やはり俺が入隊するのはまちがっている。   作:ユンケ

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こうしてランク戦は終わりに向かう

轟音が響く中、俺はとにかく空中を跳び続けた。それと同時に光の弾丸がさっきまで俺がいた場所を通過して背後にある工場を吹き飛ばした。

 

現在俺は工業地区の端にて、未だ二宮さんと戦っている。いや、正確に言うと俺が時間を稼いでいて二宮さんが足止めを食っているが正しい表現だな。

 

そう思いながら俺は地面に着地する。空中ではグラスホッパーを使って回避して、地面に着地すれば……

 

「エスクード……うおっ!」

 

いきなり上から弾丸が降ってきたので、俺反射的にグラスホッパーを腹に当てて後ろに跳ぶ。同時にさっきまで俺がいた場所に弾丸の雨が降り注いだ。危ねぇな……

 

地面に着地した場合、エスクードを正面に使って弾丸を防ぐが、今回の二宮さんはエスクードの『使っている最中は正面にいる相手を見れない』という弱点を突いてきた。

 

二宮さんは俺が地面に着地するとアステロイドを使ってきたので、俺がいつものようにエスクードを使ったのだが、二宮さんはエスクードを使うと同時にハウンドを打ち上げたのだろう。空中に浮かんだハウンドが俺を追尾してきた。

 

それを俺が回避して窮地を逃れたのだが……

 

(ヤベェな……エスクードの対策も出来てるし、攻撃のキレも徐々に上がってる)

 

足止めが目的とはいえこのままだと長くは保たないだろう。しかも二宮さんは常に冷静なのだ。二宮さんを足止めする際に冷静さを奪うべく、グラスホッパーを踏ませて壁に叩きつけたり、グラスホッパーを使って瓦礫を飛ばし二宮さんの顔面にぶつけたりもした。これなら二宮さんもキレて攻撃が荒れると思っていた。

 

しかし二宮さんの攻撃は荒れるどころかキレが増している。二宮さんの表情から察するに怒っているとは思うが、頭は冷えているようだ。

 

これはマジで厄介だ。てかランク戦が終わった後が怖い……

 

 

最も八幡は知らなかった。ランク戦の観覧席で個人総合1位の男や旧A級1位の紅一点が八幡が二宮に瓦礫をぶつける所を見て大爆笑している事、旧A級1位の戦闘員で最も若い男が戦慄している事を。

 

閑話休題……

 

しかし、それは後だ。いざとなったらランク戦が終わってから許して貰うまで土下座しよう。

 

そんな事を考えている時だった。

 

「ベイルアウトの光?」

 

少し離れた所からベイルアウトの光が空に向かって飛んで行くのが見えた。レーダーを見ると工業地区の中心地付近の反応の数が2つになっていた。文香は生き残っているな……

 

「歌歩、文香達の様子は?」

 

『丁度今さっき文香ちゃんが香取さんを倒して、今は鶴見さんと戦闘中』

 

良し、これで2点目だ。今の所順調だ。

 

 

「随分と順調だな」

 

そこまで考えていたら二宮さんが話しかけてくる。

 

「そっすね。文香が鶴見を倒したら殆どウチの勝ちは確定ですね」

 

「だろうな。だが鶴見が照屋を倒したらウチが巻き返すぞ」

 

二宮さんの言う通りだ。文香と鶴見、勝った方は必然的にフリーとなる。つまりバッグワームを着て違う戦場に奇襲を掛ければ戦局は一気に動くだろう。そしてさっき俺と二宮さんが言ったが、文香が鶴見を倒したら勝ちは殆ど確定だが、文香が負けたら二宮隊に逆転を許す可能性が高い。

 

(とりあえず文香の事は気になるが忘れよう。二宮さんを相手にしている時に他の事を考えていたら負ける)

 

「まあ二宮さんが勝った場合も二宮隊が巻き返す切っ掛けとなるでしょうし、もう少しここで俺と遊んでくださいな」

 

「よく言うな。嫌と言っても遊ばせるだろ」

 

「否定はしません」

 

当たり前だ。二宮さんが向こうに行った瞬間、ウチの負けは確定だ。もしも二宮さんが俺の誘いを拒否して他の戦場に行こうとしたら相討ち覚悟で攻めるつもりだ。

 

「……まあいい。お前のトリオンも少ないだろうし、そろそろ遊びは終わらせて貰うぞ」

 

言いながら二宮さんは自身の周囲に浮かばせているキューブを大量に分割してくる。毎回思うが何故二宮さんの分割方法は他の人と違ってユニークなんだ?

 

疑問符を浮かべていると二宮さんは弾丸を放ってくるので……

 

「エスクード」

 

バリケードを生み出して全て防ぐ。これで6回目のエスクードの使用だ。

 

エスクードの防御力桁違いだが消費トリオンが大きい。それに加えてグラスホッパーやテレポーターやシールドの大量使用、牽制用に放ったハウンド。

 

それらの使用によって未だ部位欠損はしておらず攻撃によってトリオンは漏れてないが、俺のトリオンは残り3割を切っている。二宮さんの言う通り長くは保たないだろう。

 

だが……

 

(俺が足止めをしている限り二宮さんはここから動けない。だったらトリオンが切れるまで足止めをしてやる……)

 

そう思いながら俺はバックステップをして上空から飛んでくるハウンドを回避する。

 

だから文香と辻よ、そっちは頼んだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡が二宮を足止めをしている同時刻……

 

「このっ……!」

 

「はっ……!」

 

ステージの中央付近では2人の女子が戦っていた。弧月とスコーピオンの光り輝く刃がぶつかり合って辺りに火花を散らしている。

 

照屋文香と鶴見留美、2人の女子は目に鋭い光を宿しながら剣戟を繰り返す。

 

今のところ勝負は拮抗している。

 

鶴見が文香の弧月とスコーピオンをぶつけている最中に膝からから副トリガーのスコーピオンを出して奇襲を掛ければ、文香の足に刺さる前に文香は身体をズラして回避しながら弧月を使って鶴見のスコーピオンに体当たりをして鶴見を吹き飛ばし距離を作る。

 

距離を作るや否や文香が旋空を起動しながら弧月を振るうと、体勢を崩している鶴見は自身の腹にグラスホッパーを当てて強引に旋空によって拡張された弧月の軌道から逃れようとする。が、完全に避けることは出来ずに脇腹から微かにトリオンが漏れ出す。

 

それに対して鶴見は全く同様しないで文香を見据える。そして弧月の軌道から逃れると同時に……

 

「ふっ!」

 

2つのスコーピオンを繋いでリーチを伸ばし鞭のような一撃を放つ大技『マンティス』を放つ。

 

高速で放たれた一撃に対して文香は、マンティスの軌道上に弧月を突き立てるも……

 

「くっ!」

 

完全にマンティスの軌道を見切ることが出来ずに肩に掠る。それによって文香の肩からは鶴見の脇腹同様にトリオンが漏れ出す。

 

(やっぱりマンティスを完全に見切るのは不利。この間合いは危険だから……)

 

文香はバックステップで更に鶴見から距離を取る。同時に弧月を鞘にしまって、肩にかけてある突撃銃を手に取って発砲する。

 

対する鶴見はこの間合いはマズいと判断したのかグラスホッパーを使って距離を縮めてくる。

 

文香は距離を縮めてくる鶴見を見ながら冷静に考える。

 

(やっぱり距離を縮めてきた。マンティスは主トリガーと副トリガーの両方を使わないと出来ない技だからこっちが攻撃している間は使って来ない筈。そうなると鶴見さんが使うのは……)

 

文香が先を見ると鶴見は距離を詰めながらもグラスホッパーを使って文香の丁度斜め前に向かう。同時に文香の周囲に大量のジャンプ台が設置されて、文香は鶴見の狙いを読めた。

 

(乱反射で来た……!)

 

乱反射

 

自身の恋い焦がれる隊長の八幡が生み出した技で、相手の周囲に大量のジャンプ台を設置してから飛び回ることで撹乱する技である。高速で飛び回って、相手が動きを読めなくなった瞬間に攻撃に転ずる技。

 

初見なら殆どの人が避けることが出来ないであろう大技で、鶴見のそれは開発者である八幡の乱反射と遜色ない出来だった。

 

それを認識すると鶴見はジャンプ台を踏んで文香の周囲を高速で飛び回る。ジャンプ台を踏む音と、新しくジャンプ台を作る音が耳に入り、目には高速で移動する鶴見の姿が見える。

 

しかし文香は全く焦っていない。落ち着いて鶴見の動きを見ていて焦る気配は見せない。

 

(八幡先輩の乱反射を500回以上経験したからか普通に見切れる)

 

そう思いながら文香は弧月の切れ味をオフにして……

 

「メテオラ!」

 

爆風の規模と威力と弾速を最小限にして、射程に特化したメテオラを正面に放つ。それによってゆっくりーーーそれこそ赤ちゃんのハイハイくらいの速度でメテオラが前に進んで行く。

 

それに対して鶴見はマズいという考えが浮かんだが、もう遅く……

 

 

ボンッ

 

軽い爆発と共に文香から離れてしまう。威力は全然ない為に当たった右腕は捥げる事なくトリオンが軽く漏れた位で済んだ。

 

しかし予想外の反撃によって鶴見は地面に倒れる。

 

鶴見自身、ランク戦で何度も乱反射を使っていた。その際に相手が対策をしてくる時は、全身からスコーピオンを生やす事や、乱反射に捕まらないように常に激しく動くなどの対策を見た事はあるが、メテオラを使う人間は見た事がなかった。

 

メテオラを使えば乱反射から逃れられるのは事実だが、その場合爆風で自分も巻き込む可能性が高いので使う奴がいないからだと、鶴見自身は思っていた。

 

しかし文香は……

 

(良かった……八幡先輩との練習が役立った!)

 

内心喜びを出す。文香は乱反射対策として自分を巻き込まないで済むメテオラを使う練習をしたのだ。記録の残らない作戦室のトレーニングルームにて。

 

何百と練習をした結果、文香は至近距離でも爆発に巻き込まれないよう、メテオラの調整をマスターしたのだ。その結果、実戦でも成功してメテオラは文香を巻き込まずに鶴見だけを吹き飛ばした。

 

とはいえ念には念を入れて、爆風に巻き込まれないように威力は下げていたので鶴見を倒すには至っていない。

 

(止めは弧月で……)

 

そう思いながら文香は弧月の切れ味をオンにして鞘から抜き……

 

「はぁっ!」

 

掛け声と共に地面に倒れ伏す鶴見に弧月を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

……が、

 

ギィンッ

 

鶴見に刃が当たる直前、鈍い音がしたかと思えば文香の手に衝撃が走り、文香の手にあった弧月が壊れていた。

 

それによって文香は呆然としたが、直ぐに理由を理解した。

 

(そうか!鳩原先輩の武器破壊……!)

 

前回の二宮隊のランク戦の記録を見た際に、文香は鳩原が敵チームの持つ武器を破壊しているのを確認している。

 

しかし文香自身、濃霧の中で正確に武器を破壊出来るとは思わなかった。

 

そこまで考えている時だった。

 

バランスを崩していた鶴見が文香が驚いた隙を突いて距離を取る。そして両腕を動かして独特の構えを見せてくる。

 

(アレはマンティスの構え……!マズい!)

 

そう思いながら文香は反射的に突撃銃を構え、牽制射撃をしながら距離を取ろうとするが……

 

ガシャ

 

文香の突撃銃に光が走り破壊された。銃はバラバラになって地面に転がる。

 

(この濃霧の中、2連続で武器破壊?!そんな!あり得な……っ?!)

 

そこまで考えた時だった。鶴見の両手から放たれたマンティスが文香の首を刎ねた。

 

文香は自身の首が刎ねられたのを実感する。同時に申し訳ない気持ちで一杯になる。

 

(八幡先輩、辻先輩。申し訳ありませんでした……!)

 

悔しい気持ちが溢れる中、文香の身体は光に包まれて空へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

『文香ちゃんが鶴見さんにやられたよ!』

 

「……っ!」

 

辻はチームメイトの歌歩から通信が入り息を呑む。

 

マズい状況だと辻は思った。文香がベイルアウトした事で戦場は3つから2つになった。隊長同士の戦場と、自分がいる三つ巴の戦場の2つだ。

 

しかしフリーになった鶴見は間違いなくこちらに来ると辻は判断した。隊長同士の戦場では、自分の隊長である八幡が足止めをしていて二宮がそれを打ち破ろうとしている戦場だ。それはつまり八幡は二宮を倒すつもりがないという事。

 

(二宮隊からしたら勝つ気が無く足止めに特化した比企谷を倒すより、点を取る仕事を担当する俺を狙うだろうな。そうすればウチの隊の点を取れる人間は居なくなる)

 

その事から鶴見は間違いなくこちらに来ると考えている。鶴見がいた戦場はここから割と離れているが、グラスホッパーを使える鶴見なら2分弱で到着するだろう。

 

鶴見が来たら比企谷隊の負けを殆ど確定する。

 

現在比企谷隊は2点、二宮隊は1点、香取隊は0点となっているが……

 

(今回立てたプランBでは、比企谷が二宮さんに負けることを計算に入れているから、実質二宮隊は2点手に入れている)

 

つまり実質的に比企谷隊と二宮隊は並んでいる。そこに鶴見が犬飼と合流したら自分と三浦は負けて二宮隊は4点となり、生存点の2点も加わり6点となる……と辻は考えている。

 

(今から逃げて点数を取られるのを避けるか?……ダメだ。俺が逃げても犬飼先輩と鶴見さんが三浦を倒したら二宮隊は3点となってウチが負ける)

 

今回隊長の八幡は本気で勝ちを狙っている。だから辻も部下の自分も本気で勝ちを狙わないといけないと考えている。

 

そうなると残りの選択肢は……

 

(鶴見さんが来るであろう2分以内に三浦を倒して、この場から離脱する。そうすればウチの勝ちになる……)

 

今のところ三つ巴は拮抗している。しかし鶴見が来たら拮抗は崩れるので早めに動かないといけない。

 

狙うなら三浦。理由としては犬飼を狙おうとしたら間違いなく鶴見が来るまで時間稼ぎをしてくるだろうから。足止めに特化した人間の隙を突くのは難しい。

 

一方の三浦は香取と若村が落ちて味方の援護がない状態だ。勝負を捨てるならともかく、捨てないなら同じ理由で辻を狙ってくるだろうから。

 

そう判断した辻は三浦との距離を詰める。すると……

 

「そうはさせないよ」

 

犬飼がそう言って2人の間に銃撃をする事で動きを止めようとする。犬飼としては鶴見が来てから辻と三浦から2点取るつもりなので、2人が争って獲れる点数が減るのが嫌なのだろう。

 

(やっぱり邪魔してくるか……仕方ない。多少博打をはるか)

 

そう思いながら辻は犬飼がいる方向にシールドを張ってアステロイドの雨を突っ切る。

 

しかし全てのアステロイドを防ぐことは不可能だったようで足や肩に数発当たりトリオンが漏れ出す。

 

しかし辻はそれを無視して三浦との距離を詰めにかかる。ここで引いたらもうチャンスはない。

 

「ハウンド」

 

辻は半ば強引に犬飼の生み出す弾幕を振り切り、同時にハウンドで犬飼を牽制しながら三浦に弧月を振るう。対する三浦も弧月で受け止めて迎撃の構えを見せる。

 

そして弧月同士が鍔迫り合うと同時に三浦の弧月の刃の部分から新しい刃が出てくる。

 

(来たな『幻踊』……)

 

弧月のオプショントリガーである幻踊。弧月はスコーピオンと違って変形ができないが、 これを使えば旋空と同じようにトリオンを消費して瞬間的にブレード部分を変形できる。

 

三浦以外にも三輪隊攻撃手の米屋陽介が使っているが、彼も槍を突く際に使用して、敵に攻撃を避けたと思わせて不意を付いたり、 シールドを展開した敵に対して敵の防御をかわして攻撃を仕掛けたりと、トリッキーな戦術を使ってくる。

 

三浦も相手の攻撃から逃れる為か、幻踊を使って刃から出た新しい刃を辻の手首を狙ってくる。

 

(三浦の狙いは俺の手に刺して、弧月を離してから追撃もしくは逃走をする筈。だったら……)

 

そこまで考えてからの辻の行動は早かった。

 

「えっ?!」

 

普通は退がって体勢を立て直す所を、辻はあろう事か三浦の幻踊弧月が腕に刺さる前に弧月を手離す。

 

対する三浦は驚きもしたが、直ぐに弧月を振るって辻の左腕を斬り落とす。それによって辻の左腕からは大量のトリオンが漏れ出す。

 

しかし、

 

(弧月は振り切っている。戻して守りに入る前に仕留める……)

 

辻は予想していたので特に焦ることなく、副トリガーのハウンドで犬飼を牽制しながら三浦の腹に手を当てて……

 

「ハウンド」

 

そのまま主トリガーのハウンドを威力重視、弾速と射程を殆ど0に設定して起動する。すると三浦の腹に巨大な穴が開き、そこから全身に罅が広がっていく。

 

「やられたよ」

 

三浦は最後に苦笑して、そのまま光に包まれて空へ飛んで行った。

 

(これで比企谷隊は3点。大幅にリード出来たし、このまま逃げ切ればウチの勝ちだが無理だろうな)

 

そう思いながらチラッと横を見ると……

 

「いやー、辻ちゃんって思ったより熱い男だね〜」

 

こちらが放った牽制目的のハウンドを全て防ぎ、銃口をこちらに向けている犬飼と、

 

「ごめん。遅くなった」

 

先程文香を倒した鶴見が工場の屋上から降りて犬飼の横に並ぶ。鶴見を見ると多少ボロボロだったが、戦闘には支障がない程度のダメージだった。

 

対する辻は無理に三浦を攻めた際に犬飼から受けた軽くないダメージを受けている。将棋で言えば詰みってヤツだろう。

 

(いや、まだベイルアウトはしていない。最後の悪足掻きで……っ?!)

 

辻の思考はそこで止まった。それはいきなり衝撃が走ったからだ。そして気付くと辻の身体は鶴見と犬飼の方に向かっていて……

 

「2点目」

 

その言葉と共に視界が大きく揺れる。それによって辻は自分の身体はグラスホッパーで2人の元に吹き飛ばされて、すれ違い様に鶴見に首を刎ねられた事を理解した。

 

しかし……

 

(ここまでか……)

 

首を刎ねられた以上やれる事はない。辻は悔しい気持ちを胸に秘めながら光に包まれて空へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん!辻君が三浦君を倒した!でもそのあと直ぐに鶴見さんにやられちゃったよ!』

 

煙が漂う中、歌歩から連絡入る。少し前にも歌歩から文香が鳩原先輩の援護を受けた鶴見にやられたと報告を聞いたので比企谷隊のメンバーは俺1人だ。

 

現在の得点はウチが3点、二宮隊が2点、香取隊が0点でウチがリードしているが……

 

 

 

 

「俺を10分以上足止めしたのは見事だが……ここまでだな」

 

目の前にいる魔王が俺を倒して同点になるだろうからな。魔王こと二宮さんはキューブを浮かばせてこっちを見ている。

 

結局二宮さんの攻撃は1発も食らってないが、何度もグラスホッパーやシールド、エスクードにテレポーターを使用してトリオンは殆ど残って居なかった。

 

逃げ切りは不可能。一応ほんの少しトリオンは残っているからこの場から逃げ切れる可能性はあるが、逃げ切った所で試合終了までバッグワームを使える程は残ってないだろう。

 

つまりどの道生存点を手に入れるのは無理なのだ。二宮隊は4人いるし。

 

つまり試合の結果は既に決まっている。

 

二宮さんが俺を撃破して更に1点加わり、生存点ボーナスで2点入り二宮隊が5点で勝利するのだ。これはC級でもわかるだろう。

 

しかし……

 

(ただじゃやられねぇ。今の所、ウチは3点取っているが最後に二宮さんを倒して4点ゲットしてやる……)

 

そう思いながら二宮さんを見ると、二宮さんを俺を見ながら攻撃の合図を意味するかのように指を突きつけてくる。

 

「(今だ……!テレポーター!)」

 

内心そう叫びながら俺は二宮さんの真横に立つ。二宮さんは特に驚かずに冷静にこちらを向いて弾丸を放つが……

 

「(これなら俺の攻撃の方がわずかに早い!)メテオラ!」

 

俺は最後の最後まで1回も使わなかった道連れとして準備したメテオラを射程と弾速を0に、威力を最大に、爆風の範囲を最大にして周囲に浮かばせ……

 

 

ドゴォォォンッ

 

俺は最後に二宮さんの驚く顔を見ながら、二宮さんの放った弾丸に蜂の巣にされながら爆風に巻きこまれた。

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出』

 

そしてその言葉を最後に俺は光に包まれて空へ飛んで行った。




最近Rー18作品でワートリのエロ小説を書き始めたんで18歳以上の方は時間があったら読んでいただけたら幸いです。

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