鳴を上げる。もちろん新八のケツ叩くなんて考えはない。

 

「ハハハ……ほ、ほらほら、妙キック受けて……逃げてもしょうがないから……」

 

 だが新八は笑いながら容赦なくネプテューヌを強引に引っ張って妙キックさんの元に差し出す。

 

「わァァァ! わァァァァ!! わァァァァアアアアアッ!!」

「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」

 

 ネプテューヌが必死に首を横にぶんぶん振って全力で嫌がる姿を見て更に笑う銀時、ノッブ、沖田さん、神楽。チームぷりなのの面々ですらネプテューヌのオーバーな嫌がり方に笑いそうになっている。

 そして背の低い女神は妙キックさんに捕まりそのままキックを受ける体勢に促される。

 ネプテューヌは怯えながら命乞いを始める。

 

「私はか弱い女神さま――!!」

「ケツ死ねェェェェェェエエエエエエ!!」

 

 全力の妙キックがネプテューヌの尻に炸裂する。

 

「ア゙ヴヂッッッッ!!」

 

 前に少し吹っ飛ばされ、尻を抑えながら倒れ死にかけの魚のように悶絶するネプテューヌ。その光景を見て新八も鼻息荒くしながら笑うの耐える。

 妙キックさんは白い扉の奥に帰って行き、なんとか笑いが収まった新八は悶絶するネプテューヌに声を掛ける。

 

「だ、大丈夫……ぶ?」

 

 ネプテューヌは声を震わせながら答える。

 

「……し、ししり……だけじゃ、なくて、腰も……痛い……」

「「「「ァハハハハ……!!」」」」

 

『銀時、ノッブ、新八、沖田さん、神楽、アウト。

銀ノッブ:-1ポイント

メガメガ:4ポイント

沖楽:1ポイント』

 

 もちろん新八の尻叩く人間がいないので更にポイントはマイナス。笑いながら銀時がコメントする。

 

「ハハハ……せ、背低いから腰にもあったたかー……!」

 

 

 

 そして罰ゲームを受ける銀ノッブ。

 

「あー……またかー……」

「もう三回目じゃぞ……」

 

『罰ゲーム6――真田丸』

 

 ディスプレイの文字を訝し気に見ている銀時。

 白い両扉が開いて中から黒い制服を着た男たちが二人出てくる。それはなんと真選組の面々――近藤勲、土方十四郎。

 

「あッ、チンピラ警察……」

 

 もろ知り合いが執行人として出てきて声を漏らす銀時。さらに沖田さんも反応を示す。

 

「おー、アレが別世界の近藤さんや土方さんがですか……。近藤さんマジでゴリラですね……」

 

 沖田さんにゴリラ呼ばわりされた近藤がフェイトに代わり元気よく説明する。

 

「では、お前たちのうちどちらかがこの馬に乗馬してもらう!」

 

 近藤が指さした方には扉から白い『三角木馬』を引っ張って来る沖田総司と山崎退。

 

「「げッ……!」」

 

 三角木馬を見て銀時とノッブは同時に嫌なそうな声を漏らし、すぐさま始める。

 

「「最初はグー!! じゃんけんぽん!!」」

 

 銀時チョキ。ノッブはパー。

 

「しゃーおらーッ!!」

「のあああああッ!! わしの幸運ステサボり過ぎじゃろォーッ!!」

 

 銀時はガッツポーズして喜び、ノッブは自身の右腕を握りしめながら嘆く。

 じゃんけんの結果が決まったところで近藤がうんと頷く。

 

「では別世界の信長殿にはこの真田の象徴たる赤鎧を着てもらおう」

 

 そう言って近藤、土方、沖田、山崎はすぐさまノッブに赤い兜や鎧を付け、大人しく鎧を付けられるノッブは小さくツッコミ入れる。

 

「なんで織田のわしが真田にならねばならんのじゃ……。つうか真田丸なんてとっくにブーム過ぎ去ってるじゃろうが……」

「あー、でも結構似合ってんじゃん」

 

 と銀時が呑気にコメントし、ノッブは近藤と土方によってすぐさま三角木馬に跨らされる。

 

「ちょッ……思ったよりキツイぞコレ……」

 

 ノッブが苦悶の声を漏らす中、近藤と山崎は真田の家紋を描かれた白い旗を立て、土方は小太鼓を叩き、沖田が三角木馬の手綱を握る。

 

「いくぞーッ!!」

 

 近藤が気合いの一言で沖田が手綱を引っ張り、三角木馬は動き出す。

 

「いたッ……! い、いたい……!」

 

 ノッブが地味に悲鳴を上げるが、

 

「「真田! 真田!! 真田丸ッ!!」」

 

 旗を掲げる近藤と山崎の掛け声と土方のポンポンポンポン!! と言う太鼓の音にノッブの小さな悲鳴は掻き消える。

 

「アハハハッ……! 真田丸にバカにしてんだろ……!!」

 

『銀時、アウト。

銀ノッブ:-3ポイント』

 

 銀時が笑ってしまい、彼の尻を叩く人もないないので銀ノッブは余分にポイントを失う。

 そして木馬が進んでいく先の地面にはなぜかコブのような小さな盛り上がり出来た道があり、それを見たノッブは慌て出す。

 

「ちょちょちょ!! いだだだだだだだだだだだだだだだッ!!」

 

 デコボコ道を通ると木馬がかなり振動するのでノッブはたまらず悲鳴を上げ、銀時は更に笑い、新八、ネプテューヌ、沖田さんまで笑いだす。

 

「「「「アハハハハハハハハッ!!」」」」

 

『新八、ネプテューヌ、沖田さん、アウト。

メガメガ:2ポイント

沖楽:0ポイント』

 

「おめェもあーなりたいのかーッ!!」

「あーもォ!! い゛っだいッ!!」

 

 そして神楽に尻をぶっ叩かれる沖田さん。

 ようやく真田丸から解放されたノッブは木馬から降りると股を抑えながら蹲る。銀時が笑いながらノッブに声をかける。

 

「だ、大丈夫か……?」

「け、結構……いたかった……」

 

 実は今の罰ゲームのこの真田丸……、

 

『罰ゲーム6――真田丸』

 

「「ええッ!?」」

 

 まさかの二回連続に驚くチーム沖楽。。それを受けるさきほどポイントが0になったばっかの沖田さんと神楽。だが二人も驚いてはいられないで。

 

「「さいしょはグー!! ジャンケンポン!!」」

 

 結果は……。

 

「「真田! 真田!! 真田丸!!」」

「いだだだだだだだだだだだだだだッ!!」

 

 赤い鎧を着込んで小太鼓の音と共に悲鳴を上げるのは神楽。

 電撃の時同様に罰ゲームが回避出来て沖田さんはしてやったりと言った顔。

 その光景を見て銀時とノッブは冷めた声でコメントする。

 

「なんかチーム同士のメンバーが一番の敵だよなコレ……」

「まーゲームの内容的にそうもなってくるじゃろうな……」

 

 と言ってからノッブはジロリと銀時を睨む。

 

「次は絶対にお主に罰ゲームを受けさせる」

「い や だ」

 


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