魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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2020年明け 3:賞品を考えるより罰ゲームを考える方が難しい

「「「「「え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙ッ!?」」」」」

 

 とララ以外の全員がありったけの叫び声を上げた後、すぐさま阿鼻叫喚の嵐が巻き起こる。

 

「ふざけんゴラァァァァァ!!」

 

 銀時はブーイングを飛ばし、

 

「なんて最低なザ・フライなんだァァァァアアアアアアアアア!!」

「アレになるのは嫌ァァァァァァァ!!」

 

 新八、なのはは涙を流しながら頭を抱え、

 

「「ウゾダドンドコドーンッ!!」」

 

 神楽とネプテューヌはよくわからない悲鳴を上げ、

 

「キラヤバ……くない! 普通にヤバイ!!」

 

 プリキュアのポジティブ主人公なひかるですら事態の深刻さに青い顔を浮かべ頭抱えていた。

 そんな阿鼻叫喚の嵐の中、ララは不思議そうな顔をひかるへと向ける。

 

「ひかる。ちょっと聞いていいかルン?」

「な、なに?」

 

 ひかるは青い顔をしながらも相方の問いに応えようと努めてる。

 

「ばつげーむ、っていうので一体私たちはなにと合体さられるルン?」

「あー、ララ……知らないんだ……」

 

 ひかるはすぐにララが聞こうとしていること察したような表情となり、ララは小首を傾げながら更に問う。

 

「さっきから言ってるウン――」

 

 ひかるは咄嗟にララの口を塞いで言葉を途中で遮り耳打ちする。

 

「あ、あのね……」

 

 ひかるから耳打ちされてウ〇コと一緒に罰ゲームのヤバさを知らされるララ。

 

「オ゙、゙オ゙ヨ゙ッ!?」

 

 ララの顔面は一気に蒼白になり、彼女は信じられないとばかりにひかるの顔を見る。

 

「さ、最下位は……!!」

 

 ララは再びディスプレイの『最下位はウ〇コと合☆体』の文字とひかるの顔を交互に何度も見る。

 

「あ、アレに……!」

「うん……そう……みたい……」

 

 ひかるは頬を引き攣らせながら力なく相槌を打つ。

 事態の深刻さをようやく知ったであろうララの頬は引き攣り、ひかるの頬もまた引き攣っていた。

 しばらくお互いの顔を見合っていた二人は今回の催しの司会進行たるフェイトへと顔を向ける。

 

「ね、ねー……」

「る、ルン……」

 

 プリキュア二名は青い顔をし、声を震わせながらも真顔のフェイトに近づきながら問いかける。

 

「なに?」

「さ、さすがに……あの罰ゲームはダメなんじゃないかなー……と。た、楽しくないんじゃにかなー……と」

「る、ルン……」

 

 張り付いたようなぎこちない笑顔を浮かべるは二人がフェイトへと声を掛ける姿を見た新八と銀時が感心の声を漏らす。

 

「あッ、プリキュア二人がフェイトちゃんにやんわりと抗議を!」

「さすが伝説の戦士! この状況でも即座に立ち向かってやがる!」

 

 ひかるに続いてララがやんわり提案する。

 

「ば、ばつげーむと言う非効率なモノがない方が、も、もっとみんな素直に楽しめて効率的ルン」

「ダメです」

 

 だがフェイトはバッサリ切り捨てララは「お、オヨッ!?」と面食らっており、ひかるがやんわり食い下がる。

 

「そ、そこをなんとかー……罰ゲームはあってもいいけど、せめて正月らしく顔に墨塗るくらいのヤツとかにー……」

「だって、私は今回の大会の司会進行を任されてるだけで特に何かを変える決定権を持ってないから」

「「えッ?」」

 

 ララとひかるは呆けた声を漏らし、フェイトはキッパリ告げる。

 

「悪いけど、私に色々言っても何も覆らないからどうしようもない」

「ル゙ゥ゙ゥ゙ゥ゙ヴヴヴヴヴヴヴヴヴン゙!!」

「ギラ゙ヤバァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!」

 

 望みが絶たれたプリキュア二人は地面に両手両膝を付いて絶望に打ちひしがれる。

 

「プリキュアさんの心が折れたッ!!」

 

 となのはが声を出し、新八は同情を含んだ視線を送る。

 

「わー、プリキュアの二人が本家で絶対出さないような声だしてるよ……」

「うっそだろおい。最下位になったらプリキュア共にもウ〇コ執行すんのかよ……」

 

 銀時が汗を流しながら顔を青くて頬を引き攣らせていると隣の新八が「いや、ウ〇コ執行てなんだよ」とツッコミ入れる。

 

「せ、せめてゲストである私だけは罰ゲームとかは見逃してー……」

 

 するとプリキュアに続くようにネプテューヌがやんわりフェイトに頼み込んでいたのに銀時たちは気付く。

 

「ゲストなんだしさー、ねッ? ねッ? ネプギアのプリン上げるから~」

 

 両手を合わせて抗議ならぬ命乞いと袖下をしている女神(ネプテューヌ)

 そんな姿を見て銀時と新八が頬に青筋を浮かべる。

 

「あの駄女神、自分だけでサラッと助かろうとしてやがる」

「なんて女神様だ」

 

 二人が怒気を含ませた声を出しているとフェイトがキッパリ告げる。

 

「ダメです」

「おっぺけぺェェェェェェェェ!!」

 

 ネプテューヌは両手両膝を付いて絶望する。そんな女神の姿を見た新八とノッブは半分冷めた視線を送る。

 

「ネプテューヌさんに至ってはワケのわからない悲鳴を上げますよ……」

「女神の心も折れたか……」

 

 銀時は「おいおいヤベーよ」と口にしつつ現状を再確認して眉間に皺を寄せる。

 

「ネプはともかく、プリキュアをウ〇コとフュージョンさせるとか、この作品年明けに潰されるんじゃねェの?」

「ちょっと銀ちゃん!! 私はともかくてドユコト!?」

 

 とネプテューヌは頭を上げて反応するが銀時は無視しふと思い付いたようにあることを口にする。

 

「つうかこんなふざけた催しに付き合う必要なくね?」

「そうそう!!」

 

 ネプテューヌも便乗して訴える。

 

「罰ゲームがウ〇コな時点で参加する道理なし!!」

「あの、ネプテューヌちゃん?」と新八。「君自分が女神だって自覚ある? とてもじゃないけど、女神が口にしちゃならない単語思いっきり口にしてるんだけど」

 

 銀時は左の掌に拳をバシッと当てる。

 

「なら今から目指すのはすごろくのゴールじゃなくて主催者の顔面にしようぜ。それで誰が一番早くボコれるのか競う」

 

 銀時は握り拳をゴキゴキ鳴らしながらドスの効いた声を出しつつ提案する。

 

「このクソ大会のクソ司会者をいち早くボコボコにした奴がそのまま高級おせち&100万ゲットってことOK?」

「「オーケー」」

 

 ノッブと沖田さんはそれぞれどっから出したのか火縄銃と刀を取り出して不敵にニヤリと口角を上げる。そんな背の低い戦国魔王と病弱な幕末剣士の姿に新八は即座に待ったを掛ける。

 

「ちょっとお二人共!? 銀さんが言ったこと実行したらあんたら戦国大名でも武士でも英霊でもないただの盗賊なんですけど!?」

 

 指摘されたノッブと沖田さんは軽い口調で言葉を返す。

 

「別に良いじゃろ~、戦国大名なんてどっかの国に攻め込んで領地も資源もぶん捕るのが主な仕事と目的なんじゃし、盗賊や強盗と変わらんて」

「幕府だって市民の血税を搾取する組織ですし~、大して変わりませんて」

「おィィィィィ!! 元有名戦国大名と元幕末剣士がとんでもねェこと口走ったよ!!」

 

 新八は汗を流しながら即座にツッコミ入れる。

 

「あんたら年明けだからって頭緩くなり過ぎにもほどがあんでしょ!!」

 

 新八がツッコム横でなのはが力強く言い放つ。

 

「暴力はダメですけど主催者さんを探すって案には私は賛成です!! いくらなんでも嫌です!! あんな罰ゲーム!! せめてもっと誰も損せず傷つかない罰ゲームに変えてもらいましょう!!」

「それってそもそも罰ゲームなの?」

 

 とネプテューヌが小首を傾げながらサラっとツッコミ入れ、なのはの言葉を聞いたプリキュア組や新八も食い付くように賛同し始める。

 

「賛成賛成!!」

「ルンルン!!」

「なのはちゃんの言う通り!! こんな罰ゲーム用意したクソ野郎にお灸を据えてやりましょう!!」

「フェイトちゃん!! 主催者さんの居場所知ってる!?」

 

 となのはが食い付くようにフェイトに問い詰めると、金髪ツインテールの少女は真顔で告げる。

 

「知りません」

 

 新八がフェイトの冷たい態度に汗を流す。

 

「って言うかフェイトちゃん、なんでさっきからそんなに他人行儀なの? 司会進行だからなの? 本編色々アレだからなの?」

 

 銀時はため息を吐きながらやれやれと言った感じで告げる。

 

「なのは、ぱっつぁん。そいつに聞いても時間の無駄そうだ。俺たちで勝手に探した方が手っ取り早い」

 

 すると沖田さんが「あッ」と声を出して上空を指さす。

 

「あのデッカイ画面から新しい文字が表示されてますよ」

「ん?」

「えッ?」

 

 銀時と新八が声を漏らし、その場にいる全員の視線がいつの間にか新たな文字が表示されている空中のディスプレイに注がれる。

 

『ゲームが始まらない限り、食べ物すらまともに出ないのであしからず。それでも探したいのなら飲まず食わずで探すがいい(笑)』

「「「「「…………」」」」」

 

 銀時、新八、なのは、ネプテューヌ、ひかる、ララの六人の頬にブチっと青筋が浮かぶ。

 そしてノッブが呆れ半分、諦め半分の声で告げる。

 

「こりゃ、何がなんでもわしらにゲームをさせてたいらしいな」

「「「だァァァチクショォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

 

 銀時と新八とネプテューヌは怒りと悔しさのあまりシャウトし、

 

「ちゃんとした年末年始をやりたいよォォォォォォ!!」

 

 なのはは前回の年末年始の特別回同様に酷い状況に涙を流し、

 

「「…………」」

 

 ひかるとララの口からは半透明な丸っこい物が飛び出そうとしていた。それぞれ半透明な物から「キラヤバー」とか「オヨー」と言った声を出している。

 そんなプリキュア組の姿を見て新八は声を出す。

 

「うわッ、プリキュア二人組の口からなんか出てる!? やっぱこういうノリとか慣れてないから拒否反応尋常じゃない!!」

 

 そしてまた空中のウィンドウの文字が変化する。

 

『諦めてウ〇コになる運命を受け入れてとっとゲームを始めるのだな(笑)』

 

「おィィィィィ!! マジでなんなんだよこの大会の主催者!!」

 

 銀時は顔中に青筋を浮かべながら拳を握りしめる。

 

「本気でぶっ殺してェくらいウゼェよチクショォーッ!! つうかウン〇になんのは最下位だろうが!!」

 

 怒鳴り散らす銀時とは対照的にノッブと沖田さんは慌てず騒がず、

 

「しかし……う、う〇ことふゅーじょんか……ブフッ……」

「いやー……しょ、正月なのに、た、大変ですね……ブッ……!」

 

 笑うの堪え切れないのか噴き出して顔を背けたり口元を手で抑えたりしていた。

 

「テメェら笑ってんじゃねェコノヤロー!! おめェらも他人事じゃねェだろうが!!」

 

 銀時の怒鳴り声に対してノッブは余裕の表情で言葉を返す。

 

「バカだの~。わしと沖田はゲストなんじゃぞ?」

「いやさっき、ゲストたるネプ子さんがバッサリ切り捨てられてたの見たでしょ?」

 

 新八が呆れた表情で指摘するがノッブの余裕の態度は崩れない。

 

「フッ、なにを言うか。あんな駄女神とわしらじゃ格というものが違う。それこそ、二流芸能人と一流芸能人くらいな。なにせわしらはあのFGOのゲスト。子供向けアニメと大して話題にならんゲームなんぞとは格が違うのじゃよ格が」

「あんた調子こいてめっちゃ色んなとこに無用な喧嘩売ってません?」と新八。

「言ってしまえば私たちはG〇KUT……汚れキャラとは格が違うのです!」

 

 沖田さんは親指と人差し指と中指を立ててシャキンと決めポーズする。

 

「今年のGA〇UT二流どころか三流になったぞ」

 

 と銀時がサラッと告げる。

 ノッブは自分は関係ないと言わんばかりの口調で右手をプラプラ振る。

 

「兎にも角にも、ビックゲストであるわしらまでウ〇コ合体させられるワケなかろ~」

「ちょッ、信長さん!! あんたさっきからウ〇コウ〇コ言い過ぎでしょ!!」

 

 と新八は驚きつつ苦言を呈する。

 

「あんた自分がどこから来たゲストだか自覚してますか!?」

「私たちはゲストとして後ろの方から観戦させてもらいますね~。誰がウ〇コになるか楽しみに見届けておきますから~」

「ちょっとォッ! 沖田さんまでウ〇コってハッキリ口にしちゃったよッ!! つうか性格わっる!!」

 

 と新八は焦り声を上げ、呑気なぐだぐだコンビに対して汗を流す。

 

「つうかあんたらホントにFateの人気キャラって自覚あんの!?」

 

 一方、超次元、リリカル、プリキュアのキャラたちは涙を流しながら恨めしそうな声を漏らす。

 

「この世は理不尽だ……」

「なの……」

「キラヤバ……」

「ルン……」

 

 そして自称ビックゲストノッブは余裕の態度で背を向け軽く手を上げて歩き出そうとする。

 

「フハハハッ!! それでは下々の賑やかし共はせいぜい頑張ることじゃなァ~ッ!! ワシと沖田は楽しく観戦――」

 

 するとノッブの言葉を遮るように司会進行がぐだぐだ組に冷たく告げる。

 

「敢えて言いますけど、あなたたちもゲームには参加してもらいます。辞退したらさっき言った通り強制合体です」

「「え゛ッ!?」」

 

 ぐだぐだ組の表情が固まり、ノッブは声を震わせながらフェイトに声を掛ける。

 

「……も、もし……ま、負けたら……?」

「もちろん罰ゲーム執行です」

 

 容赦なく告げられた言葉になおも食い下がるように沖田さんが確認する。

 

「う、ウ〇コと……が、合体……すると?」

 

 フェイトは無言で頷く。

 

「「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あッ!!」」

 

 ぐだぐだコンビはこの世の終わりような声を出しながら両手両膝をついて嘆き悲しむ。

 

「なんという無慈悲で悪質な主催者じゃァァァァ!! わしらをどこのゲストと心得る!!」

 

 ノッブは何度も拳で地面を叩き、

 

「人類悪めェェェェェェェェ!! ゴフッ!!」

 

 沖田さんはショックのあまり凄まじい量の吐血していた。

 一方、さっきまで調子乗っていたFateゲストに対する他の面々の視線は冷ややかなものであり、代表するように銀時が冷たく言い放つ。

 

「むしろプリキュア以上に汚れ役似合うキャラの癖してよくあそこまで余裕ぶっこいていられたな」

 

 とりあえず、フェイト以外のこの場にいる全員が危険な状態と言う状況は変わらず、話は進んでいく。

 

「つうかヤバイですよ銀さんコレ!! 本気でゲームに挑まないと!!」

 

 と新八が焦りの声を出すと銀時は吐き捨てるように言い放つ。

 

「そもそも辞退するべきだろこんなクソすごろく!!」

「クソだけにな!」

「ノッブは黙りやがってください!!」

 

 沖田さんが怒鳴り声を上げ、銀時は右手をぶんと振りながら皆を先導する。

 

「とっとこっから抜け出すぞ!! こんなハイリスクなゲームやってられるか!!」

「そうだ!! そうだ!! こんなところにいられるか!! 私は超次元に戻るぞ!!」

 

 とネプテューヌも拳を何度も振り上げ賛同し、ララも右手をビシッと上げて賛同の意を示す。

 

「サマーン星に帰ルン!!」

「帰ルン?」となのは。

「地球に帰ルン!!」

「星奈ちゃん!? 相方の口癖移っちゃってるよ!?」

 

 と新八がツッコミ入れ、

 

「「実家(FGO)に帰らせていただきます!!」」

 

 ノッブ&沖田さんもとっとと撤退しようとする。

 だが、

 

「辞退したら強制合体らしいですけど、良いんですか?」

 

 フェイトがサラッと告げた言葉を聞いて逃げようとしていた銀時たちの足がピタリと止まる。やがて振り向いて、

 

「「「「「やってやろうじゃねェかコノヤロォォォォォォ!!」」」」」

 

 涙を流しながら銀時、新八、神楽、ネプテューヌ、ノッブと沖田さんはヤケクソ気味に叫ぶ。一方ひかるとララとなのはは顔を両手で覆って嘆いていた。

 

「年明けそうそうなんでこんなことに……」

「ルン……」

「ぁぁぁぁ…………!!」

 

 そしてウィンドウに新たな文字が表示される。

 

『そもそもゲームが終わらないとこの空間から一生出られんから(笑)』

「「「「「テメェはいつかぶっ殺すッ!!」」」」」

 

 顔面青筋まみれの銀時、新八、ネプテューヌ、ノッブ、沖田さんはウィンドウに指を付きつけながらまだ見ぬ主催者に対する殺意を高めていくのだった。

 一方、少し冷静な新八はあることを思い出して銀時に慌てて言いだす。

 

「つ、つうか銀さん!! ゲーム始めるにしても僕らルール説明全然聞いてませんでしたよね!?」

「うわッ! そうだ!! ヤバイ!! 出だしから躓くワケにいかねェぞコレ!!」

「フェイトちゃんにすぐにルールの確認を!!」

 

 と新八が言うがフェイトはマイペースに告げる。

 

「それでは、ゲームを始めます」

「フェイトちゃァァァァァァん!! ちょっと待ってッ!!」

 

 と今度は銀時は慌てながらすぐさまフェイトに待ったをかけて両手を合わせながら詰め寄る。

 

「やっぱお願い!! もう一回説明して!! 一からちゃんと説明して!! 戦略立てたいから!!」

「もう一回説明するのは疲れるし、あと早く終わらせ……進めたいので主なルールはゲームの進行で必要な時に説明します」

 

 疲れたように告げるフェイトに対して銀時は青い顔してギョッとしながらも食い下がる。

 

「フェイトちゃァん!? ちょっと年末明けだからって無気力過ぎない!? 本編も色々とアレだからってやる気なさすぎない!? 俺たちウ〇コになるかどうかの瀬戸際なんだけど!? 少しくらい優しさを見せてくれても――!!」

「さっさと初めてさっさと終わらせて」

「フェイトちゃァァァん!? 本編が色々とあって理由が色々あってアレだからって優しさ無さ過ぎない!? 無慈悲過ぎない!? 冷た過ぎない!?」

 

 フェイトはメンドクサそうにフリップボードに挟んだ紙を眺めながら冷めた眼差しで告げる。

 

「そもそもこのゲームの基本てサイコロの数に合わせて進んでいくだけだから戦略もなにもないと思うけど……」

「じゃあ最初からそう言えよ!!」

 

 と銀時は怒鳴り、新八とは諦めたような感じで告げる。

 

「まー……基本はすごろくと同じってことですね……運任せの……」

「運で私たちはウ〇コにされるかどうか決まるんですね……運だけに……」

 

 沖田さんは腕と頭を垂らしながら悲し気な声を漏らし、

 

「正月の盛り上がる遊びがこんな凄惨なモノになるとは……」

 

 ノッブは達観したように顔を上へと向けている。

 一方ララは「すごろくってどんなルールン?」と相方のひかるに聞いていた。ひかるは「ルールン? ……えっとね……」と説明をしている。

 フェイトはフリップボードの紙を眺めながら説明を続ける。

 

「ゲームを進めている途中で説明が必要な時はちゃんと教えるから。基本ルール以外はゲームを進めながら順々に説明した方が銀時たちも分かると思うよ」

「まー、おめェの言いたいことはわかった。とりあえず、ちゃんと司会進行やってくれよ……」

 

 と銀時が疲れたように告げ、フェイトはフリップボードを眺めながら空いてる手を前に出して参加者たち筒状の物を差し出す。

 

「それじゃまず初めにチーム分けをします。『コレ』から一本の棒を取って下さい」

 

 フェイトが説明しながら出したのは八本の細い白い棒が入った筒状の物だった。つうか筒だった。

 

「大掛かりな割にチーム分けの仕方はしょっぱなおい」

 

 と銀時が言う。

 ようは簡単に説明するとくじ引きによるチーム分けである。

 近づきつつ筒に入った棒をマジマジと見る全員にフェイトが説明する。

 

「一人一本引いて、棒の先が同じ色の人同士でチームを組んで下さい」

「アレ? その棒、八本しかなくない?」

 

 と新八が不思議そうに小首を傾げ、周りの人数を確認する。

 

「……僕を含めて……九人いるんだけど? 棒の数が足りなくない?」

 

 指摘に対してフェイトがすかさず説明する。

 

「プリキュアの二人は別れずに一人分としてチーム分けに参加してもらいます」

 

 説明を聞いて銀時が腕を組みつつうんうんと頷く。

 

「なるほど。二人はプリキュアだしな」

「いやそれ初代ですからね?」

 

 と新八がツッコミ入れるとノッブが腕を組んで小首を傾げる。

 

「いやなんか最近もそんなこと言ってた奴らおらんかったか?」

 

 すると沖田さんが人差し指を立てながら思い出したように呟く。

 

「あ~、なのはがプリキュアだった時の」

「え゛ッ!?」

 

 と驚きの声を上げるなのはに新八が「いやハグッと、って言うか中の人の話ね?」と言う。するとフェイトは少し腕を前へと出してカランカランと棒を鳴らしながら告げる。

 

「チーム分けの説明は以上なので、くじを引いて下さい」

「あッ、はい」

 

 と新八は律儀に返事をしながら棒に手を掛ける。

 新八が棒を引くと続くようにおずおずとなのはも引き、次に神楽も独り言を言いながら引く。

 

「運悪そうなオチ枠ぱっつぁん以外なら誰でも良いアル」

「だとコラテメェッ!! 今回だけはオチにされるのだけは死んでもゴメンだからなッ!!」

 

 新八が怒鳴る間に沖田さんも引き、続いてネプテューヌが目を瞑って祈りながら棒を引く。

 

「どうかぱっつぁんとだけは組みませんように!!」

「駄女神テメェもかッ!!」

 

 と新八がまた怒鳴り、二人は一人のプリキュア組は代表してひかるが引く。

 そして残った銀時とノッブも互いに牽制しつつ残った棒に手を伸ばす。

 

「言っとくがな、俺はゲストだからって容赦しねェからな? ウ〇コ回避するついでに優勝してやるよ。テメェをウ〇コにしてでも俺は生き残ってやるよ」

「上等じゃ。わしとてウン〇を回避しつつ、貴様をウ〇コに蹴落としてくれるわ。いくら主人公とは言え容赦せんぞ」

「わー、もう当たり前のようにFateの人気キャラの一人がウ〇コウン〇言ってるよ……」

 

 と新八が呆れつつ声を出す。

 そしてそれぞれが同じ色の棒を確認しつつチーム分けは決まり、

 

「よろしくアル、オッキー」

「オッキーですか、うちにオッキーってあだ名の人いるから被っちゃうんですよねー……」

「じゃあソッジーネ」

「ソッジー!?」

 

 幕末剣士&チャイナ娘、

 

「よろしく、なのはちゃん」

「よろしくルン」

「よろしくお願いします」

 

 プリキュアコンビ&魔法少女、

 

「……ハァー……私はこれから女神からウ〇コに転職かー……」

「ちょっとォ!! なんで僕とチーム組んだだけでもう負けたみたいなリアクションしてんの!!」

 

 女神&眼鏡。

 そして……、

 

「「…………」」

 

 銀時とノッブはお互いに持つ先っぽの色が〝同じ〟棒を見る。

 

 ※天パ&魔王

 

 銀時とノッブはお互いの手をギュッと握り合う。

 

「ノッブ! 俺たちはズッ友だよな!」

「その通り! わしらはなまかじゃ!」

 

 そんなさきほどとは掌180度変えた二人に他の面々は冷めた眼差しを向け、沖田さんは抑揚のない声で告げる。

 

「ノッブ……随分前に流行った言葉もってきましたね」

「反応するとこそこ!?」

 

 と新八がツッコミ入れる。

 

 そんなこんなで地獄のすごろく大会は始まるのだった。

 

 


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