やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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高1グループのLINEは中々カオスである

「ふーむ……やっぱり文香の狙撃じゃ厳しいし、いっそ全員にテレポーターを持たせるのはどうか?」

 

深夜の自室にて、俺は3週間後に戦う加古隊と嵐山隊の戦闘記録を見ている。

 

加古隊は射手と特殊工作兵の2人チームと中々独特なチームだ。喜多川が仕掛けたトラップを加古さんがふんだんに使用するのが基本的な戦術だ。

 

トラップにはワープや地雷、仕込みマシンガンと千差万別でありとあらゆる手段でこちらを攻めてくる。

 

しかも今まで加古隊のランク戦を見た結果、ある程度時間が経過すると喜多川はトラップを全て破壊されようが隠れる事に徹するのだ。結果、加古隊と戦った部隊が生存ボーナスを手に入れた事は数えるくらいしかないのだ。

 

加えて加古さん自身もスコーピオンを使える変則型射手でかなり腕がある。何度か個人ランク戦をやっているが10本勝負で1回だけマグレで4本と格上だ。しかもチームランク戦では喜多川の支援もあるのでかなり厳しい戦いになるだろう。

 

(いや、嵐山隊とさりげなく協力し合えば勝ち目はあるが……)

 

乱戦なら喜多川の支援をフルに活かせる加古さんに分があるが、ドッシリと構えられたらこっちが有利だ。ウチと嵐山隊は戦闘要員が3人でもいるし。もしも加古さんを倒せたら新しい戦術を持っているこちらが有利だ。

 

嵐山隊のスタイルは嵐山さんを軸にした3人による高度な連携。状況によって嵐山さんが自ら囮となる場合もある。俺も自分を囮にする事もあるが、嵐山さんの技術は俺よりも高い。

 

何度か戦った結果、対策としては嵐山さんを確実に落とす事だ。時枝とツインスナイプ野郎も優秀だが、軸が落ちれば対処出来る。実際、嵐山さんを落とせた際は大抵ウチが勝ってるし。

 

(嵐山隊と無意識のうちに協力し合って加古さんを倒しなが、どさくさに紛れて嵐山さんを倒すのが理想だけど、向こうも俺の首を狙ってくるだろうな……)

 

そこまで考えている時だった。ポケットにある携帯が鳴り出したので見てみるとLINEの通知を知らせるものだった。

 

グループは高1グループ……嫌な予感しかしねぇ……

 

そう思いながらもLINEを起動してみると

 

【高1グループ】

 

米屋:今度夏休みの宿題皆でやろうぜ!

 

 

 

 

そんな提案がやってきた。こいつの魂胆が見え見えだ。大方夏休みの宿題のヘルプだろう。

 

【高1グループ】

 

仁礼:賛成!

 

由比ヶ浜:私も賛成!皆で頑張ろう!

 

三輪:宿題を手伝ってくれの間違いだろ?

 

出水:同感だな、お前ら期末最悪の結果だったじゃん

 

米屋:あ、バレた?

 

比企谷:当たり前だ

 

米屋:そこを何とか頼む!

 

三輪:すまん、このバカに付き合って欲しい

 

出水:まあ三輪が言うなら……

 

綾辻:私は良いよ

 

三上:私も。お兄ちゃんは?

 

比企谷:別に構わない

 

米屋:マジで?!

 

仁礼:サンキュー!

 

由比ヶ浜:ありがとう!

 

出水:次からは自分でやれよ?

 

米屋:当然!

 

三輪:お前の当然ほど信用出来ないものは存在しない

 

米屋:うるせー秀次!

 

由比ヶ浜:まあまあよねやん落ち着いて。それでやるならいつが良いかな?

 

比企谷:明日は花火大会に行くから無理だ

 

綾辻:花火大会?!

 

三上:誰と行くの?!

 

出水:三上と綾辻必死www

 

米屋:頑張れ義姉と義妹www

 

比企谷:あん?文香とだけど

 

三上:ふーん……

 

綾辻:へー……

 

仁礼:義姉と義妹怖過ぎワロタwww

 

米屋:修羅場キターwww

 

由比ヶ浜:2人とも怖過ぎるよ……

 

辻:……胃が痛くなってきた

 

三上:お兄ちゃん、もしかして2人きり?

 

比企谷:一応。あ、でもあいつの親がイベント委員と繋がりがあるらしいから挨拶をするかも

 

綾辻:え?そ、それって……!

 

三上:文香ちゃんと結婚について?!

 

比企谷:おい待て、何故そうなる?

 

由比ヶ浜:え?ヒッキー、ふみかんと結婚するの?!

 

米屋:wwwww

 

出水:wwwww

 

仁礼:wwwww

 

辻:ちょっと胃薬買うから落ちる

 

ーーー辻新之助が退出しましたーーー

 

比企谷:逃げやがったな……

 

綾辻:そんな事より弟君!文香ちゃんと結婚するつもりなの?!

 

三上:嘘は吐かないでね!

 

比企谷:しねぇよ。てか何でそこまでムキになってんだよ?

 

綾辻:弟君に結婚はまだ早いからだよ!

 

三上:結婚というのはもう少し仲を深めてからだよ!

 

仁礼:おやおや、それだけかい?

 

米屋:実際は照屋ちゃんじゃなくて自分達がハッチと……ねぇ?

 

ーーー綾辻遥が仁礼光を退会させましたーーー

 

ーーー三上歌歩が米屋陽介を退会させましたーーー

 

出水:退会wwww

 

宇佐美:なんか凄いことにwww

 

ーーー宇佐美栞が米屋陽介を高1グループに招待しましたーーー

 

ーーー宇佐美栞が仁礼光を高1グループに招待しましたーーー

 

米屋:復活!

 

仁礼:光さんの復活だー!

 

比企谷:帰れ、もしくは死ね

 

由比ヶ浜:ヒッキーかられつwww

 

三輪:かられつ?

 

比企谷:辛辣ーーーしんらつじゃないのか?

 

由比ヶ浜:あ………

 

宇佐美:wwwww

 

出水:wwwww

 

由比ヶ浜:わ、笑うなし!それより本題に戻ろうよ!

 

米屋:ハッチが照屋ちゃんと結婚する話だっけ?

 

仁礼:んで歌歩と遥が私的な理由で反対なんだっけ?

 

ーーー綾辻遥が仁礼光を退会させましたーーー

 

ーーー三上歌歩が米屋陽介を退会させましたーーー

 

出水:二度目wwwww

 

ーーー出水公平が米屋陽介を高1グループに招待しましたーーー

 

ーーー出水公平が仁礼光を高1グループに招待しましたーーー

 

綾辻:弟君!光ちゃんと米屋君の事は気にしちゃダメだよ!

 

三上:気にしたらもうお兄ちゃんって呼ばないからね!

 

比企谷:よしわかった。絶対に気にしない

 

宇佐美:即答wwwまあ気持ちはわかるけど

 

比企谷:やかましい。歌歩がお兄ちゃんって呼ばなくなったらショック死するわ

 

三上:もう、お兄ちゃんったら……そんな事を言われたら甘えたくなっちゃうよ

 

比企谷:明後日以降なら好きなだけ甘えろ

 

三上:うん、ありがとうお兄ちゃん

 

比企谷:どういたしまして

 

綾辻:むー……弟君。私も甘えるから!

 

比企谷:……好きにしろ

 

出水:張り合いだしたwwwww

 

宇佐美:甘えん坊トリオwwwww

 

三輪:惚気るな。さっさと本題に入れ

 

比企谷:そうだった。とりあえずバカ3人は空いてる日を教えろ

 

米屋:18、20、21、22、25あたりだな

 

由比ヶ浜:私は17、19、20、21、23、25かな?後バカじゃないし!

 

仁礼:アタシは18、20、21、24、25だな!

 

出水:バカ3人が空いてるのは21と25だが、空いてる奴は?

 

比企谷:21は空いてるが、25は防衛任務

 

三上:お兄ちゃんと一緒

 

綾辻:私は両方大丈夫かな

 

三輪:俺も両方大丈夫だ

 

出水:俺も大丈夫

 

宇佐美:私は25は空いてるよー!

 

出水:じゃあ21に比企谷が義姉と義妹と一緒に、25に俺と三輪と宇佐美が教えるわ

 

米屋:いや、21に誰か1人追加してくれ。バカップル3人だけだと砂糖を吐きそうだ

 

比企谷:誰かバカップルだ。殺すぞバカチューシャ

 

出水:凄え斬新なアダ名だな……まあ確かに槍バカの言う通り、お前らカップルだけだと勉強そっちのけになりそうだし

 

綾辻:出水君!変な事を言わないでよ!

 

三上:そうだよ!私達はまだカップルじゃないよ

 

米屋:え?じゃあハッチ、キスはしてないの?

 

 

 

 

………

 

米屋のメッセージを見て思わずプールに行った時のことを思い出す。

 

ーーーわ、私も!お兄ちゃんがファーストキスの相手で良かったよ!ーーー

 

ーーーさ、さっきの話だけど……嘘じゃないからねーーー

 

可愛い義妹の歌歩としたキスやその時に言われた事を。

 

(歌歩は俺とキスをして良かったと言っていた……ぐっ……思い出すだけで顔が熱くなる……)

 

結論を言うと俺も事故とはいえ歌歩とキスをして恥ずかしい気持ち以外に嬉しいって気持ちもあった。歌歩の唇の柔らかい感触は今でもハッキリと覚えているくらいだ。ぶっちゃけもう一回したい……

 

 

(って、違う!何を考えているんだ俺は?!とにかくキスはしてないって返信をしないと……)

 

そこまで考えた時だった。いきなり着信画面に切り替わった。誰かと思えば文香からだった。

 

「(とりあえず出るか)もしもし?」

 

『あ、八幡先輩ですか?明日の集合場所についてなんですが、場所を変えていただけませんか?』

 

「確か集合場所は最寄りの駅だったな?なんでだ?」

 

『今お父さんから聞いたのですが、今年はイベントのスポンサーも増えていつもより活気的になるので、例年より混雑が予想されているからです』

 

「なるほどな……そんじゃあどこにする?」

 

『それなんですが、現地集合ではなく八幡先輩の家から最寄りの駅にしませんか?』

 

「じゃあ明日の6時に駅前のコンビニ集合でどうだ?」

 

『大丈夫ですよ』

 

「わかった。んじゃまたな」

 

『あっ、待ってください!その少しだけお話ししませんか?』

 

「話?」

 

『はい……その、久しぶりに聞いた八幡先輩の声が恋しくて……』

 

「いや3日前に話しただろ?」

 

『私は毎日八幡先輩の声を聞きたいんですけど……ダメですか?』

 

そんな声を出されちゃ断れねぇよ。マジで狙ってんのか?

 

「わかったよ。ただ夜も遅いから少しだけな?」

 

『はい!ありがとうございます!』

 

すると文香の元気な声が聞こえてくる。そんな声を聞くとこちらも元気になってくるなぁ……

 

そう思いながら俺は文香との雑談を始めた。話した時間は15分ちょいだが濃密な時間であった。

 

 

 

 

 

 

 

あれ?でもなんか大切な事を忘れてるような……

 

 

 

米屋:既読スルー……これはもしや……

 

由比ヶ浜:キスをしたから……?!

 

仁礼:やっぱりしたのか!どっちがしたんだ?!

 

綾辻:私はしてないよ!

 

三上:私だってしてないよ!

 

米屋:じゃあ照屋ちゃんか?

 

出水:え?でも俺綾辻ちゃんと三上ちゃんが比企谷とキスをしてるのを見たぞ?!

 

仁礼:マジで?!

 

三上:嘘?!見てたの?!

 

綾辻:そんな事ないよ!私は自分の家でしたから

 

出水:え?ハッタリだったんだけど……

 

三上:あ……

 

綾辻:出水君の馬鹿!

 

米屋:え?マジでしたの?!

 

由比ヶ浜:2人ともキスしたの?!

 

宇佐美:おめでとう!

 

仁礼:マジか?!明日の夜は赤飯だな……

 

三輪:いつか刺されそうだな……

 

出水:いやー、ハッタリが成功するとは思わなかったわ。で、どんな感じでキスをしたの?

 

宇佐美:もうキスをしたのはバレたんだし素直になりなよ

 

米屋:早く早く!

 

仁礼:早く早く!

 

由比ヶ浜:早く早く!

 

三上:わ、私はプールに行った帰りにバスから降りようとしたら転んで、その時に先に降りたお兄ちゃんを巻き込んで……

 

綾辻:私は弟君が泊まりに来た日に寝ている弟君に

 

三上:ちょっと遥ちゃん!お兄ちゃんが寝ている時にお兄ちゃんのファーストキスを奪うなんて狡いよ!

 

綾辻:ごめんごめん

 

 

三上:お兄ちゃんのファーストキスの相手は私だったと思ったのに……でも遥ちゃん!お兄ちゃんの恋人になるのは私だから!

 

綾辻:それはこっちのセリフだよ!弟君は誰にも渡さないから!歌歩ちゃんだけじゃなくて文香ちゃんが相手でも!

 

 

三上:私だって誰にも負けないよ!だから夏休み中に遥ちゃんがやったようにお兄ちゃんをウチに泊めて、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝るんだから!

 

綾辻:だったら私はもう1回弟君を呼んで同じ事をしてもらうだけだよ!

 

三上:だったら私はお兄ちゃんにキスして貰うよ!お兄ちゃん、私とキスして嫌じゃないって言ってたし!

 

綾辻:なっ……だったら私も弟君が起きてる時にキスをするから!

 

出水:あのー、俺達がいる中でそんな会話はやめてくれない?

 

綾辻:……

 

三上:あ……

 

ーーー綾辻遥が退出しましたーーー

 

ーーー三上歌歩が退出しましたーーー

 

出水:……とりあえず今日は解散な

 

米屋:だな

 

三輪:ああ

 

仁礼:そうだな

 

由比ヶ浜:だよねー

 

宇佐美:皆お休みーーー

 

 

 

 

…………八幡の運命が大きく動くように花火大会まで後16時間


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